CRYSTAL MEMORY STORY

第二部 武器と運命の物語
第ニ十ニ話 紅蓮の刃


レットとの決着の最中一つの真実を知ったジタン達。そしてここから物語は再び動き出すのだった。

ジタン「最近動きが無いな・・・」

コウ「だな・・・」

暑さ少し和らぐ八月中盤、ジタンとコウはアレクサンダーの祭壇から街を眺めていた。

ジタン「この戦いが始まってもういくつだ?」

コウ「そうだな・・・始まったのが七月の頭、そこからお前を救う為に三日作業して六日あいつらが出て・・・」

ジタン「そこからミーナ達がやって来てその二日後辺りにビビとエーコが死んで・・・」

コウ「それから三日四日しない内にお前が一回死んだ。それから三日後にヴァルキリーがやって来てその三日後に決戦して〜・・・えっと・・・」

ジタン「その次の日に俺が戻った。そこから五日後にレットと戦ってラピスがやって来た。」

コウ「これだけあったのに一ヶ月以内の話なんだよな。」

ジタン「だけどここニ、三週間何も無いよな。」

コウ「多分なんか企んでるんだろ。奴らはそう言うもんさ。」

ジタン「次はどんな形で動き出すのか・・・」

コウ「さぁな。」

「何小難しい話してるのよ男二人で。」

ジコ「ん?」

二人の所にダガーとミコト、ラピスの三人がやって来た。

ラピス「もうお兄ちゃんったら・・・気付いたらいないんだもん。」

ラピスはそう言うと宙に浮き、ジタンの頭に飛びついた。

コウ「兄妹になったとたんにべったりか・・・いくら物体ある魂だからって宙に浮くか普通?」

ジタン「まぁまぁいいじゃないかよ。」

ダガー「そうよ。ここしばらくは何も無いからこんな事出来るんだから・・・」

コウ「確かにここ最近何も無いんだよな・・・おかしいぐらいに・・・」

ミコト「何がおかしいの?」

コウ「いや、何でもないさ。」

ミコト「?」

ラピス(そう言えばミコトお姉ちゃんね・・・ゴニョゴニョ・・・)

