CRYSTAL MEMORY STORY

第一部 青と赤の物語
第二十九話 出航再スタート



グルグ火山でエーコとヒルダを助け出した一行は船の国リンドブルムに来ていた。

シド「クジャに変な事されなかったケロ?」

ヒルダ「ええ、あの男は女性に対しては礼儀正しい男でしたわ。どこかの浮気者とは違って。」

シド「うっ!!そのことは反省してるケロ!!だからこそ危険を承知でお前を助けに行ったケロ!!」

ヒルダ「本当かしらねえ?ヒルダガルデ一号を取り返したかっただけじゃなかったのかしら?」

シド「ウソじゃないケロ!!ワシが悪かったケロ!!だから早く人間に戻して欲しいケロ!!カエルも虫もイヤじゃケロ!!もう絶対浮気はしないケロ!!」

ヒルダ「わかりましたわ。元の姿に戻しましょう。でも今度浮気したらヘッジホッグパイにしますよ。」

シド「そ、それはカンベンケロ!!と、とにかく早くして欲しいケロ!!」

ヒルダ「はいはい。」

そしてシドはヒルダに飛びつき、ヒルダは優しくシドに唇を当てた。と。

シュパァ!!

光が溢れ、消える頃にはカエルではなくダンディーな男がいた。

シド「おお・・・遂に人の姿に戻ったケロ!!これで3号機の建造に本格的に着手できるブリ!!」

ヒルダ「・・・」

シド「・・・はっ!!イカン!!今までのクセが抜けきっておらんわい。」

ヒルダ「あなた・・・」

シド「すまなかったな、ヒルダ。」

二人は抱き合った。そして数時間後。





コウ「久々の登場だな。」

ベアトリクス「そうですね。」

大公の間に旅に出たメンバーと残ったメンバーにバクーとマーカス、シナと人間シドとヒルダがそろっていた。

シド「え〜ではこれからヒルダが取れられていたときに聞いた話をするので、皆心して聞くケ・・・うふぉん!!聞くのじゃ。」

ダガー「おじ様・・・まだカエル言葉が・・・」

シド「う、うるさいケロ!!」

コウ「駄目だな・・・」

シド「そ、そんなことよりヒルダの話を聞くのじゃ!!」

ヒルダ「にわかには信じがたいのですが、クジャはこの星の人間じゃないそうなのです。」

ほぼ一同「!!」

バクー「こ、この星の人間じゃないだぁ!?」

ベアトリクス「信じられません!!」

コウ「でも、100%無いって話じゃないぜ。ガイア以外にも生物が住む星だってあるらしいからよ。」

ルビィ「簡単に言うけどやっぱ信じられない話やな。」

ヒルダ「クジャは自分の住む星をテラを名乗っていました。」

ビスク「テラ!?」

エーコ「知ってるの?」

ビビ「忘れられた大陸にあったウイユヴェールって場所にテラっていう星の記録があったんだ。」

エーコ「テラ・・・か・・・」

ヒルダ「テラとガイアは輝く島と呼ばれる場所で結ばれているようです。」

フラットレイ「輝く島と言えば閉ざされた大陸の近くにある島ではないか?」

フライヤ「ええ、そうです。」

ヒルダ「ですが輝く島からそのままテラへは行けないようです。」

サラマンダー「そりゃそうさ、そんなに世の中甘くないぜ。それだったら今頃誰でもその別世界を知ってるじゃねぇか。」

コウ「お前な・・・」

ヒルダ「・・・この話には続きがあります。二つの世界をつないでいる場所は封印されているらしいのですが、封印をとく鍵になる場所があるとも言っていました。」

ベアトリクス「それはどこなんです?」

ヒルダ「忘れられた大陸の北にある古城だとクジャは言っていました。忘れられた大陸の古城については、冒険家だったイプセンの見聞録に残っています。それによれば深い崖のために探索を断念した、と記されていたように記憶しております。いずれにしても忘れられた大陸そのものがあまり知らされていないので、何とも言えませんが・・・とりあえず、この古城には名前が無いのでイプセンの古城と呼ぶことにしておきます。」

ダガー「イプセンの古城・・・」

ヒルダ「私が聞いた話は以上です。」

エーコ「でもどうやってクジャからそんなこと聞き出したの?」

ヒルダ「私は一度も聞きだしていませんよ。あの男はおしゃべりでしたからね。喋っていくうちに自分の言葉に酔っていって・・・私が質問をするまでもなく、あれこれと話してくれるのです。」

コウ「いわゆるナルシストか・・・」

ラニ「生理的に受け付けれないんだけど・・・」

ベアトリクス「確かにそんな感じはしましたね・・・」

シド「ワシはこれから三号機の建造に入る。いったん解散しよう。」

シナ「そう言えばジタンはいったいどうしたズラ?」

ダガー「!!」

ジタンと言う名を聞いてダガーは悲しい顔をした。

ダガー「・・・」

シナ「あ、あら〜・・・」

スベ「馬鹿者〜!!」

ブバ「馬鹿野郎〜!!」

コラ「馬鹿たれ〜!!」

一斉にシナに集中攻撃が飛んだ。

ドコドコドコドコ!!

