CRYSTAL MEMORY STORY

第二部 武器と運命の物語
第ニ十三話 炎と雷


ヤタノカガミを盗んだとされる謎の男と戦ったコウ。影で暗躍するキスカ達の目的とは・・・

ダガー「昨夜の不審者に関しての情報って結局無いの?」

スタイナー「はっ・・・」

コウとエーコがオーガと戦った次の日、ほぼ全員が集まっていた。

ジタン「色々調べたけど証拠になりそうな物は特に無かったんだ。」

フラットレイ「こちらもだ・・・」

ブランク「ここしばらく何も無かったと思ったらこれだもんな・・・」

ジタン「あんな中途半端な戦いの終わり方があるかっての。」

マーカス「それじゃあ今度の敵は一体何なんス?」

クルー「恐らく・・・僕達を作った人達だと思う・・・」

ビビ「クルー達を?」

サラマンダー「んじゃ次はでかい組織だと踏んでいいのか?」

クイナ「さぁアル・・・」

シナ「そう言えば他の人達に召集はかけたズラ?」

ベアトリクス「それは既に。明日には戻られるそうで。」

ミコト「ここ最近平和だったから・・・まだ戦えるかしら・・・」

ジタン「あまり無茶するなよ。」

フライヤ「私とベアトリクスも戦いは無理であろう・・・」

ラピス「お兄ちゃん私は・・・」

ジタン「ラピスも戦いに参加する必要は無いよ。」

ラピス「うん・・・」

ビビ「そう言えば珍しくコウがいないね。」

クイナ「それを言ったらエーコもいないアルよ。」

この場には霧の大陸を出た者とコウとエーコがいなかった。

ラニ「コウは考え事って言ってたよ。」

ビビ「エーコは疲れてるって言ってた。」

ブランク「んだよそりゃ・・・」

ミコト「まぁいいじゃない。」

ダガー「それじゃあそろそろ解散しましょうか?」

ジタン「今日は何か早いな。ミーナ達ならそろそろくるだろうからもう少し待ったらどうだ?」

ダガー「そうだけど今日はこの後謁見の約束があるの。」

フラットレイ「誰か来るのか?」

ダガー「何でもとある組織の代表だって・・・」

ジタン「組織か・・・まさかな・・・」







エリン「エーコ姫。大丈夫ですか・・・?」

エーコ「うん・・・」

その頃エーコとエリンはリンドブルム城のエーコの部屋にいた。

エリン「昨日何があったのです?疲れてるみたいですけど・・・」

エーコ「何でも無いの・・・本当に・・・」

エリン「エーコ姫・・・」

誰から見てもエーコは普通の状態ではなかった。

エリン「ビビ君が心配しますよ・・・無茶はしないでくださいね。」

エーコ「うん・・・」







ミーナ「久しぶりね剣の国アレクサンドリア。」

マイ「そうね。」

城下町にミーナとマイが来ていた。

マイ「ネリクとマックスは?」

ミーナ「二人は遅れて来るって言ってたわ。」

マイ「そうなの?」

ミーナ「ええ。」

二人はそんな事を話しながらアレクサンドリア城へ向かっていた。と、その時。

「泥棒!!」

ミマ「!?」

何処からか悲鳴が上がった。

ミーナ「マイ!!」

マイ「分かってる!!」

二人はその声がした方に向かい走った。

マイ「ミーナ姉!!あそこだよ!!」

二人の前の方に何かが入ってる思う袋を持った男とその男を追ってる女性がいた。

ミーナ「待ちなさい!!」

男「くそっ!!捕まってたまるか!!」

女性「おねがいします!!捕まえてください!!」

ミーナ「分かっています!!」

ミーナとマイは泥棒と思う男を追いかけ、裏通りの奥まで追い詰めた。

ミーナ「さぁ。もう逃げれませんよ。」

男「くっ!!」

女性「それを返して!!大切な物なのよ!!」

男「そんなに大切な物なのか?」

女性「ええ!!」

男「だったら・・・大切にしな!!」

マイ「なっ!!」

男は袋を女性に向けて投げつけた。

女性「きゃっ!!」

女性はその袋を何とかして受け取ったが体がよろけてしまった。

