CRYSTAL MEMORY STORY
第二部 武器と運命の物語
第十九話
殺戮
ジェノサイド
の名を持つ刃
マットの襲撃の最中舞い戻ったジタンだったが謎の敵が現れた。マイは関係があるだろうコウに目をつけ何かを企んでいた。
ジタン「よし・・・完全に治ったな。」
ダガー「ええ。」
アレクサンドリア城の一室にジタンとダガーがいた。
ダガー「でもどうしてかしら・・・」
ジタン「何が?」
ダガー「三日前より怪我が悪化してたような・・・」
ジタン「うっ・・・!!」
ダガーの何気ない一言にジタンは冷や汗を流した。
ダガー「どうしたの?」
ジタン「い、いや・・・」
ダガー「そう?」
何があったかについては我がHPで公開中の幻の18.5話を参照に。
ダガー「そう言えばコウは?」
ジタン「あいつならトット先生が診てるよ。何でも右腕が悪化したとかな・・・」
ダガー「右腕が・・・でもどうして今さら?」
ジタン「そりゃこの戦いが始まってからあいつ錬金術結構使ってるだろ?」
ダガー「え?それと右腕と関係あるの?」
ジタン「やっぱ言ってなかったのか・・・まぁそうさ。」
ダガー「そう・・・」
コウ「どうッスか?」
トット「危険ですね・・・内部は既に胸部に達してます・・・」
コウ「そうですか・・・」
ラニ「ガントレット壊れちゃったからね・・・」
その頃コウはラニとトットと自分の家におり、包帯を前よりも多く巻いていた。
コウ「四年前は二の腕辺りと手首までだったけど・・・ガントレットぶっ壊れたし最近結構使っちまってるし・・・」
今のコウの包帯はトットが言ったように右肩の肩口から掌まで及んでいた。
コウ「完全に右腕全部逝っちまったな・・・このままじゃ心臓もその内だな・・・」
ラニ「使い過ぎなんだよ。少し抑えたらどうなのさ。」
トット「その通りです。あのガンとレットは二度と作れないのですから・・・」
コウ「分かってるさ・・・じゃあハルパーの鎌を解放するか?」
ラニ「そいつは・・・」
コウ「冗談さ。となるとあまり使いたくない左手を使うさ。」
トット「・・・どちらにしても・・・呪われた道・・・と言う事ですか・・・」
コウ「ああ・・・」
そう呟いてコウは右腕を見つめた。
マリーン「あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
シルフ「ぬおっ!?」
突然マリーンは叫んだ。
シルフ「ど、どうしたんだよ?」
マリーン「バゼラードに汚れが〜〜〜〜〜どうして〜〜〜〜!?」
バゼラードとはマリーンの巨大釘バットの事である。
シルフ「それに関してだが・・・俺の体に謎の傷が・・・」
マリーン「どうして?私別にシルフ殴ってないよ?」
シルフ「そこの所の記憶が曖昧なんだよな・・・殴られた感じがするようでしないし・・・でも傷があるし・・・」
この事についても幻の話で。
マリーン「それはいいとして・・・ちゃんと磨かなくちゃ・・・錆びちゃうわ・・・くすん・・・ごめんね・・・」
マリーンは本当に泣きながらバゼラードを磨きだした。
シルフ「何があったんだろうか・・・お、フリオニール。」
フリオニール「ん?」
ちょうど近くをフリオニールが通りかかった。
シルフ「なぁ。二日前何があったか思い出せないんだ。お前何か知ってる?」
フリオニール「・・・」
シルフ「あ?」
フリオニール「悪いが俺の口からは言えない・・・他の奴ら・・・ミーナとマイ、レイとヴァルキリー辺りに聞くんだな・・・」
シルフ「そ、そうか・・・」
ミーナ「すみませんが・・・」
レイ「この前あった事は・・・」
ワルキューレ「言えぬ・・・」
その時ちょうど三人は同じ事を話していた。
エーコ「そう?ならいいけどさ・・・」
ミーナ「出来ればそうしてください・・・」
レイ「決して言いたくは無い・・・」
フラットレイ「何があったのだ?」
ワルキューレ「言えばお前達が苦しむぞ・・・」
ミコト「何があったのかしら・・・?」
ビビ「特にミコトお姉ちゃんは聞かない方がいいよ・・・」
ミコト「え?」
ビビ「現場に居合わせた僕が言うんだ・・・あの事はスッパリ忘れた方がいい・・・絶対に・・・」
ミコト「ならいいわ。そう言えばまたマイがいないわね。」
ミーナ「あの子はまた・・・この後集まるって言ってあるのに・・・」
ミコト「別にミーナが悪いって訳じゃないでしょ。」
コウ「ま、そう言う事だ。」
ジタン「そうそう。」
シルフ「何の話だ?」
ビビ「ジタン、お姉ちゃんにコウとシルフ達も・・・これで全員揃ったね。」
その一室にレット攻略のメンバーがマイを除いて全員揃った。
ジタン「さてと・・・レットの言ってた刻限まで残り少ない・・・今日はどのメンバーをどこの封印へ行かせるかって事だが・・・」
ビビ「レットが渡した地図は?」
ジタン「そいつは・・・」
ダガー「やっぱり嘘だったの?」
ジタン「それ以前だ・・・ほれ・・・」
ジタンは皆に地図を見せた。
コウ「うっ・・・」
ダガー「これは・・・」
シルフ「汚ぇ〜・・・」
レットの地図はどう表現すれば良いか分からないほど汚かった。
ジタン「一昼夜かけて解読した結果・・・木の封印は外側の大陸のイーファの樹の近く・・・火の封印は忘れられた大陸の北のピルキラス島・・・土の封印も忘れられた大陸のブロウバレーに・・・金の封印はこの大陸のデトリー岬、最後の水の封印は閉ざされた大陸カナーラミスト岬だろう・・・多分・・・」
