十ニの調


明かされる物








珠実「う〜ん・・・」

恵「やばいわね〜・・・」

白鳥クンが出て行った後、あたし達はある理由から頭を抱えていた。

恵「まさかなっちんになっちゃうなんてね・・・」

そう、梢ちゃんがなっちんになってまたどこかにいなくなっちゃったのだ。
あの子とは白鳥クンがいないと会話する事が出来ない。

朝美「何処行っちゃったのかな・・・」

灰原「もしこんな時にあいつら来たら・・・」

「こんちわ〜」

遠くから瑠璃岸クンの声が聞こえた。
こんなタイミングで・・・

珠実「灰原さんどうしてくれるです〜!?」

灰原「俺のせいかよ!?」

恵「と、とりあえず梢ちゃんはいないって言って・・・」

翼「どうしたんス?」

恵「え?」

気付いたらいつもの団体様がご到着していた。
何でこんな時に?

瑞穂「あれ?梢ちゃんは?」

恵「あ〜・・・えっと・・・」

珠実「こ、梢ちゃんはお買い物に行ったです〜〜〜!!」

珠実ちゃんが上手い事ごまかした。

花梨「アンタ一人置いて?まぁさか。」

一発でばれた・・・

浩子「それに靴もあったよ。」

そっちもあったか・・・
とりあえず何が何でも梢ちゃんの病気の事を隠さないと。

恵「あ〜えっと今疲れて寝てるのよ!!」

まひる「じゃあどうして嘘つく?」

恵「あ〜・・・」

珠実「つ、疲れてるからそう言う事にして置いてって梢ちゃんが!!」

浩子「梢ポンそんな事言わないよ?」

嘘が裏目裏目に・・・

花梨「どうしたのか正直に話してもらおうじゃない。」

沙耶「そやな。年上でも嘘は嫌いや。」

三千代「そうですわね。」

理想奈「そうね。どうしたの一体?」

まひる「もし嘘を続けるならタチバナ。」

タチバナ「はっ」

ま、まっず〜〜〜い・・・

理想奈「一体どうしたんで・・・あら?」

恵「ん?げっ!!」

棗「・・・」

柱の影からなっちん覗いてる!!
こんな時に出てこないでよ!!

翼「何だいるじゃないッスか。大家さんどうしたんです?」

棗「!!」

ボンッ!!

瑞穂「え!?」

予想通りなっちんは煙を出して消えた。

花梨「ど、どうしたの?てか梢にあんな特技あった?」

浩子「さ、さぁ・・・」

まひる「早く正直に言え。でないと・・・」

タチバナ「・・・」

殺し屋ブラザーズ兄の手には大量のダーツが・・・
や、やばい・・・

隆士「ただいま〜」

ちょうどその時白鳥クンの声が。

恵「あ、白鳥クンただい!!」

あたしは玄関へ逃げようとした。
けど。

瑞穂「行かせません!!」

瑞穂ちゃんの金属製釘バットがあたしの目の前に。

恵「はっ!!」

あたしはしゃがみこみ釘バットをかわした。

恵「どうよ!!あたしの実りょ!!」

スパーーーン!!