男「隙ありだ!!」

ミーナ「しまった!!」

男は女性がよろけている内に背後に回って首にナイフを近づけた。

男「動くなよ!!動いたらどうなるか・・・分かってるよな・・・?」

マイ「くっ!!」

男「さぁて・・・こいつは結構高い値がついてたはずだしよ・・・女の方も悪くはねぇ・・・」

女性「い、嫌・・・」

ミーナ「・・・」

ミーナは持っていた与一の弓を構えようとした。しかし。

男「動くんじゃねぇ!!武器を捨てろ!!」

ミーナ「・・・仕方ないですね・・・」

ミーナとマイはそれぞれの武器を下に置いた。

男「そのままでいろよ・・・おかしなまねをしようとしたらこの女は・・・」

「どうするって言うのかい?」

男「何っ!?」

マイ「なっ!?」

ミーナ「ええっ!?」

突然風が男の周りに集まり、男の手からナイフと女性を離して動きを封じた。

男「な、何じゃこりゃあ!?」

「風の精霊の力をちょこっと借りたんだ。無理に逃げようとすると体が風でちぎれるよ?」

男のすぐ後ろに何故かキスカがいた。

男「な、何だてめぇ!?」

マイ「キスカ!?」

キスカ「君はマイか。久しぶりだね。」

ミーナ「知り合い?」

マイ「前に一度だけ・・・」

キスカ「何やら前とは雰囲気が違うが何かあったのかい?」

マイ「ま、まぁ・・・」

男「シカトしてんじゃねぇ!!何なんだよてめぇは!!」

キスカ「私の事よりも自分の事を気にした方がいい。」

男「ふざけやがって!!今すぐぶっ飛ばして・・・!!あでででで!!」

男が暴れると風により体が傷つきだした。

キスカ「自然に逆らってはいけないのさ。大丈夫かい?」

女性「え?あ、はい。」

キスカ「それはとても大切な物なんですよね?」

女性「はい、祖母がくれた・・・大切なお守りです。」

キスカ「大切にするように。」

女性「は、はい。ありがとうございます。」

礼を言うと女性は帰っていった。

ミーナ「あ、あの・・・」

キスカ「ん?」

ミーナ「ありがとうございます。」

キスカ「当然の事をしたまでさ。だが君達は見るからに先ほどの女性とは無関係のようだが?」

ミーナ「困ってる人がいるのに何もしないのが嫌なだけなんです。」

キスカ「そうか。良き心を持っているんだね。」

ミーナ「いえ・・・」

「お、ミーナ〜マイ〜!!」

マイ「ん?」

ミーナ「あ、ラニさん。」

遠くからラニがやってきた。

キスカ「ラニ・・・?」

ラニ「久しぶりね。どうしたのこんな所で?」

ミーナ「ちょっと泥棒を追っていまして・・・」

ラニ「そうだったんだ。」

キスカ「ま、そう言う事になるね。」

ラニ「え?ってあ、あんたは!?」

キスカ「久しぶりだね。」

ラニ「キスカ・・・どうしてここに・・・」

キスカ「君でも薄々気づいてはいたのじゃないのかい?」

ラニ「まぁね・・・」

ミーナ「あ、あのぉ・・・お知り合いなんですか?」

キスカ「まぁね。後で会うと思うから、彼によろしくと。」

ラニ「分かったよ・・・」

キスカ「それでは。」

そう言ってキスカは竜騎士のような跳躍力でその場から去った。

マイ「何者なんだ?」

ラニ「ちょっといけ好かないだけの男さ。先に城に行ってて。」

ミーナ「どうしたんです?」

ラニ「ちょっと用事が出来てね。」

そう言ってラニもその場を去った。

マイ「何だろうね。」

ミーナ「さぁ。とりあえず城に行くわよ。」

マイ「ええ。」

男「お〜い!!俺はどうしたらいいんだよ!?」

しかし二人は城の方に向かった。

男「誰か〜〜〜〜〜〜!!」







ジタン「久しぶりだな。ミーナ、マイ。」

ミーナ「はい。」

ミーナとマイはすぐにアレクサンドリア城にいるジタン達の所に到着していた。

マイ「ネリクとマックスは遅れてくるって。」

ダガー「そう。」

