CRYSTAL MEMORY STORY

第二部 武器と運命の物語
第ニ十四話 離別


明かされたコウとキスカ達との過去。ラストジャッジの野望にジタン達はどうするのか。

ボルドー「くそっ!! まさか炎血が生きていたとは・・・」

ボルドーはラストジャッジの本部にいた。

キスカ「コウは元とは言え八光陣の一人でしたからね。そう簡単には死にはしないでしょう。」

ボルドー「そんな事を聞いているのではない!!」

キスカ「失礼しました。」

ボルドー「あの悪魔が生きているとは・・・くそっ!!」







ジタン「ミズキ・・・あいつが母さんの・・・そして俺の・・・」

その頃ジタンは船の国リンドブルムのタンタラスアジトの屋根の上にいた。

ミコト「兄さん・・・」

ジタン「なぁミコト・・・俺はどうしたらいいんだ・・・?」

ミコト「・・・」

ジタン「ミズキは俺の弟だ・・・俺は弟と戦わなくちゃいけないのか・・・?」

ミコト「それは・・・」

「何クヨクヨしてんだよ。」

ジタン「ボス・・・」

そこにバクーがやって来た。

バクー「事情は聞いた。マリアの息子ってこたぁ俺の血の繋がった息子っつぅ事だ。」

ジタン「あぁ・・・」

バクー「まぁ俺も息子共が戦う何ざ望んじゃいねぇがよ。迷ってたら何もできねぇぞ。」

ジタン「分かってるよ・・・分かって・・・」

ミコト「兄さん・・・」







スタイナー「まさかキスカまで敵だったとは・・・」

クイナ「ショックアル・・・」

別の仲間達はいつもの広場に集まっていた。

ダガー「ねぇコウ。ラストジャッジはいつ頃から私達を狙っていたのかな・・・」

コウ「あの様子じゃここ数年だろうな・・・時期的にジタンが十七の武器を奪った時か、お前らが永遠の闇を倒した後か・・・」

サラマンダー「つまり四年前か・・・」

フラットレイ「カオスチャイルドが襲ってきた事は奴らがしかけた事、そうだったな・・・」

コウ「多分な。確かマイ救った時もいたんだよな? キスカも一緒に。」

スタイナー「あぁ。」

コウ「それはシルフがマイを救う為に送った手紙をキスカが気づいて向かって、監視していたマット辺りが後を追ったんだろう。」

マイ「全て筒抜けってわけなの?」

コウ「あぁ。きっとな。」

ベアトリクス「あなたの話では、それでアレイスタが滅ぼされたと・・・」

ラニ「うん・・・」

フライヤ「奴らはそこまで戦力があると言うのか?」

コウ「間違いないな。」

ビビ「それじゃあ僕らはどうなるの?」

マイ「そうよ。このままいいなりになるなんて嫌だよ。」

コウ「分かってる。戦力で言えばこっちは少数精鋭、あっちは大部隊だ。戦えば五分五分だろう。」

ダガー「少数精鋭って事は、数人だけにするって事?」

コウ「あぁ。まずは俺らの中で一番力のあるジタン、ミズキとの事があるだろうけど、あいつには戦ってもらわにゃいけん。」

ダガー「そうよね・・・」

コウ「それに、クジャとヴァルキリー、てかワルキューレ。二人も力は上位だ。頼むぜ。」

クジャ「あぁ。」

ワルキューレ「心得た。」

コウ「それにシルフとフリオニール、戻ってきたら伝えておいてくれ。」

ビビ「うん。」

コウ「後は、俺だ。奴ら・・・キスカとは決着つけなくちゃいけないしな。」

ダガー「私は?」

クイナ「ワタシ達はアル?」

コウ「一応何かあった時の為に待機しておいてくれ。本当はマットにも声かけたいんだが、クルー。」

クルー「マットは今どこにいるか分かんない・・・ごめんね・・・」

コウ「そうか・・・」

マイ「私達はコウ達が戦っている時にどうしたらいいの?」

コウ「何が起こるか分からないからな。何が起こってもいいように気は抜かないで欲しい。」

ダガー「分かったわ。」

コウ「初めに言っておく。あいつらは一体何をするか分からないから、気をつけろよ。」

ミーナ「はい。」

コウ「クルーもいいか?」

クルー「う、うん・・・」

コウ「みんな。奴らは今までの敵とは大違いだ。しっかり気を引き締めろよ。」

ダガー「えぇ。」