ダガー「・・・お疲れ様・・・」
ジタン「で、どの組が何処に行く?」
スタイナー「我らは火の封印でよいか?」
フラットレイ「いいぞ。」
クイナ「分かったアル。」
サラマンダー「また熱い所か・・・四年前と同じ・・・」
エーコ「じゃああたし達は水の封印でいい?」
ビビ「僕はいいよ。」
ワルキューレ「私も同じだ。」
シルフ「となると土、金、木か・・・何処がいい?」
フリオニール「俺は何処でも・・・」
マリーン「やっぱ金でしょ!!」
フリオニール「いい・・・」
シルフ「俺らは金で。」
ダガー「私達は・・・木の封印でいい?」
コウ「いいぜ。」
クジャ「ああ。」
レイ「じゃあ俺らは残り物の土だな。」
ジタン「・・・今更だけどお前らは二人で大丈夫か?」
レイ「そうは言っても他の星の奴らはこれないだろうし、あまり戦わせない方がいい奴だっている・・・しょうがないさ。」
ネリク「だったらオレらが行くホ。」
ジタン「ネリク・・・大丈夫なのか?」
マックス「大丈夫だ。もう戦える。」
ジタン「マックス・・・すまないな。頼む。」
レイ「俺は別にいい。」
ミーナ「マイには私から言っておくわ。」
ジタン「よし、決定だ。後はその時の為に鍛えようが休もうが好きにしててくれ。」
ミコト「じゃあ解散ね。」
ジタン「ああ・・・それとミコト・・・」
ミコト「何?」
ジタン「・・・二度とあんな事するなよ・・・」
ミコト「あんな事?」
ジタン「それだけだ・・・」
そう言ってジタンはその場から去った。
ミコト「一体何を・・・ねぇ。コウとビビなら分かるんでしょ?」
ビコ「・・・」
ミコト「ねぇ・・・」
しかし二人は何も言わずにその場を去った。
ミコト「何をしたのかしら・・・」
レット「おし・・・準備は万端・・・後は待つだけか・・・」
その頃レットは封印の準備をしていた。
レット「いよいよ俺の番か・・・ま、あいつらなら俺の事相当憎んでるし大丈夫か。」
そう言ってレットはその場から消えた。と。
「あいつがそうか・・・?」
「ああ・・・そのようだぜ・・・」
レットがいた場所の近くにやけに体がデカイ大男と逆にかなり小柄な男がいた。
大男「ありゃ明らかに迷ってやがんな。」
小男「だな。だったら俺らが行けばいいんじゃねぇか。」
大男「その通りだ。だがその前に・・・」
小男「例の男だろ?わぁってるさ。そいつは俺が始末してくるぜ。あの計画の邪魔をしないようにな。」
大男「任せたぜ。」
そんな怪しい会話をしながらその男達はその場を去った。
マイ「ったく・・・まだ何にも掴めてないや・・・」
その時マイはピナックルロックスの奥にいた。
ミル「まい・・・」
マイ「私は大丈夫よミル・・・必ずあいつの秘密を暴いてやるんだから・・・」
ミーナ「何言ってるのよマイ・・・」
マイ「ミーナ姉・・・よくここが分かったわね。」
マイがいる所にミーナがやってきた。
ミーナ「ま〜ね。今日はあなたに伝えたいことがあってね。五行の封印の事だけどネリクとマックスが一緒に行く事になってね。で、あなた達が行く場所は・・・」
マイ「待ちなミーナ姉。」
ミーナ「え?」
マイ「悪いけど私は行けないわ。」
ミーナ「どうして?」
マイ「あんな怪しい奴がいる所の手伝いなんか私は出来ないね・・・」
ミーナ「マイ・・・コウさんの事ね?」
マイ「それ以外誰がいる?」
ミーナ「確かにコウさんは分からない事が沢山あるけど・・・疑うのは良くないわ。」
マイ「だから甘いのよミーナ姉は・・・私はあいつが隠している事全部明らかにするまであいつらと共には行動しないわ。」
ミーナ「マイ・・・」
マイ「悪いわね。でも・・・私の邪魔をするんだったら・・・」
話しながらマイは佐助の刀をミーナに向けた。
マイ「ミーナ姉でも戦うからね・・・」
ミーナ「・・・」
マイ「覚悟しておいてね・・・」
ミーナ「あなたは・・・」
コウ「まったく・・・参ったもんだね・・・」
ダガー「どうしたのよ?」
ジタン「マイの事か?」
コウ「正解。」
そう言ってコウはハルバートの先端をジタンに向けた。
コウ「あいつは俺の事を探ろうとしてる・・・ばれる訳には行かないけど戦うって訳にもな〜・・・」
ジタン「確かにお前の過去はやばすぎるからな・・・」
ダガー「ライフ、コウの事何か知ってるの?」
ジタン「ああ。でも君にも言えそうな事は無い。ただ言えるのが・・・」
ダガー「別の星の者って事は知ってるわよ。」
ジタン「何だ話したのか?」
コウ「それだけな。」
ジタン「だけどどうするんだ。このままじゃお前マイと・・・」
コウ「ああ・・・戦いたくなんか無いけど・・・もし俺の闇を知ろうとするならば待つのは・・・」
ダガー「コウ・・・?」
エーコ「コウって何者なのかしら?」
その頃エーコも図書室で似た事を思っていた。
ビビ「突然何を言い出すのさ。」
エーコ「流石にマイほどじゃないけど気になるしょ。」
ビビ「まぁね。」
エーコ「でも気にしてちゃ先には進めないし、どうしたらいいのか?」
ビビ「だったら自分を鍛えるしかないよ。僕らも戦うんだから。」
エーコ「だよね。」
ワルキューレ「だったら手伝おう。」
ビエ「わっ!?」
二人っきりしかいなかったのに突然ワルキューレが現れた。
