五の調


襲撃








隆士「はっ!!せいっ!!」

虎丈(そう、その感じだ。)

隆士「ふぅ・・・何となくコツがつかめて来たような感じがするよ。」

日曜日の朝、僕は裏庭で虎丈から格闘術を教わっている。
傍から見ればただ一人でやってるように見えるけど・・・

虎丈(お前結構呑み込みが早いんだな。何かやってたのか?)

隆士「え?」

彼には・・・いや誰にも言えない・・・
あの事を繰り返したくないから・・・

隆士「ううん。」

僕はまた偽る・・・

虎丈(鍛えれば格闘家としてやってけるぜ。)

隆士「いいよ僕は・・・」

虎丈(もったいねぇ・・・お。)

隆士「あ。」

ちょうど僕らは梢ちゃんが来たのに気付いた。

梢「おはようござまいす。えっと・・・白鳥さんですね。」

隆士「うん。おはよう梢ちゃん。よく分かったね。」

梢「恋人ですから。」

隆士「なるほど〜・・・これじゃ騙すのは無理だよね。」

梢「所で何をしてたんですか?」

隆士「ああ。虎丈に格闘術を学んでたんだ。」

梢「格闘術をですか?」

隆士「うん。もし虎丈や他の人が代われなくて僕が戦う事になった時の為にね。」

梢「そうですか。そろそろ朝食なので呼びに来たんですが。」

隆士「分かった今行くよ。」

僕は練習を一度止め、横庭を通って玄関から炊事場に向かった。

朝美「あ、お兄ちゃんおはよう。」

隆士「おはよう。」

炊事場にはみんな揃っていた。
だが気になるのは・・・

理想奈「おはよう白鳥くん。」

翼「よう。」

何でこの人達が・・・?

瑞穂「ごめんね突然。結局泊りがけになって。」

隆士「僕は別にいいよ。」

この三人がいる理由・・・
理想奈さんは朝美ちゃんに会う事と内職の手伝い。
瑞穂さんは理想奈さんの付き合い。
翼君はそれを口実にして梢ちゃんに会いに来てる・・・のだと思う・・・

朝美「お姉ちゃん達のおかげで内職がいつもより早く終わったんだ。ありがとう!!」

理想奈「礼なんていらないわよ〜〜〜!!かわいい〜〜〜〜〜!!」

瑞穂「アンタはそればっかでほとんど私がやったのと同じだったけどね・・・」

恵「ま、お疲れさん。」

翼「所でお前何やってたんだ?」

隆士「何が?」

翼「何がって・・・朝起きたらお前いなかったからよ。」

隆士「ああ。さっき梢ちゃんに頼まれて買い物に行ってたんだ。」

瑞穂「朝早くから大変ね。」

隆士「まぁね。」

勿論これは嘘。
みんなには僕の事を話してないから黙ってってみんなに言ってある。
だから梢ちゃんも嘘だと知ってるので僕に話しを合わせて来てるんだ。

瑞穂「それじゃあ私達はこの辺で。」

先に朝食を食べ終わった瑞穂さんが立ち上がった。

翼「えぇ〜〜〜〜!!」

理想奈「もうちょっといようよ〜〜〜〜!!」

翼君と理想奈さんがダダをこねる。

瑞穂「そろそろ帰らないとここの人達にも迷惑でしょ?」

翼「でもよ〜・・・」
理想奈「でも〜・・・」

瑞穂「帰るの・・・」

瑞穂さんがXカリパーを取り出す・・・

翼「じゃ、じゃあお世話になりましたっ!!」

理想奈「朝美ちゃんまたね!!」

とても慌てた様子で二人は帰った。

瑞穂「さよなら〜」

そして瑞穂さんも帰った。

恵「で、本当は何してたのよ?」

隆士「虎丈に格闘術を教わってたんだ。」

朝美「藍川さんに・・・?」

沙夜子「・・・」

虎丈の名を出した瞬間みんなの表情に変化が・・・

隆士「この前の事があるけど・・・あんまり虎丈を毛嫌いしないように・・・」

朝美「だけど・・・」

虎丈(いいって別に・・・)

