六の調


再会








猿治「うぉらっ!!」

隆士「ぐっ!!」

猿治の蹴りを僕は苦しみをこらえながら避けている。
あいつの安全靴であばらの骨が一本か二本折れてるかもしれない・・・

虎丈(隆士代われ!!今のお前じゃまだ無理だ!!)

隆士(分かってるけど・・・こいつは僕にやらせて・・・!!)

虎丈(お前・・・)

隆士(こいつは関係無い梢ちゃん達を襲おうとした!!絶対に許す訳には行かない!!)

虎丈(・・・分かった。ただ危険だと感じたら有無言わさず代わるぜ。)

隆士「それで・・・結構!!」

猿治「おっと!!」

僕は猿治に蹴りかかったが奴は身軽な動きで避けて木の上に登った。

隆士「うっ!!」

腹部に強烈な痛みが走った。
このままじゃまずいな・・・

梢「白鳥さん!!」

隆士「だ、大丈夫だから・・・ここから逃げて・・・!!」

梢「でも!!」

猿治「おいおい逃げられると思うのか?」

隆士「な、なに・・・!?」

猿治「俺がここにいるって事はお前がここに住んでるって事を知ったからよ。」

隆士「そ、それじゃ・・・!!」

猿治「いつでもお前を含めてここを消す事が出来るって事よ。残念だったな。」

隆士「え、猿治・・・お前・・・!!」

僕は心の底から怒りがこみ上げて来た。

猿治「んじゃ、お前を殺してから親父も殺して・・・女は殺すのは勿体無い器量ぞろいだから頂くとするか。」

朝美「そ、そんなの嫌!!」

猿治「嫌と言われてもね〜どうせお前らはもう・・・」

珠実「もう・・・何ですか〜!?」

猿治「死ぬんだ・・・って何!?」

隆士「あ・・・!!」

猿治の後ろに珠実ちゃんが回っていた。

珠実「天誅です!!」

猿治「どあっ!!」

珠実ちゃんが猿治を木から蹴り落とした。

珠実「白鳥さん今です!!」

隆士「わ、分かった!!」

僕は猿治に飛び掛った。

隆士「化け狐の尻尾だ!!狐閃!!」

ドドドドドドドドドッ!!

猿治「ゴブォッ!!」

僕は猿治に九回前蹴りを放った。

隆士「はぁ・・・はぁ・・・!!」

猿治「ぐごっ・・・!!」

狐閃が効いたらしく猿治は地面に膝をついた。

隆士「ど、どうだ・・・!!」

猿治「こ、この野郎・・・!!」

隆士「あ、朝美ちゃん・・・」

朝美「な、何?」

隆士「警察に連絡して・・・十二支のメンバーの一人を捕まえたって・・・」

朝美「十二支・・・?」

隆士「早く・・・!!」

朝美「う、うん!!」

朝美ちゃんは電話のある炊事場に向かった。

恵「十二支って言うのこいつら?」

隆士「はい・・・とりあえず逃げないように縄か何かで手足を縛っておかないと・・・」

梢「私持ってきます。」

隆士「お願い。珠実ちゃんも一緒に。」

珠実「分かってるです〜」

そして梢ちゃんと珠実ちゃんは縄を探しに物置に向かった。

隆士「後は十一人・・・いや、あいつを残して十二人か・・・」

虎丈(これからだな。)

隆士(うん・・・そう言えば虎丈は誰に・・・?)

虎丈(俺は虎焔にだ。)

隆士(虎焔か・・・でも虎丈だったら倒せたんじゃ・・・)

虎丈(あいつと俺は互角だからな・・・運が無かったんだよ。)

隆士(そうか・・・来た来た。)

ちょうど梢ちゃん達が戻ってきた。

梢「これでいいでしょうか?」

梢ちゃんの手には長めの縄があった。

隆士「ありがとう・・・それじゃ虎丈。」

虎丈「ぐ、くそう・・・!!」

僕は縄を持って猿治の手足を縛ろうとした。
だけど・・・

ザスッ!!