ワルキューレ「ダガーにやっていた特訓をお前にも教えてやろう。ありがたく思うのだな。」
エーコ「い、一応ありがとうって言っておく・・・」
ビビ「それじゃ僕も自分の魔力を上げてるよ。あんまり無茶させないでねヴァルキリー、大切な
婚約者
フィアンセ
なんだから。」
ワルキューレ「しょうがないな。」
エーコ「ビビったらもう・・・!!」
ワルキューレ「じゃ早速。」
エーコ「う・・・」
ビビ「頑張ってねエーコ。」
エーコ「うん・・・じゃあさ・・・勇気少しだけちょうだい・・・」
ビビ「いいよ。ヴァルキリーちょっとそっち向いてて。」
ワルキューレ「何故?」
ビビ「なにゆえって・・・理由は聞かないで欲しいな・・・」
ワルキューレ「理由を聞かねば納得がいかない。何故だ?」
ビビ「え〜と・・・」
エーコ「あ〜もう!!勇気をもらうのに理由がいるの!?」
ジタン「ヘックシュ!!」
ワルキューレ「そこまで言うならば致し方あるまい・・・」
そう言ってワルキューレはビビとエーコに背を向けた。
ビビ「それじゃあ僕の勇気を君に・・・」
エーコ「うん・・・」
そう言ってビビはエーコを抱き寄せ、二人とも目を閉じてキスをした。
ワルキューレ「何だただのキスか・・・」
ビエ「・・・!?」
いつの間にかワルキューレは二人を凝視していた。
ビエ「わぁーーーーー!!!!!!」
ワルキューレ「何が恥ずかしいのだ接吻程度。と言うよりお前達いくつだ。」
エーコ「あ、あああアンタね!!そっち向いてろって言ったでしょ!!」
ワルキューレ「愚か者。向いてろって言われて素直に向く者がいるか?」
ビビ「た、確かに・・・」
エーコ「だぁからあって!!んぁもう!!せっかくビビから勇気もらってたのに台無しじゃない。」
ワルキューレ「だったらやり直せば良かろう。」
エーコ「そ、それは・・・」
ワルキューレ「どうした?私が見てたら出来ないか?」
エーコ「ん〜あぁもう!!ビビ!!」
ビビ「はい!?」
エーコ「もう一回勇気ちょうだい!!」
ビビ「ええ!?」
エーコ「だってさっきはこのお邪魔虫のせいで雰囲気台無しだもん!!もう一回お願い!!」
ビビ「だ、だったらヴァルキリーどっか行ってくれない!?こう言うのは二人きりの方が・・・!!」
エーコ「そんなのお構いなしよ!!人前で躊躇い無しにキスしてるカップルだって結構いるでしょ!!」
ジタン「ヘックシュ!!」
ダガー「キュシュン!!」
スコール「ヘ〜ックシュ〜〜〜イ!!」
リノア「クシュン!!」
ビビ「二組しかいないじゃない・・・」
エーコ「じゃああたし達が三組目になればいいんじゃない!!」
ビビ「そう言う事を言ってるんじゃ・・・」
エーコ「ブツクサ言わないの!!」
ビビ「わ、分かったよ。だからせめてヴァルキリーはどっか行って!!」
ワルキューレ「しょうがない・・・」
ふて腐れながらワルキューレは二人の近くから離れた。
ビビ「じゃあ今度こそ・・・」
エーコ「うん・・・」
そして二人は改めてキスをした。が・・・
ワルキューレ「・・・よし、上手く撮れた。」
ワルキューレは今度は物陰から盗撮していた。
ワルキューレ「別の星から来た者がくれたこの『ぽらろいどかめら』なる物は凄いな。一瞬であの光景を絵にしたのだからな・・・」
ビエ「・・・」
しかし二人は盗撮された事に気付かず長いキスを続けていた。
ワルキューレ「さてと、ばれないようにこれは隠さねば・・・」
そう言ってワルキューレはカメラを隠しにその場を離れた。
エーコ「・・・んふぅ・・・」
ビビ「これで・・・大丈夫だよね。」
エーコ「うん・・・」
長いキスを終えた二人は頬を赤く染めたまま見つめ続けた。(ちなみにずっと抱き合ってる)
ビビ「あれ?ヴァルキリーは?」
エーコ「え?ほんと何処行ったのかしら?」
そしてこの時やっとヴァルキリーがいないことに気付いた。
ビビ「・・・何か嫌な予感がするんだけど・・・」
エーコ「・・・うん・・・」
ミコト「マイが?」
ミーナ「はい・・・コウさんの事を探ろうとしてるの。」
その頃ミーナはミコトにマイの事を話していた。
ミコト「どうしてそこまでして探ろうとしてるのかしら・・・?」
ミーナ「あの子この前一人であの場所に戻りましたよね。」
ミコト「この前って兄さんが戻ってきた時ね。それがどうしたの?」
ミーナ「戻った後あの場所で何があったかを忘れてるのです。」
ミコト「忘れてるって・・・思い出せないだけじゃないの?」
ミーナ「いいえ。本当に記憶喪失と言っても過言で無いほどに・・・」
ミコト「何があったのかしら・・・あら?」
ラニ「何話してるんだい?」
二人の場所にラニがやって来た。
ミコト「ラニ、ちょうど良かったわ。」
ラニ「何かよう?」
ミコト「少しでいいからこの前の事教えてくれない?」
ラニ「この前って・・・あの日の事?」
ミーナ「はい。確かその場にいられたはずですので。」
ラニ「確かにいたけどさ・・・ちょっと言いたくは無いんだよね。」
ミコト「一つだけでいいの。どうしてマイのあの時の記憶が無いのか。」
ラニ「それか・・・あの時コウと戦ってた奴覚えてるよね。」
ミーナ「はい。」
ラニ「あいつは人の記憶や心を抜く事が出来る力があるのさ。」
ミーナ「記憶や心を・・・もしかしてマイも?」
ラニ「うん。そしてその記憶はコウが持ってるよ。」