ジタン「な、何ぃ!?」

コウ「おわっ!?どした?」

ジタン「い、いや・・・」

ダガー「変なの。そう言えばマットはどうしてるのかしら?」

ジタン「さぁな。あいつは孤高の一匹狼チックな奴だからな。」

コウ「クルーはお前の説得で一応仲間にはなったけど・・・」

ミコト「まだ不信感抱いてる人が多いよね。」

レットとの戦いの後、ジタンは一人でクルーを探し出し仲間になるように説得したのだ。

ダガー「そりゃそうよ。それにセシル達も今もずっとモンスター駆除で大変だって言ってるし。」

コウ「多分もうすぐ動きが出て来ると思うな。どんな形でかは知らんけど。」

ジタン「お前にとっては因縁の話だしな。」

コウ「へっ・・・」

ダガー「どう言う事?」

コウ「こっちの話。」

ダガー「そう・・・」

ジタン「そう言えばみんなはどうしてる?」

ダガー「レイはあの事件を追って少し前にガイアを発ったわ。」

ミコト「ミーナとマイ、ネリクとマックスはアレイスタの村に行ってるわ。あそこの復興繁栄の力になるって言ってね。」

ジタン「アレイスタ・・・確かこの大陸と忘れられた大陸の間にある島にあったって言う村だろ。」

ラピス「うん。前に一度崩壊して地図からも消された村って言うけど、最近その存在が分かってもう一度村を作り直すって。」

コウ「そうか・・・あそこが・・・」

ダガー「他はいつも通りね。何も起こらないから退屈だ〜何て声がよく聞くけれど。」

ジタン「何も起こらない方がいい。一時期とは言えアルテマウェポンが揃い十七の武器も十個、エレメンタルウェポンも二つとここまで揃って何を求むんだよ。」

ダガー「そうよね・・・」

ミコト「そう言えば気になってたけど・・・」

ジタン「ん?」

ミコト「十七の武器が十って・・・兄さんがくれた七つの他ミーナとマイ以外に誰が?」

ジタン「レイだよ。あいつのマチェットは十七の武器が一つ、スプリガンブレードだ。」

ダガー「そうだったの?」

ジタン「ああ。」

コウ「それにエレメンタルウェポンがこっちに二つ、あっちに二つ、どうなる事かさ。」

ダガー「あっちって黒幕の事?」

コウ「何でも無いよ。気にするな。」

ダガー「ほんっと秘密主義よね・・・」

コウ「悪ぃな。」

ジタン「そう言えば四年前も似た感じだったよな。一回戦いが終わってちょっとだけど戦いが無くなった頃と。」

ミコト「確か姉さんの戴冠式が予定されてた日よね。」

ダガー「だけど今回は結構あいてるじゃない。」

ジタン「おかげでいい休みにはなったと思うぜ。」

ダガー「それじゃあもうすぐ戦いが・・・?」

ジタン「だろうな。」

コウ「さて・・・どんな形でやってくるか・・・」







エーコ「なぁんかつまんな〜い・・・」

ビビ「そだねぇ・・・」

その他の者達の一部はいつもの場所でのんびりとしていた。

エーコ「いきなり戦いが収まってする事も無くなって・・・ふぃ〜・・・」

スタイナー「では剣術の特訓でも・・・」

エーコ「ビビデートでもしない?」

ビビ「ああいいよ。じゃあ行こうか。」

エーコ「そゆ事だからじゃ〜ね。」

そう言う事でビビとエーコはデートに出かけた。

サラマンダー「ぜってぇ逃げる口実だな。」

クイナ「アルね・・・」

フラットレイ「しかし本当にする事が無いな。」

サラマンダー「ブランクとシナもあっち戻ったしこれと言った事件も起こっちゃいない。」

スタイナー「シルフ達とフリオニールはダゲレオに向かっていると聞く。そしてヴァルキリーは閉ざされた大陸、エスト・ガザに行っているそうだ。」

フラットレイ「こう突拍子に戦いがなくなると何をすればいいか分からないな。」

サラマンダー「ああ腕が鈍っちまう。つう事でどうだフラットレイ?」

フラットレイ「ふっ・・・良かろう。」

そう言って二人は互いの武器を装備した。

スタイナー「ジャッジは自分がしよう。」

クイナ「じゃあ離れて見てるアル。」

フラットレイ「では・・・行くぞ!!」

サラマンダー「おう!!」

ガチャン!!