コウ「さてと・・・後の問題は・・・」







ジタン「・・・」

その頃ジタンはまだアジトの屋根の上にいた。そこに。

マット「らしく無いぞ・・・」

マットが現れた。

ジタン「マットか・・・」

マット「何をウジウジしている。お前はその程度の男だったのか?」

ジタン「うっせぇ・・・元々こう言う性格だったんだよ・・・」

マット「・・・」

マットは何も言わずにジタンの首筋に槍を突きつけた。

マット「敵同士だったらお前はここで死んでいる・・・」

ジタン「・・・だろうな・・・」

マット「・・・あの時のお前の方がよっぽどましだな・・・」

そう呟いてマットは槍をしまい、どこかに去った。

ジタン「・・・だろうな・・・」

コウ「ん? 誰かいたのか?」

入れ替わるようにコウがやって来た。

ジタン「今度はお前か・・・何だよ?」

コウ「忠告に。」

ジタン「あ・・・?」

コウ「・・・お前なら分かってるだろ? 俺の昔の事。」

ジタン「・・・リンに聞いたからな・・・」

コウ「あの頃の俺は人が嫌いだった。だからここに来た時もむしゃくしゃして暴れていた。だけどそんな俺を、ルミアは救ってくれたんだ。」

ジタン「・・・何が言いたい?」

コウ「・・・いい加減、立ち直れよ。お前はそんな奴じゃないだろ?」

ジタン「・・・」

コウ「俺はルミアがいたからこそ、今の様になれた。お前もティルがいたからこそ、自分の生きる理由を見つけたんだろうが。」

ジタン「あぁ・・・」

コウ「だったらティルを守ってやれよ。お前には、それが出来るはずだろ?」

ジタン「・・・」

コウ「待ってるぜ。お前がまた戦える事をな。」

そう言ってコウはそこから去った。

ジタン「俺に・・・出来る事・・・か・・・」







シルフ「なるほど、そう言う事か。」

その頃城にシルフ達が到着していた。

ダガー「間違いなく大変な事だけど、大丈夫?」

シルフ「やってやろうじゃん。なぁ?」

フリオニール「あぁ。」

ミーナ「ですけどもう少し仲間が欲しい所ですね・・・」

ダガー「そうね・・・セシル達はどうかしら?」

ビビ「難しいと思うよ。あっちはあっちで大変だって言うからさ。」

ダガー「そう・・・」

シルフ「ま、俺らでやるしかないな。」

クジャ「そうだね。」

ワルキューレ「しかしジタンはまだか?」

ダガー「そう見たいね・・・」

ミーナ「血は繋がって無くても、弟だからね・・・」

クジャ「家族想いな彼には厳しい現実だろうね・・・」

ダガー「ライフ・・・」







クリス「あれ? 何しているの?」

サァリ「クリスか・・・」

その時ラストジャッジ本部の一室にクリスとサァリがいた。

サァリ「隊長が炎血と戦いたいと言うのでどうしたらいいのか考えていたのだ。」

クリス「キスカ隊長も物好きだなぁ・・・」

サァリ「お前が人の事言えた口か? ガーネットに執着しているお前が。」

クリス「それは言わないの。いくら拭い去った過去でも・・・こっちじゃね・・・」

サァリ「そうか・・・」

カズキ「何を話してる?」

そこにカズキとキスカが入ってきた。

クリス「あぁ隊長。聞いたんですがキスカ隊長が。」

キスカ「あぁ。いずれコウ、炎血と戦う。」

クリス「大丈夫なんです? 指令に怒られますよ?」

キスカ「隊長権限で行けばいい。」

クリス「はぁ・・・」

サァリ「今更止める気も無い。お好きにしてください。」

サァリとクリスはあきれ返った。

クリス「そう言えばこの前オーガが腕斬られたって?」

ミズキ「そうだよ。」

そこにミズキが現れた。

ミズキ「炎血とフェアリーテイルに選ばれた少女によってね。」

サァリ「自業自得よ。勝手に行動したあいつが悪いわ。」

クリス「毎度ながら厳しいね。」

サァリ「・・・凍らすわよ?」

そう言ってサァリはアイスエレメンタルに手を伸ばした。

クリス「おっとすいませんでした。」

サァリ「ったく・・・」

ミズキ「所でキスカ、炎血と戦いたいんだって?」

キスカ「何か問題が?」

ミズキ「いや、もしも行くんだったら僕も連れてってよ。」

