CRYSTAL MEMORY STORY
第一部 青と赤の物語
第二話 動き出した歯車前編 君の小鳥になりたい
夜を向かえ、もうすぐ始まる芝居を前に沢山の人が集まっていた。その中にあの三人も後ろの方で芝居が始まるのを待っていた。
パック「まだかーーー?」
青年「静かにしてろ。見つかるだろ。」
ビビ「もうすぐ始まると思うけど。」
そんな会話が交わされる中、ロイヤルシートには人とは思えない生き物(失礼)・・・ブラネ女王が今か今かと楽しみにしていた。そんなブラネ女王とは対照的に、ガーネット姫はどこか暗い顔をしていた。そんなガーネットに後ろにいた鎧の男が気づき、少し心配げな顔をしていたが、また前を向いた。そして。
バッ
照明が消え、あたりが暗くなった。
パック「お、始まるぞ。」
そして鎧の男が剣を向けるとまた明るくなり、始まりを告げるパレードが盛大に開始された。
ビビ「うわぁーーー」
ビビはまた感動している。そして人々の前に衣装に着替えたバクーが出てきた。
バクー「さあて、お集まりの皆様!! 今宵、我らが語る物語は、はるか遠いむかしの物語でございます。物語の主人公であるコーネリ姫は、恋人マーカスとの仲を引き裂かれそうになり・・・一度は城を出ようと決心するのですが、父親であるレア王に連れ戻されてしまいます。今宵のお話は、それを聞いた恋人のマーカスがコーネリア姫の父親に刃を向けるところから始まります。それでは、ロイヤルシートにおられますブラネ女王様も、ガーネット姫様も・・・そして貴族の方々も、屋根の上からご覧の方々も、手にはどうぞ厚手のハンカチをご用意くださいませ。」
バクーが話し終わり、『君の小鳥になりたい』が始まった。
ブランク「父を殺され!!母を殺され!!そして、恋人と引き離されたマーカスよ!!」
シナ「おお、斯くも不仕合わせなマーカスよ!!これからおまえは何を希望に生きてゆけばよいのだ!!」
ジタン「こうなれば我が友の為!!憎きレア王の胸に烈火の剣を突き刺してやろうではないか!!」
ブシ「オォーッ!!」
そして三人は走り出した。着いた場所にはマーカスとレア王とレア王の手下らしき男二人がいた。
ブランク「助太刀に来たぞ、相棒!!」
マーカス「手出しをするでない!!」
シナ「そうはいかぬ!!俺もレア王には兄弟を殺されているのだ!!」
レア王(バクー)「ええい、下がれ下がれ、無礼者!!我が野望の行く手を塞ぐ奴は誰とて容赦せぬぞ!!余に刃向かう奴は、この闇夜の露と消してくれるわ!!」
マーカスは腰にあった剣を取り構えた。
ジタン「レア王よ、我が友の心の痛みを受けて見よ!!我が友の心の悲しみを受けて見よ!!」
マーカス達四人がレア王に向かって走り出したが、レア王は魔法を唱えだした。
レア王「喰らえ!!メデオ!!」
ジタン「みんな!!避けるんだ!!」
ジタンが叫んだと同時に四人は四方へ飛んだ。そして空から隕石が降ってきた。が、しかし。
手下二人(ゼネロベネロ)「甘いでよ!!ファイダ!!」
ヴォーー!!
マーカス「うわっ!!」
ブランク「マーカス!!」
ゼネロとベネロが放ったファイダによりマーカスが炎に包まれた。が、この魔法はニセモノであり、マーカスは傷一つ負っていない。もちろんさっきのメデオもである。
マーカス「大丈夫だ。それよりレア王を・・・」
ブランク「あ、あぁ。」
レア王「おのれぇ!!ゼネロ、ベネロ!!」
レア王は二人を呼んだ。が、二人は来ない。それもそのはず。
ジタン「はっ!!」
シナ「うりゃ!!」
ゼベ「痛いでよ!!」
二人はすでにやられていた。
レア王「ぬぬぬ。」
ブランク「レア王!!後はお前だ!!」
ブランクはレア王に斬りかかった。が、レア王は剣で受け止めた。
ガチャン!!
二人の剣が火花を散らした。そしてブランクの後ろからマーカスが飛び掛った。
マーカス「覚悟!!」
が、しかし。
レア王「甘いわ!!ふん!!」
ブランク「うわっ!!」
レア王はブランクを突き飛ばし、マーカスに左手を向けた。そして。
レア王「死ぬがいい、ポーリー!!」
レア王はマーカスにポーリーを放ったこれもニセモノ。
マーカス「しまった!!」
ブシ「マーカス!!」
シュパーーー!!