ミーナ「でもまた何かが起ころうとしているなんて・・・」

ダガー「色々話がしたいんだけど・・・今日は用事が入ってて。」

ジタン「そう言や謁見者がいるんだよな。」

マイ「そうだったの?」

ミーナ「申し訳ありません・・・もう少し早く来るべきでした・・・」

ミコト「まぁいいじゃないの。それに謁見する人だってすぐ近くに来てるってわけじゃ・・・」

「既に来ていますよ。」

スタイナー「むっ!?何者だ!!」

「ご安心を。謁見を望んでいた者です。」

スタイナー「おお、そうであったかって・・・何処におられる?」

クイナ「つ〜かこの声・・・」

「そう。」

何処からともなくキスカが現れた。

キスカ「お久しぶりですね。」

フラットレイ「キスカではないか。久しぶりだな。」

キスカ「ええ。」

サラマンダー「謁見者ってお前の事か。」

キスカ「その通りです。」

ブランク「知り合いか?」

サラマンダー「前マイを助けに行った時に会ったんだよ。」

マイ「まぁ私もさっき会ったばかりなんだよね。」

ジタン「ん〜・・・」

キスカ「どうしました?」

ジタン「な〜んかどっかで会ったような・・・」

キスカ「気のせいでは?」

ジタン「そっかぁ・・・?」

ダガー「あ、あのそれより。」

キスカ「あぁ、あなたがガーネット=ティル=アレクサンドロス女王ですね。」

ダガー「は、はい。」

キスカ「私はキスカ、キスカ=フロントと申します。」

ダガー「キスカさんですか・・・あの、ちょっと人が多いですので場所を・・・」

キスカ「いえ、ここで結構です。」

ダガー「そうですか。」

ラピス「いいのかな?」

マーカス「いいって言ってるからいいんじゃないッスか?」

キスカ「それで、謁見を希望した理由は。」

ダガー「確か『ラストジャッジ』と言う組織の代表として来たのですよね?」

キスカ「ええ。」

ジタン「ラストジャッジ!?」

ミコト「どうしたの兄さん?」

キスカ「何か?」

ジタン「い、いや・・・」

キスカ「それで話しの続きですが、私は代表として来ただけであり、この後私達の総司令がやって来ます。」

ダガー「そうなんですか?」

キスカ「ええ。本題はその時に。」

ダガー「分かりました。ではガイアの今夜十九時に。」

キスカ「この星の十九時ですね。分かりました。では。」

そう言ってキスカはその場から去った。

ビビ「あの人も変わった力を使うんだな。」

ラピス「うん・・・あの人、精霊使いだよ。」

シナ「精霊使いって何ズラ?」

ビビ「精霊使いはこの世界に存在する自然の中に必ずいる精霊の力を借りて操る人の事を言うんだ。」

ラピス「もしくはその精霊を引き連れ召喚獣のように扱う事も出来るのですけど、あの人は精霊を引き連れてはいないみたい。」

ジタン「まぁそれよりも・・・ラピス。」

ラピス「何お兄ちゃん?」

ジタン「ちょっと調べたい事がある。フェニックスの力を使いたいんだ。」

ラピス「うん。」

そう言ってラピスはジタンと同化し、ジタンにフェニックスの羽と召喚士の角が現れた。

ダガー「どこに行くの?」

ジタン「ちょっとな。すぐに戻れるかどうかは分かんないけど、とりあえずキスカ達には気をつけろよ。」

そう言ってジタンはその場から消えた。

ダガー「どう言う事?」

クイナ「キスカは悪い人には見えないアルが・・・」

クルー「もしかして・・・」

ビビ「クルー?」

クルー「いえ・・・」

ミコト「何だろう・・・何だか嫌な予感が・・・」







コウ「・・・」

その頃コウは自分の部屋にこもり、傍らに炎の剣を置いて右手を見つめていた。

コウ「オーガが来たって事は・・・奴らは次に・・・」

何かを呟いたコウは炎の剣を手に取った。

コウ「さっき感じた転移の波動は・・・ジタンだろうな・・・となると・・・俺がやるしかないか・・・」