キスカ「何?」

ミズキ「彼がいる所にきっと兄さんもいるだろうからね。」

サァリ「っとにアンタも物好きね・・・いっその事果し状でも何か書いて送ったら?」

カズキ「果し状か〜。いいな。」

キスカ「うむ。」

サァリ「え?」







コウ「全く・・・あの野郎・・・」

ダガー「どうしたの?」

次の日、コウの元に一通の手紙が届いていた。

コウ「読んでみ?」

コウはその手紙をダガーに渡した。

ダガー「えっと? 『炎血のコウ。明後日お前に決闘を申し込む。場所は・・・』って、これ・・・」

コウ「キスカの野郎・・・何考えていやがるのか・・・」

ダガー「どうするの?」

コウ「受けないわけにいかねぇだろ?やるしか無いさ。」

ダガー「そう・・・気をつけてね。」

コウ「あぁ。それと、ジタン。」

ジタン「気付いていたか、やっぱり。」

二人の近くにジタンとミコトがいた。

コウ「当たり前だろ。で、お前はどうするんだ? きっとミズキはいるぞ?」

ジタン「ついて行くに決まってるだろ。あいつと話がしたいからな・・・」

ミコト「私も行く。」

コウ「そうか。後、ビビとエーコにも声をかけておくか?」

ダガー「どうして?」

コウ「何だかありそうな気がしてな・・・一応な。」

ジタン「分かった。後でアッチに向かう。」

コウ「頼むな。ってかよ、ラピスはどうしたんだ?ミコト以上のお兄ちゃん子が傍にいないなんて珍しいな。」

ジタン「あぁ。ラピスには今調べ物をしてもらってるんだ。」

ダガー「あの子はフェニックスそのものだから一人でもその力を発揮できるからね。」

コウ「そっか。」

ジタン「んじゃ、ちょっくら行って来るわ。」

ミコト「私も行く。」

ダガー「気をつけてね。」

そして二人はそこから去った。

コウ「さてと・・・俺も準備をしておくか。」

ダガー「準備って?」

コウ「ん。ちょっと最近右腕の様子がおかしいからウィップをしっかりとぎっちりしないといけないって思ってな。」

ダガー「大丈夫なの?」

コウ「あぁ。何、今までのウィップに効果を上げる為にエリクサーを含めるだけだからな。」

ダガー「それなら私手伝うわ。」

コウ「あぁ。どうもな。そう言えばエリクシルまだ置いてあるか?」

ダガー「エリクシル?それなら一応城の地下に。」

コウ「そうか〜・・・ま、いいか。」

ダガー「どうかしたの?」

コウ「んや、何でも。」

ダガー「別に言ってもいいのよ?仲間なんだから。」

コウ「仲間か・・・ありがとな、ティル。」

ダガー「? え、えぇ。」

いつもとどこか違う雰囲気のコウにダガーは少々疑問に感じた。その頃。







ジタン「・・・って事なんだが。エーコはどうなんだ?」

ビビ「う〜ん・・・」

ジタンとミコトはビビとエーコの所についていた。

ビビ「僕はいいけど、最近エーコの様子がおかしくて・・・」

ミコト「おかしい?」

ビビ「うん・・・何て言うか元気が無いって言うか何かに恐れているような・・・」

ミコト「一体どうしたのかしら・・・?」

ジタン「さぁな・・・とにかく決めたら俺に伝えてくれな。」

ビビ「分かったよ。エーコに会ってく?」

ジタン「いや、いいよ。そっとしておいた方がいいだろう。」

ミコト「そうね。」

ジタン「じゃあまたな。」

ビビ「うん。」

そしてジタンとミコトは去った。

ビビ「さてと・・・」

ビビはすぐにエーコの部屋に向かった。

ビビ「エーコ?」

エーコ「・・・」

エーコはベットの上で怯えるようにうずくまっていた。

ビビ「大丈夫・・・?」

エーコ「・・・」

ビビが話しかけてもエーコに反応は無かった。

ビビ「エーコ・・・」

ビビはエーコに近づき抱き寄せた。

ビビ「君は僕が守るから・・・だから大丈夫だから・・・」

エーコ「・・・」







ラニ「コウ、完成したよ。」

コウ「お、どうもな。」

その日の夜、コウとラニはアレクサンドリア城の地下にいた。

ラニ「で、腕大丈夫なの?」

コウは右腕をエリクシルの中に入れていた。