猿治「うぼっ!?」

隆士「なっ!?」

梢「!?」

猿治の体を一つの矢が貫いた。

隆士「猿治!?」

恵「な、何が起こったの!?」

隆士「矢・・・まさか!?」

僕は矢が飛んで来た方向を見た。
その先、屋根の上に弓を持った黒く長い髪をした朝美ちゃんと同じくらいの少女がいた。

隆士「鳥汐・・・!!」

鳥汐「久しぶりね・・・隆士お兄ちゃん・・・それに虎丈お兄ちゃん。」

隆士「君まで来るなんて・・・!!」

鳥汐「しょうがないじゃない・・・あたしはそうするしかないもの・・・」

隆士「僕は・・・君とは戦いたくない・・・」

鳥汐「それもしょうがないのよ・・・ごめんね・・・お兄ちゃん達・・・」

鳥汐が僕に矢を向けた。

梢「やめて!!」

その瞬間梢ちゃんが僕の前に立った。

鳥汐「お姉ちゃんは・・・?」

梢「どうしてあなたみたいな子供が白鳥さんを!!」

鳥汐「そっか・・・あなた隆士お兄ちゃんの恋人なんだ・・・」

梢「そうよ!!だから白鳥さんは・・・!!」

鳥汐「・・・」

鳥汐は矢を降ろした。

隆士「鳥汐・・・」

鳥汐「今日は帰る・・・」

隆士「・・・」

鳥汐「だけど覚えていて・・・あたしはお兄ちゃん達を殺さなくちゃいけないんだから・・・」

そう言い残して鳥汐は去った。

隆士「・・・」

梢「白鳥さん・・・あの子は・・・?」

隆士「猿治と同じさ・・・あの子も僕達を・・・ぐっ!?」

梢「白鳥さん!?」

突然腹部に強い痛みが走った。

隆士「そう言えば・・・あばらの骨逝ってたっけ・・・」

梢「白鳥さんしっかりしてください!!」

朝美「警察には言ったからすぐ来ると・・・お兄ちゃん!?」

朝美ちゃんの声が聞こえた・・・警察に言ったのか・・・

珠実「救急車も呼ぶです〜!!」

梢「珠実ちゃんお願い!!」

多分今度は珠実ちゃんが電話をしに行ったのかな・・・?
だけど痛みで意識がもう・・・

恵「と、とにかく応急処置でも!!」

灰原「と言ったって何すりゃいいんだよ!?」

隆士「うぐぐ・・・」

僕の意識は既に無くなりかけていた。

梢「白鳥さんしっかりしてください!!」

梢ちゃんの泣き声が聞こえる・・・
僕はまた彼女を悲しませてるんだ・・・
最低な奴だな僕・・・

「私に任せてください。」

梢「え?」

女性の声が聞こえた・・・
この声は・・・

隆士「か、楓さん・・・?」

楓「お久しぶりです隆士様。」

恵「な、何なのアンタは?てか隆士様?」

楓「説明は後で。今は隆士様の治療が先決です。お部屋を一つお借りします。」

梢「白鳥さんのお部屋は二号室です!!」

楓「分かりました。治療中は申し訳ありませんが入室は・・・」

梢「分かりました・・・白鳥さんを・・・」

楓「・・・分かりました。」

隆士(梢ちゃん・・・)

楓さんは僕を二号室に運んで応急処置を始めた。









虎丈(隆士・・・おい隆士。)

隆士(・・・虎丈・・・?)

虎丈(早く起きろよ。蒼葉が泣いてるぜ。)

隆士(梢ちゃんが・・・分かった・・・)