ラニ「コウ・・・いいかい?」

コウ「ラニか・・・あぁ・・・」

コウの部屋の前にラニがやって来てドア越しに話しかけてきた。

ラニ「・・・あのさ・・・さっき・・・」

コウ「言わなくても分かってる・・・あいつが来たんだろ・・・?」

ラニ「うん・・・」

コウ「・・・昨夜・・・オーガに会った・・・」

ラニ「やっぱり毒だったんだ・・・」

コウ「あいつらは・・・いつ頃来るか分かるか・・・?」

ラニ「それは分かんないけど・・・すぐに来るってわけじゃなさそうだよ。」

コウ「その方がいい・・・ちょっと下準備が必要だからな・・・」

ラニ「下準備?」

コウ「昨日ので・・・ジェノサイドブレードもウィップも無くしちまったからな・・・」

ラニ「ジェノサイドブレードが・・・!?」

コウ「だから昨日からこれを使ってる・・・ただ俺の腕が言う事を聞かなくなるかも知れないから・・・ウィップをもう一度用意する・・・」

ラニ「・・・早くアレを取り戻さないとね・・・」

コウ「分かってるさ・・・それに・・・ヤタノカガミも取り返さないといけないしな・・・」

ラニ「・・・」

コウ「大丈夫さ・・・ケリはきっちりつける・・・」

ラニ「サクラちゃんの事も考えてあげなよ・・・あんたが死んだ時に一番悲しむのはサクラちゃんなんだから・・・」

コウ「死ぬ気なんか無い・・・ただ、命がけなのには変わり無いがな・・・」

ラニ「・・・水の槍と指輪・・・どうするの?」

コウ「この家に置いておく・・・あそこにあるって知ってるのは俺とお前だけだからな・・・」

ラニ「地下の祠だったよね・・・」

コウ「ああ。サクラも知らない場所だ・・・あの子は戦わせない・・・」

ラニ「ルミア見たいな事はしたくないか・・・」

コウ「当たり前だろ・・・」







シルフ「ん〜・・・」

マリーン「どうしたのシルフ?」

シルフ「何だかどうも嫌な予感がするんだよ・・・」

その頃シルフとマリーンはセイクロブレス島の海沿いにいた。

マリーン「それってやっぱりアガスティアの葉が?」

シルフ「いや、俺のカンだ。だけど・・・なんかありそうなんだよ・・・」

マリーン「シルフのカンって悪い事だと結構当たるんだよね〜・・・あの時とか・・・」



回想



マリーン(子供)「どうしたのシルフ?」

シルフ(子供)「マリーン、今日雨降るから外に出るなら薄着はしない方がいいよ。」

マリーン「え?だって今日晴れてるよ?」

シルフ「だけど雨降るよ。」

マリーン「そうかなぁ〜?」



マリーン「ずぶ濡れ〜・・・」

シルフ「だから雨降るって言ったじゃないか。透けてるよ。」

マリーン「え?あ・・・きゃあっ!!」



マリーン「道に迷っちゃったね・・・」

シルフ「どっちに行ったらいいんだろう・・・」

マリーン「ん〜・・・私はこっちだと思う。」

シルフ「そうかぁ〜?そっちって何だか危ないような気がするんだよな〜・・・」

マリーン「気のせい気のせい〜じゃあ行ってみ・・・きゃあっ!!」

シルフ「沼があったのか・・・大丈夫か〜?」

マリーン「助けて〜・・・」



マリーン「ねぇ〜たまには一緒にお風呂入ろ〜」

シルフ「たまには〜ってこの間入ったばっかりじゃないか・・・」

マリーン「だけど〜・・・」

シルフ「それに今日は何だか嫌な気がして・・・」

マリーン「まぁ〜いいじゃない。入ろう入ろう。」

シルフ「しょうがないなぁ・・・」



シルフ「ふぅ〜・・・」

マリーン「別に大丈夫だったじゃない。」

シルフ「そうでも無いみたいだよ?」

マリーン「え?」

シャイン(子供)「ヒュ〜ラッブラブ〜」

アーカム(子供)「おあつい事ですね〜」

シルフ「な・・・?」

マリーン「い、嫌ぁ〜〜〜!!」





シルフ「どうしてそう言う所だけなんだ?」