ミコト「やっぱり・・・でもそれじゃあコウとマイは・・・」
ラニ「うん・・・多分・・・」
コウ「・・・結局こうなったか。」
ジタン「・・・来たのか。」
その時コウは一通の手紙を読んでいた。
ダガー「もしかしてマイ?」
ジタン「ああ。あいつ遂に実力行使に出て来やがった。」
ジタン「戦うのか。」
コウ「ああ。」
ダガー「仲間同士で戦うなんて・・・」
コウ「しゃ〜ないさ。とりあえず俺は行って来るぜ。」
そう言ってコウはハルバートを手にその場所へ向かった。
ジタン「大丈夫か・・・」
ダガー「多分コウが負ける何て本気出さない限り大丈夫でしょ。」
ジタン「そうじゃない。マイが生き残れるかだ。」
ダガー「どうしてそっち?」
ジタン「セーラはあのハルバートを見て何か気付かなかったか?」
ダガー「そう言えば・・・柄の真ん中辺りに小さな盾みたいな飾りがあったわ。」
ジタン「アレは本当に盾だ。と言っても封印する為のな。」
ダガー「封印って・・・あのハルバートそんなに危険なの?」
ラニ「危険なのさ。あのハルパーの鎌は・・・」
その頃ラニもジタンと同じ事をミコトとミーナに話していた。
ミコト「ハルパーの鎌?ハルバートなのに鎌なの?」
ラニ「そいつはただの名称さ。しかも本当の名前じゃないし。」
ミーナ「本当の名前ですか?でもあの武器がそんなに危険だ何て・・・」
コウ「やって来たぜ。」
マイ「ちゃんと来たね・・・分かってるよね?」
その時コウはマイがいるピナックルロックスに来ていた。
マイ「私はどうあってもアンタの秘密を明かしてやる・・・その為なら戦おうと構わない。」
コウ「戦うしかないのか・・・」
マイ「勿論アンタが負けたら洗いざらい全てを話してもらうよ。」
コウ「ああ。そんかわり俺が勝ったらちゃんと団体行動取れよ。」
マイ「・・・しょうがないね。あえて言うけど本気でね。」
コウ「本気でいいのか?」
マイ「手を抜かれちゃ弄ばれてるのと同じよ・・・そんな事したら本気でアンタを殺すよ・・・」
コウ「別に俺は構わないが・・・本当に本気出したら死んじまうぜ。」
マイ「だからなめてるのよアンタは・・・!!手抜いたらアンタの娘も本気で殺すよ!!」
コウ「・・・」
いつも冷静で落ち着きを見せてるコウの顔が暗くなった。
コウ「・・・俺だけならいいがよ・・・サクラに手を出すんなら・・・本当に本気出すぞ・・・」
マイ「最初からそうしろって言って・・・!?」
その時マイはコウから異様な殺気を感じ取った。
コウ「最初から・・・何だよ?」
マイ(何この異常な殺気・・・!?)
コウ「本気で俺の事探ろうって意志があるって事は・・・死を覚悟してるって事だよな・・・」
マイ「い、一体何を・・・」
コウ「そりゃそうだろう・・・俺が本気出すって事は・・・」
喋りながらコウはハルバートの柄にある盾の飾りに手をかけた。
コウ「下手したら死ぬって事を意味してるんだぜ!!」
そう言ってコウは盾の飾りを剥ぎ取った。
ダガー「封印するほどの武器って事は・・・そんなに恐ろしいの?」
ジタン「ああ。あの武器はある目的の為に作られた最悪の武器だからな・・・」
ミコト「ある目的?」
ミーナ「その目的って何なんですか?」
ラニ「簡単な理由さ。あの武器はただ人を殺す為だけに作られたんだ・・・」
ジラ「あの
殺戮の刃
ジェノサイドブレード
は・・・」
マイ「・・・」
コウ「どうした・・・かかってこないのか?」
マイ「な、何を・・・!!」
しかしマイは動かなかった。と言うよりも動けなかった。
マイ(何なのあの武器は・・・とてつもない殺気を感じる・・・)
マイが動けなかった理由、それはコウのハルバートにあった。
コウ「本気出せって言ったのはそっちだぜ・・・」
コウのハルバートは斧の部分が通常よりも異常に大きく槍の部分が円柱のようなランスタイプに変わり、斧の反対側にある鉤爪が鎌に変化し、柄の先にモーニングスターのようなトゲのついた握り拳ほどの鉄球がついていた。
コウ「こいつの本当の姿を見せるなんてな・・・どうする?こいつの殺気を感じてるんだろ?それでもやるか?」
マイ「か、覚悟の上よ!!」
コウ「そうか・・・だったらさっさと始めようか・・・」
マイ「こ、来い!!」
コウ「行くぜ!!」
そう言うとコウはジェノサイドブレードを構えてマイに向かい走り出した。
マイ「速い!!」
コウ「おらぁっ!!」
ドゴン!!
マイ「わっ!?」
コウがジェノサイドブレードを振り下ろした瞬間その箇所の地面が崩れた。
コウ「よく避けれたな!!だがこれはどうだ!!」
そう言うと槍の先をマイに向けた。すると。
マイ「え!?」
ジェノサイドブレードの槍の部分だけがマイに向けて放たれた。
マイ「くっ!!」
マイはその攻撃を何とかかわす事が出来た。が。
コウ「そのくらいお見通しだ!!それっ!!」
コウはまたジェノサイドブレードを振り下ろした。すると。
マイ「はっ!!」
先程マイがいた位置に放たれたはずの槍が再びマイに向かっていた。よく見ると槍と本体は鎖で繋がれていた。
マイ「チェーン付きか・・・このっ!!」
ガチャン!!
マイは槍を佐助の刀で弾き返した。
コウ「やるじゃないか。」
コウは槍を本体に戻した。
マイ「次はこっちからだよ!!忍法火遁の術!!」
コウ「火か!!」
ボウ!!