二人の武器がぶつかり火花が散った。

フラットレイ「やるな!!だがこれはどうだ!!」

フラットレイはサラマンダーから離れてミストルテインを向けた。

フラットレイ「雨竜!!」

フラットレイはサラマンダーに雨竜を放った。

サラマンダー「甘いぜ!!」

サラマンダーは後ろに飛んで雨竜を避け、同時に右腕に力を込めた。

サラマンダー「朱雀!!」

サラマンダーの右腕から無数の光が発生しフラットレイに向かって行った。

フラットレイ「新技か!!」

フラットレイはすぐに着地して更に高くジャンプした。

サラマンダー「ちっ!!」

フラットレイ「たぁーーー!!」

そしてその勢いを利用してフラットレイは再びサラマンダーに襲い掛かった。

サラマンダー「甘い!!」

サラマンダーはしゃがみこんでやり過ごし、フラットレイが着地したと同時にミッシングクローで斬りかかった。

フラットレイ「何の!!」

フラットレイはそれを避け、同時にミストルテインで斬りかかった。

サラマンダー「おっと!!そこだ!!」

サラマンダーはフラットレイの攻撃を避け、同時に回し蹴りをしかけた。

フラットレイ「はっ!!ていっ!!」

そしてフラットレイも避けて体のひねりをつけてサラマンダーにしかけた。

クイナ「おひょ〜・・・更に凄くなったアルね・・・」

スタイナー「ああ。これは我らも頑張らねばな。」

クイナ「アルな。」

「あのぉ・・・」

スク「ん?」

近くの物陰にクルーがいた。

スタイナー「どうした?」

クルー「あ・・・ジタンは・・・」

クイナ「ジタンなら祭壇にいるアル。コウやダガー達もいるアルよ。」

クルー「あ、ありがとう・・・」

おどおどした様子のままクルーは祭壇に向かった。

スタイナー「あ奴も仲間になったと言うのに何ゆえあそこまで・・・」

クイナ「元は敵だったからアルよ・・・」

スタイナー「ジタンとコウが言うには強大な敵だそうだ。一体何者なのか・・・」

クイナ「アル・・・」







ビビ「でもたまには特訓した方がいいよエーコ。」

エーコ「だってぇ〜・・・」

その頃この二人は祭壇への階段を登りながら会話していた。

ビビ「だけどさ・・・あれ?」

エーコ「あら先客?」

ジタン「よう、ビビにエーコ。またサボりか?」

エーコ「うっ・・・あら?」

クルー「あ、こんにちわ・・・」

ビビ「クルーもいたんだ。」

クルー「は、はい・・・」

ダガー「・・・リースともこうして話がしたかったわ・・・」

ミコト「姉さん・・・」

コウ「だけどその代わり新たな力を得る事が出来たろ。あいつはその為に生まれて・・・そして死んだんだ・・・」

ダガー「分かってるわ・・・リースの思いはこの中にあるんだから・・・」

そう呟いてダガーは二つの剣に触れた。

ビビ「そうだ。クルーもそうなんだよね?」

クルー「何がです?」

ビビ「君も・・・あいつらに造られたって事・・・」

クルー「はい・・・」

ビビ「その作った奴がどんな奴らか分からないの?」

クルー「すいません・・・僕達はある日突然作り出され・・・時々来る手紙の通りに従ってただけだから・・・」

コウ「だが奴らの目星は付いている。」

ジタン「俺も多少だが分かる。多分だけどな・・・」

ミコト「・・・いつになったら平和になるのかな・・・」

ラピス「ミコトお姉ちゃん・・・」

ダガー「そうよね・・・ライフと私とリリスとルシアスと・・・平和に暮らしたいわ・・・」

コウ「大丈夫だ。俺らが必ずそうさせてやるさ。」

ジタン「ああ。絶対にお前達を死なさせはしない。」

ビビ「僕も頑張る。エーコの為に、みんなの為に。」

ラピス「お兄ちゃん、コウ、ビビ・・・」

コウ「ま、どの位かかるかはまだ分かんないけどな。」

エーコ「そりゃそ・・・あら?」

ジタン「どうした?」

エーコ「コウ・・・包帯前より増えてない?」

コウ「あ?」

コウの右の首筋辺りにも包帯が巻かれていた。

ビビ「本当だ・・・大丈夫なの?」

コウ「ああ。」

エーコ「ん・・・ならいいけど・・・」

ラピス「そう言えばサクラちゃんもうすぐ誕生日よね。」

コウ「あ、ああ・・・」

ダガー「八月二十四日よね。それじゃあもう九歳ね。」

コウ「そう・・・だな・・・」

ダガー「?どうしたの?」

コウ「あ・・・いや・・・」

コウは不安そうな顔で自分の左手を見た。

ジタン(そうか・・・あの力が発動するのは・・・)