隆士「虎丈・・・」

朝美「分かってるけど・・・まだ・・・」

灰原「この前あんな事があったからナ・・・」

珠実「次あんな事したら許さないです〜」

隆士「うわぁ〜・・・」

虎丈(別にいいっての。それより飯食ったら再開だ。)

隆士「うん。」

その後僕は朝食を済ませ、今度は中庭で練習を始めた。

隆士「はっ!!そぁっ!!」

僕が教わってるのは足技で、空を蹴るたび風を切る音が聞こえる。

恵「変わった光景よね。白鳥クンがあんな事してるのって。」

珠実「どっちか言えば文科系ですからね〜」

灰原「にしてもよ・・・」

沙夜子「?」

灰原「あいつ確かああ言うのに慣れてると思うぜ。」

恵「と言うと?」

灰原「あいつ昔何か習ってたはずだ。気のせいかもしれないがナ・・・」

梢「白鳥さんが・・・?」

隆士「せやぁーーーー!!」

最後に高く飛び上がり空中で回し蹴りをした。

隆士「ふぅ・・・」

恵「すっごいわね・・・」

虎丈(おし、ひとまず休憩だ。)

隆士「うん。」

僕は縁側に座って休憩する事にした。

梢「お疲れ様です。」

梢ちゃんがポックリスエットを差し出した。

隆士「ありがとう。」

僕は受け取って一気に飲み干した。

隆士「ふぅ〜・・・そうだ。」

虎丈(ん?)

隆士(今までの成果試してみる。)

虎丈(おう。)