コウ「おおっと!!」
マイの忍法でコウの位置に炎が発生したが、ジェノサイドブレードを回転させて炎を散らした。
コウ「なめるなよ!!それ!!」
コウは回転の速度を活かして鉄球をマイに向けて飛ばした。
マイ「こいつもチェーンで・・・でもこのくらい!!」
マイは鉄球を難なくかわし手裏剣を三枚手にした。
マイ「困難な事じゃない!!」
そしてマイはコウに手裏剣を投げた。
コウ「やるじゃないか・・・でもこんなんじゃ俺を倒すなんて・・・無理に等しいぜ!!」
そう言うとコウは左手で鎌の部分を外し手裏剣に向けて投げた。
ガチャチャン!!
マイ「鎖鎌か・・・」
鎌の部分も鎖で繋がれており、手裏剣を弾いた鎌はそのまま本体に戻った。
マイ「とんでもない武器だねそいつは・・・今ので分かったけど全部鎖で繋がってんだろ?」
コウ「ご名答。全部明かすとこいつは・・・」
そう言うとコウはジェノサイドブレードを宙に投げた。と。
マイ「!!」
コウ「こうなんのさ。」
宙に投げたジェノサイドブレードは鉄球、斧、鎌、槍全てが鎖で繋がれており、柄も三本になりそれぞれ鎖で繋がれていた。
マイ「斧に鎌、槍と鉄球・・・それに三節棍・・・それ全部が鎖で繋がってるんだ・・・」
コウ「ああ。そんなんだから一番上の柄は集中してて絡まりやすいんだ。その分武器が揃ってるから三節棍として戦ったら威力は高いぜ。」
マイ「だったらそいつに当たらなきゃいいのさ!!」
そして再びマイはコウに向かい走り出した。
コウ「来るか!!」
コウはジェノサイドブレードを一つに戻しマイに向かった。
ジタン「お。お前ら。」
ラニ「やぁ。」
その頃ジタンとダガーの所にラニ達が来ていた。
ミコト「あら?コウは何処?」
ダガー「コウなら・・・マイの所に・・・」
ミーナ「もしかして・・・」
ジタン「ああ。決闘だろうな。」
ミーナ「マイ・・・あの子なんて事を・・・」
ジタン「多分本気出すって言ってもジェノサイドブレードを解放してる程度だろうから多分大丈夫と思うが・・・」
ラニ「ジタンも知ってたんだハルパーの鎌を。」
ジタン「ああ。」
ミコト「大丈夫かしら・・・二人とも・・・」
ジタン「もしやばそうな気配を感じたら俺らが行けばいい話だ。」
ダガー「そうよね。でも行動は早い方がいいわ。今の内に行かない?」
ミーナ「賛成です。」
ジタン「じゃあ行くか。」
ミコト「ええ。」
そしてジタン達五人はコウとマイが戦っているピナックルロックスへ向かった。
マイ「はぁはぁ・・・」
コウ「もう終わりか?」
マイ「ま、まだまだ・・・!!」
その時コウとマイの戦いはマイが圧倒的不利になっていた。
コウ「よくここまでもったと言えるぜ・・・こいつの本当の姿を見せて生き残ってるのはお前が始めてだ・・・」
マイ「くっ・・・!!」
コウ「・・・何だよ・・・結局もう終わりかよ。」
マイ「・・・殺すんなら殺せよ・・・」
コウ「あ?」
マイ「殺すんなら殺せよ・・・って言ったのよ・・・!!」
コウ「いいんだな?」
マイ「言ったでしょ・・・覚悟は出来てるって・・・」
コウ「そうか・・・だったら望み通りに・・・」
そう言ってコウはマイの前に立ち、ジェノサイドブレードを振り上げた。
コウ「してやるさ・・・」
マイ「・・・」
マイは死を覚悟して目を閉じた。と。
「まい・・・」
マイ「!!」
マイの近くにトンベリのミルが来ていた。
マイ「ミル!!来ちゃ駄目!!」
コウ「あの時のトンベリか・・・」
ミル「まい・・・だめ・・・」
ミルはゆっくりとマイの前に来た。
マイ「ミル!!」
ミル「まい・・・まもる・・・みる・・・まもる・・・」
コウ「共倒れ希望か・・・だったら一緒に殺ってやろう・・・」
マイ「待って!!ミルは関係無いわ!!」
コウ「そんなに甘いもんじゃない・・・悪いがな・・・」
そう言ってコウはジェノサイドブレードを持つ右腕に力を込めた。
コウ「これで・・・お終いだ・・・」
マイ「お願い!!ミルは!!」
コウ「じゃあな・・・」
そしてコウはジェノサイドブレードを振り下ろした。
マイ「やめてぇーーーーー!!」
ドゴーーーーン!!
ジェノサイドブレードが振り下ろされ辺りに殺気が満ちた衝撃が走った。
ジタン「おおっと何だぁ!?」
その衝撃はピナックルロックスに向かい、リンドブルム高原に着いたばかりのジタン達にも届いた。
ダガー「もしかしてコウ・・・」
ミコト「まさかマイを・・・」
ミーナ「言わないで下さい!!」
ラニ「そ、そうだよ!!確かにあいつは・・・あいつは・・・!!」
ジタン「だったらこんな場所で立ち話してる暇は無い!!行くぞ!!」
ダガー「ええ!!」
そして五人は再び走り出した。
コウ「・・・」
マイ「あ・・・」
コウ「やっぱ出来ねぇよ。そこまでして守ろうとする奴を殺すなんか。」
マイ「コウ・・・」
コウがジェノサイドブレードを振り下ろした位置はマイのすぐ隣だった。
コウ「それに、お前もちゃんと涙を流す事が出来るって分かったしな。」
マイ「え・・・あ・・・」
マイは無意識に泣いていた。
コウ「そんな奴を殺すなんて出来ねぇよ。」
マイ「コウ・・・」
コウ「そんかわり俺の事もう探ろうとすんなよ。」
マイ「・・・分かった・・・」
ジタン「どうやら大丈夫のようだな。」
ダガー「ええ。」
コウとマイの戦いが終わった時、近くの草むらからジタン達が二人を見守っていた。
ミコト「で、いつまでここにいるの?」
ジタン「まぁもう少し泣いてるマイってのもいいんじゃないか?」
ダガー「悪趣味・・・」
ジタン「何か言った?」
ダガー「いいえ。」
ジタン「そうかいそうか・・・?」
ラニ「どした?」
ジタン「何か嫌な気配が・・・」
ミーナ「気配・・・ですか・・・?」
コウ「んじゃまぁ戻るとするか。早く立てって。」
マイ「あ・・・さっきので腰が・・・」
コウ「はぁ?ったくしょうがないな。先行ってるぞ。」
マイ「う、うん・・・」
そう言ってコウは先にその場を離れようとした。
ミル「まい・・・」
マイ「ミル、私は大丈夫よ。だから・・・」
コウ「マイ避けろ!!」
マイ「え?」
先に行ったはずのコウが何故か戻ってきた。
マイ「どうしたのコ・・・」
ザシュッ!!