隆士「・・・ん・・・」

梢「白鳥さん!!」

隆士「あ、梢ちゃん・・・ここは・・・」

僕がいた場所は鳴滝荘ではなくて病院の病室だった。

珠実「白鳥さんはあの猿治って男に重症にされたんです〜」

朝美「折れた骨が内臓を少し傷付けてたんだ・・・だけどすぐに退院出来るって。」

灰原「それもこれもお前を応急処置したあの女のおかげだナ。」

隆士「楓さんの・・・そうか。」

恵「で、誰なのあの人は?」

隆士「あの人は・・・」

珠実「待つです〜」

隆士「え?」

珠実「白鳥さんには謝ってもらう事が一つあるはずです〜」

隆士「あ・・・」

沙夜子「私達は出ましょう・・・」

恵「ん〜・・・そうね。」

そう言って病室には僕と梢ちゃんだけになった。

隆士「・・・ごめんね。また泣かせちゃって・・・」

梢「いいんです・・・白鳥さんが無事ならば・・・」

隆士「・・・」

梢「所で・・・あの女の子は?」

鳥汐か・・・

隆士「あの子は鳥汐。僕らを狙ってる奴の一人なんだ・・・」

梢「ちょうせき・・・ちゃんですか?どうしてあんな子供が・・・」

隆士「彼女は小さい頃に奴らに拾われて・・・それから育てられながらあぁ言う事を覚えさせられたんだ。」

梢「親しいように見えましたが・・・」

隆士「あの子が正体を明かすまで、僕ら四人と一緒に遊んだ事があるんだ。」

梢「そんな・・・」

隆士「彼女に非は無い。だから何とか助けてあげたい・・・彼女を救ってあげたい。」

梢「白鳥さん・・・」

隆士「そう言えば猿治は?」

梢「あの女の人が応急処置をして警察に逮捕されました。」

隆士「そうか・・・タイミングよく・・・待てよ。もしかしたら楓さんはずっと僕を?」

梢「あの人楓さんって言うんですか?どんな人なんです?」

隆士「あの人は僕の中にいる人に仕えてる人なんだ。」

梢「だから知ってたんですね。」

隆士「うん。」

梢「所で、十二支って何です?」

隆士「・・・」

答えていいのか分からなかった。
この事を言えば梢ちゃんも狙われる事になる・・・

梢「答えてください。どうせもう私達も狙われてるんですから・・・」

隆士「梢ちゃん・・・」

虎丈(仕方ない。言うしかないな。)

隆士(・・・うん。)