恵「ぐっ!?」

体を起こした刹那、顔面に衝撃が走った。
良く見ると瑞穂ちゃんの左手にはメガホンが・・・
まるで飛天御○流双○閃・・・

隆士「あ、やっぱり。みんないたんだ。」

翼「おう白鳥。何か大家さんの様子がおかしいんだ。」

隆士「梢ちゃんの?」

沙耶「そうなんですわ。こいつの彼氏が話しかけようとしたら煙りだして消えて。」

隆士「え!?」

遂に白鳥クンも気付いた。

三千代「それとこの人達、何か隠してるようなんですの。あなたは何か知らなくて?」

隆士「ま、まぁ知ってる事は知ってるけど・・・」

棗「あ・・・」

隆士「え?」

タイミング悪く白鳥クンの後ろになっちんが・・・
や、やばすぎる・・・

花梨「梢どうしたの?」

まひる「どうした梢ポン。」

棗「・・・?」

珠実「あ、あ〜・・・えっとその・・・」

隆士「・・・みんな。もう無理だよ。」

朝美「お、お兄ちゃん・・・」

灰原「白鳥・・・」

隆士「僕だって隠したいけどしょうがない。秘密ってのはいずればれるんだ。僕もそうだったし。」

珠実「白鳥さん・・・」

隆士「珠実ちゃん。桃乃さん。みんなに話していて。僕の方は何とかしておくから。」

珠実「・・・分かったです・・・」

三千代「先ほどから何の話ですの?」

隆士「ちゃんと話すさ。棗ちゃんちょっと来てくれるかな?」

棗「うん・・・」

そう言って白鳥クンはなっちんを連れて行った。

理想奈「なつめちゃん?」

珠実「・・・全部話すです・・・炊事場に来て欲しいです・・・」

何が何だか分からなくて頭をかしげるみんなとあたし達は炊事場に来た。

花梨「じゃあ教えてよ。梢の事を。さっきのは明らかにおかしかったわ。」

珠実「・・・あの子は紺野棗ちゃんです・・・梢ちゃんであって梢ちゃんで無いです・・・」

鳴滝荘住人以外「え?」

珠実「あの子は・・・梢ちゃんは多重人格なんです・・・」

理想奈「た・・・」

沙耶「多重?」

まひる「人格?」

花梨「あ、あのさお珠。私は真面目に・・・」

恵「冗談何かじゃないわよ。梢ちゃんは正真正銘の多重人格者なの。」

翼「え!?だ、だってんな事言われたって!!」

珠実「本当の事です・・・紛れようも無い事実です・・・」

浩子「そ、そりゃ梢ポンが時々おかしいなって感じはしていた事もあったけど・・・」

瑞穂「信じれッて言うのが無理よ。」

花梨「第一梢はそんな事・・・」

珠実「それは当人が知らないからです・・・梢ちゃんは自分が多重人格だと知ってないです・・・」

タチバナ「しかし普通は自覚症状があるはずでは・・・」

恵「そうなんだけどね。梢ちゃんの場合代わってた間の時間の記憶を自分なりに補填してるのよ。だから自分がそうだって知らない。」

三千代「でもまだ信じられませんわ。」

朝美「本当なのみっちゃん・・・お姉ちゃんは・・・」

沙耶「・・・朝美がそう言うんならホンマの事なんですね?」

恵「ええ。」

花梨「でもどうしてそんな事に?」

珠実「はっきりした理由は分かりませんが・・・曾おじいさんの死が関係してるとしか・・・」

タチバナ「ショックによる発病・・・確かにありえる話です。」

浩子「梢ポン・・・」

珠実「この事は誰にも話さないでください・・・彼女の為にも・・・」

花梨「・・・分かったわ。そこまで言うんなら本当だって事だし。」

瑞穂「ええ。」

珠実「それを聞いて安心です・・・あ、それとあの子は人見知りが激しいので白鳥さんがいないと会う事は出来ないと思いますので〜」

翼「どして?」

恵「そりゃあの子の名前を聞き出せたのは白鳥クンがいたからだからね。それに恋人だし。」

理想奈「ええ!?白鳥くん二股!?」

珠実「と言うか五股です〜梢ちゃん達みんな白鳥さんを恋人と認識してるです〜」

翼「なっ・・・なんてうらやましい!!」

三千代「むっ・・・」

翼「けど今の俺にはそれ以上の奴がいるからいいけどな。」

三千代「つ、翼さん!!」

浩子「こっちにもアツアツカップルいる〜・・・」

花梨「と言うと梢とあの子含め全部で五人?」

珠実「はい。赤坂早紀ちゃん。金沢魚子ちゃん。緑川千百合ちゃんと言うです。」

瑞穂「う〜ん・・・会ってみたいような見たくないような・・・」

恵「瑞穂ちゃんなら早紀ちゃんと気が合うんじゃない?性格的に似てる所あるし。」

珠実「魚子ちゃんは〜・・・子供が嫌いじゃなかったら大丈夫ですし千百ちゃんは女の人は注意してれば大丈夫です〜」

花梨「ま、実際に会って見ないと分かんないからね。」

朝美「それじゃお兄ちゃん達呼んでくるね。」

理想奈「お願いね。」

そう言って朝美ちゃんが白鳥クン達を呼びに言った。

恵「さて・・・なっちんがこの大人数の中やって来てくれるかどうか・・・」

珠実「そうですね〜」

そんな事を話してると白鳥クンと朝美ちゃんが戻ってきた。

隆士「みんなには話したんですね?」

恵「ええ。で、なっちんはどうしたの?」

隆士「棗ちゃんは・・・」

恵「あ。」

なっちんは白鳥クンの後ろに隠れていた。

翼「え〜っと・・・紺野棗さんッスか?」

棗「・・・・・・・・・」

隆士「あ、この人は僕の友達の瑠璃岸翼君。別に怖くないから大丈夫だよ。」

棗「ほんと・・・?」

隆士「本当さ。」

花梨「本当に梢じゃないわね。」

浩子「ひあぁ〜・・・」

隆士「あ〜・・・棗ちゃん大丈夫?」

棗「・・・・・・・・・」

なっちんの様子がおかしいのに気付いた。
多分もう限界なのかな?