コウ「あぁ。エリクシルに治療機能もあって助かったよ。」

コウは腕を出してラニが持ってきた新しいウィップをしっかりと右腕に巻いた。

ラニ「やっぱりアレが無いと厳しいんじゃない?」

コウ「だろうな・・・あいつらがいる事で反応してるくらいだし。」

ラニ「じゃあ探さなきゃ。」

コウ「分かってるさ。だけどそんな余裕は今無いからな。誰かに頼むってわけにも行かないしよ。」

「何を頼むって?」

入り口の方から声がした。

ラニ「誰!?」

「いきなり誰は無いだろ・・・」

そこにいたのはレイだった。

コウ「レイ、久しぶりだな。」

レイ「で、何の事を話していたんだ?」

コウ「何でもねぇよ。それでそっちは分かったのか? あの事件の犯人。」

レイ「まぁ一応な。調べてて色々分かったぞ。」

ラニ「そ、そうなの?」

レイ「あぁ。お前らが犯人に係わってる事もな。」

コウ「げ・・・」

レイ「俺に隠し事はよすんだな。」

コウ「・・・のようだな。んじゃ、も一つお前に頼みたいんだが。」

ラニ「コウ。」

コウ「しょうがないさ。頼みたいのは、虹の雫って物を探して欲しいんだ。」

レイ「虹の雫な。任せておけ。」

コウ「あぁ。」

そう言ってレイはそこから去った。

ラニ「大丈夫かな・・・?」

コウ「大丈夫だろ。あいつだって十七の武器に選ばれてるんだからよ。」







キスカ「さてと、そろそろ行こうか。」

決闘の日、キスカは本部で準備をしていた。

キスカ「サァリ、この事を知ってるのは?」

サァリ「私と隊長。鏡、影、羽の五人です。恐らく涙も知っている可能性がありますが。」

キスカ「ふむ、それなら問題は無いな。決闘の邪魔をしそうな奴が知っていなくて助かった。」

サァリ「ですがこれは知っている限りです。もしかしたら他の誰かが知っている可能性も。」

キスカ「そうか・・・まぁいい。では、行こうか。」

サァリ「了解。」







コウ「さてと時間だ。結局エーコは来なかったのか。」

ビビ「うん・・・」

アレクサンドリア城にいたのはジタン、ダガー、ビビ、コウ、ミコト、ラニだけであった。

ジタン「他の奴らには言って無いからな。だけどこれだけでいいのか?」

コウ「あぁ。出来る限り少な目の方がいいだろう?」

ジタン「いや、それはお前らの都合だから知らないぞ。」

ラニ「確かに、それじゃ、行く?」

コウ「あぁ。移動の方法はティル、アークを頼めるか?」

ダガー「いいけど、船は使わないの?」

コウ「出来る限り静かに行きたいんだ。まぁアークも騒がしいけどな。」

ミコト「じゃあ駄目じゃない?」

コウ「まぁそう言うな。」

ジタン「静かに移動だったらチョコやヴァニィでいいんじゃないか?」

コウ「あいつらだと俺らの戦いで被害受けそうだし、よす事にしたんだ。」

ラニ「同感、あんたらが戦うと何が起こるか分からないからね。」

ビビ「そ、そんなに酷いの?」

コウ「見りゃ分かるさ。じゃ、行こうぜ。」

ダガー「えぇ。」

そして六人は出発した。







キスカ「・・・」

決闘の地、イーファの樹の跡地周辺にキスカ達は既に来ていた。

キスカ「・・・来たか。」

南の空から六人を乗せたアークが来た。

コウ「よ、久しぶりだな。」

キスカ「あぁ。観客は五人だけかい?」

コウ「ま、俺らはな。そっちはどうなんだ?」

キスカ「見ての通り、こちらも五人の筈だ。」

ジタン「五人だ? そこの影にいるのは誰なんだよ。」

カズキ「・・・やっぱり来ていたか。出て来いよ。」

「うん・・・」

近くの物影からかつてコウ達を監視していた少女が出てきた。

コウ「クリンか・・・」

クリン「うん・・・」

ダガー「その子も八光陣の?」

コウ「いや、クリンは違うが副隊長だから実力はある。サァリやクリスと同等だよ。」

ジタン「そりゃまた外見じゃ分からないこって。」

ミズキ「僕らの組織にはそんな人がいる物だよ。兄さん。」

ジタン「だろうな・・・ミズキ。」

ダガー「ライフ・・・」

クリス(やっぱり君が想う人はジタンのようだね・・・ガーネット・・・)