僕は決心し、話す事にした。

隆士「十二支はいつからかは分からないけど日本を支配しようと企んでる組織なんだ。」

梢「日本をですか?」

隆士「うん。そして三年前にその計画は終わろうとした。あの事さえなかったらね・・・」

梢「あの事?」

隆士「僕ら四人がその企みを知ってしまったんだ。そのおかげで計画は終わった。そして同時に狙われる理由が出来たんだ。」

梢「それを知ったのは修学旅行の時だと聞きましたが・・・」

隆士「うん。僕の場合は自由行動の時に他の人が勝手に行動してて・・・僕一人なって歩いていたら偶然にね。」

梢「・・・」

隆士「本当についてなかったよ・・・今もこうして狙われてるんだもん。」

梢「白鳥さん・・・」

隆士「・・・ごめんね・・・」

梢「え?」

隆士「僕のせいで梢ちゃんやみんなにまで迷惑をかけちゃって・・・」

梢「気にしていませんから。前にも言いましたよね。」

隆士「・・・」

梢「皆さんだって分かってます。ですからお気になさらずに。」

隆士「ありがとう・・・梢ちゃん・・・」

梢「私にはこんな事しか出来ませんが・・・どうかくじけないでください。」

隆士「うん。」













翼「んじゃあ白鳥はそいつらの秘密を知って殺されそうになってるって訳か。」

梢「はい。そして白鳥さんに関わってる私達も恐らく・・・」

白鳥さんが入院した翌日、鳴滝荘でこの事件を目撃した皆さんに私はこの事を話しました。

沙耶「正直迷惑な話やん。うちらがどうしてそんな事に・・・」

浩子「それは言いっこ無しよ。」

瑞穂「でも白鳥君がそんな事になってたなんて・・・」

理想奈「その虎丈さんて人はどんな人なんです?」

恵「どうやら子供が苦手らしいのよ。あたし達が知ってるのはそれくらい。」

朝美「あ、それと格闘術が凄いの。」

花梨「ふ〜ん。それで梢の彼氏はどうなの?」

梢「白鳥さんは大丈夫です。後五日もすれば退院出来ると思います。」

瑞穂「五日も恋人がいないなんて辛いでしょうね。」

梢「そ、それは・・・」

花梨「顔赤くしちゃって・・・は〜あ。うらやましい。」

瑞穂「よね。」

タチバナ「恋をする・・・それは乙女として当たり前の事・・・」

まひる「そうか?」

三千代「私には分かりませんわ。」

朝美「みっちゃんには翼さんがいるじゃない。」

三千代「な、何をおっしゃってるのですクロスケさん!!」

沙耶「顔赤いやん。」

梢「でも寂しいかな・・・早く白鳥さん帰ってこないかな?」

私はそんな事を思いました。
その時です。

「ここかぁ鳴滝荘は!!」

外から声が聞こえました。

梢「え?白鳥さん?」

その声は白鳥さんの物でした。
でも感じが違うような・・・

隆士?「おうただいまぁ!!」

恵「な、何なの?」

梢「さ、さぁ・・・?」

そんな事を話してると私達のいる所に向かってくる足音が聞こえてきました。

隆士?「ここかみんなは!?出迎え無しってひでぇやん!!」

梢「し、白鳥さん?」

確かに姿は白鳥さんですが様子がおかしいような・・・
目はずっとにやけてる。
白鳥さんでも藍川さんでもない?

梢「あの、あなたは?」

隆士?「俺の名前かい?教えてもいいけど先にあちゅ〜いチュウでも・・・」

そう言って白鳥さんで無いこの人は私を抱き寄せて顔を近づけて・・・

梢「い、いやっ!!」

バチンッ!!

隆士?「アボンッ!!」

梢「あ・・・」

私は無意識に白鳥さんの体にビンタをしてしまいました。

梢「すみません大丈夫ですか!?」

隆士?「痛いよ〜・・・だからキスして治し・・・」

ズドムッ!!

隆士?「オドボッ!!」

珠実「いい加減にするです〜・・・!!」

珠実ちゃんがこの人の鳩尾に思いっきりパンチをしてました。

梢「あ、あの・・・あなたは誰なんです?」

隆士?「ん〜・・・教えてあげてもいいけど・・・その代わり今夜は寝屋を共にして・・・」

ガゴンッ!!