隆士「梢ちゃん。空き缶ってどの位ある?」

梢「え?空き缶ですか?」

隆士「うん。あるなら少し・・・いや、やっぱりあるだけ持ってきてくれない?」

梢「え?は、はい。朝美ちゃん手伝って。」

朝美「うん。」

珠実「私も手伝うです〜」

そして梢ちゃんと朝美ちゃんと珠実ちゃんが取りに向かった。

恵「何するの?」

隆士「今までの成果、ちょっと試してみようと思ってね。」

それから少し経って梢ちゃん達が空き缶を四十個程持ってきた。

隆士「ありがとう。半分は周りにおいて後はちょっと持ってて。」

梢「はい。」

梢ちゃん達は頼んだように半分を地面に置き、残り半分を持った。

隆士「これから僕が呼んだら缶を上に投げて。出来るだけバラバラに。」

梢「はい。」

隆士「じゃ、行くよ!!」

僕は気合を入れて飛び上がった。

隆士「梢ちゃん!!」

梢「は、はい!!」

梢ちゃんは持っていた空き缶を宙に投げた。

隆士「それっ!!」

僕は宙に浮いた空き缶を蹴り、地面に置いてる空き缶に当てた。

隆士「まだまだ!!」

そして梢ちゃんが投げた分全てを蹴り落とした。

隆士「朝美ちゃん!!」

朝美「うん!!」

そして次に朝美ちゃんが空き缶を上げた。

隆士「せいやぁーーーー!!」

僕は一気に朝美ちゃんの上げた空き缶を蹴り、その全てを地面の空き缶に当てた。

隆士「珠実ちゃん!!」

珠実「分かったです!!」

そして珠実ちゃんも空き缶を上げた。
僕よりも上に・・・

恵「ちょっ珠ちゃん!!」

隆士「大丈夫!!」

僕は既に着地しかかってたけど全ての力を足に集めた。

隆士「跳鮭!!」

僕は何かを蹴るように空を蹴った。

灰原「んなっ!?」

それにより僕はもう一度ジャンプしたように珠実ちゃんの上げた空き缶より高い場所に来た。

隆士「はぁーーーー!!」

そして全ての空き缶を連続で蹴り、全て下の空き缶に当てた。
これで僕は全部の空き缶を倒した事になった。

隆士「ふぅ・・・」

僕はそのまま着地した。

隆士「よし、何とかいったな。」

梢「す、凄いです白鳥さん!!」

朝美「お兄ちゃん凄い!!」

梢ちゃんと朝美ちゃんから盛大な拍手があがった。

恵「ホントに白鳥クンよね?」

隆士「そうですよ。」

灰原「にしてもお前・・・空中で一回ジャンプしたよな?」

隆士「あれも亀綱と同じ物で、氣を足に集めて一気に蹴る事によって連続ジャンプが出来る跳鮭です。」

灰原「鮭か。」

隆士「後はただ普通に蹴っただけですけどね。」

恵「蹴っただけで普通下のも当てれる?」

隆士「練習の成果って奴です。」

恵「だからってそこまで行く?」

隆士「行ける物ですよ。僕らみんなある事に夢を持っててそれぞれの好きな事・・・夢を追ってた。そしてそれぞれその事を極めていた。」

梢「夢ですか・・・白鳥さんは絵本作家ですよね?」

沙夜子「じゃあ虎丈君は・・・?」

隆士「サッカーです。虎丈はサッカーが凄くてJリーガー間違い無しだったと言われてたようです。もしかしたら格闘術のおかげかもしれませんが・・・」

恵「それせこくない?」

隆士「もしかしたらです。それに虎丈の実力は本当に凄かったんですから。」

珠実「ですが〜」

虎丈(おい隆士・・・代われ。)

隆士(う、うん。)

僕は虎丈と交替した。

虎丈「言っておくが俺はガキの頃からサッカーが好きだったんだよ。」

恵「おわっ!!いきなり虎丈クン!?」

虎丈「ああ。あの足技をサッカーで使った事はねぇんだよ。」

朝美「どうして?虎丈さんだったら・・・」

虎丈「そんな卑怯な手は使いたかねぇよ。確かに生きてりゃJリーガー間違いなかっただろうがな。」

灰原「惜しいもんだナ・・・」

虎丈「いんだよ別に・・・」

珠実「でも疑わしいですね〜ホントに実力ですか〜?」

虎丈「・・・二百八十三人目。」

珠実「はい?」

虎丈「俺にそれを聞いた奴。」

朝美「そ、そんなにいるの?」

恵「いやそれより覚えてるのが凄いような・・・」

虎丈「ちなみに白鳥はジャスト百人目。神那と朱雀も同じだったな。」

朝美「百人って・・・あれ?かみなとすざくって?」

虎丈「ん?言ってなかったか。」

梢「あ、もしかして白鳥さんと藍川さん以外の二人ですか?」

虎丈「ああ。そいつらもその内現れるだろうさ。んじゃそろそろ消えるとすっか。」

隆士(もういいの?)

虎丈(ああ。)

そして僕と虎丈は交替した。

隆士「ね、これで虎丈の事少し分かったよね?」

恵「まぁね。だけどいきなり交替しないでよね。分からなくなるから。」

隆士「注意します。」

珠実「梢ちゃんは誰か分かるんですよね〜?」

梢「うん。目を見たら分かります。」

朝美「目?」

梢「白鳥さんの時はあまり力を入れていなくて、藍川さんの時はちょっと力入ってるかな?って感じに目に力が入ってます。」

隆士「そうらしいね。」

虎丈(いんじゃねぇの?目印が出来てよ。)

隆士「まぁね。」

恵「さてと・・・この日曜日をどうやって過ごそうかね〜」

朝美「うん。内職はお姉ちゃん達が手伝ってくれたから早く終わったし・・・」

隆士「僕も課題は終わらせてあるし。」

梢「私達はそろそろテストだから勉強でもする?」

珠実「そうですね〜・・・でも今日くらい休みましょうよ。」

梢「そうだね。」

恵「んじゃ久しぶりに王様争奪グレイトバトル開催!!」

隆士「え!?」

恵「いいんじゃないの。あたしが帰って来てる内よ出来るの。」

そう言えばそうだよな。
いつも何か始めるのは桃乃さんですから・・・

隆士「いいですよ。」

恵「お、やる気じゃないの白鳥クン。じゃ、懐かしくハイド&シークで鬼は白鳥クンね。」

隆士「いいですよ。」

恵「あら?」
珠実「おや〜?」

何故か二人同時に驚いたような顔をした。

隆士「僕が何の講義もしないのがそんなにおかしいですか?」

恵「いや、だってねぇ・・・」

珠実「はいです〜・・・」

隆士「今に始まった事じゃありませんし・・・それに慣れましたからね。」

恵「くぅ〜・・・言うようになったじゃないの白鳥クン!!」

ズドムッ!!