マリーン「だって私とシルフの愛の軌跡じゃないの。」

シルフ「ま、別にいいけどな。」

マリーン「そうそう。それと・・・ね・・・」

シルフ「ん?」

マリーン「実はね・・・私・・・」

シルフ「・・・分かってるよ。」

マリーン「え?」

シルフ「何年の付き合いだって思ってんだ?分かっていたよ。」

マリーン「そう・・・なんだ・・・じゃあ・・・この戦い終わったら・・・」

シルフ「・・・どのくらいの時間が残ってるか分かんないけどよ・・・いいぜ・・・」

マリーン「やっぱり・・・そうなの・・・?」

シルフ「ああ・・・ごめん・・・」

マリーン「ううん・・・いいの・・・あなたがいたから・・・私は・・・」

シルフ「そうだよな・・・マリーン・・・」

マリーン「シルフ・・・」

二人は寄り添い顔を近づけた。

マリーン「・・・」

シルフ「・・・待った。」

マリーン「うん・・・」

シルフ「そこ。覗いてんじゃねぇぞ・・・」

シャイン「あ。ばれてた?」

アーカム「のようですね。」

近くにシャインとアーカムがいて二人を覗いていた。

シルフ「お前らは・・・ったくぅ・・・」

シャイン「ま〜減るもんじゃねぇし。それよりもよ。」

アーカム「ええ。話しがあるので剣の国アレクサンドリアに来て欲しいとの事です。」

マリーン「剣の国アレクサンドリアに?」

シルフ「何かあったのか?」

アーカム「それは分からないですが・・・急いで欲しいとの事です。」

シャイン「フリオニールにはもう言ったからよ、早く行こうぜ。」

シルフ「分かった。行こう。」

マリーン「うん。」







ダガー「そろそろ約束の時間ね。」

ミコト「そうね。」

キスカと約束した時刻、城の前にダガー達がいた。

マーカス「にしても人が少ないッスね。」

ダガー「ビビはエーコの様子を見に戻ったわ。」

ミコト「ミーナとマイも離れるって言ってたわ。」

クイナ「サラは興味無いからってどっか行ったアル。」

フラットレイ「フライヤとベアトリクスはいつも通りだ。」

マーカス「兄貴とシナさんもルビィの所に行ってるッス。」

ダガー「クジャはもう言わなくてもいいし・・・クルーもどこか行っちゃって・・・六人だけか。」

ミコト「そうね。あ、来たわ。」

遠くからキスカを初めとした数人が城に向かって来ていた。

キスカ「どうも。」

ダガー「待っていました。そちらの方々は?」

キスカ「私と同じで総司令の護衛についた者です。」

総司令と思われるかつてジタンが十七の武器を盗んだ所にいた男と鏡、そして男と女が一人ずついた。

キスカ「あちらが総司令のボルドー=グロウです。」

ダガー「ボルドー殿、私がガーネット=ティル=アレクサンドロスです。」

ボルドー「おぉあなたが。私がラストジャッジ総司令ボルドー=グロウだ。よろしくな。」

ダガー「え、ええ・・・そちらの方々は?」

キスカ「彼らはラストジャッジ精鋭部隊『八光陣』、鉄のハイランド、陽炎のシーマ、鏡のミズキです。」

ハイランド「そう言う事だ。」

シーマ「・・・」

ミズキ「よろしく。」

ダガー「やっこう・・・じん?」

キスカ「我々の組織には上位に八つの部隊が存在し、各々の隊長は八光陣と呼ばれるのです。」

ミズキ「と言っても下には沢山の兵士がいるけど、僕らはその中でも選りすぐりの者を集めた部隊の隊長でもあるんだ。」

フラットレイ「ではお主らはラストジャッジの中でも強い方なのか。」

ハイランド「そう言うこった。」

ダガー「まぁ、立ち話も何ですので中へ。」

ボルドー「すまないな。」

ダガー達は場内の会議室に入り、話を始めた。

ダガー「それで、本日はどうして?」

ボルドー「そうだった。まずはこれを見て頂きたい。」

そう言ってボルドーはダガーに一枚の紙を渡した。

ダガー「これは?」

ミズキ「読めば分かりますよ。」