コウ「・・・運命・・・か・・・ルミア・・・」

ダガー「・・・ねぇ・・・」

コウ「ん?」

ダガー「ルミアさん・・・どんな人だったの・・・?」

コウ「・・・」

ダガー「別に聞いたっていいでしょ?どんな人かだったかは。」

コウ「・・・だな。あいつは・・・温かい奴だった・・・」

ビビ「温かい?」

コウ「ああ・・・この星に来て・・・荒れまくって冷え切っていた俺の心を・・・あいつは温めてくれた・・・」

ビビ「荒れ・・・そっか・・・確かコウはあの事件の・・・」

コウ「そう・・・そしてもう一つ・・・これは奴らが来た時に話そうと思ってたけど今言うよ。」

ミコト「何を?」

コウ「俺は・・・フレイムエレメンタルアクアエレメンタルを持っている・・・」

ラピス「それってエレメンタルウェポンの?」

コウ「ああ・・・」

エーコ「じゃあどうして使わないの?」

コウ「アレで俺は沢山の人を傷つけた・・・だからもう炎の剣は使いたくは無い・・・」

ビビ「それじゃアクアエレメンタルは?」

コウ「更に使えるかよ・・・ルミアの形見を・・・」

ビビ「!!」

コウ「だけど奴らはヴォルトエレメンタルとアイスエレメンタルを持っている・・・その時が来たら・・・俺は・・・!!」

ダガー「コ、コウ・・・」

コウ「・・・悪ぃ・・・話がそれたな。あいつがいなかったら・・・俺は・・・」

ダガー「いい人に・・・出会えたのね・・・」

コウ「ああ・・・それにリンもどうしているか・・・」

ジタン「リン・・・そっか。お前の事好きだって言ってたからな。」

ダガー「誰なの?」

ジタン「こいつの母星の幼馴染だとよ。こいつを探して結構苦労してるんだ。」

ミコト「兄さんどうして知ってるの?」

ジタン「十七の武器を奪う時に協力してもらったんだ。今何処で何してるかは分かんないけどな。」

ビビ「そうなんだ。」

コウ「・・・そう言えばジタン、一つ聞いていいか?」

ジタン「何だ?」

コウ「バクーって実子いるのか?」

ジタン「・・・」

ダガー「どうしてそんな事を?」

コウ「いや・・・俺が知ってる奴にトライバルって姓の奴がいたからってどうした?」

その事を聞いた途端ジタンの表情が暗くなった。

ダガー「どうしたの?」

コウ「・・・やばい事・・・だったか・・・悪い忘れて・・・」

ジタン「・・・分からない・・・」

ダガー「え?」

ジタン「・・・もしかしたら・・・いるかもしれない・・・」

クルー「どう言う事です?」

ジタン「・・・母さんは俺が八歳の時に・・・蒸発した・・・」

ダガー「!?」

コウ「聞いてはいたが・・・バクーは結婚してたんだな・・・」

ジタン「ああ・・・マリア=トライバル・・・二年間だったけど・・・俺の母さんだ・・・」

ミコト「ど、どうしていなくなったの!?」

ジタン「さぁな・・・多分クウカと同じだろう・・・」

コウ「・・・」

ジタン「俺はその日からずっと泣き続けたな・・・この紫の瞳が紅くなるまで・・・」

コウ「・・・悪いな・・・聞いちまってよ・・・」

ジタン「いや・・・その代わりこの事は誰にも言わないでくれ・・・特にボスやブランク達には・・・」

エーコ「どうして?」

ジタン「八月二十四日・・・サクラの誕生日だったな・・・だけど・・・母さんはその日に消えた・・・」

コウ「・・・近いからな・・・もう・・・」

ジタン「最後に母さんを見た時の事は覚えてるよ・・・『帰ったらルナ直してあげるね』って行って出かけて・・・」

ラピス「ルナ?」

ジタン「・・・これさ・・・」

そう言ってジタンはコートの中からボロボロの猫のヌイグルミを出した。

ジタン「俺が引き取られた日に・・・母さんがくれた物・・・俺にとって初めての・・・大事なプレゼントだった・・・」

エーコ「ジタン・・・」

ジタン「ルビィ達がいたけど一人だった俺はずっとルナを持ち歩いてた・・・よくバカにされて虐められて・・・その度にルナは傷ついて・・・母さんに直してもらって・・・」

ラピス「お兄ちゃん・・・」

ジタン「あの日も・・・母さんがいなくなった日も・・・俺は・・・」