隆士「おぶゅっ!?」

桃乃さんの突っ込みのノリで放ったパンチが僕の鳩尾に命中した。
目の前が真っ暗に・・・なって・・・い・・・













朝美「お兄ちゃん大丈夫!?」

倒れて起きなくなった白鳥さんに朝美ちゃんが何度も呼びかけてる。

梢「桃乃さん!!白鳥さんが・・・!!」

恵「ごめんごめん・・・つい・・・」

灰原「ついって・・・」

この時は流石に私も怒ってしまった。
もう好きな人に会えないなんて嫌ですから・・・

朝美「お兄ちゃんお兄ちゃん!!」

隆士「・・・ん?」

その時白鳥さんが目を覚ましまし・・・

梢「藍川さん・・・?」

虎丈「ああ。」

起きたのは白鳥さんではなく藍川さんでした・・・
白鳥さんは一体・・・?

梢「白鳥さんはどうしたんです!?」

虎丈「あ、慌てるなよ・・・今は代わるのは無理だけどよ・・・もうちょっと待ってろ。」

梢「え?」

虎丈「隆士がさっきので気絶しちまってよ。代わりに俺が体動かしてるんだ。」

灰原「ん?白鳥が気絶してお前は大丈夫なのか?」

虎丈「ああ。隆士の時に感じた事は隆士だけの物。ただ代わった後の体に残る痛みだけは共有して・・・つつ・・・」

藍川さんは苦しそうにその場にうずくまりました。

朝美「藍川さん大丈夫ですか?」

虎丈「どうも・・・」

恵「でも参ったわね〜・・・どうする?」

梢「それじゃあ私が鬼になりますので藍川さんが隠れてください。」

虎丈「いや、俺もここを知りたいから鬼をやるぜ。」

朝美「大丈夫なの?もし一人でも見つからなかったら・・・」

虎丈「どうなるんだ?」

恵「勝ち残った人に何でも指名する事が出来る王様券をプレゼントよ。」

虎丈「何でも出来る?」

その瞬間藍川さんの目が光ったような気がしました・・・

恵「そうよ。だから白鳥クンから梢ちゃんを奪うのも可能よ。」

虎丈「なるほどな・・・フッフッフッ・・・」

藍川さんがとても怪しそうな顔で薄笑いしだしました・・・
何を考えてるのでしょう・・・

珠実「こうなれば絶対に負ける訳には行かないです〜!!」

恵「それじゃ早速藍川クンは地図を持って玄関で待機。五分後開始よ!!」

虎丈「負けないぜ・・・!!」

恵「じゃ、みんな隠れろー!!」

そして私達はかくれんぼを始めました。

朝美「それじゃあ何処に隠れようか?」

珠実「梢ちゃんは私のカモフラ柱で隠れるです〜」

梢「うん。」

恵「バラさんと沙夜ちゃんは前と同じ場所に隠れちゃ駄目だよ。」

灰原「おう。」

沙夜子「ええ・・・」

恵「いい、絶対藍川クンに勝たせちゃ駄目よ。何されるか分からないから。」

朝美「うん!!」

いつにない気合でみなさん鳴滝荘に隠れました。
私は前に珠実ちゃんが作ってくれたカモフラ柱に入り隠れました。

梢(えっと・・・みんなは・・・)

私は珠実ちゃんに頼んでつけてもらった覗き穴から辺りを見てみた。

梢(珠実ちゃんは木の上、桃乃さんは白鳥さんの部屋、朝美ちゃんはお風呂場、灰原さんと沙夜子さんは縁の下か・・・あ。)

虎丈「さてと・・・」

みんなを探してる内に藍川さんがやって来た。

梢(来た・・・)

私は身を潜めた。残り時間六十分

虎丈「結構広いからな・・・何処から手をつければ・・・ん?」

梢(はっ)

藍川さんがカモフラ柱を見てる・・・

虎丈「ん〜・・・」

藍川さんが柱に触れた・・・

梢(ばれちゃう・・・)

虎丈「ん〜・・・」

梢(あ。)