マイ「ウ・・・?」
突然マイの後ろで何かが突き刺さった音が響いた。
ミーナ「マイ!!」
ミコト「マイ大丈夫!?」
それと同時にジタン達も飛び出してきた。
マイ「え?私は・・・別に・・・何とも・・・?ミルは?」
その時マイはミルが近くにいない事に気付いた。
ミル「ま・・・まい・・・」
マイ「え・・・?」
ミルの声がしてマイは後ろを振り返った。そこには・・・
マイ「ミル!!」
鉄製の小さめの槍が大量に刺さったミルの姿があった。
ミル「まい・・・みる・・・まも・・・」
そう言い残してミルは消滅した。
マイ「ミルぅーーーーー!!」
ミコト「誰!?姿を出せ!!」
ミーナ「マイ・・・」
マイ「ミーナ姉・・・ミルが・・・ミルがぁ・・・!!」
ミーナ「分かってる・・・!!姿を現しなさい!!」
ラニ「許さないよこんなの・・・!!」
その場全員がミルの死に怒りを覚えた。
マイ「もしかして・・・ミルは私を庇って・・・」
ジタン「・・・ああ。」
マイ「そんな・・・!!」
ミコト「泣くんじゃない!!」
マイ「!?」
泣いていたマイをミコトが叱った。
ミコト「今は泣く時なんかじゃない!!あなたが今する事はその悲しみを・・・怒りをミルを殺した相手に向けるのよ!!」
マイ「ミコト・・・」
ダガー「その通りよ!!」
コウ「誰だか知らんが・・・許すわけには行かない!!」
「別に許してくれと言ってねぇぜ。」
ジタン「そこかっ!!」
ジタンは謎の声がした方向に斬りにかかった。が。
ジタン「なっ!?」
ジタンが斬りかかった時にはそこには誰もいなかった。
「こっちだっつうの。」
ダガー「何者!?」
突然七人全員が見える場所にあの小男が現れた。
ジタン「俺の速さよりも速いのか・・・て事はマット以上かよ・・・」
ラニ「誰なんだお前は!?」
小男「俺の名はリトルボーイ。そこの裏切り者を殺しに来たんだ。」
コウ「貴様・・・奴らの手先か!?」
リトルボーイ「手先と言うか幹部候補だ。貴様を殺してお前の後を俺が埋めてやろうと思ってな。」
ジタン「それじゃあ何故ミルを殺したんだ!?」
リトルボーイ「あ?そっか貴様四年前に武器を奪った・・・あのモンスターを殺した理由か?んなの簡単だ、邪魔だったからだよ。」
マイ「!!」
リトルボーイ「もっとも邪魔だったのはそこの女だがよ。勝手にあのモンスターが出て来やがってな。」
マイ「・・・さない・・・」
リトルボーイ「あ?」
マイ「許さない!!あぁーーーーー!!」
突如マイを中心にとてつもない光が発せられた。
ミーナ「何この光!?」
コウ「まさかトランスか!?」
ジタン「ああ。間違いない!!」
マイ「はぁ・・・はぁ・・・!!」
光が収まり、トランスしたマイの姿は黒光りする本当の忍者が着るような服装だった。
ジタン「だけどヤバイ!!ありゃ怒りだけのトランスだ!!」
ミコト「それじゃあマイの命が!!」
ミーナ「マイ止めなさい!!」
マイ「うわぁーーーーーーー!!」
皆の声はマイには届かずリトルボーイに一心不乱に向かって行った。
リトルボーイ「その程度の速さで勝てると思うな!!」
ダガー「速い!!」
リトルボーイは肉眼では確認できないような速さで辺りを走り回りジタン達を翻弄させ始めた。
マイ「あぁーーーー!!」
しかしマイはリトルボーイほどのスピードではないが肉眼で確認できないような速さでリトルボーイを追い始めた。
ラニ「速っ!!」
ジタン「凄ぇなこりゃ・・・」
ダガー「感心してるんだったらあなたも行きなさいよ!!」
ジタン「そうは言ってもあのスピードは今の俺じゃきついって。」
コウ「だろうな。これは多少待つしかないな。」
ミーナ「多少って・・・どう言う事です!?」
ジタン「あのトランスはそうそう持つわけじゃない。どう考えてももうすぐ・・・」
マイ「うぐぅっ!!」
ミコト「マイ!!」
ジタンの言う通りマイのトランスはすぐに解除され倒された。
リトルボーイ「どうだい俺の力は。幹部に成ったあかつきには『迅速』とでも付けてもらおうか。」
コウ「・・・てめぇに二文字は勿体無いぜ!!」
リトルボーイ「黙れ!!死ねやぁーーーー!!」
リトルボーイはミルにも投げ付けた小型の槍を大量に投げ付けた。
コウ「みんな下がれ!!こいつは俺がやる!!」
ガチャチャチャン!!