シナ「きゅ〜・・・」

ダガー「気にしなくてもいいわ・・・」

エーコ「ダガー・・・」

フライヤ「そこなんじゃが、今一度解散するのを遅らせてもらえないか。」

一同「?」

フライヤ「この戦いに深く関わるあるものを呼んでおるのでな、入るのじゃ。」

フライヤが呼ぶと奥からあの男が現れた。

スタイナー「な、お前!!」

?「・・・」

そう、グルグ火山で皆を助けたあの男であった。

ビビ「いったいどう言うこと?この人とフライヤ、知り合いなの?」

フライヤ「少なからず、この場にいる皆知っておるぞ。」

一同「え?」

フライヤ「な。」

?「ああ・・・」

男は呟くと羽織っていたコートを脱ぎ捨てた。

ビエ「ええっ!?」

スク「なっ!?」

ダガー「!!」

他一同「ああ!!」

ジタン「・・・久しぶりだな・・・」

今までと変わらぬ服を着て額にピンクのバンダナを巻いたジタンであった。

ダガー「ライフ・・・!!」

ダガーの眼に涙が溢れた。

ジタン「・・・ただいま、セーラ。」

ダガー「ライフ!!」

皆がいるのに思わずダガーはジタンに抱きついた。

ジタン「ごめんよ・・・」

ダガー「馬鹿!!ずっと一緒にいるって言ったじゃない!!」

ジタン「ごめん・・・」

二人は周りの目も気にせずに強く抱き合った。

コウ「お暑いところ申し訳ないが、そんなこと他でやっとくれ。」

ダガー「べ、別にいいでしょ!!」

コウ「はいはい・・・で、ジタンは何を知っているんだ?」

ブランク「つうかライフとセーラって何?」

ジタン「ああ、順を追って話すよ。まずはテラの目的をな。」

ビビ「テラの目的?クジャじゃなくて?」

ジタン「まずはこっちからのほうがいいんだよ。さっきヒルダ姫から聞いているから分かると思うけどテラはガイアとは別の世界、元は別の星なんだ。」

皆真剣に話を聞いている。

ジタン「テラは魔法文明が発達した星で、星が衰退した時別の星と融合することによって永遠の生を手に入れていたんだ。」

コウ「ほ、星の融合!?」

ジタン「詳しくは分かんないけど、ずっとそうしてきたんだ。ビビ達は知ってるだろ?」

ビビ「え?う、うん。」

ジタン「そしてテラは融合の標的としてガイアを選び、実行した。五千年近く昔の話だそうだ。」

ラニ「ちょっと待ちなよ。ガイアとテラってのが融合したんならテラはいったいどうしたのさ?」

ジタン「ガイアの中さ。」

一同「は?」

ジタン「融合は失敗してガイアの文明は完全に滅び、テラの施設をいくつか地表に残してテラはガイアの内部に移っちまったのさ。二つの月も融合の失敗から出来たものさ。」

コウ「つまり月の一つはガイアので、もう一方はテラの月か。」

ジタン「ああ。ちなみに青いのがガイアで赤いのがテラさ。」

ルビィ「な、なあ、ちょっとええか?」

ジタン「?」

ルビィ「さっきから黙って聞いていたけど、何でそんなこと知ってるん?まるでアンタが・・・」

一同ルビィが言おうとすることを聞こうと静かになった。

ルビィ「テラの人間みたいに・・・」

ビビ「あ!!」

コウ「そ、そう言えば気付かなかった・・・」

ブランク「そこんとこはどうなんだいったい!?」

ジタン「さしずめ・・・ダガー、いやセーラは分かってるだろう。」

ダガー「・・・うん。」

エーコ「え!?どう言うこと!?教えてよダガー!!」

皆ダガーの方を見た。

ダガー「・・・ジタン・・・いえ、ライフは・・・」

皆静かになった。

ダガー「・・・クジャの、弟よ。」

一同「!!」

一同に衝撃が走った。

コウ「お、おいマジかよ!!」

ルビィ「う、ウソやろ!!ジタンがあんな最低野郎の弟やなんて!!」

ジタン「・・・本当さ・・・俺の本名はライフ、ライフ=カリスミィだ。」

ベアトリクス「た、確かクジャもカリスミィって姓だったような・・・」

ジタン「な、これで分かったろ?俺は霧の三大国を破壊した男の弟だ。」

ダガー「そしてマダイン・サリをもね・・・」

エーコ「マダイン・サリも!?」

ダガー「ええ、それと私の本当の名前はセーラ、セーラ=レーンブールよ。」

一同「・・・」

一同沈黙した。

ジタン「本当は俺がクジャの代わりをするはずだったんだよな・・・」

ビビ「クジャの代わり?」

ジタン「テラがガイアをのっとるために必要なものがあるんだ。俺とクジャはそれを集めるために存在するようなもんだ。」

クイナ「必要なものアルか?」

ジタン「・・・ガイアの魂さ。」

エーコ「た、魂!?」

ジタン「詳しくは聞かされてないからわかんないけど、何かをいじくることによってテラの魂が精製されるさしいんだ。」

ビビ「それじゃあガイアの魂は?」

ジタン「みんなが知ってるあるものがガイアの魂の残りカスさ。」

コウ「残りカス?まさか”霧”!?」

ジタン「そう、”霧”はガイアの魂がテラの魂に精製されたときに出来る残りカスさ、ちなみに千年前の話な。」

コウ「”霧”が魂・・・でお前らは魂を集めるために何をしたんだ?」

ジタン「簡単なことさ、魂が大量に必要だからそれを集めるにすることは一つだろ?」

サラマンダー「・・・戦争か。」

ジタン「半分正解。昔は”霧”の闘争本能で起こってたけどシドの先祖が飛空挺を作って戦争は終わっちまったからな。だから俺達・・・いや、俺がしたことは一つ・・・」

コウ「・・・まさか・・・」

ジタン「・・・沢山の人を・・・殺した。」

ビビ「ええ!?」

エーコ「そんな!!」

ブランク「ちょっと待てよ!!お前拾われたの六歳だろ!!いつ人を殺したんだよ!?」

ジタン「簡単な計算だ。拾われる前、つまり五歳頃だ。」

ラニ「そんな頃から・・・人を殺すって・・・」

ジタン「その時はテラのためだから仕方がないと思ったし、いずれ全部なくなるんだから何とも思わなかったんだ。それでも最初に殺した人の事は覚えている・・・」

ビビ「最初の人?」

ジタン「最初に殺したのは、女性だったな。それも生まれたばかりの赤ん坊を抱いていたっけ・・・」

そう言って悲しそうなな顔でビビを見た。

ビビ「え?」

ジタン「最初に殺したのは・・・ビビの母さんだ。」

ビビ「!!」

エーコ「ええ!?」

ジタン「八月の雨が冷たかったからよく覚えているんだ・・・その時はまだ罪悪感を感じたのかどうだったのかもう分かんないけど、赤ん坊には手を出せなかった・・・その後女性はク族に赤ん坊を預けて・・・」