マーカスはポーリーの直撃を受けた、かに見えたが彼は傷一つ負っていない。いや、ニセモノだから元々ケガはしないのだが、芝居として彼はケガを負ってなかったのだ。その訳は。
ブマシ「ジタン!!」
ジタン「くっ・・・」
ジタンがマーカスをかばったからである。
レア王「くそっ!!貴様も死ねっ!!」
レア王はまた魔法を唱えだしたが。
マーカス「うおぉーーー!!」
マーカスがレア王に向かい走り出していた。
レア王「甘い!!」
レア王はマーカスに斬りかかった。が。
マーカス「ていっ!!」
ガチャン!!
マーカスはレア王の剣を弾き飛ばした。そして再び構え。
マーカス「喰らえ!!レア王!!」
レア王「ぐっ!!」
マーカスはレア王のわき腹に剣を刺した。いや、刺したフリをした。
レア王「う、うぐ・・・このままで済むと思うなよ、マーカス!!」
レア王は刺されたところを押さえ、逃げだした。が、倒れていたジタンが起き上がり、レア王を追おうとした。
ジタン「くっ、待てっ!!」
が、ジタンの前にブランクが行く手を阻んだ。
ジタン「なぜ止めるブランク!!」
ブランク「ジタンよ、冷静になってよく考えてみろよ。シュナイダー王子とコーネリア姫が結婚すれば、ふたつの国は平和になるのだ。」
ジタン「笑止千万!!それですべてが丸く納まれば、世の中に不仕合わせなど存在しない!!」
ジタンがブランクに斬りかかった。そしてふたりは観客の前に走り出した。
ブランク「こうなれば、いざ勝負!!」
ジタン「望むところだ!!」
二人はチャンバラをやり始めた。互いに剣をバック転やしゃがみこみなどで剣を避けたり、剣で剣を受けるなど観客を盛り上がらせた。
ブランク「この勝負はおあずけだっ!!」
ジタン「そうはさせるか!!」
二人はどっかに走っていった。観客の盛り上がりは最高潮に達していた。
アレクサンドリア城 城内
(ドカッ!!)「ぎゃっ!!」
(ボカッ!!)「ぐえっ!!」
城内に忍び込んだ二人は兵士の服を奪っていた。
ブランク「くっくっくっ着替え終わったかジタン?」
ジタン「あぁ。でもこれをかぶってなきゃだめなのか?すごく臭うぞ。」
ブランク「我慢しろ。俺のだってひどいぞ。」
どうやら二人の鎧は臭うらしい。
ジタン「ところで”アレ”はちゃんと持ってるか?」
ブランク「あたりまえだ。」
ブランクの手にはブリ虫がいた。
ジタン「じゃ、俺は姫のティーカップに眠り薬を入れてくるぜ。」
ブランク「俺は女王様にこいつをプレゼントだ。行くぞ。」
二人は走り出した。
ブランク「事前の調査によると・・・この上に観劇席がある。二人もそこだろう。」
ジタン「ああ、分かった。」
その時、外から沢山の声が聞こえてきた。
ブランク「おっ!!そろそろマーカスがコーネリアの屋敷へ忍び込むシーンになったみたいだな。終わらねぇ内にさっさと仕事を済ませようぜ。」
そしてジタンが上に行くと白いフードに身を包んだ女の子が出てきた。
ジタン「なんだ?」
女の子「あの・・・道を譲ってくださらないかしら?」
ジタン「あ、あぁ・・・」
ジタンは道を譲って女の子は歩き出したが。
ジタン「ん?今の声・・・まさか!!」
女の子「!!」
ジタン「ねぇ、君もしかして・・・」
女の子はジタンが話し終わらない内に走り出した。
ジタン「あっ待て!!」
ジタンも走り出した。
ブランク「今のだれだ?」
ジタン「今のがガーネット姫だ!! 俺は彼女を追う!!」
ブランク「何ぃ!?」
玉座
ここではブラネ女王が芝居を楽しんでいた。と、そこに。
?「ブラネ様ァーーー」
?「大変でごじゃ〜る。」
変な二人が来たが、先程の鎧の男が二人を止めた。
男「ゾーンとソーンよ!! 今は誰も通すなといわれている。また後でやってまいれ。」
変な二人はゾーンとソーンと言うらしい。と、ベアトリクスが。
ベアトリクス「火急の用件ですか?」
二人に話しかけた。
ソーン「そうでごじゃ〜る。」
ゾーン「火急どころじゃなく大火急でおじゃ〜る。」
ベアトリクス「ならば私が用件を取り次ぎましょう。」
ソーン「頼むでごじゃ〜る。」
ゾーン「頼むでおじゃ〜る。」
男「うぬぬ、ベアトリクスめ。でしゃばったことをぬかしおって〜!!」
そんな男をよそにベアトリクスは話を聞き、ブラネ女王の近くに行った。
ブラネ「いったいなんじゃ。」
ベアトリクス「それが・・・」
ブラネ「なんだと!! ガーネットが国宝のペンダントを持ち去っていなくなっただと!!」
完全にブラネはキレた。