隆士「ごめんね。これ以上無理させたくないから。行こうか。」

棗「・・・うん・・・ごめんなさい・・・」

そう言って白鳥クンはなっちんを連れて炊事場を後にした。

花梨「・・・」

恵「ね?」

理想奈「確かに大家さんじゃ無いわね・・・」

瑞穂「だけどあの子・・・棗ちゃんだっけ?白鳥君にはなついてるようね。」

恵「まぁなっちんは人見知りだったけど初めて友達になったのが白鳥クンだからね。それに恋人だし。」

瑞穂「ほんっと白鳥君って羨ましいわね。」

翼「んだ?お前妬いてるのか?」

瑞穂「ばっ!?な〜に言ってんのよ!?」

浩子「ひぁ〜顔真っ赤〜〜」

沙耶「正直な人やな・・・」

瑞穂「あ、あんた達ねぇ!!」

瑞穂ちゃんは怒り任せにνXカリパーを振り回し始めた。

朝美「お、落ち着いてくださ〜〜〜〜い!!」













隆士「・・・で、夏休みもあってどう言う事かみんな泊まりですか?」

翼「そう言う事だ。まぁいいじゃないか。」

珠実「まぁ部長がいないだけいいです〜」

まひる「父様も母様も許してくれた。」

花梨「お邪魔しますね。」

この事件に関わった者が懲りもせずにまた全員集まっていた。

灰原「こんなにいて寝床は大丈夫なのか?」

まひる「私とタチバナ、姉様と朝美の場所でいい。」

朝美「でも私達の部屋狭いよ?」

梢「だったら七号室を使っていいわよ。」

棗ちゃんは梢ちゃんに戻っていた。

沙耶「ならうちらも寝れそうやな。ってアンタはそっちの彼氏とか。」

三千代「な、何をおっしゃってるのですの!?」

理想奈「まぁ恋人ならそれも有りよね。」

翼「おいおい・・・」

浩子「どうなの?」

翼「俺は・・・別にいいけど・・・」

三千代「私も・・・」

朝美「そ、それだったら私達の部屋いいよ!!大人だぁ・・・」

花梨「私達は梢かお珠の部屋でいいわ。」

瑞穂「だったら後は私達ね。桃乃さんの部屋になるわね。」

恵「そうね。二人くらい大丈夫かな?」

理想奈「まぁいざとなったらいい方法があるし。」

隆士「いい方法?」

理想奈「瑞穂を白鳥くんの部屋で寝かすの。」

隆士「ほあっ!?」
梢「ええっ!?」
瑞穂「り、理想奈!!」

三人同時に驚き、同時に顔も赤くなった。

理想奈「瑞穂にも白鳥くんにも悪くない話でしょ?」

瑞穂「な、何言ってんのよ!!」

恵「白鳥クンもってもて〜〜〜!!」

隆士「も、桃乃さん!!」

珠実「もし浮気なんかしたら許さないです〜〜〜!!」

梢「た、珠実ちゃんも・・・」

その後少しの間騒動は収まる事は無かった・・・







隆士「はぁ・・・疲れたぁ・・・」

その日の夜中、僕は部屋で課題に取り掛かっていた。
本当は少し前まで翼君達と一緒にやっていたけど僕は色々とあるから一人でまだする事にした。

隆士「もう二時か・・・みんなも寝ちゃってるし・・・」

虎丈達はする事も無いのでさっさと寝ていた。

隆士「・・・ちょっとおなかが空いてきたな・・・何か買ってこようっと。」