ビビ「ジタン・・・」

ジタン「・・・殺すなら殺せよ・・・簡単に言えば俺はガイアの死神なんだから・・・」

ビビ「そんなことしない、出来ないよ・・・」

ジタン「それからも俺は沢山人を殺し続けたあの子に会うまでは・・・」

エーコ「あの子?」

ジタン「ああ・・・」



ジタンの回想



幼ジタン「・・・今日はあと一人殺せればいいか・・・」

ジタン(あの日も俺は沢山の人を殺していた・・・そして剣の国アレクサンドリアに来ていたんだ。)

コウ(剣の国アレクサンドリアで十年前に殺人事件ってあったか?)

ベアトリクス(確か五、六件程ありましたよ。)

ジタン(だけど俺が話すのはその事件じゃない。あの日は凄い大雨だった・・・そして雨の中俺はある女の子の元に来たんだ・・・)

女の子「・・・あなたはだれです?」

幼ジタン「・・・」

女の子「そんなに濡れていると風邪をひきますわよ。どうぞこちらへ。」

幼ジタン「・・・」

幼いジタンは何も言わずに短剣を握り締めた。

女の子「・・・あなた、最近起こっている怖い事件の犯人ですね・・・」

幼ジタン「!!・・・どうしてそれを・・・」

女の子「暗くてよく分かりませんが、あなたの服に血がついていますね。それにその刃物から異様な殺気を感じられます。」

幼ジタン「・・・ではもし僕がその犯人とやらだったらどうする?」

女の子「・・・別に何とも思いませんわ。」

幼ジタン「・・・怖くないのか?自分が殺されるかもしれないんだぞ。」

女の子「死は怖くありません。それに私はもうじき病気で死ぬのですから・・・」

幼ジタン「・・・何故自分が死ぬと分かるんだ?」

女の子「毎日お医者様が私のところにいらっしゃるし、私自身苦しさを感じておりますから。」

幼ジタン「・・・」

女の子「それで、私を殺すのですか?」

幼ジタン「・・・うん・・・」

女の子「・・・こちらにいらしてください。」

幼ジタン「え?」

女の子「どうぞこちらに・・・」

幼いジタンは言われた通りに女の子の近くに来た。そして女の子は幼いジタンの眼を見た。

女の子「・・・あなたの瞳はとても綺麗な輝きを帯びています。しかし今は恐怖と悲しみに染まり、美しさを失っています。」

幼ジタン「・・・」

女の子「あなたは何に怯えているのです?」

幼ジタン「怯えている?僕が?」

ジタン(彼女の話す言葉はとても優しかった・・・そして俺はこの時、クジャの力に怯えていたんだ。従わなかったら殺されると思って・・・)

女の子「あなたにはこの先、幾多もの試練が待ち受けていると思います。ですが、自分らしさを忘れずにいれば必ず正しい答えにたどり着きます。」

幼ジタン「正しい・・・答え・・・」

女の子「そう・・・正しい答え・・・ゴホッゴホッ!!」

幼ジタン「!!大丈夫!?」

女の子の口からは血が出ていた。

幼ジタン「・・・どうして僕・・・心配何かしたんだ・・・?」

女の子「それは・・・あなたが優しいからですよ・・・」

幼ジタン「優しい・・・僕が・・・そんなわけ無いじゃないか!!僕は沢山人を殺したんだぞ!!優しくなんか・・・!!」

女の子「たとえ罪を犯していても、優しさは誰にでもあるのです。あなたにも・・・」

幼ジタン「僕にも・・・」

女の子「・・・お願いがあります。」

幼ジタン「え?」

女の子「・・・空に記憶を・・・還させて下さい・・・」

幼ジタン「・・・殺してって事?」

女の子「うん・・・」

幼ジタン「どうして・・・どうして自分から?」

女の子「さっきも申したでしょう。私はもうじき死ぬのです。それは遅かれ早かれ数日以内に・・・ですからこの苦しみを和らぐために・・・お願いします。」

幼ジタン「・・・わかった。」

幼いジタンは短剣を強く握った。

女の子「最期に・・・あなたの名前は?」

幼ジタン「・・・ライフ=カリスミィ・・・」

女の子「ライフ・・・命ですが。いい名前ですね。私はガーネット、ガーネット=ティル=アレクサンドロスです。」

ベアトリクス(ガーネット様!?)

ジタン(そうさ・・・)