コウ「さてっと・・・そろそろ始めるか?」

キスカ「あぁ。皆、離れているんだ。」

サァリ「はい。」

コウ「お前らもな。」

ビビ「うん。」

コウとキスカが言うとそれぞれ二人から離れた。

キスカ「さて、何かルールでも決めようか?」

コウ「だな。んじゃ互いに武器以外の技は使用しないでどうだ?」

キスカ「OK。それで行こう。」

コウ「うっし。ジタン、適当でいいから、カウント頼む。」

ジタン「おう。十、九、八・・・」

ダガー「大丈夫かしら・・・」

ジタン「六、五、四・・・」

コウ「・・・」

ジタン「三、二、一・・・」

キスカ「・・・」

ジタン「始めっ!!」

コウ「うおぉーーーーっ!!」

キスカ「はぁっ!!」

始まった刹那、二人の刃がぶつかり、辺りに衝撃が響いた。

ミコト「速いっ!!」

ビビ「これがコウの本気・・・?」

コウ「でりゃぁっ!!」

キスカ「てやっ!!」

二人は隙の無い攻撃を繰り返し、互いに防御をしていた。

キスカ「腕は衰えてないようだねっ!!」

コウ「お前もなっ!! 火凛!!」

キスカ「甘いぞっ!! 紫電!!」

コウは火凛で仕掛けたが、キスカが雷の刃を飛ばして火凛を相殺した。

コウ「ちっ!!」

キスカ「そこだっ!! 迅雷!!」

キスカはヴォルトエレメンタルを地面に刺した。
その時コウの足元から雷が上がった。

コウ「どわちゃちゃっ!!」

コウは避けきれずに少々その雷を喰らった。

キスカ「まず一撃!!」

コウ「なめんなっ!! 炎魔!!」

コウがフレイムエレメンタルを突き出すとそこから五つの炎の弾が放たれた。

キスカ「ふっ。この程度ならなんとも・・・」

コウ「散っ!!」

キスカ「何っ!?」

相殺しようとしたキスカの目前で炎の弾は方向を変え、再びキスカを襲った。

キスカ「くっ!! やるじゃないか!!」

コウ「まだまだ!! これからだぜ!!」

キスカ「あぁ!!」







サクラ「・・・何だろう・・・胸騒ぎがする・・・」

その頃サクラは自室のベットの上で何かを感じ取っていた。

サクラ「お父さん・・・何をしてるんだろう・・・ん?」

更に何かを感じたサクラはベットから降り、その感じる何かの場所へ向かった。

サクラ「ここから・・・?」

そこは家の地下室だった。

サクラ「・・・」

サクラはその何かを探し出した。そして。

サクラ「これ・・・?」

サクラはある物を見つけた。それは・・・

サクラ「棒・・・? 違う、槍の柄だ・・・」

穂先の無い槍の柄だった。

サクラ「どうしてかな・・・何か温かさがある・・・ん?」

サクラは槍の柄のあった場所に更に何かを見つけた。

サクラ「指輪・・・?」

それは水を表しているかのような印が彫ってある指輪だった。

サクラ「何なのか分からないけど・・・何かとても大切な感じがする・・・」

そう思いサクラは指輪を右手の人差し指にはめた。その時だった。

(サクラ・・・)

どこからか女性の声が聞こえてきた。

サクラ「え? 何?」

?(早くイーファの樹へ向かって。コウを助けて・・・)

サクラ「お父さんを?」

?(急いで・・・サクラ・・・)