そう思って僕はコートと財布を持って部屋を出ようとした。
その時だった。

トントントン・・・

隆士「ん?」

小さく弱い音だったけど戸をノックする音が聞こえた。

隆士「開いてますよ。どうぞ。」

静かに戸が開いた。そこにいたのは・・・

瑞穂「・・・ちょっといい?」

瑞穂さんだった。

隆士「瑞穂さん・・・まだ起きてたの?」

瑞穂「・・・眠れなくて・・・白鳥君は課題?」

隆士「うん。僕は結構大変だからさ。」

瑞穂「そう・・・」

隆士「で、どうしたのこんな時間に?」

瑞穂「・・・ちょっとね・・・白鳥君はまだ寝ないの?」

隆士「うん。今から夜食でも買いに行こうと思ってて・・・」

瑞穂「そう・・・残念・・・」

隆士「え?」

瑞穂「ううん、何でもない。一緒についてってもいい?」

隆士「?いいけど。」

瑞穂「ありがと。」

隆士「?」

いつもと何かが違ったような気がしたけど僕は瑞穂さんとコンビニに夜食を買いに向かった。

隆士「どうかしたの?何かいつもと様子がおかしいけど・・・」

瑞穂「そうかな・・・ちょっと寄り道しない?」

隆士「え?」

瑞穂「ちょっとくらいいいでしょ?ほらほら。」

隆士「え?わっ!!」

瑞穂さんに腕を引っ張られて僕らは公園に来た。

瑞穂「月・・・綺麗だね。」

隆士「み、瑞穂さんどうし・・・」

瑞穂「白鳥君ってさぁ。」

隆士「?」

瑞穂「梢ちゃん以外の人好きになった事ってある?」

隆士「え?」

瑞穂「例えば前に好きだった人とか・・・」

隆士「・・・」

瑞穂「これくらい聞いてもいいでしょ?」

隆士「・・・小学校の時に一人だけいたよ。」

瑞穂「ふ〜ん。それでその子には告白とかしたの?」

隆士「いや・・・彼女の事が好きだって気付いたのは彼女がいなくなった後だから・・・」

瑞穂「あ・・・転校しちゃったんだ・・・でも好きなんでしょ?どうしてまた会いに行かなかったの?」

隆士「・・・」

瑞穂「あ、もしかしてその子彼氏いたの?」

隆士「ううん・・・別れ際に彼女の方から好きって言ったからどうだか・・・」

瑞穂「じゃあどうして会おうとしないの?」

隆士「・・・会う事は出来るけど・・・僕にそんな資格は無いんだ・・・」

瑞穂「変なの・・・うぅ〜・・・」

隆士「ん?」

一瞬冷たい風が吹いた。
寒かったのか瑞穂さんが身震いをした。

隆士「・・・瑞穂さん。」

瑞穂「ん?」

僕は瑞穂さんに着ていたコートを肩にかけてあげた。

隆士「寒いならいいよ。」

瑞穂「・・・ありがとう。」

その時瑞穂さんがとても嬉しそうな顔になったのに気付いた。

隆士「?何だかおかしいよ瑞穂さん。一体どうかし・・・」

瑞穂「白鳥君。」

隆士「え。うっ!?」

瑞穂「・・・」

一瞬何が起こったのか良く分からなかった。
気付いた時には僕の目の前に瑞穂さんの顔があって・・・
唇に何だか柔らかい何かが触れていた・・・
瑞穂さんが・・・僕にキスをしていた・・・