幼ジタン「それじゃあ・・・いくよ・・・」

ガーネット「はい・・・」


サクッ・・・


何かが刺さった音と同時に大きな雷が響いた。そしてガーネットの胸から沢山の血が流れていた。

ガーネット「・・・ありが・・・とう・・・」

幼ジタン「!!」

最期に『ありがとう』と言い残し、ガーネットは息を引き取った。幼いジタンは自分のした事に何かを覚え、体が震えていた。

幼ジタン「うっうっ・・・」

幼いジタンはもう一度ガーネットを見た。傷が無ければただ眠っているような安らいだ表情で死んでいた。

幼ジタン「あっ・・・」

カシャン

幼いジタンはその場に短剣を落とし、自分の手を見た。ガーネットの血で真っ赤に染まっていた。そして服も今まで殺した人の血で真っ赤に染まっていた。

幼ジタン「うっ・・・うっ・・・うわあぁーーーーー!!」





ジタン「これが十年前の真実さ・・・」

コウ「ガーネット姫は病死ではなくて、殺されていたのか・・・」

ジタン「あの光景は今でも夢に出てくるんだ・・・何度も何度も・・・」

コウ「でも本当だとしてもなんで殺されたって報告しなかったんだ?」

ジタン「・・・怖くなって我武者羅に彼女が病死したように俺が細工したんだ。刺し傷を見られて彼女が何の抵抗も無く殺されたなんて思われないように。」

ダガー「確かにそうよね・・・普通だったら抵抗するよね・・・」

ジタン「俺は自分がしてきたことに初めて疑問を抱いた。でも逆らえば俺が死ぬ・・・だから俺は何も出来なかった・・・」

ルビィ「ジタン・・・」

ジタン「そしてその後俺はクジャの命令である村の人間を全て殺せと言われてその村に行った。」

エーコ「村?」

ダガー「マダイン・サリね・・・」

ジタン「そう・・・召喚士が住む村マダイン・サリ・・・本当は俺が滅ぼすはずだった・・・」





幼ジタン「ここか・・・」

幼いジタンはまだ崩壊していないマダイン・サリの近くに来ていた。

幼ジタン「・・・後何人殺せばいいの・・・どうして僕がやらなくちゃいけないんだ・・・?」

幼いジタンは悩んでいた。

幼ジタン「でもやらなきゃいけないんだ・・・テラのためにも・・・」

悩みながら歩いていると花畑に来ていた。

幼ジタン「・・・この花もいずれ全部なくなってしまうんだろうな・・・ん?」

幼いジタンは花畑に何かを見つけた。それは。

女の子「らんららんらら〜ん♪」

鼻歌交じりで花を摘む女の子であった。しかもその女の子は・・・

幼ジタン「・・・ガーネット・・・?」

死んだはずのガーネットに似ていた。

幼ジタン「そんなはずは無い・・・彼女は僕が・・・僕が・・・」

女の子「ふんふふ〜ん♪・・・あれ君は?」

幼ジタン「!!」

女の子が幼いジタンに気付いた。

女の子「もしかして迷子?だったらあたしがお家まで連れてってあげるよ。」

女の子が幼いジタンに近づいた。

幼ジタン「うっ・・・」

女の子「ねえ。」

幼ジタン「来ないでぇ!!」

女の子「きゃっ!!」

幼いジタンは短剣を振り回し、女の子をはらった。その時。

女の子「い、痛いよう・・・」

女の子の右腕に切り傷が出来ていた。

幼ジタン(まずい、殺さなくちゃばれる!!)

そう思い幼いジタンは女の子を押し倒し短剣を構えた。

女の子「あうっ!!」

幼ジタン「・・・」

幼いジタンは今にも女の子の胸に短剣を突き刺そうとしていた。が、ふと女の子の顔を見てしまった。

女の子「・・・」

女の子は痛みと恐怖により、涙が溢れていた。

幼ジタン「!!」

その時幼いジタンはあの時のことを思い出した。


ガーネット「・・・ありが・・・とう・・・」


幼ジタン「あ・・・」

ガーネットを殺した時のことを思い出し、幼いジタンの腕は止まった。

幼ジタン「・・・」

幼いジタンは何も言わずに女の子を放した。

女の子「・・・?」

女の子は何がなんだか分からなかった。

幼ジタン「・・・行きなよ・・・」

女の子「?」

幼ジタン「行くんなら早く行け!!僕の気が変わらないうちに!!」

女の子「う、うん・・・」

女の子はその場を離れた。

幼ジタン「・・・何で殺さなかったんだろう・・・」

幼いジタンは自分のしたことに疑問を抱いた。と。

女の子「後ろ危ない!!」

遠くから女の子が幼いジタンを呼んだ。

幼ジタン「え?・・・!!」

幼いジタンは後ろを見たが、時既に遅く、腹部に何かが刺さりそこからおびただしい血が流れていた。

幼ジタン「ト、トロール・・・」

幼いジタンを襲ったのはこのあたりに潜むトロールであった。トロールは手に持った槍で幼いジタンを突き刺していた。

幼ジタン「うっ・・・」

幼いジタンはだんだん意識がなくなってきた。

幼ジタン(僕・・・ここで死ぬのかな・・・だったら・・・もう一度・・・君に会えるかな・・・)

そして幼いジタンの意識は完全に無くなった。



・・・て

幼ジタン「・・・」

眼を・・・して・・・

幼ジタン(誰・・・?)

?「眼を覚まして!!」

幼ジタン「う・・・」

幼いジタンは目を覚ました。

幼ジタン「あれ・・・僕死んだんじゃ・・・」

?「よかった〜・・・」

幼ジタン「!!君は・・・」

女の子「ねぇ、大丈夫?」

幼ジタン「どうして・・・?」

どうやら女の子が幼いジタンを介抱したようだ。

女の子「ほっとける訳ないじゃない!!君凄い怪我してたんだよ!!」

幼ジタン「・・・このまま死んだほうがよかったよ・・・僕に生きる資格なんて無いんだから・・・」

若干呆れながら言うと。

パチーーン!!