ダガー「はい・・・」

ダガーは紙に目を通した。

ダガー「こ、これは・・・?」

スタイナー「どうなされました?」

ダガー「『貴殿方の力を我らにお貸し願う。なれば我らは同盟を結びし同士として貴殿方の力にならん』・・・どう言う事ですか?」

ハイランド「そのままの意味だぜ。おたくらの力を俺らにちぃ〜っと貸して欲しいってこった。そん代わり俺らの力をお前らにも貸してやるって事よ。」

ダガー「それは読めば分かりますが・・・見るからにあなた方は私達よりも戦力があると見られますが・・・?」

ボルドー「確かにそうだが、お主達の力は我らの戦力をも凌駕するやも知れん。そこで同盟を結び、互いに力を高めようと思うたのだ。」

ミコト「一体何の為に・・・?」

ボルドー「それは勿論平和への為だ。我らは別の星へと行き来出来る装置を持つ。それで全ての世界を平和に導こうと思うのだ。」

ダガー「全ての・・・世界・・・?」

マーカス「それはまたスケールでっかいッスな・・・」

クイナ「聞く所別に問題は無いように思うアルが?」

スタイナー「しかし気になるのだが・・・どうして我らの事を知った?」

ダガー「そうです。どうして私達がそう言う力を持つ事を?」

ボルドー「我らは平和を願う同士を集める為、何名かを生命が住む星へ送っているのだ。その一つがここ、ガイアだったのだ。」

ダガー「そうですか・・・しかし・・・」

ボルドー「どうかなされたか?」

ダガー「私達が協力した際・・・その力をどうするのです?」

ボルドー「それは勿論、我らに敵対する意志を根こそぎ消滅させる為だ。」

フラットレイ「何だと・・・?」

ダガー「つまり・・・敵を倒す為に・・・と言う事ですね・・・?」

ボルドー「平和の為には多少の犠牲は致し方あるまい。さぁ、同盟を。」

ダガー「・・・」

ミコト「何か・・・怪しいわね・・・」

マーカス「同感ッス・・・」

ボルドー「さぁ、どうなされた?お主達にも悪くない話しであろう。さぁ。」

ダガー「ですが・・・」

「そうだ。騙されんじゃねぇぞティル。」

ダガー「え?」

ボルドー「なっ!?」

ボウ!!

ダガー「きゃっ!!」

ボルドー「うおっ!?」

突然ダガーとボルドーの間に炎の刃が走った。

シーマ「今のは・・・火凛かい・・・?」

キスカ「どうやら・・・生きていたようだな。」

「ああ・・・」

会議室に炎の剣を持ったコウとラニがやってきた。

ボルドー「き、貴様炎血!!生きていたのか!?」

コウ「死ぬわけにはいかないからな・・・ボルドー!!」

ダガー「コ、コウ・・・一体どう言う・・・」

ラニ「コウは・・・あいつらの仲間だったんだ・・・」

スタイナー「な、何だと!?」

シーマ「そうさ・・・コウ=エルフレイ、第四部隊隊長、元八光陣が一人・・・炎血のコウ・・・」

コウ「まさか今度は・・・ティル達に目をつけるとはな・・・いつからだ?」

クイナ「ホヘ?さっき何人かを送ったとか言ってたアルが?」

コウ「んなの嘘だよ・・・こいつらは数多く存在する星の中で強力な力を察知する機械を持ってる・・・それで来たんだろうが・・・いつからここに目をつけた?」

ボルドー「き、貴様のような裏切り者に話す事など無いわ!!雷、やれ!!」

キスカ「分かってますよ。」

そう言ってキスカは雷のレイピアを手に取った。

ミコト「ヴォルトエレメンタル!?」

コウ「そう・・・こいつは・・・ヴォルトエレメンタルを持っているんだよ・・・だがな、俺だって持っているんだよ、フレイムエレメンタルをな!!」

コウはキスカに火凛でしかけた。

キスカ「技は健在か・・・はっ!!」

ダガー「え!?」

キスカは左手を振ると火凛の炎が一瞬で消えた。

コウ「炎の精霊の力を借りたか・・・だったら小細工無しで、一気にケリをつける!!」

キスカ「こい!!」

ドォン!!