隆士「わわわっ!?」

瑞穂「ふふっ・・・」

慌てて離れると瑞穂さんはしてやったみたいな顔をしていた。

隆士「み、瑞穂さん何を!?」

瑞穂「私ね、やっぱり白鳥君の事好き。気付いちゃった。」

隆士「え、ええ!?」

瑞穂「ずっと梢ちゃんがいるから控えてた・・・ううん、気付かなかったけどやっぱり私・・・」

隆士「瑞穂さん・・・」

瑞穂「いいでしょキスくらい。私のファーストなんだから。」

隆士「あ、あの・・・僕も・・・だけど・・・」

瑞穂「え?」

隆士「僕も・・・今の・・・初めてなんだけど・・・」

瑞穂「え・・・えぇーーーーーーー!?」

隆士「そ、そんな驚く!?」

瑞穂「だ、だって梢ちゃんと付き合ってるならキスくらいしてんじゃないのかなぁって思ってしたのに!!」

隆士「ま、まだしてないよ!!クリスマスに魚子ちゃんに頬だけどされた程度で・・・」

瑞穂「何よそれ!!梢ちゃんにかなり悪い事しちゃったじゃないの!!」

隆士「だ、だったらキスしなかったらよかったんじゃ!!」

瑞穂「だって好きで好きでしょうがなかったんだもん!!」

隆士「あ〜・・・どうしよう・・・この後梢ちゃんにどう説明すれば・・・」

瑞穂「やばいかな・・・で、でも私達だけの秘密にすれば・・・」

隆士「それは無理だよ・・・だって・・・」

瑞穂「だって?」

隆士「そこにいるもん・・・」

梢「はい・・・」

瑞穂「え?わぁっ!!」

瑞穂さんの後ろには梢ちゃんがいた・・・

瑞穂「え、えっといつから?」

梢「初めからいました・・・」

隆士「これじゃ誤魔化しが利かないね・・・ごめんね。」

梢「白鳥さんが謝る必要は無いですよ。ね?」

瑞穂「うっ・・・」

梢ちゃん怒ってるかな・・・

瑞穂「あ、あの・・・ご、ごめん・・・」

梢「・・・」

思いっきり黙ってる・・・
こんな梢ちゃん見た事が無い・・・

梢「瑞穂さん?」

瑞穂「はい・・・」

梢「白鳥さんの唇・・・どうでした?」

隆士「は?」
瑞穂「へ?」

考えも付かなかった返答にかなり間抜けな声を出してしまった。

梢「私・・・まだキスした事が無いのでどんなのか良く分からないので・・・」

瑞穂「は、はぁ・・・えっと・・・温かくて柔らかくて・・・って怒ってないの?」

梢「白鳥さんの事を想う人は決して私だけじゃありませんから覚悟はしてました。ですが・・・」

瑞穂「え?」

梢「白鳥さんのファーストキス・・・ちょっと残念です。」

瑞穂「うっ・・・ごめんなさい・・・」

梢「いいんですよもう。ですけど、白鳥さんは私の恋人ですからね。」

瑞穂「・・・」

隆士「ま、まぁまぁ・・・」

瑞穂「分かってるわよ・・・でも白鳥君がいいなら私はいいわよ。」

隆士「いい!?」

瑞穂「もし梢ちゃんに飽きたらいいわよ。」

隆士「な、何言ってるのさ!!」

梢「そんな事したら許しませんよ?」

隆士「だ、だから!!」

瑞穂「あら?好きになるならないは人の勝手でしょ?それに白鳥君の事好きだって人はまだいるでしょ。」

梢「あ〜・・・朱雀さん・・・それに白鳥さんの幼馴染の・・・」

瑞穂「それって白鳥君に告白したって言う子?」

梢「はい。」

瑞穂「これはまだまだ面白くなりそうね。」

梢「はい。ですけど白鳥さんは渡しませんからね。」

瑞穂「それは白鳥君次第よ。ね?」

隆士「さっきから何を・・・!!」

梢「どうしました?」

梢ちゃんの後ろ、月明かりに何かの影が近づいてきていた。

隆士「アレは・・・!!」

梢「え?」

隆士「危ない!!」

梢「きゃっ!!」

ザシュッ!!