幼ジタン「つっ!!」

女の子が幼いジタンを引っ叩いた。

女の子「何馬鹿なこと言ってんのよ!!生きる資格が無い!?そんなわけ無いじゃない!!」

幼ジタン「でも僕は・・・君も殺そうとしたんだ・・・それなのにどうしてそんなことが言えるんだ?」

女の子「誰かを助けるのに理由がいるの!?」

幼ジタン「・・・」

女の子「それに・・・」

幼ジタン「それに?」

女の子「君の瞳よ。」

幼ジタン「瞳?」

女の子「君の瞳には優しさがあるからよ。」

幼ジタン「優しさ・・・彼女もそんなこと言ってたっけ・・・」

女の子「彼女?」

幼ジタン「僕がこの前殺した女の子さ・・・とても君に似ててね・・・」

女の子「・・・こ、殺した・・・?どうして?」

幼ジタン「・・・」

幼いジタンは事の全てを話した。

幼ジタン「だから僕は・・・死んだほうがいいんだ・・・」

女の子「・・・だったらなおさら生きなくちゃいけないじゃない。」

幼ジタン「え?」

女の子「殺したから死ぬ?そんなの逃げるのと同じじゃない!!だったら生きてその罪を償なきゃ!!」

幼ジタン「償う・・・僕が・・・あれ?」

幼いジタンは何かに気付いた。

幼ジタン「その傷・・・僕がさっき・・・」

女の子の右腕からは血が少し出ていた。

幼ジタン「ちょっと待って・・・」

幼いジタンはシッポを隠していた水色のバンダナを傷口に巻いた。

幼ジタン「ごめんね・・・痛かったでしょ・・・」

女の子「ううん、これくらい平気よ。あら?」

女の子は何かに気付いた。

女の子「君ってシッポあるんだ。」

幼ジタン「・・・おかしい?」

女の子「全然。あたしだってほら、角があるじゃない。」

確かに女の子の額には角があった。

幼ジタン「ほんとだ。」

女の子「ふふっ。」

幼ジタン「どうしたの?」

女の子「やっと笑ったね。」

幼ジタン「え?」

幼いジタンは自然と笑っていた。

幼ジタン「どうしてかな・・・?」

女の子「いいんじゃない?どうして笑ったかなんて気にしなくて。」

幼ジタン「そう・・・かな?」

女の子「そうだって!!あ、そうそう。君の名前は?」

幼ジタン「え?」

女の子「名前。いくらなんでもあるでしょ?」

幼ジタン「う、うん。僕はライフ、君は?」

女の子「あたしはセーラ、よろしくねライフ!!」





ジタン「これが俺とセーラが始めて会った時の話さ。」

コウ「はぁ〜昔はティルってオテンバでグイグイ引っ張るタイプだったんだ。」

ダガー「元気って言ってくれない?」

コウ「おっと失礼。」

ダガー「それに今思えば髪を縛ってたあのリボンも元々この時にライフからもらったバンダナだったのよね。」

ブランク「貰いもんばっかだな。」

ジタン「話を戻すぞ。」





幼ダガー「所でライフはこれからどうするの?」

幼ジタン「そう言えば何も考えてなかったな。帰ったって下手したら消されるかもしれないし・・・」

幼ダガー「だったらあたしの家にきなよ、君なら歓迎だよ。」

幼ジタン「えっ?いいの?」

幼ダガー「もちろん!!じゃ行こう!!」

幼いダガーは幼いジタンの手を握り走り出した。

幼ジタン「ちょっちょっと待ってって!!」

幼いダガーに連れられ幼いジタンはマダイン・サリに到着した。

幼ダガー「ここがあたしの住んでる村よ。いい所でしょ〜!?」

幼ジタン「そ、そうだね・・・」

と、二人の所に村の子供数人が来た。

女の子A「セーラちゃん帰ってきてたんだ!!」

男の子B「みんな心配してたんだよ!!いきなりいなくなるんだから!!」

幼ダガー「ごめんね、お花を摘んでいたの。」

女の子B「だったら教えてくれてもいいのに。あれ?その子は?」

幼ダガー「紹介するね、お花畑で会ったライフ。あたしの新しい友達よ。」

幼ジタン「よ、よろしく・・・」

男の子B「へぇ〜シッポつきか〜変わってんなお前。ま、よろしくな。」

幼ジタン「う、うん。」

幼ダガー「そろそろ祈りを捧げる時間だね。早く行こうよ。」

子供達「うん!!」

そう言って子供達はどこかに走って行った。

幼ジタン「祈り?」

幼ダガー「そ。あたし達はショウカンヘキって言う所でいつも祈りを捧げてるの。ライフも来る?」

幼ジタン「えっ?で、でも僕よそ者だし・・・」

幼ダガー「気にしない気にしない!!じゃ行こう!!」

幼ジタン「わっ!!ちょっと〜!!」

幼いダガーにグイグイ引っ張られて幼いジタンは召喚壁に来た。

幼ジタン「ここが召喚壁・・・」

幼ダガー「じゃ祈ろう。」

幼ジタン「祈ろうって言われても・・・僕は全然分かんないし・・・」

幼ダガー「だったらあたしのマネでもすればいいよ。」

幼ジタン「う、うん。」

幼ダガー「じゃ、祈ろう!!」

と言うことで二人は召喚壁に祈りを捧げた。

幼ジタン「・・・本当によかったのかな?僕も祈って・・・」

幼ダガー「いいって言ってるでしょ!!細かいことは気にしないの!!」

幼ジタン「う、うん・・・」

幼ダガー「もう!!さっきからあたしが怒ったら『う、うん』しか言わないんだから!!」

幼ジタン「う、うん・・・」

幼ダガー「はぁ・・・ま、いいわ。今日は色々あったからもう家に行こう。」

幼ジタン「そ、そうだね。」

幼ダガー「こっちよ。」

と言うことで二人は幼いダガーの家に来た。

幼ダガー「ただいま〜!!」

家の中には母親と父親がいた。

母親「お帰りなさいセーラ。あら?その子は?」

幼ダガー「紹介するね、ライフって言うの。さっきいつものお花畑であったあたしの友達!!」

幼ジタン「こ、こんにちは・・・」

幼ダガー「何か訳アリで家に帰れないらしいの。だから家に連れてきたの。」

父親「訳アリって、いったい何があったんだい?」

幼ジタン「えっ?えっと・・・」

幼ダガー「何かとてもショックだったらしくてそこは教えてくれないんだ。」

父親「そうなのか。まあゆっくりしていなさい。」

幼ジタン(今のって・・・)

幼ダガー(ウソに決まってるでしょ?)