そう言ってその声は聞こえなくなった。

サクラ「もしかして今の・・・でも今はお父さんを!!」

サクラは槍の柄を持って家の外に飛び出した。

サクラ「ヴァニィ!!」

外に出てヴァニィを呼ぶ指笛を吹いた。すぐにヴァニィがやってきた。

サクラ「お父さんの所に!!」

ヴァニィ「ガァッ!!」

そしてサクラはコウ達の所に向かった。







コウ「はぁはぁ・・・」

キスカ「ふっ・・・腕を上げたな。」

コウ「そうかい・・・そう言うそっちもかなり上げてるようじゃないか。」

ダガー「凄い…私達の戦いとは次元が違う。」

ジタン「これがあいつらの戦いなんだな。」

戦いが始まって三十分程度だが、周囲は二人の戦いで地形ごと変わっていた。

コウ「そろそろ決めにすっか・・・?」

キスカ「そうだね。」

そう言うと二人は互いの武器に力を込め始めた。

ミコト「凄い力を感じる・・・何が起きるのかしら・・・」

ジタン「分かんないが、あまりいい事じゃねぇだろうな。」

コウ「全てを焼きつくせ・・・古の業火よ・・・」

キスカ「走れ、そして轟きたまえ。」

コウ「メギドフレイム!!」

キスカ「サンダーストーム!!」

コウは巨大な炎を、キスカは風の竜巻を放った。
二人の放った炎と雷が激突し、大爆発を起こした。

ダガー「きゃあっ!!」

ビビ「凄い力だ…僕らとは違い過ぎる…」

サァリ「炎血もあの頃より力を上げたのね。」

ミズキ「そうでしょうね。」

コウ「ちっメギドフレイムが相殺されるったぁな・・・

キスカ「私のサンダーストームを防ぐとは、やるね。」

ジタン「こりゃ俺よりもとんでもなく強いかもな。」

ダガー「本当に・・・コウなの・・・?」

コウ「こうなりゃ小細工無しにガチで行くしかないな。」

キスカ「それもアリだね。では行かせてもらう!!」

コウ「おう!!」

二人は同時に走り出し、斬りかかろうとした。
その時だった。

「駄目ぇ!!」

コウ「なっ!?」

キスカ「くっ!?」

二人の間に水の壁が現れ二人を止めた。

ジタン「何だぁ!?」

クリス「今のは・・・もしかして。」

「お父さん!!」

コウ「サクラ!?」

二人の戦いの場にヴァニィに乗ったサクラが来た。

コウ「どうしてここに!? それにそれは!!」

サクラが持ち出した槍の柄の穂先に水で出来た穂が出来ていた。

ダガー「アクアエレメンタル?」

サクラ「ごめんなさい・・・でも何だか胸騒ぎがして・・・」

コウ「サクラ・・・」

キスカ「そうか。水と君の娘か。」

コウ「あぁ。サクラだ。」

キスカ「お嬢さん。今私とお父さんとで大事な戦いをしているんだ。邪魔はしないで・・・」

サクラ「何が大事な戦いなの!? 影でお父さんを狙ってるのに!!」

コウ「何っ!?」

その時。

コウ「どわっ!?」

コウの頭部に銃弾がかすった。
それにより額に巻いたバンダナが下に落ちた。

クリン「お兄ちゃん!?」

ミズキ「今のは・・・銃だね。」

コウ「くっ!! ジキル!!」

コウが睨みつけたその先にライフルタイプの銃を構えた男が隠れていた。

ジキル「ちっばれてたか。」

ダガー「アイツは!?」

ラニ「銃のジキル、ジキル=A=フィールドさ!! 昨日のシーマの部下!!」

ジタン「大方隙を見て狙ってたって所だな!!」

キスカ「ジキル!! どう言うつもりだ!?」

ジキル「裏切り者の炎血を殺すチャンスが来たんだ。利用しない手は無いだろうが!!」

コウ「んの野郎!!」

ジキル「てな訳で死ねぇ!!」

そしてまたジキルはコウに向けて銃口を向けた。

コウ「このっ!!」

「させない!!」

ジキル「何!?」

その時ジキルの後ろにラピスが現れた。

ジタン「ラピス!!」

ジキル「何だこのガキ!!」

突然現れたラピスにジキルは銃を向けた。しかし。

ラピス「あなたのような人は、許さない!! みんなお願い!!」

それよりも先にラピスは首にかけてあった飾りを宙に投げた。

ラピス「我が声を聞きて魂よ戻れ!! ソウルオブリバース!!」

ラピスが唱えると飾りからその四人の魂が形を成して現れた。

スコット「まずは私からだ!! てやぁっ!!」

ジキル「ぬおっ!?」