炎と雷の刃がぶつかり、辺りに衝撃が走った。

コウ「ぐぐっ・・・!!」

キスカ「やるね・・・流石私のライバルだ!!」

コウ「死ねない理由が・・・あるからな!!」

キスカ「おっと!!」

コウ「ここじゃ狭い!!外に行くぜ!!」

キスカ「いいとも!!」

二人は壁を壊し外に飛び出した。

ミコト「コウが・・・あそこまで戦うなんて・・・あの人は・・・?」

スタイナー「キスカは確かに強かったが・・・まさかコウのライバルだったとは・・・」

クイナ「凄いアル・・・」

ボルドー「まさか炎血がいたとは・・・おのれぇ!!」

「その様子からじゃ同盟を結ばなくて正解だったな。」

ダガー「え?」

ミズキ「・・・!!」

会議室にジタンとラピスが現れた。

マーカス「ジタンさんよかったッス!!実は・・・」

ジタン「分かってる。すっかり忘れてたが、やっぱ俺はキスカ、そしてそこのアンタにあった事がある。」

ボルドー「き、貴様まさか四年前の!?」

ジタン「そうさ。お前らから十七の武器を奪ったジタン=トライバル。もといライフ=カリスミィだ。」

ミズキ「あの人が・・・」

ジタン「色々調べさせてもらった。お前らは力があるとされる物を我が物とし、断るなら力を持ってそれを武力で消す。かつてアレイスタが消されたようにな・・・」

ミコト「アレイスタ!?」

ラニ「そう・・・アレイスタはラストジャッジが目をつけて、協力を拒否したから滅ぼされた・・・だから私達は逃げ出した。」

フラットレイ「ラニもラストジャッジだったのか!?」

ミズキ「ああ。コウとルミアについて一緒にね・・・」

ダガー「じゃあ・・・コウが犯した過ちって・・・アレイスタの村を・・・」

ボルドー「く、くくく・・・その通りだ!!」

クイナ「本性見たりアルか・・・」

ボルドー「こうなっては仕方あるまい!!真実を知ったお前達を生かすわけには行かない!!」

ハイランド「そうと決まったら、やるか?」

シーマ「待て・・・」

ハイランド「あ?」

シーマ「ボルドー様。たとえ八光陣が四人いるとは言え、我らが不利でしょう・・・ここは一時引くべきかと・・・」

ボルドー「何だと!?」

ミズキ「同感ですね。僕らだけではもしかしたらボルドー様に危害が及んでしまうかもしれませんし。」

ボルドー「なら貴様らで時間を稼げ、ワシは先に本部へ戻る!!」

シーマ「分かりました。鉄、護衛につけ。」

ハイランド「あぁ!?」

ミズキ「三人もいらない。僕とシーマで足止めは出来る。」

ハイランド「けっ!!勝手にしな!!」

ボルドー「覚えておけ・・・その判断をして、後悔する事を!!」

ダガー「想い無き力は暴力・・・あなた達には屈しません!!」

ボルドー「ふん!!」

そう言い残し、ボルドーとハイランドは去った。

ミズキ「さて、追いかけられては困るから、ここは僕達が相手をしよう。」

ジタン「ちっ・・・お前もそうとうな強さがあるんだろうな・・・」

ミズキ「そうさ・・・僕らだって強いんだよ・・・兄さん・・・」

ジタン「な・・・何だって・・・?」

ミズキ「自己紹介が遅れたね。僕の名はミズキ。ミズキ=トライバルだ。」

スタイナー「トライバルだと!?どう言う事だ!?」

マーカス「ま、まさかアンタは・・・マリアおばさんの!?」

ミズキ「そう。僕の母はマリア=トライバルさ。ちゃんと血の繋がった息子だよ。」

ジタン「か、母さんは・・・母さんは生きてるのか!?」

ミズキ「あぁ生きてるよ。ただ僕も会う事はそんなに無いんだけどね。」

ジタン「生きてるならそれでいい・・・まだ・・・会えるかもしれないからな・・・」

ミズキ「それじゃあ・・・僕と戦う事だね、兄さん。」

ジタン「どう言う事だ?」

ミズキ「母さんは僕が守る。母さんは僕を産んで、僕を一人で育ててきたんだ。」

ジタン「そうだろうな・・・」

ミズキ「星の時間のずれで僕は十九歳だ。そして母さんは今四十七歳だ。」

ジタン「じゃあ・・・母さんは二十一年も・・・俺らとは違った時間を・・・」

ミズキ「そうさ。だから僕が母さんを守る。兄さんを会わせるわけにはいかないね。」

ジタン「だったら、実力で会うさ!!」

ミズキ「そうだろうね!!」

ジタンはアルテマウェポンを取り出し、ミズキは鏡のように反射する剣を取り出した。

ジタン「行くぞミズキ!!」

ミズキ「いいとも兄さん!!」

ジタンとミズキもコウ達同様に外に飛び出した。

ダガー「ライフ!!」

ミコト「兄さん!!」

ラピス「お兄ちゃん!!」

シーマ「おっと・・・嬢ちゃん達の相手はこのアタシだよ・・・」

フラットレイ「ならば我らが二人の援護に向かうのみ!!行くぞ!!」

スタイナー「おう!!」

クイナ「アル!!」

マーカス「俺も行くッス!!」

四人は武器を構えジタン達を追おうとした。その時。

シーマ「行かせないよ!!」

シーマが力を込めるとシーマを中心とした一帯の空気が揺らめき始めた。

スタイナー「な、何だ!?」

シーマ「幻を見な!!」

ラピス「まさか・・・皆さんここから離れて!!」

ダガー「え・・・?」

シーマ「もう遅い!!」

ミコト「な、何!?」

揺らめきがまし、そこから光が発生しだした。

ラピス「逃げて!!」

シーマ「幻影の陽炎に溺れろ!!」

バシューーー!!