幼ジタン(いいのかな・・・?)

幼ダガー(いいのいいの!!)

父親「しかし家に泊まるとなると部屋が問題だな。ジェーン、空き部屋ってあったかい?」

母親はジェーンと言うらしい。

ジェーン「そうね・・・」

幼ダガー「別にいいよ。あたしの部屋で一緒にいるから。」

幼ジタン「ええっ!?」

幼ダガー(馬鹿っ!!アンタが驚いてどうすんのよ!!)

幼ジタン「(う、うん。)そ、そう言う事です。」

父親「そっか、なら大丈夫か。」

ジェーン「そうね。さ、そろそろ夕食よ。ライフ君もごちそうになって。」

幼ジタン「あ、はい。」

幼ダガー「じゃ、いっただっきま〜す!!」





コウ「なぁんか今のビビとエーコみたいだな。」

ほぼ一同「確かに・・・」

エーコ「なっ!!何言ってんのよ!!別にビビとあたしはそんな関係じゃ・・・!!」

ダガー「じゃあどんな関係?」

エーコ「うっ!!そ、それは・・・(ビビ!!)」

ビビ「?」

エーコ(あんたが言ってよ!!任せるから!!)

ビビ(えっ!?・・・え〜と・・・)

ビビは少し悩んだ。

ビビ「・・・仲間以上恋人未満・・・かな?」

男達ほぼ「ほぉ〜」

女達ほぼ「あらぁ〜」

エーコ「ばっ!!そこまで言えって言ってないでしょ!!変な誤解されるじゃない!!」

ビビ「でも任せるって言ったのエーコじゃ。」

エーコ「だからってね!!」

ジタン「ま、そっちの方は後で聞くとして、マダイン・サリに来てから一週間たったあの日を話すか。」





幼いジタンが来てから一週間たった日

幼ダガー「どう?ここには慣れた?」

幼ジタン「うん。」

二人は村から離れた丘の上にいた。

幼ジタン「そう言えばずっと聞こうと思っていたけどさ、どうして僕のことをこんなに優しくしてくれるの?」

幼ダガー「えっ?ん〜っと・・・忘れちゃった!!」

幼ジタン「わっ忘れたってそんな・・・」

幼ダガー「いいんじゃない?別に。」

幼ジタン「まったく・・・ちょっとは『おしとやかに生きる』って思わないの?」

幼ダガー「ちょっと失礼じゃない!!あたしの野望はかわいいおしとやかなお姫様になることなのよ!!」

幼ジタン「お姫様ねぇ〜セーラにはちょっと無理じゃない?」

幼ダガー「む〜〜〜!!ぜっっったいになるんだから!!」

幼ジタン「はいはい・・・ま、セーラがお姫様になるんだったら僕は君のナイトにでもなろうかな〜」

幼ダガー「えっ!?」

幼ジタン「な〜んてね、セーラがなれるわけ無いじゃないか。」

幼ダガー「あ〜〜〜!!また言ったわね!!・・・でも。」

幼ジタン「でも?」

幼ダガー「お姫様じゃなくても・・・あたしのナイトになってくれない?」

幼ジタン「えっ!?」

幼ダガー「・・・駄目?」

幼ジタン「・・・いいよ。僕が君のナイトになる!!」

幼ダガー「ありがとう!!ライフ大好き!!」

幼ジタン「おわっ!!」

幼いダガーが幼いジタンに抱きついた。

幼ジタン「くっ苦しい!!」

幼ダガー「あ、ごめんね。」

幼ジタン「ゲホッゲホッ・・・でも、ほんとにこれでいいのかな?」

幼ダガー「何が?」

幼ジタン「だって僕はガイアの人間を殺せって言われてこっちに来てるのに、殺すどころか殺すはずだった人達と平然と暮らしているんだ。兄さんが知ったら・・・」

幼ダガー「・・・君はどうしたいの?」

幼ジタン「?」

幼ダガー「君はどうしたいの?」

幼ジタン「・・・僕は・・・」

幼いジタンは悩んだ。

幼ジタン「まだ・・・分かんない・・・」

幼ダガー「答えを出すのに慌てなくてもいいよ。君のペースで君らしく考えればいいんだから。」

幼ジタン「僕・・・らしく・・・」

幼ダガー「どんなに辛いことがあったってあたしはあたしらしく生きたいんだ。だから君も、自分らしく生きなよ。それが正しい答えだと思うんだ。」

幼ジタン「そう・・・だよね。ありがとう。」

幼ダガー「別に礼なんていいわよ・・・ねぇ。」

幼ジタン「ん?」

幼ダガー「ずっと・・・このままでいたいね・・・」

幼ジタン「セーラ?」

幼ダガー「ライフと二人っきりで、ずっといたいよ・・・」

幼ジタン「・・・うん。僕も・・・ずっとセーラといたい。」

幼ダガー「ライフ・・・」

二人は見つめあった。と、空が突然暗くなって雨が降ってきた。

幼ジタン「雨だ・・・」

幼ダガー「もう!!いいムードだったのに!!」

幼ジタン「帰ろうか。」

幼ダガー「そうね。」

二人は村に帰ろうとした。と。

ドコーーーン!!