ダガー「・・・ライフ。」

ジタン「ぁ・・・」

ダガーは優しくジタンを抱きしめた。

ダガー「辛いなら泣いていいのよ・・・あなたの母親にはなれないけど・・・あなたの妻として・・・一緒にいるから・・・」

ジタン「ダガ・・・ぁ・・・!!」

コウ「・・・邪魔者は去るか。」

クルー「ええ・・・」

ミコト「ラピスも・・・来なさい。」

ラピス「・・・うん。」

気を利かせジタンとダガーを残して皆祭壇から去った。

ジタン「うぅ・・・」

ダガー「・・・四年前言ったよね・・・『泣きたくなったら私の胸を借りる』って・・・」

ジタン「うくっ・・・うわぁーーーーー!!」

こらえきれずジタンはダガーの胸の中で泣き出した。

ダガー「よしよし・・・」







マーカス「あ、ミコトさん。どうしたんスか?」

ミコト「マーカス・・・ちょっとね・・・」

その頃コウ達はルビィの所に来ていた。

ルビィ「・・・言わんでも分かる・・・聞いたんやろマリアおばさんの事・・・」

コウ「ああ・・・」

ルビィ「あいつがあんな大声で泣くのはこの事だけや・・・あの日はサクラちゃんの誕生日と絡んでうちらは我慢してるけど・・・」

ビビ「・・・見つけ出そうよ。」

エーコ「ビビ・・・」

ビビ「僕は父さんと母さんの温もりを知らない・・・けどジタンは違う・・・だから探してあげようよ。ジタンの母さんを。」

ミコト「ええ。」

コウ「そうだな。見つけ出してやろうぜ・・・」

ラピス「うん。」

マーカス「・・・ありがとうッス・・・」

コウ「いやいいって・・・!?」

ビビ「どうしたのコウ?」

コウ「いや・・・多分気のせいだ・・・」

ビビ「そう?」

コウ「気のせいだ・・・そうでなきゃいけないんだ・・・」

エーコ「・・・」

ビビ「どうしたのエーコ?」

エーコ「ん?何でもないわ。」

ビビ「・・・コウの事、何か考えてるんでしょ・・・」

エーコ「うん・・・やっぱり気になるもの。」

ビビ「僕はもう気にしてないよ。仲間だもん。」

エーコ「そうだけどさ・・・」

コウ「・・・」







氷「決まったそうですね。あの者達を引き入れる事が。」

キスカ「ああ。」

その時どこかの建物の一室にキスカと氷の二人がいた。

キスカ「その場の護衛は私と鏡、陽炎と鉄の四人だ。」

氷「八光陣の四人が向かうときましたか・・・私は既に顔が知られてるから無理でしょうけど。」

キスカ「それを言えば羽と影もだ。」

氷「そうね。で、炎血の事は気付かれてないのね?」

キスカ「ああ。涙が勝手に見に行った程度でその事は・・・」

「まった俺らも知ってるぜ。」

キスカ「・・・釘か・・・」

部屋に深い緑のボロボロのズボンに白いシャツを着た怪しい男が現れた。

釘「あの裏切り者があそこにいる事なんざ知ってるぜ。」

キスカ「そうか・・・で?」

釘「隊長が葬りに向かったぜ・・・ふぬけとなったあいつなら敵じゃないってよ。」

氷「毒の奴・・・!!」

キスカ「サァリ。」

サァリ「はっ・・・」

釘「殺して帰って来たらボスに報告だぜ。裏切り者がいるってよ。」

キスカ「証明する物があるとでも?」

釘「それを今から取り入ったのさ。あいつの首をな。」

キスカ「・・・」

釘「そんだけだ。あばよ。」

言う事だけ言って釘は部屋を出た。

サァリ「・・・」

キスカ「大丈夫だ。彼はそんなにやわじゃない。そうだろ?」

「ええ・・・」

サァリ「鏡・・・」

部屋の隅に突然緑のズボンに白いマントを羽織り、昔のジタンと同じ髪型の紺色の髪と透き通った青のような空色の瞳の青年が現れた。

鏡「おそらく今の彼は昔より強いでしょうね。」

キスカ「そうだろうな・・・既に水はいないと聞くが・・・娘がいるそうだ。」

サァリ「水・・・そうか水は・・・」

鏡「二人の間にサクラと言う女の子が産まれた。今の彼はそれを支えに生きている。」

キスカ「それが彼を強くしている・・・そして今の彼には心から許せる仲間もいる・・・」

サァリ「それ全てが強さへと・・・」