藍川さんが離れていく。
気付かれなかった・・・

虎丈「ん〜・・・」

どうしてか藍川さんは他の柱を触ってる・・・
そしてすぐに私の所に来た。

虎丈「ん〜・・・ん。」

梢(・・・)

虎丈「これは・・・違うな!!」

梢「あ!!」

藍川さんが柱に気付き、私は見つかった。残り時間五十八分

虎丈「危ない危ない。こんな事までするんなら気をつけなきゃな。」

梢「そうですね。」

虎丈「じゃ、次行く・・・か?」

梢「?」

藍川さんが向こう側の縁の下をじっと睨みました。
あそこには確か灰原さんと沙夜子さんが・・・

虎丈「・・・はっ!!」

梢「え!?」

藍川さんは助走無しで向かい側にジャンプしました。
もし陸上選手だったら優勝間違い無しでしょう・・・

虎丈「っと。さ〜てと・・・」

梢「・・・」

虎丈「おし、黒と犬見っけ。」

梢「もう三人・・・」

虎丈「おし、次行くぜ大家さん。」

梢「あ、はい。」

残り時間五十六分

沙夜子「見つかったね・・・」

灰原「面目ない。」

虎丈「さてと、二号室。隆士の部屋だな。」

灰原「部屋の中に隠れてるってか?まさかよ。」

梢「そうですよね。」

勿論嘘です。何としてでも藍川さんを優勝させない為のさり気無い邪魔でしょうか。

灰原「そうさ。まさか部屋に隠れる馬鹿は・・・」

虎丈「眼鏡見っけ。」

梢「・・・」
灰原「・・・」

沙夜子「いたわね・・・」

残り時間五十四分

恵「ごめんごめん。でももう四人なんて・・・」

梢「でも珠実ちゃんがいるし・・・」

虎丈「あのチンチクリンならあの木だろ?」

梢「だいじょ・・・え?」

珠実「マ゛〜〜〜・・・ばれたです〜・・・」

恵「まさか珠ちゃんが瞬殺・・・」

残り時間五十ニ分

虎丈「後はチビか。あの手の小豆っ子が隠れそうなのと言えば・・・」

藍川さんはお風呂場に来ました。

虎丈「こう言う時は女の方から見ると・・・」

恵「あ、あのさ・・・」

虎丈「ん?」

恵「あたし達がいつも裸になってる場所を見ちゃうの?ちょっと・・・恥ずかしいナ・・・」

虎丈「・・・」

桃乃さんが顔を赤くして藍川さんを引きとめようとしてる・・・

珠実「梢ちゃんも。」

梢「うん・・・やぱり私も・・・」

珠実「恥ずかしいです〜・・・」

虎丈「強行突破。」

梢「あ。」
恵「あ!!」
珠実「あ〜」

藍川さんは私達を無視して女子脱衣所に入って行きました。

恵「ひ、酷いわ女の子しか入れない聖域に!!」

虎丈「かくれんぼなら四の五の言ってらんねぇよ。人が入ってる銭湯でも俺は躊躇無く行くぜ。」

灰原「それってつまり・・・」





女A(きゃぁーーー!!)

女B(何入って来てるの変態!!)

虎丈(・・・見っけ。)

女C(出てってエッチぃーーーーー!!)