村のほうから大きな爆発音が聞こえた。

幼ダガー「何今の!?」

幼ジタン「まさか・・・兄さんが!?」

幼ダガー「早く村に行こう!!」

幼ジタン「うん!!」

二人は大雨の中マダイン・サリに向かった。



幼ダガー「そんな・・・」

幼ジタン「村が・・・」

二人が着いた時には村は全滅し、ほとんどの村人が息絶えていた。

幼ダガー「なんで・・・なんでこんな事に・・・」

幼いダガーは泣きそうだった。と。

?「う、うぅ・・・」

どこからか声が聞こえた。

幼ダガー「!!どこにいるの!?」

幼ジタン「あそこだ!!」

幼いジタンが指差した先に大怪我をした村人がいた。

幼ダガー「おばさん!!」

二人はその村人に駆け寄った。

幼ダガー「おばさん!!しっかりして!!」

村人「セ、セーラちゃん・・・無事だったんだね・・・は、早く船着場にお行き・・・お母さんが待ってるよ・・・」

幼ダガー「それよりおばさんの怪我が!!」

村人「あたしはもう・・・手遅れだよ・・・セーラちゃんは・・・生き・・・延びなさ・・・」

幼ダガー「おばさん!!眼を開けてよ!!」

しかしその村人は既に息を引き取っていた。

幼ダガー「いやぁーーー!!」

幼いダガーの鳴き声は、吹き続ける風と大雨によりかき消されていた。

幼ジタン「・・・セーラ、ここは危ないから・・・お母さんの待つ船着場に行こう・・・」

幼ダガー「ライフ・・・うっ・・・うっ・・・」

幼いダガーは幼いジタンに抱きつき泣いた。

幼ジタン(神様・・・もしいるのでしたら・・・なぜこのようなことが起きるのですか?ひどすぎます・・・)

幼いジタンも泣いていた。

幼ジタン「・・・さあ行こう!!生き残るために!!」

幼ダガー「・・・うん。」

幼いジタンは幼いダガーの手を握り、船着場へと走り出した。

幼ジタン「あと少しで船着場だ!!早くしよう!!」

幼ダガー「うん!!」

二人はあと少しで船着場に着きそうだった。が、二人の前にある男が現れた。

男「悪いけど、君たちはここからは進めないよ。」

幼ジタン「に、兄さん!!」

現れた男はクジャであった。

クジャ「ライフ、君はとても悪い子だな。確か殺せって言ってなかったっけ?」

幼ジタン「僕はもう誰も殺したりしない!!これが僕の答えだ!!」

クジャ「ま、いいさ。でも、問題はそっちの子さ。」

クジャは幼いダガーを見た。

幼ダガー「え?」

クジャ「召喚士は皆殺しって言われている。悪いけど君らには死んでもらわなきゃ困るんでね。死んでもらうよ。」

クジャは右手を幼いダガーに向けて、魔法を放った。

幼ダガー「きゃあーー!!」

と、幼いジタンがダガーの前に立った。

幼ジタン「逃げて!!」

ボーーン!!