キスカ「そうだろうな・・・所で護衛の任、君は自ら志願したようだな。」

鏡「ええ・・・」

サァリ「珍しい話ね・・・自分から志願する奴なんて少ないのに・・・」

鏡「あそこには・・・会いたい人がいるからね・・・」

サァリ「会いたい人・・・?」

鏡「そう・・・まだ会った事も見た事の無い・・・兄がね・・・」







ダガー「すっきりした?」

ジタン「・・・ああ・・・」

その頃ジタンは泣き止み、祭壇に二人だけでいた。

ダガー「・・・我慢しないでね・・・」

ジタン「ああ・・・」

ダガー「もうあなたは一人じゃない。だからまた泣きたくなったら・・・」

ジタン「その時は・・・また借りるよ・・・」

ダガー「ええ。」

ジタン「・・・ありがとう・・・」

ダガー「いいえ。それじゃちょっとルシアスの所に行ってるわね。」

ジタン「ああ・・・」

そう言ってダガーは祭壇を後にした。

ジタン「・・・何処にいるんだろう・・・会いたいよ・・・母さん・・・」







エーコ「・・・みんな寝てるわよね・・・」

その日の夜、エーコは一人で城を抜け出そうとしていた。

エーコ「あの包帯・・・どうも気になるわ。でなきゃもう寝不足で寝不足で・・・」

寝不足かどうかは定かではないがエーコはコウの秘密を探るつもりだ。

エーコ「さてと、あっちまではマディーンで行かなきゃね。」

そう言いながらエーコはマディーンを召喚し、その肩に乗った。

エーコ「それじゃあお願いね。」

エーコの命令でマディーンはコウの家がある剣の国アレクサンドリアに向かった。

エーコ「さぁて・・・どんな秘密か楽しみね。」







コウ「ふう・・・今日はこんだけでいいか。」

その時コウは上着を脱いだ状態で自室にこもりエリクサーを作っていた。

コウ「ふあぁ〜・・・っと・・・やっぱ昼のありゃ気のせいだったな。」

そんな事を呟きながらコウは就寝しようとした。その時。

「気のせいなわけあるかよ・・・」

何処からか不気味な声が聞こえた。

コウ「・・・ちっ・・・」

コウは薄いロングコートを羽織り、ハルバートを持って窓から外に出た。

エーコ「あら?コウ・・・こんな時間に何を・・・」

その光景をエーコは偶然見ていた。

エーコ「怪しいわね・・・ついてこ。」

そしてコウに気付かれないように後を付けていった。

コウ「・・・やっぱいたのか・・・貴様・・・」

民家の屋根の上でコウが呟くと前方にボロボロのズボンに白いタンクトップを来た不気味さが漂う男が現れた。

コウ「気のせいのままでいたかったよ・・・毒・・・毒のオーガ・・・!!」

オーガ「へへへ・・・悪いがそう上手くは行かないんだよ。」

コウ「貴様がヤタノカガミを盗ませたのか・・・」

オーガ「大正解。もっともそいつらには死んでもらったがな。」

コウ「あの事件の現場にあった溶けたような足跡からして確信はしていた・・・だけど当たっては欲しくは無かった・・・」

オーガ「どっちだっつうんだよ。」

コウ「貴様のような奴も・・・あいつら全員いない方がいいんだよ・・・俺も含めてな・・・!!」

オーガ「そうか。だったら死んでくれるか?」

コウ「悪いが今は死ねない。サクラの事・・・そしてお前達がまだ存在している限りはな!!」

オーガ「ガタガタうるせぇ!!死ぬならさっさと死ね!!」

そう言ってオーガはかつてヤタノカガミを盗んだ奴らを殺した銃を取り出した。

コウ「やっぱデザートイーグルか!!しかもサイレンサー付きか!!」

オーガ「音がしない分いつ撃ったか分からないだろ!!死ね!!」

コウ「うおっ!!」

オーガはコウに銃を撃ったが銃声はせず、コウはカンで銃弾を避けた。

コウ「ハンドガンなんか使ってんじゃねぇ!!」

コウはウィップでオーガのハンドガンを奪い取った。

オーガ「いいのか?俺の毒手は健在だぜ。」

コウ「のようだな・・・だけどこっちもこうすりゃ・・・」

コウはハンドガンを捨てジェノサイドブレードを開放した。

コウ「何とかなるぜ!!」

オーガ「きやがれ!!」

コウ「おう!!」

ガチャン!!