灰原「とかあるんだろうか・・・」

恵「まさか・・・」

梢「そうですよ。流石にそこまで・・・」

虎丈「そんな事もあったぜ。」

恵「ええ!?」

虎丈「俺は別に女にゃ興味ねぇよ。それより・・・も・・・っと。」

朝美「あ。」

虎丈「チビ発見。俺の勝ちだ。」

梢「結局全員見つかりましたね・・・」

残り時間五十分
全員発見
勝者藍川虎丈


虎丈「うし、これで王様券は俺の物だな。」

恵「結局勝っちゃったか・・・いいわよ何でも命令しなさい。」

虎丈「そうだな・・・何にするかね〜?」

梢「・・・」

何を命令されるか分からないのでちょっと怖いです・・・
私には白鳥さんがいますし・・・

恵「言っとくけどあたしはダンナ持ちよ。妊娠してるし。」

梢「わ、私にも白鳥さんが・・・」

珠実「私には梢ちゃんがいるです〜」

朝美「お、お母さんは死んだお父さんしか愛してないからね!!」

沙夜子「・・・」

虎丈「・・・冗談だ。そんな事する訳無いだろ?」

灰原「だよな。」

それを聞いてちょっと安心しました。

虎丈「どうするもんか・・・お。」

梢「どうしました?」

虎丈「隆士が目を覚ましたぜ。代わるわ。」

藍川さんが白鳥さんと交代しました。

隆士「おはよう。勝負はどうなったの?」

恵「藍川クンが十分以内にみんな発見・・・」

隆士「はは・・・やっぱり。じゃ王様券は虎丈?」

梢「はい。何でしたら白鳥さんが使ってもいいですよ。」

隆士「僕?いいの?」

珠実「白鳥さんに変な事を命令する度胸なんて無いですからね〜」

隆士「まぁね。そうだな・・・」

白鳥さんは何かを考えました。
そして。

隆士「よし、いいの思いついた。」

梢「何です?」

隆士「これって虎丈にも使える?」

梢「藍川さんにですか?」

隆士「うん。ずっと気になってたけど虎丈みんなの事大家さんだチンチクリンだとかみんなの名前を言ってないですからね。」

梢「そう言えば・・・」

隆士「みんなにはちゃんと名前があるからちゃんと名前なり苗字なりでって事。」

恵「確かにあたしは眼鏡だもんね。」

隆士「そう言う事だからね虎丈。」

朝美「藍川さんは何て?」

隆士「しょうがないって。」

恵「ま、いんじゃない?でもまた暇になったわね。」

梢「そうですね・・・」

隆士「変な事が起こるよりはいいですよ。特に今の僕にとっては・・・!!」

梢「白鳥さん?」

突然白鳥さんが怖そうな顔をしました。

梢「どうしました白鳥・・・」

隆士「梢ちゃん危ない!!」

梢「え?」

一瞬何が起こったのか分かりませんでした・・・
気付いた時には私の前に白鳥さんが立って・・・

梢「白鳥さん!?」

隆士「ぐっ・・・!!」

白鳥さんは見た事の無い人に腹部を蹴られていました。

隆士「え、猿治・・・!!」

猿治「情けないな。他人庇ってクリティカルヒット。あばら何本か逝ったんじゃないか?」

隆士「安全靴か・・・確かに折れてるかもね・・・!!」

白鳥さんは猿治と呼ばれた男の人に蹴りかかりました。

猿治「甘い!!」

男の人は猿のような身のこなしで白鳥さんから離れました。

隆士「ぐぅ・・・!!」

白鳥さんは苦しそうに左手で蹴られた場所を押さえました。

朝美「お兄ちゃん!!」

隆士「だ、大丈夫さ・・・!!」

恵「ちょっとアンタ誰なのよ!!」

猿治「俺は猿治。色々あってそいつ、いやそいつらを殺しに来た。」

珠実「と言う事は白鳥さん達を狙ってる奴ですね〜!!」

猿治「ああ。と言いたいが。」

梢「え?」

猿治「俺を見たお前達も消さなきゃいけない事になった。悪いが死んでもらうぜ。」

梢「そんな・・・!!」

猿治「まずはお前だ蒼いの!!」

梢「!!」

猿治が私に向かって殴りかかってきました。

珠実「速い!?間に合わないです!!」

猿治「死ね!!」

梢「い、いや!!」

恐怖で私は目を閉じました。

「・・・狼牙・・・!!」

ドズッ!!

梢「え・・・?」

変な音がして目を開けました。
そこで見たのは・・・

猿治「おぽ・・・!!」

隆士「はぁ・・・はぁ・・・!!」

猿治の顔を蹴っている白鳥さんがいました。

猿治「ってぇ!!虎丈に続いてお前までやりやがって!!」

隆士「当たり前さ・・・梢ちゃんには・・・手を出させない!!」

その時初めて怒った白鳥さんを見ました・・・

隆士「ここで終わらせる!!行くぞ!!」

とても怒った様子で猿治と戦い始めました・・・
その時私は感じました・・・





もう・・・後戻り出来ない場所にいるって・・・





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