幼ジタン「ぐわぁーーー!!」

幼ダガー「ライフ!!」

クジャの魔法を喰らい、幼いジタンは海に落ちた。

クジャ「ちっ!!ま、いいさ。後はお前だけだ。」

幼ダガー「う、うわぁーーー!!」

幼いダガーは全力でその場から逃げた。

クジャ「ま、いいか。どうせ生き残ることなんて出来やしないんだから・・・」





ジタン「これが十年前の、マダイン・サリ崩壊の話さ。後は言わなくてもいいだろ。」

一同「・・・」

ジタン「俺が記憶を失ってたってのは本当さ。イーファで思い出しちまったけどな・・・」

ビビ「そんなことがあったなんて・・・」

エーコ「で、ジタンは今までどこに行ってたの?」

ジタン「・・・ちょいと決意を固めるためにお忍びでテラにな・・・」

スタイナー「帰郷と言うものか?」

ジタン「そうなるだろうな・・・それと最後にみんなに聞きたいことがある・・・」

ルビィ「なんや?」

ジタン「俺はクジャ・・・兄さんがしようとしていることを止めるためにもう一度テラに行く。何を企んでいるのかは分かんないけど、俺は許せないんだ。」

サラマンダー「・・・で?」

ジタン「・・・俺一人だと絶対にかなう相手じゃない・・・だから・・・」

一同「・・・」

ジタン「・・・みんな俺と、一緒に戦ってくれるか?」

ジタンが当たり前だが重要な質問をした。しかし仲間達は。

ビビ「当たり前さ。」

エーコ「あたしたちだってクジャは許せないんだから。」

フライヤ「言うまでも無かろうに。」

スタイナー「国を崩壊されておいて黙っていられるか。」

クイナ「ガイアが壊れたらカエルが食べれなくなるアル。」

サラマンダー「あいつは気にいらねぇからな。」

バクー「馬鹿息子をほっとける親はいねえっての。」

ブランク「てめぇ一人じゃ不安だから。」

マーカス「タンタラスとして仲間としてッス。」

ルビィ「あんたはうちの大切な弟や。ほっとける訳あらへん。」

シナ「どこまでも着いてくズラ。」

ベアトリクス「姫様が心に決めた方ですもの。あなたを死なせるわけにはいきません。」

フラットレイ「お前はここで死んでいいような奴ではないしな。」

コウ「星を救うってことじゃないけどあいつに一発蹴り入れてやりたいしよ。」

ラニ「あんな変態ぶっ飛ばしてやりたいさ!!」

ネリク「乗りかかった船ラリ。」

マックス「とことんついてってやろう。」

シド「ヒルダをさらっておいて無事で済ませる訳にはいかんブ・・・いかんしな。」

ほぼ同時に皆ジタンに答えた。

ダガー「この場にあなたに賛成しない人なんていないわよ。」

ジタン「へへっそうだな・・・ありがとう。」

ブランク「ま、片ッ苦しい話はこの辺にしておいて、その明らかに女モンのバンダナはどうしたんだ?テラってとこでなんぱでもしてもらったもんか?」

ジタン「なんでそうなんだよ。これはミコトがお守りとして貸してくれた大切なバンダナさ。」

ダガー「ミコトって?・・・あっ!!まさかライフ本当にテラで・・・!!」

ジタン「ちょっ誤解だ!!ミコトは俺の双子の妹だ!!」

エーコ「ええ!!ジタンって妹いたの!?」

ジタン「いたって別にいいじゃねえか。」

フライヤ「しかしダガーもジタンのことをよく心配するようになったのう。」

エーコ「そりゃ強引にファーストキスを奪われたんだから。」

スタイナー「なぬっ!?どう言うことだ!?」

エーコ「何かジタンがテラへ行くときにダガーを眠らすためにスリプル草を口移しで飲ませたんだって。」

ダガー「あら。ファーストはマダイン・サリのあの夜にしているわよ。」

エーコ「うっそ〜〜〜!!あの時にしてたの!?」

コウ「まあまあその話はその辺で、そろそろ解散したほうがいいんじゃねえか。時間は少しでも必要なんだし。」

シド「そうじゃな。三号機にはブルーナルシスを使うことにしておる。完成するまでしばし休んでおれ。」

ジタン「全員行くのは危険だから、俺とセーラ、ビビとエーコにおっさんとクイナにフライヤ、サラマンダーだけで行くことにする。他のみんなはガイアを頼む。」

コウ「OK。こっちは任せな。」

シド「では解散!!」

そして皆解散した。





エーコ「・・・ねぇビビ。」

ビビ「ん?」

この二人はこの前エーコが寝ていた部屋にいた。

エーコ「さっきさ・・・どうして『仲間以上恋人未満』って言ったの?」

ビビ「えっ!?えっと・・・」

ビビは悩んだ。

ビビ「エーコとは仲間でいたいけど、少しだけ仲間以上の関係になりたいな、なんて思ってね・・・」

エーコ「仲間以上って・・・」

ビビ「でも恋人になれるとは思ってないよ。だってエーコはジタンが好きなんでしょ?」

エーコ「そ、そうだけど・・・でも・・・今はビビの方が・・・」

ビビ「エーコ?」

エーコ「ううん、なんでもないわ。」

いつもより距離が縮まったような気がする二人。その頃別の二人は。





ダガー「これ・・・返すね。」

ジタン「あ、ああ。」

こっちの二人は見張り塔にいた。ついでにダガーはジタンに短剣を返していた。

ジタン「じゃ、俺からも君に。」

ジタンはダガーに宝石を渡した。

ダガー「ガーネット?どうしたのこれ?」

ジタン「バハムートを倒したときに現れてずっと持ってたんだ。バハムートは元々セーラの召喚獣だろ。」

ダガー「ありがとう。それとさ・・・約束してくれない?」

ジタン「何を?」

ダガー「これからずっと・・・私から離れないで・・・ずっと側にいて。」

ジタン「セーラ・・・それは・・・その約束はちょっと守れそうに無いかもな・・・」

ダガー「どうして・・・?」

ジタン「少なからず君の側にいることは出来るけど・・・もし君にも危険が及ぶようなことがあったら・・・その時は君を守るために君から離れる・・・」

ダガー「ライフ・・・」

ジタン「でも・・・その時が来るまで・・・俺は君の側にいる。ずっと君を守るよ。」

ダガー「・・・それならいいわ。後絶対にナンパしないこと。こっちは100%守れるわよね。」

ジタン「うっ!!・・・100%は無いけど・・・それは約束するさ。誓うよ。」

ダガー「それなら安心ね。それじゃあ誓いとして・・・」

ジタン「ああ・・・」

二人は抱き合い、互いの唇を近づけた。風が優しく二人を包んでいた・・・







エリン「全て順調。いつでも出れます!!」

フライヤ「まだジタンとダガーが来ておらんぞ。」

エーコ「いったい何やってんのよあの二人は!?」

ビビ「ゆっくりさせて置けば?再会したばっかりなんだから。」

エーコ「ん!!ビビもちょっとは分かるようになったんだね・・・」

コウ「・・・で、この三号機は安心なのか?」

シド「むろんそうじゃ!!二号機とは違うぞ!!」

フラットレイ「まあこれは人間の状態で作ったものだからな、大丈夫だろう。」

ラニ「おっと、幸せ者二人組みが来たよ。」

ジタンとダガーが来た。

ジタン「悪ぃ悪ぃ、遅れちまったようだな。」

ブランク「おうおう、いったい何してたんだ?」

ダガー「べ、別に何もしてないわよ!!ねぇ!!」

ジタン「・・・慌てるほうが何かあったと思われるだろうが・・・とりあえず何もしてねぇよ。」

ルビィ「ま、あんたのプライベートには深く関わんないで置くから、とりあえず姫さんに変なことすんなよ。」

ジタン「へ、変なことってなんだよ!?」

マーカス「これ以上は言えんッスな・・・」

ダガー「でもライフだったら・・・私・・・」

コウ「おっとそこまで!!皆まで言うな。」

シナ「それより早く乗船したらズラ?」

ジタン「そうだった。乗ろうぜ。」

ダガー「うん。」

そして二人も乗船した。

フライヤ「よーし、いいぞ!!」

エリン「では、ヒルダガルデ三号機、出航!!」

シュゴォーーー・・・!!

コウ「気をつけろよーーー!!」

見たことも無い世界へ向け、新たな翼ヒルダガルデ三号機は船の国リンドブルムを出航した。



ジタンの合流により、全ての真実が明らかになった。そしてクジャの野望を阻止するために、八人の戦士は再スタートを切ったのであった。




続く










あ と が き
ジタンの過去が明らかになりましたね。
彼はとても悲しい過去を背負ってるのですよ。
そんなこんなでジタンとダガーは晴れて公認の中となりましたとさ。
ビビも言ったよね。仲間以上恋人未満ての。
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