コウはジェノサイドブレードの鎖で槍を全て受け止めた。
リトルボーイ「やるじゃねぇか!!流石は炎血の名を授かった者!!殺しがいがあるってもんよ!!てぇいっ!!」
そしてリトルボーイはまた高速移動を始めた。
ダガー「大丈夫なの!?」
コウ「大丈夫だ!!だからそこから一歩も動くんじゃないぞ!!」
そう言ってコウはジェノサイドブレードを地面に刺し、右腕の袖をめくって包帯を数枚外した。
コウ「それっ!!」
そしてコウは包帯を辺りに張り巡らさせた。
ダガー「結界!!」
コウ「まだまだ!!」
そしてコウはまだ結界を増やした。
ジタン「なるほどな。あのウィップ、結界を張れば目に見えないんだな。」
結界として張り巡らせたウィップは辺りに溶け込むかのように見えていなかった。
コウ「今の結界の役割は二つ・・・一つは・・・」
リトルボーイ「ちぇいあぁーーーー!!」
説明中にリトルボーイが槍を投げ付けてきた。
ラニ「来た!!」
コウ「動くんじゃない!!大丈夫だ!!」
ダガー「大丈夫って言っても・・・ってええ!?」
何故か槍は途中でそれて別の場所に向かって行った。
コウ「敵の射出や投擲などの攻撃を受け止めてそのまま受け流す・・・二つ目は・・・」
リトルボーイ「何だってんだチキショッ!!おつっ!!」
リトルボーイの足がウィップに触れた。
コウ「敵の存在を確認する!!そこだぁっ!!」
コウはリトルボーイがいるとされる場所にジェノサイドブレードを投げ付けた。
リトルボーイ「おわっ!?」
コウがジェノサイドブレードを投げ付けた場所に本当にリトルボーイがいたが、寸前で避けていた。
コウ「もらったぁ!!」
コウはリトルボーイに飛び掛り、右手のグローブと包帯を少し解き陣を描いて錬金術を発動させようとした。
ラニ「駄目だって!!今使ったらアンタの体が!!」
コウ「そうじゃねぇよ!!ただちょっと拒絶反応は来るだろうがな!!」
ラニ「拒絶反応って・・・まさか!!」
コウ「ちょっと補給させてもらうぜ・・・てめぇの命でな!!」
リトルボーイ「何ぃ!?」
ドシュゥ!!
リトルボーイ「ぐぼぉ!!」
コウの右腕がリトルボーイの腹部に突き刺さった。
コウ「これをやるの久々だ・・・てめぇで何人目かは・・・忘れたがな・・・!!」
バァーーーー!!
リトルボーイ「ギャァーーーーーーー!!」
ダガー「な、何が起こってるの・・・?」
コウ「ふう・・・」
ミーナ「リトルボーイがいない・・・?」
コウの右腕にはリトルボーイはいなかった。すると。
コウ「ぐぅっ!!」
突然コウが右腕を押さえて倒れた。
ダガー「コウ!?」
ジタン「駄目だ離れてろ!!」
コウ「だ、大丈夫だ・・・もう・・・治まった・・・」
話しながらコウは包帯を巻きなおしてグローブをつけた。
ダガー「コウ・・・大丈夫?」
コウ「ああ・・・それよりもマイは・・・」
ミコト「大丈夫、命に別状は無いわ。」
ミーナ「そう・・・」
マイ「私は・・・」
ミーナ「マイ・・・」
マイ「ミーナ姉・・・私・・・」
バチン!!
マイ「!?」
ミコト「ミーナ!?」
突然ミーナがマイに平手打ちをした。
ミーナ「こうなったのは全部あなたのせいよ・・・分かってる・・・?」
マイ「・・・」
ミーナ「あなたがこんな事しなければミルも死ななかった・・・」
マイ「・・・」
ミコト「もういいわよミーナ。」
ミーナ「ですが・・・」
ミコト「いいのよ。今回の事でマイ自身身に沁みたでしょう・・・」
マイ「・・・」
ミコト「だからお願い、私達と一緒に来てマイ。ミルの為にも。」
マイ「ミル・・・うん・・・」
ジタン「今度は立場が逆か。強くなったなミコト。」
ミコト「ええ。」
ラニ「それじゃあっちに戻ろ・・・ん?」
ダガー「どうしたの?」
ラニ「これ・・・あのトンベリの包丁?」
ラニの足元にミルの包丁が落ちていた。
ラニ「・・・マイ・・・」
ラニはその包丁をマイに渡した。
マイ「・・・ありがとう・・・」
ジタン「・・・あのトンベリ・・・お前の事が好きだったんだな・・・」
マイ「ミルは・・・私がここに来た時モンスターに襲われてて・・・ほっとけなくて助けて・・・それからずっと一緒に・・・一緒に・・・!!」
泣きながらマイはミルと出会った事を話した。
マイ「ミル・・・」
ミコト「・・・マイ・・・大丈夫よ。」
マイ「・・・?」
ミコト「ミルはずっといるわ・・・あなたの心に・・・だから・・・もう泣かなくていいのよ・・・」
マイ「ミコト・・・」
ミコト「あなたが私を嫌っていようと私はあなたを仲間だって思ってる。だから・・・」
マイ「・・・別に嫌いじゃないよ・・・」
ミコト「え?」
マイ「私はアンタの事・・・嫌いじゃないよ・・・父さんと母さんが話してくれてたアンタに会いたいって思ってたんだけど・・・心のどこかで許せなくて・・・それで・・・」
ミコト「マイ・・・」
マイ「ごめん・・・」
ミコト「ううん。私は気にしてないわ。だからこれから・・・一緒に頑張りましょう。」
マイ「・・・うん。」
そう言って二人は握手をした。
ジタン「これで一つ問題が解けたな。」
ダガー「ええ。でも・・・」
コウ「あいつの事か。」
ダガー「コウの事知ってるようだったけど・・・何者なのかしら・・・」
ジタン「ただ言える事はコウ絡みって事だけだ。」
コウ「ああ・・・もしかしたら至極個人的な事かもな・・・」
ジタン「さてと・・・約束の時はもうすぐだ。みんな準備はいいよな。」
ビビ「うん。」