先手はスコットが剣で斬りつけた。

ヨーゼフ「次はワシだ!! そらっ!!」

ジキル「ぐっ!!」

続けてヨーゼフが全力で殴りつけた。

リチャード「まだ終わらん!!」

ジキル「ぐあっ!!」

更にリチャードが槍でジキルの体を宙へ突き上げた。

ミンウ「トドメだ!! アルテマ!!」

ジキル「だあぁっ!!」

最後にミンウが『そっちの世界』のアルテマを放ち、ジキルに大ダメージを与えた。

サクラ「私も行く!! アクアエレメンタルお願い!!」

それに続くようにサクラもアクアエレメンタルに力を入れるとその周囲に水が発生した。

コウ「そ、その技は!!」

サクラ「行っけぇ!! メイルシュトローム!!」

アクアエレメンタルに集まった水がジキルへ向けて放たれた。

ジキル「うぐぁーーー!!」

メイルシュトロームの直撃を喰らい、ジキルは倒された。

サァリ「まさか銃がここに来ていたとは・・・」

コウ「せっかくの決闘がおじゃんだな・・・もう一度やっか?」

キスカ「いや、私もこのような事になってはそんな気になれん。」

コウ「そうか。」

ジタン「ってかよ。お前らが仕組んだ事じゃないのか?」

サァリ「何だと・・・?」

コウ「いや、俺はこいつの事をよく知ってるつもりだ。こいつはそんな卑劣な事はしない。」

ダガー「だけど・・・」

コウ「大丈夫、ってのもおかしいが。いいんだ。」

キスカ「変わったようだな。あの頃とは。」

コウ「・・・アイツのおかげさ。」

キスカ「水のルミアか・・・」

コウ「あぁ・・・」

カズキ「ではそろそろ去るとしよう。またな。」

コウ「いつか必ずぶっ潰すからな。覚悟しておくんだな。」

ミズキ「またね、兄さん。」

ジタン「おう・・・母さんによろしくとでも言ってくれないか・・・?」

ミズキ「考えておく。」

クリス「では、さらばです。」

クリン「・・・しんお兄ちゃん・・・」

コウ「行きなクリン。今の俺とお前は敵同士なんだからな。」

クリン「うん・・・」

そのやり取りを最後にラストジャッジのメンバーは去って行った。

ダガー「あのクリンって子、知り合いなの?」

コウ「まぁな・・・」

ダガー「そう・・・」

コウ「・・・それ以上は聞かないのか?」

ダガー「聞いた所で、私には何も出来ないから・・・」

コウ「そうか・・・」

その会話を最後に一行も帰った。







ボルドー「くっ・・・失敗か・・・」

コウ殺害の作戦の失敗はボルドーの耳に届いていた。

ボルドー「あの邪魔者を何とかしなくては・・・ん? そうだ。鏡と羽を呼んで来い!!」

何かを思いついたのか、ボルドーはミズキとカズキを呼び出した。



ボルドー「と言う事でだ。貴様らの力を持って奴らに制裁を加えるのだ。」

ミズキ「制裁、ですか・・・」

ボルドー「そうだ。奴らはワシをコケにした。それがどう言う事かを教えてやるのだ。」

カズキ「正直気乗りはしないですね。」

ボルドー「何か言ったか?」

カズキ「いえ・・・」

ボルドー「くくく・・・今に見てろ・・・炎血・・・」

ミカ「・・・」







ダガー「話って何? 二人とも。」

ジタン「あぁ。」

その頃ジタン、ダガー、コウ、ラピスの四人は剣の国アレクサンドリア近くの森にいた。

ジタン「すまないがしばらくガイアを離れる。その間、コウ。セーラの事を頼む。」

コウ「あぁ。」

ダガー「どうしたの? 突然。」

ジタン「ちょっと気になる事があってな。自分で実際に見に行く事にしたんだよ。ラピスと一緒にな。」

ラピス「うん!!」

ダガー「でもミコトは?」

ジタン「ミコトなら大丈夫だ。あいつには俺よりマーカスがいるからな。」

コウ「兄貴は大変だな。んじゃ俺からも忠告だ。」

ジタン「ん?」

コウ「あいつらは次、確実に俺らに対してある事を仕掛けてくるだろう。」

ダガー「何で分かるの?」

コウ「あぁ、それはな。」

「アガスティアの葉、だろ?」

コウ「シルフ?」

そこにシルフとマリーンがやってきた。

マリーン「何こそこそ話してるのかな?」

ジタン「ま、いいじゃんか。」

ダガー「それよりアガスティアの葉って?」