ブラネ「ベアトリクス将軍!!」
ベアトリクス「はっ!!」
ブラネ「スタイナー隊長!!」
男「はっ!!」
男はスタイナーと言うらしい。
ブラネ「急いでガーネットを探してまいれ!!」
ベアトリクス「かしこまりました!!」
スタイナー「分かりましたであります!!」
そしてスタイナーは部下の招集にかかった。
スタイナー「プルート隊〜〜っ!! 集合〜〜〜っ!!」
が、誰も来ない。プルート隊とはスタイナーを中心に結成されてる騎士団である。しかし最近はアレクサンドリアの笑いの種になっている。
スタイナー「何故誰も来ん!!」
と、さっき身ぐるみはがされた二人が来た。
ブルツェン「隊長〜〜〜っ!!」
コッヘル「ただいま集合しました〜〜〜っ!!」
スタイナー「遅ーい!しかも二人だけかー!! オマケにちゃんと服を着てから来ーい!!」
ブコ「は、はい〜〜〜!!」
・・・これでは笑いの種になってもおかしくない。一方そのころ。
厨房
ここには今、ク族と呼ばれる種族のコック長がいた。
コック長「ふっふ〜んアル♪」
コック長は鼻歌を歌いながら料理をしていた。と、そこに。
ジタン「待てーーー!!」
女の子とジタンが走って来た。
コック長「アイヤー!! なんアルか?」
ジタン「あ、悪ぃって、あれ?」
コック長「ぬ? ジタンじゃないアルか?」
なんか二人は知り合いらしい。が、女の子は逃げていた。
ジタン「あ、すまねぇ!! また後でな!!」
ジタンが走って行った。
コック長「なんアルか? いったい。」
一方スタイナーは。
スタイナー「はぁはぁ・・・」
スタイナーは噴水のある広場にいた。
スタイナー「あいつら・・・まじめに探しているのか・・・」
あいつらとは多分、プルート隊だろう。ガーネットを探す傍ら探していたらしく息を乱している。
スタイナー「おのれ!! 急がねば!!」
その後、スタイナーは塔に登っていた。明らかに先程より息を乱している。
スタイナー「こっここならばッ姫様もっ見つかるっはずっ!!」
と、ふと反対の塔を見るとジタンと白フードの女の子がいた。
スタイナー「ぬ、あれは姫様!! 賊に追われている、今向かいますぞ!!」
もちろん行く手段は塔を降りてまた登るしかない。と、女の子が意外な行動をとりだした。
ジタン「お、おい!! 危ないぞ!!」
女の子は今にも落ちてしまいそうな所に立っている。そしてジタンに向けて笑みをこぼし。
女の子「えいっ!!」
女の子は塔から飛び降りた。
ジス「わぁーーー!!」
が、よく見ると女の子はロープをつかんでおり、見事に逃げたのである。ジタンは驚いてメットを落としてしまった。
ジタン「くっそーーーやるじゃないか。だったら。」
ジタンもロープをつかみ女の子を追った。一方下では。
パ青年「オォーーー!!」
かなり盛り上がっているらしい。と、ビビが。
ビビ「えっ!?」
ロープをつかんで飛んでいる二人を見てしまった。
パック「どうした?」
ビビ「い、いやなんでも。」
青年「いやぁーーー屋根を渡って来たかいがあったもんよ。っと、げ!!」
青年が見た先にはプルート隊がいた。
ハーゲン「こらーーー!!」
ワイマール「タダ見はゆるさんぞーーー!!」
青年「に、逃げろーーー!!」
ビパ「わぁーーー!!」
三人は逃げ出した。またそのころ。
プリマビスタ内部
前にバクーとジタン達が戦った部屋、そこに女の子がいた。
女の子「ここでしたらもう誰も来ませんね。でも、先程の兵士、どこかでお会いしたような。」
と、その時。
ジタン「やっと追いついたぞ!!」
女の子「!!」
ジタンが追いついた。そして女の子の手をつかんだ。
女の子「やっ離して下さい!!」
ジタン「待った、俺だよセーラ!!」
女の子「えっ!?」
セーラと呼ばれた女の子は動きは止まった。そしてフードを上げて顔を出した。やはりガーネット姫だった。
ガーネット「ラ、ライフ?」
ジタン「ああ。そうだよ。」
どうしてか二人は別の名前で呼び合っている。そしてガーネットはジタンに抱きついた。
ガーネット「ライフ!! ずっとお会いしたかったです。」
ジタン「あぁ、俺もだよ。セーラ。」
会うことが出来たジタンとガーネット。プルート隊から逃げるビビ達。そして物語の歯車はゆっくりと動き出す・・・
続く
あ と が き
二作目であり初の前後編です。
確かこれ四時間近くかかって打ち上げた作品です。
今はメモ帳に書いて保存かけてるのでコツコツ書いていけます。
今思うとまだ青いなこの作品・・・