コウは素早く踏み込みオーガに斬りかかったがオーガはそれを素手で受け止めた。

オーガ「踏み込んだが最期!!俺の毒手の餌食になっちまえ!!」

コウ「そうささせっか!!」

オーガが仕掛ける前にコウはすぐに距離を置いた。

コウ「っぶねぇ・・・後ちょっと遅かったらブレードの刃パーペキ腐り落ちてたな・・・」

ジェノサイドブレードの刃は腐ったかのように廃れていたがすぐに再生された。

オーガ「流石うちの兵器開発部が作り上げた最高品。自己修復能力付きだから永遠に使い続けれる物だからな。」

コウ「おかげでお前には十分対抗出来るぜ。」

オーガ「つうか炎の剣はどうした?もう捨てたか?」

コウ「なわけ無いだろ。お前にはもったいないから使ってないだけだ。」

オーガ「なめやがって・・・あれから俺だって力蓄えたんだぜ・・・」

コウ「ほ〜・・・そりゃどうなのか楽しみだな。」

オーガ「クックック・・・」

オーガは不気味な笑いをしたまま液体の入ったビンを取り出した。

オーガ「俺の新しい力を・・・存分に味あわせてやるぜ・・・!!」

そう言ってオーガは液体を両手にかけた。

コウ「新しい毒か?だけどやられるわけにはいかなくてな!!」

コウはもう一度オーガに斬りかかった。

オーガ「馬鹿め!!こいつがどんなのか知らないで飛び込むたぁ大間抜けだな!!」

コウ「何!?」

オーガ「りゃぁ!!」

コウ「なっ!?」

オーガは両手にかけた液体をコウに向けて放った。

コウ「くっ!!」

コウはブレードで液体を叩き落した。その時。

コウ「な、何!?」

ジェノサイドブレードが液体に触れた瞬間見るも無残に腐り果ててしまった。

コウ「ちっ・・・そう言う事かよ・・・」

オーガ「今までの中で取って置きの毒だ・・・対ジェノサイドブレード用に作ってもらったもんだ。」

コウ「なるほどな・・・確かにお前相手に素手は危険だしな・・・」

オーガ「そうさ・・・しかもほとんど使ったとは言えまだ少しはこの手に残ってるぜ・・・」

コウ「くそっ・・・!!」

エーコ「な、何がどうなってるの・・・?」

エーコはこの戦いを離れた場所から見ていた。

コウ「こうなったらやるだけやってやる!!」

コウはウィップを大量にオーガの体に巻きつけた。

オーガ「こんな事しても無駄だっての!!」

コウ「ちっ!!」

ウィップはことごとく溶かされ、コウは溶けたウィップを破り取った。

コウ「かと言ってこれ以上錬金術使うと体が持たねぇ・・・」

オーガ「がたがた抜かしてんじゃねぇ!!」

コウ「おわっ!!」

オーガはコウに殴りかかったがコウは寸前で避ける事が出来た。

コウ「くそっ!!」

コウは何度もウィップで動きを封じようとしたがことごとく溶かされてしまっていた。

エーコ「コウ!!」

コウ「エーコ!?何でここに!?」

遂にエーコは飛び出してきた。

エーコ「そんな事よりこいつを倒そうよ!!」

オーガ「やかましいガキが!!」

コウ「駄目だ!!その代わりある物を取って来てくれ!!」

エーコ「で、でも大丈夫なの!?」

コウ「大丈夫かどうかはエーコ次第だ!!ザモ盆地に遺跡がある!!そこにモーグリのアスカがいるから俺が刃を求めてるって言ってくれ!!」

エーコ「わ、分かった!!」

エーコは街を離れ遺跡に向かった。

オーガ「俺にゃ使わないんじゃなかったのかよ?」

コウ「事情が事情だ。それにさっさとお前倒さないとこの街の人に迷惑がかかる。」

オーガ「そうかいそうかい。だったらさっさと死んでくれ!!」

コウ「くぅっ!!」







エーコ「えっと遺跡遺跡・・・あったあそこね!!」

その頃エーコはマディーンに乗り遺跡を探していた。

アスカ「な、何だクポ!?」

エーコ「あなたがアスカね!?」

アスカ「た、確かに僕はアスカクポ・・・」

エーコ「コウが大変なの!!何か変な奴がやってきて・・・それで刃を求めてるって!!」

アスカ「コウ!?コウを知ってるクポ!?」

エーコ「あたしはコウの仲間エーコ=キャルオル=ファーブル!!お願い早く!!」

アスカ「コウが剣を・・・分かったクポ、着いてくるクポ!!」

エーコ「ええ!!」

アスカはエーコを遺跡の中に案内し、ルミアの墓まで来た。

エーコ「ここは・・・?」

アスカ「ルミアの墓クポ・・・エーコって言ったクポね?」

エーコ「え、ええ・・・」

アスカ「僕は炎の剣、フレイムエレメンタルを守護してきた者の仲間クポ。そしてコウがこの刃を求めると言う事は・・・」

エーコ「・・・」

アスカ「それはコウの宿敵達が戻って来たと言う事クポ。気をつけるクポ。」

エーコ「宿敵・・・」

アスカ「これを・・・」

アスカはエーコに小さな箱を手渡した。

エーコ「この中に剣が・・・何だか暖かい・・・」

アスカ「お願いクポ。コウは癒えない過去を引きずってるクポ。今コウに仲間がいるなら・・・手伝ってあげてクポ。」

エーコ「わ、分かったわ。ありがとう!!」

エーコは箱を腕に抱え、再び剣の国アレクサンドリアを目指した。







コウ「くそう・・・」

オーガ「どうしたどうした?もうウィップは少ないんじゃないか?」

コウ(これ以上は危険か・・・エーコ早くしてくれ・・・!!)

コウのウィップは残り少なくなっていた。

オーガ「おらおらどうしたどうした!?」

コウ「おわっ!!」

オーガの手がコウの右肩をかすった。

オーガ「ちっ!!服だけか!!」

コウ「っぶねぇ・・・かすったら最後か・・・」

オーガ「だからさっさと死んじまいな!!」

コウ「そうは行くかっての!!」

コウはあるだけのウィップでオーガの動きを封じた。

オーガ「手はそれしかないのか?」

コウ「悪かったな・・・!!」

オーガ「今までずっと溶かしてたがよ・・・これを引っ張りゃどうなるか・・・」

オーガはそう言ってウィップを左手で絡め取った。

コウ「なっ・・・そうか・・・!!」

オーガ「そうさ・・・あばよ!!」

そしてオーガは左腕に力を込め、コウを引き寄せようとした。

コウ「させるかぁ・・・!!」

コウは何とかその場に踏みとどまろうと必死だった。

オーガ「バァカ。そうだと逆にこっちがあくだろ。」

そう言ってオーガは右腕を前に出した。

コウ「こ、こいつ・・・それが本命か・・・!!」

オーガ「ったりめぇよ。あば・・・」

「コウーーーー!!」

オーガ「よっ?」

ザシュッ!!