エーコ「もち。」
ダガー(戦士服)「ええ。」
レットが宣言した決戦の時を迎えたジタン達は出撃の準備を全て済ませていた。
ジタン「さてと。場所は前に言った場所だ。それぞれの現場にエリンのヒルダガルデと俺のインビンシブルで送る。」
エリン「火の封印、土の封印、水の封印は私が送ります。」
ジタン「で、残る決着班と金、木の封印は俺が送る。」
ダガー「でも封印を解除しても二十分以内に元に戻るんでしょ?大丈夫なの?」
ジタン「それに関しちゃこいつを使うさ。」
そう言ってジタンは木の葉のような物を取り出した。
ミコト「それひそひ草じゃない。どうしたの?」
ジタン「バッツの星から貰って来たんだ。全班分六枚ある。持ってってくれ。」
そう言ってジタンはひそひ草を各班の一人に渡した。
ジタン「これさえあればいつ何処が解除したか分かるだろ。」
ミコト「なるほど〜・・・」
マイ「それじゃ早く行きましょう。ぐずぐずしてる暇なんて無いんだから。」
シルフ「おや?いつになく乗り気じゃん。どうかした?」
マイ「別に・・・」
エーコ「何か最近マイ変わったよね。」
ビビ「そうだよね。昨日だって・・・」
ジタン「ん?何食べてるんだ?」
ダガー「メロンパンよ。さっきお店が来て沢山買ったの。」
昨日の話、ジタン達の一部はメロンパンを食べていた。
ビビ「結構種類あるんだね。」
エーコ「あたしはチョコチップが一番美味しいわ。」
ミーナ「そうそう。あ、マイ見ませんでした?」
ジタン「いんや。どうして?」
ミーナ「あの子は・・・」
ミコト「あ、マイが来たわよ。」
マイ「何してん・・・の・・・」
ダガー「みんなでメロンパンを食べてるの。マイもど・・・う・・・?」
マイ「・・・・・・・・・・・・」
ミコト「マ、マイ・・・?」
マイは口を開けたままメロンパンを見つめて固まっていた。
ジタン「おいおい・・・よだれ出てるぞ・・・」
ビビ「しかも大量に・・・」
ミーナ「マイ。」
マイ「はっ!?」
ミーナに話しかけられマイは正気を取り戻した。
エーコ「もしかしてマイって・・・」
マイ「う、うるさい!!そんな事・・・」
ミーナ「素直になりなさいよ。あなた我を忘れるほどメロンパン大好きなんだから。」
マイ「う、うぅ〜・・・」
ミコト「はい。」
ミコトはマイにメロンパンを一個渡した。
マイ「・・・ありがとう・・・」
ミーナ「そうそう。人は素直が一番よ。」
マイ「栄養が全部乳に行ってるミーナ姉に言われたくないよ・・・」
ジタン「ごぶっ!!」
ダガー「何で吹き出すのかしら〜・・・?」
ジタン「な、何でも・・・」
ミーナ「マ、マイ!!」
マイ「ま、私もミコトよりは大きいからいいか。」
ミコト「むっ!!い、いいでしょ大きさなんか!!」
エーコ「いや〜やっぱ重要じゃない?あたしはまだ成長期だからいいけど。」
ミコト「エーコまで・・・もう!!」
ジタン「そんなこたぁ今はいいよ。とりあえずすぐに出発だ。」
フリオニール「ああ。」
ワルキューレ「分かった。」
そしてそれぞれが乗る飛空挺の場所に向かった。と。
ラニ「ダガー、ちょっといいかい?」
ダガー「え?」
ラニがダガーを呼び止めた。
ラニ「念の為に言っておくけどさ・・・もしあいつの左目が目潰しとか何かされて見えない状態になったらさ・・・あいつを止めてやってくれ。」
ダガー「左目・・・?とりあえず分かったわ。」
ラニ「頼むね。」
ダガー「ええ。」
そしてダガーもインビンシブルに乗り込み出発した。
ガーネット「いよいよ始まるのね・・・」
リース「それが私達の存在した理由だ・・・仕方あるまい・・・」
今までの光景を魂だけのこの二人は空からずっと見ていた。
ガーネット「大丈夫よね・・・みんな・・・」
リース「奴らは強い。心配しなくて大丈夫だろう。」
ガーネット「そうだけど・・・何だか胸騒ぎがする・・・」
リース「胸騒ぎ?」
ガーネット「何かとてつもなく嫌な予感が・・・はっ!?」
リース「どうしたガーネット?何が・・・うわっ!!」
突然二人の魂が何かに吸い込まれるかのように下、現世に落ち始めていた。
リース「くぅ・・・!!」
リースはその力に抗いその場で何とか止まっていた。が。
ガーネット「リースさん!!」
ガーネットは力が足りず、そのまま下に落ちていった。
リース「ガーネット!!」
ガーネット「リースさーーーーーん!!」
そしてガーネットは完全に下に落ちた。
リース「ガーネット!!くそ・・・何が起こったんだ!!」
大男「ぐふふふ・・・これで準備は出来た・・・後はあの野郎ら全部を殺せば・・・ぐははははは!!」
(ジタン・・・さん・・・)
ジタン「!?」
ダガー「どうしたの?」
ジタン「い、いや・・・何でもない・・・」
何かを感じ取ったジタンだったがすぐに気を取り直して封印へ向かった。
ジタン(もしかして姫に何かあったのか・・・リース・・・)
心の中でそう思いながらジタンは船の舵を取り続けた。
謎の男により犠牲となったミル・・・その思いを受け仲間との、ミコトとの蟠りを消したマイ。そしてもう一人の男は何を企んでいるのか・・・ガーネットの魂はどうなってしまったのか・・・
続く
あ と が き
遂にコウがとんでもない物を使いました。
そしてミルが死にました。
マイのメロンパン好きは思い付きですよ。
そして姫はどうしたのか・・・?
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