隆士?「ミャウッ!!」

瑞穂「白鳥君ごめんね・・・でも私も許せなくてね・・・」

今度は瑞穂さんが頭を釘バットで叩いてました。

隆士?「うぅ〜・・・ありがとう・・・」

梢「あ。」

目が優しくなりました。

梢「白鳥さんですね?」

隆士「うん・・・」

朝美「お兄ちゃん大丈夫?」

隆士「大丈夫じゃないよ〜・・・神那が目覚めたと思ったら病院抜け出して戻ったら梢ちゃんのビンタに珠実ちゃんのパンチに瑞穂さんのXカリパーだもん・・・」

瑞穂「ごめん・・・」

梢「やっぱり別の人だったんですね。」

隆士「うん・・・栗崎神那・・・とにかく騒ぐのと女の人が好き・・・なの・・・」

梢「白鳥さん!?」

突然白鳥さんが倒れました。

タチバナ「あれだけされれば当たり前です。すぐ病院に。」

恵「淡々と説明してんじゃないの!!」

朝美「お兄ちゃんしっかりして〜〜〜〜!!」







隆士「いたたた・・・」

梢「すいません・・・私ったら白鳥さんに・・・」

隆士「僕にじゃなく神那にでしょ・・・?」

梢「でも体は白鳥さんのですし・・・」

恵「でもその栗崎クンだっけ?とんでもない子ね・・・」

隆士「僕らの中でも一番賑やかで一番騒がしくて・・・桃乃さんみたいな奴です・・・」

恵「・・・否定はしないわ・・・」

隆士「そして究極的な女好き・・・あいついわく射程範囲内は十歳から五十歳だって・・・」

朝美「じゃ、私達も?」

隆士「だろうね・・・」

朝美「・・・」

隆士「大丈夫・・・何とかして押さえつけておくから・・・」

朝美「お願い・・・」

梢「あ、あの。」

隆士「何?」

梢「その・・・栗崎さんにお話してもよろしいでしょうか?」

隆士「神那に?」

梢「はい・・・あんな事があったとは言え私は・・・」

珠実「駄目です梢ちゃん。あんな変態さんには関わらなくていいです〜」

梢「でも〜・・・」

瑞穂「大丈夫よ。いざとなったら私達が止めるから。」

タチバナ「あのような者は乙女の敵。」

沙耶「朝美に手ぇ出したらうちが許さへん。」

三千代「勿論ですわ。」

隆士「あわぁ〜・・・」

土神さんが釘バットを、タチバナさんがダーツを、さっちゃんが六法全書を、みっちゃんが扇子を白鳥さんに向けました。
白鳥さんは悪くないのに・・・

隆士「じゃ、代わるよ。変な真似したら殺してでも止めて・・・」

瑞穂「うん。」

そう言うと白鳥さんは目を閉じました。
そして目を開けると先程の人と同じにやけた目・・・

梢「栗崎さんですか?」

神那「そうそう!!いやぁ光栄だな〜〜〜君みたいな可愛い子に名前を覚えてもらえるなんて!!」

梢「は、はぁ・・・」

神那「後俺の事は名前で呼んでくれよ。神那クンとか神那んとか。」

梢「え・・・?」

神那「ほらほらぁ〜名前で呼んでよ梢ちゃぁ〜〜ん!!」

瑞穂「もう我慢できない!!白鳥君ごめん!!」

土神さんが釘バットを振りました。

神那「物騒だな。まったく。」

瑞穂「え!?」

栗崎さんは釘バットの根元を右手で掴んで受け止めました。
そしてさらに・・・

神那「よっと。」

瑞穂「!!!!!」

左手で瑞穂さんの胸を掴みました。

神那「ほう・・・八十三ってとこか。着痩せタイプだな。」

瑞穂「い、い、い・・・いやぁーーーーーー!!」

理想奈「瑞穂!?」

胸を触られたせいか、瑞穂さんは暴れだしました。

瑞穂「絶対殺すころすコロスゥーーーーー!!」

神那「そんなに怒るなよ。減るもんじゃないし〜」

タチバナ「お嬢様・・・やっていいでしょうか・・・?」

まひる「勝手にしろ。」

タチバナ「では・・・」

今度はタチバナさんがダーツを構えました。

神那「おわっやべ。隆士代わるな。」

隆士「え!?」

まひる「タチバナ待て。」

タチバナ「はっ」

タチバナさんが手を止めました。

隆士「そ、その瑞穂さん・・・」

瑞穂「な〜に!?」

隆士「ご、ごめん・・・ただ・・・」

理想奈「ただ、何?」

隆士「その・・・柔らかった・・・です・・・」

瑞穂「し〜ら〜と〜り〜く〜ん〜〜〜!?」

梢「あ、あのもう・・・」

その後数時間はこんな感じで過ごしました・・・













隆士「まったく神那・・・」

神那(いいじゃんかよ。)

僕はあの後の色々あって入院が延びてしまった。

虎丈(お前な、白鳥の体なんだからよ。)

隆士「そうそう・・・これじゃ夏休みに入っちゃうだろうな・・・多分他のみんなより課題出されるだろうな〜・・・」

神那(ま、頑張ってくれよ。)

隆士「人事だからって・・・」

虎丈(ん?おい隆士。)

隆士「何?」

虎丈(誰か来るぞ。)

隆士「え?」

その時病室のドアにノックする音が聞こえた。

隆士「どうぞ。」

そしてドアが開いて人が入ってきた。
その人は・・・

鳥汐「いい・・・?」

鳥汐だった。

隆士「鳥汐・・・いいよ。」

鳥汐「・・・」

神那(いいのか?)

隆士(少し待ってて・・・)

鳥汐「はいこれ・・・お見舞いのリンゴ・・・」

そう言って鳥汐はリンゴを差し出した。

隆士「ありがとう。」

鳥汐「・・・神那お兄ちゃんも起きたんでしょ?」

隆士「話す?」

鳥汐「ううん・・・遠慮しておく・・・」

神那(ありゃま。)

虎丈(自業自得。)

鳥汐「それじゃ、あたしはもう行くね・・・」

隆士「そう。」

鳥汐「・・・ごめんね・・・」

隆士「え?」

鳥汐「何でもない・・・」

そう言い残して鳥汐は病室を出た。

隆士「・・・」

虎丈(結局あいつとも戦わなきゃいけないんだよな・・・)

隆士「うん・・・」

神那(・・・割り切れよ・・・隆士、虎丈・・・)

隆士「だけど・・・」

神那(お前がやらなきゃお前やお前の大切な奴らも殺されるぞ・・・)

隆士「分かってる・・・だけど・・・何かの為に誰かが死ぬなんて・・・僕はもう嫌だ・・・!!」

虎丈(お前・・・)

そう・・・あの時のように・・・
誰かを守る為だなんて奇麗事を言って・・・
僕はもう嫌だ・・・だから誰も殺さない。





誰も殺させやしない・・・





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