ジタン「持つ者の運命や未来を予知する葉の事だよ。大方コウとシルフは持ってるんだろ?」

コウ「あぁ。」

シルフ「ご名答。」

二人は同時にアガスティアの葉を取り出した。

コウ「俺はこいつがあったから今回の戦いが武器と運命だって気づいた。最近はシルフがいるから反応鈍ってたんだがな。」

シルフ「お互い様さ。」

コウ「これは近くにあったら機能が弱まっちまうから、本当は全部ある五枚それぞれがバラバラになってたんだけどな。」

ダガー「そうなの。」

マリーン「で、一体何がどうなるか分かったの?」

コウ「一応予想だが・・・」

コウは皆にこれから起こるであろう事を話した。

ダガー「そんな・・・」

ジタン「・・・」

シルフ「ヘビーな展開だな・・・そら。」

マリーン「うん・・・」

コウ「だが、乗り越えなくちゃいけないんだ。奴らに対抗する為に。」

ラピス「じゃあみんなに教えるの?」

コウ「いや、それはしない。悪いがその方がいいかも知れないからな。」

ダガー「仲間を騙すの?」

コウ「本意じゃないが・・・そうでもしないと力が出ないはずだ。ここは一か八かだよ。」

ジタン「信じてやろう。こいつなら大丈夫だろうから。」

ダガー「うん・・・」

コウ「ジタンがいない間はお前は俺が守る。だから俺を信じてくれ。ティル。」

ダガー「・・・分かったわ。」

シルフ「俺らも出来る限り気づかれないようにする。な? マリーン。」

マリーン「勿論。」

ジタン「頼むな。んじゃ、ラピス行くぞ。」

ラピス「うん。」

そして二人は融合し、その場から消えた。

コウ「さて・・・こっからどう動くか・・・」

ダガー「・・・」







ネリク「おい!! 他の奴らがいきなり攻撃してきたってどう言う事だホ!?」

シナ「分からないズラ!! ただ突然『お前らのような雑魚がいると足手まとい何だよ』って・・・」

フライヤ「そんなの信じられるか!! 我らは仲間なのだぞ!?」

マックス「でも襲ってきたのは事実だ・・・」

ベアトリクス「そんな・・・」

ブランク「ふざけんじゃねぇぞ・・・こうならやってやろうじゃんかよ。」

マーカス「・・・ミコトさん・・・どうして・・・」







フラットレイ「どう言う事なのだ・・・何故皆が我らに・・・」

クイナ「分かんないアル・・・『お前らみたいな異型なのと一緒にいれるか』って・・・」

スタイナー「それは十七の武器のせいか?」

サラマンダー「だろうな・・・あっちがそう来るならこっちだってやるしなない。」

ミーナ「そんなの・・・仲間なのに・・・」

マイ「でも・・・今はそんな状況じゃないよ。」

ミコト「何がどうなってるの・・・? マーカス・・・お兄ちゃん・・・」







シャイン「おいシルフ!! 何か他の奴らが『よそ者はさっさと出てけ』って言って俺らに仕掛けてきたぞ!?」

シルフ「そうか・・・確かに俺らはよそ者だからな・・・」

アーカム「そうだとしてもこれまで一緒に戦ってきたんだ。いきなりそれは無いだろう。」

フリオニール「どうする?」

シルフ「しばらく待て・・・状況を見てからだ・・・」

マリーン「シルフ・・・」







ダガー「コウ・・・みんなが・・・」

コウ「分かってる。だが、それはお前だって聞いてたろ。」

ダガー「だけど・・・やっぱり・・・避けられないの・・・?」

コウ「少なくとも・・・今はな・・・」

ダガー「・・・」

コウ「安心しろ。お前は俺が守って見せるさ。でなきゃあいつに殺される。」

ダガー「コウ・・・コウは、どこにも行かないよね・・・?」

コウ「・・・さぁな。ただ、今はお前と離れはしない。約束するよ。」

ダガー「ありがとう・・・」

その時ダガーはある感情を少し抱いていた。
抱いてはいけない、一つの感情を。




ラストジャッジの野望に離れ離れになって行く仲間達。果たしてどうなるのか。
続く




 


あ と が き
これ描くのにかなり時間がかかったなぁ・・・
ほんとすいません
何とかちょいとでも頑張っていきます
さて、これからどうなるのか
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