隆士「ぐっ!!」

何かが斬れた感じがした。
梢ちゃんを助けようと彼女を倒してその上に覆いかぶさったけどその際に右肩に斬れた感じがした。

瑞穂「し、白鳥君肩が!!」

隆士「うん・・・くっ!!」

右肩から血があふれ出していた。
その傷口は刀傷だった。

隆士「本当に本格的に攻めてきたね・・・犬斗!!」

犬斗「ああそうだな。」

僕らのすぐ近くに体中に日本刀を持った男、犬斗がいた。

犬斗「お前を殺せば後は問題ない。さっさと死んでくれ。」

隆士「お前一人で・・・僕にかい・・・僕だって戦えないわけじゃないさ・・・!!」

犬斗「バ〜カ。俺一人でケンカ売るかっつの。なぁ?」

「おうよ。」

隆士「なっ!?」

瑞穂「あ、アンタは!!」

梢「牛凱・・・!?」

そこには逮捕されたはずの牛凱がいた。

犬斗「俺が脱走させたのよ。猿治はもう使いもんにならんから捨てたがな。」

隆士「二体一か・・・犬斗の動きさえ見てれば何とか・・・」

犬斗「おいおい。まだ一人いるぜ。」

「キキキ・・・」

隆士「何っ!?」

別の場所にボロボロのマントに身を包んだ小柄な男がいた。

隆士「鼠条!?」

鼠条「キキキ・・・三体一だぜ・・・キキキ・・・」

隆士「くっ・・・」

梢「し、白鳥さん・・・」

瑞穂「白鳥君・・・」

こっちで戦えるのは僕くらいだ。
それも手負いの状態の・・・

隆士(明らかにこっちが不利か・・・この二人だけでも逃がす事が出来れば・・・)

犬斗「何ゴチャゴチャ考えてるんだよ!!さっさと死にな!!」

犬斗がそう言って僕達に刀を一本投げ付けてきた。

隆士「ま、まずっ!!」

「何やってるです!!」

隆士「!?」

突然目の前に誰かが現れて刀を叩き落していた。

隆士「珠実ちゃん!?」

珠実「梢ちゃんがこっそり出かけたから気になって来てみればこれですか!!」

現れたのは珠実ちゃんだった。
梢ちゃんの後をつけていたようだ。

隆士「珠実ちゃん・・・」

珠実「一体何があったです?コートは土神さんに着せてるしあなたは肩に怪我しているし。」

この様子だとキスの事は知らないみたいだ。

隆士「後で話す・・・今は・・・」

珠実「分かったです。」

隆士「二人は隙が出来たら逃げて・・・」

梢「ですが・・・」

隆士「大丈夫だから・・・」

瑞穂「・・・これ。」

隆士「え?」

瑞穂「使って。」

そう言って瑞穂さんはνXカリパーを僕に差し出した。

瑞穂「私には戦う事なんて出来ない・・・だから・・・」

隆士「・・・ありがとう。」

僕は痛みをこらえて右腕で受け取った。

珠実「・・・大丈夫ですか肩?」

隆士「このくらい何とも無いさ・・・」

「大丈夫ではありませんよ。」

隆士「え?」

楓「戻ってきてみればまたもこのような事に・・・」

隆士「楓さん・・・」

ちょうど楓さんもいたらしく素早く僕の傷口に止血剤と思う軟膏をつけて包帯をきつく巻いてくれた。

楓「痛みはあるでしょうがこれで・・・」

隆士「うん・・・ありがとう・・・これで三体三だ。」

鼠条「キキキ・・・雑魚が揃いも揃って・・・」

犬斗「どうあったってここで終わりよ。」

牛凱「覚悟しな。」

隆士「珠実ちゃんは牛凱をお願い・・・怪力だけは凄いから・・・」

珠実「分かったです。」

隆士「楓さんは鼠条を・・・毒や酸を隠しているから気をつけてください・・・」

楓「承知しました。」

隆士「僕は犬斗を叩く。」

犬斗「やれるのか?お前によ?」

隆士「やらなくちゃいけないんだ!!」

ほぼ同時に僕ら三人はそれぞれの敵に向かった。
彼女達の為にも僕は戦うと決めた。
この内なる修羅が目覚めようと僕がどうなろうと。




彼女達を、僕は必ず守る。





十一の調
十三の調
戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送