ダガー「きゃっ!!」

光が強く光り、辺りを包んだ。

ラピス「フェニックス!!みんなを守って!!」

その光の中ラピスはフェニックスの力を使い、光りから皆を守ろうとした。

シーマ「ちっ!!」

ダガー「い、一体何が・・・」

ラピス「はぁ・・・はぁ・・・げ、幻覚だよ・・・」

ダガー「幻覚・・・?」

シーマ「そのガキは気づいてるようだね・・・アタシの陽炎から発する光を浴びるとしばらくの間幻覚を見るんだがね・・・」

ラピス「な、何とかシールドで・・・防いだけど・・・」

シーマ「厄介だね・・・今日は逃げるしかないか。」

ミコト「ま、待て!!」

シーマ「じゃあな・・・」

そう言ってシーマは自分の周りにもう一度陽炎を発生させ、その場から消えた。

ダガー「消えた・・・二人は!?」

ミコト「そう言えば・・・!!」

ダガー達はジタンとコウを追って外に出た。

フラットレイ「こ、これは・・・!?」

ジタン「うおーーー!!」

ミズキ「やぁーーー!!」

コウ「でやぁっ!!」

キスカ「はあっ!!」

ジタンとミズキ、コウとキスカが激闘を繰り広げていた。

ダガー「・・・」

ミコト「な、何なの・・・今までの戦いとは次元が違いすぎるわよ・・・」

スタイナー「あやつら・・・明らかに本気で戦っている・・・」

クイナ「ワタシ達じゃどうしようも出来ないアルよ・・・」

コウ「おりゃあっ!!」

キスカ「はぁっ!!」

ジタン「コウどけ!!」

ミズキ「キスカどいて!!」

コウ「おあっ!?危ねぇだろ!!」

キスカ「話をしてる暇はあるのかい!?」

コウ「うるせぇ!!」

二組の激闘は時折交じる事があったがそれぞれ互角の戦いを繰り広げていた。

キスカ「腕を上げたね!!嬉しいよ!!」

コウ「あんまり嬉しくなんか無いな!!ティル達に目をつけやがってよ!!」

キスカ「それはここにいる人達が力を持っていたからだよ!!分かっているだろラストジャッジがどう言う組織なのかを!!」

コウ「くそっ!!」

ジタン「どうしてお前はラストジャッジに入っているんだ!?」

ミズキ「行き倒れかけていた僕と母さんをここが助けてくれたんだ!!だから僕はラストジャッジの力になった!!」

ジタン「母さんもラストジャッジにいるのか!?」

ミズキ「一応ね!!だけど兄さんに話す事はそんなに無いね!!」

それぞれ会話をしながら戦いを続けた。

ダガー「二人を助けなきゃ!!」

ダガーはスターブレードを取り出して力を込めた。

ダガー「ライフ!!コウ!!」

ジタン「な!?」

コウ「お、おいまさか!?」

ダガー「プリズミックスターレイン!!」

バシューーー!!

ダガーはキスカとミズキにプリズミックスターレインを放った。

キスカ「ほう。凄い魔力だ。だが。」

ミズキ「ええ。」

ダガー「なっ!?」

二人はスターレインの光を難なく避けていた。

ミズキ「確かに強大な力の持ち主何だろうけど、まだまだだね。」

キスカ「そのようだな。司令も去っただろうから私達も去るとするよ。」

コウ「ちっ!!倒しそこなったか・・・」

キスカ「どの道君とはまた戦う事になるさ。その時を楽しみにすればいい。」

コウ「・・・」

キスカ「では。」

キスカは風を集め、それを利用して飛んで去った。

ミズキ「じゃあ僕も。またね兄さん。」

ジタン「ま、待て!!母さんは!!」

ジタンの言葉を聴かずにミズキも去って行った。

ジタン「ミズキ・・・くそぉっ!!」

コウ「・・・」

ミコト「兄さん・・・コウ・・・」

スタイナー「・・・ここから・・・今までに無い激闘が始まるのだろうな・・・」

ダガー「どうなるのかしら・・・ここから・・・」

一つの不安を抱き、ダガーは二人を見つめた。




遂に接触してきたラストジャッジ。コウとキスカ、ジタンとミズキの因果関係はどうなるのだろうか。
続く





あ と が き
ここら辺から主人公がコウになりつつあるけれど
真の主役は勿論ジタンなのでご安心を
ちなみにミズキとジタンの関係は
ちょっとだけバンプのカルマがモチーフです
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