オーガ「がっ!?」

エーコ「間に合った!!」

コウ「エーコ!!」

エーコが到着し、後ろからフェアリーテイルでオーガの右腕を切り落とした。

エーコ「はいこれ!!」

そして同時に箱をコウに投げ渡した。

コウ「ど、どこやってんだよ!!」

箱はコウのはるか上を通過する軌道をしていた。

エーコ「あ、あちゃ〜・・・」

オーガ「あちゃ〜・・・じゃねぇ!!」

エーコ「え?きゃあっ!!」

オーガはエーコを蹴り飛ばした。

コウ「エーコ!!こうなりゃ!!」

コウはコートの右袖ごと腕の包帯を破り取り、同時に右の人差し指に変わった指輪をはめて箱を受け取った。

オーガ「し、しまっ!!」

コウ「オーガ!!これでも喰らえ!!」

コウは箱の中から柄だけの剣を取り出し空に掲げた。

コウ「火凛!!」

ボウ!!

柄に炎の刃が発生し、振りおろした瞬間刃から生まれた炎の斬激がオーガの体を切り貫いた。

オーガ「うごぁ!!」

コウ「はぁ・・・はぁ・・・」

オーガ「こ、この野郎・・・必ずぶっ殺してやる!!」

そう言ってオーガは街から離れた。

コウ「大丈夫かエーコ?」

エーコ「あたた・・・あたしは大丈夫よコウ・・・!?」

コウ「ん?」

コウの姿を見た途端、エーコは恐怖に満ちた表情になり腰を抜かた。

エーコ「あ・・・ひっ・・・!!」

コウ「ああ・・・これか・・・」

灯りが剣の炎と月明かりだけだと言うのも恐怖を買いたてた。

コウ「・・・」

エーコ「い、いや・・・!!」

炎の灯火の奥に見える多数の何かがエーコをずっと見ていた。

コウ「・・・悪かったな。」

コウは剣の炎を消し、コートで右腕を隠した。

コウ「・・・誰にも言うなよ・・・この腕の事は・・・」

エーコ「ひ・・・あ・・・」

コウ「分かったか?」

エーコ「あ・・・ええ・・・」

コウ「約束だぞ。いいな?」

エーコ「う、うん・・・」

コウ「それじゃさっさと逃げるぞ。こんだけ騒ぎ起こしたんだ。街の人が起きてくるかもしれねぇ。」

エーコ「あ・・・待って・・・」

コウ「ん?」

エーコ「そ、その・・・」

コウ「腰抜けたのか?しょうがないな・・・」

エーコ「それもだけど・・・その・・・」

コウ「あ?あ、あぁ〜・・・」

コウはエーコの状態に気づいた。

コウ「誰にも言わないでいたる。早くした方がいいぜ。」

エーコ「う、うん・・・」

エーコはマディーンを召喚して街を去って行った。

コウ「・・・ま、この腕見ちまったらそうなるわな。」

エーコが座っていた場所にはなぜか濡れていた。

コウ「・・・」

そしてコウも自分の家に戻って行った。







キスカ「・・・彼はまだ生きてる・・・」

サァリ「でしょうね・・・」

キスカ「ふふ・・・楽しみだよ・・・彼とまた・・・刃を交える事が出来て・・・」

サァリ「相変わらず物好きですね・・・」

キスカ「そう言う君も相変わらず厳しい事言うな・・・いいじゃないか。私が初めてライバルと認めさせたのは彼だからな。」

サァリ「それが物好きなのですよ・・・まったく・・・」

キスカ「さて・・・彼はどう出てくるかな?コウ・・・」







コウ「へぇっくしょい!!」

ジタン「また盛大なくしゃみだな。噂されてるんじゃないのか?」

コウ「うぃ〜・・・多分な・・・」

ジタン「・・・どうでるかは、全部お前に任せる。俺らはそれを援護するからよ。」

コウ「ああ・・・悪いな。」

ジタン「さてと・・・奴らは敵としてくるか・・・それとも・・・」

コウ「・・・キスカ・・・何を考えてるか分かんないが・・・今回はお前の脚本の力借りるぜ・・・」

そう呟いてコウは空を見上げた。




コウに襲撃してきた謎の男オーガ。キスカ達との関わりは。そしてコウの右腕は・・・
続く





あ と が き
ようやく後編です
色々あって中々進まなかった・・・
これが完全に終わるのは年単位だろうな
頑張れ。俺
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