十三の調


別れの月下








隆士「はっ!!」

犬斗「おおっと!!」

僕は瑞穂さんのνXカリパーで犬斗と戦っている。

犬斗「意外とやるじゃねぇかよ!!」

隆士「うるさい!!はっ!!」

ガギンッ!!

僕は犬斗の刀を砕いた。

犬斗「やるじゃん!!楽しくなってきたぜ。」

犬斗は壊れた壊れた刀を捨て、新しい刀を取り出した。

隆士「使えなくなったら捨てるか・・・やっぱり最低な奴だね・・・」

犬斗「当たり前の事だろうが。そうじゃねぇのかよ!!」

隆士「くぅっ!!」

犬斗が切りかかってきたが何とか受け止める事が出来た。

隆士「当たり前だと言えるお前は絶対どうかしてる・・・!!狼牙!!」

犬斗「おっと!!」

至近距離の狼牙を犬斗はかわした。
最低な奴でも身のこなしだけは一人前だからな・・・

犬斗「そっか貴様、藍川虎丈から技教わってたんだっけな。」

隆士「ああ・・・」

だけど僕が覚えれたのは狼牙、狐閃、鮭跳の三つだけ・・・

隆士「それでも負けられない!!」

犬斗「おっと!!」

もう一度狼牙をやったけどまた避けられた。

隆士「ちっ・・・あまり時間はかけたくない・・・珠実ちゃんや楓さんの方に行かないといけないのに・・・」

珠実「とぁっ!!」

牛凱「このっ!!」

楓「はっ!!」

鼠条「キェーーー!!」

楓さんは橙条院家に使えてる人の中でも格闘戦は慣れてるから大丈夫かもしれないけど珠実ちゃんは違う。
早く援護に向かわないと・・・

犬斗「余所見してる暇あるのかよあぁ!?」

隆士「十分にね!!」

犬斗「っとぉ!?」

僕は回し蹴りで犬斗の刀をまた一本砕いた。
しかし同時にまた別の刀を持ち出してきた。

隆士「くそっ!!珠実ちゃんは大丈夫!?」

珠実「全然平気です!!」

隆士「楓さんは!?」

楓「ご心配なく!!」

どうやら二人は大丈夫そうだ。
だけどゆっくりなんて出来やしない。

隆士「時間はかけられない。すぐに終わらせるよ。」

犬斗「笑わせんな!!あっちのチビ如きに十二支一の馬鹿力が負けるとでも!?」

隆士「珠実ちゃんなら可能だろうさ。それも相棒の鉄球が無い牛凱なんかにはね。」

珠実「その通りです!!」

牛凱「このチビ・・・さっきからちょこまか動きやがって!!」

珠実ちゃんは言っちゃ悪いけどその小柄な体系をフルに活用して素早く動いて翻弄させていた。

楓「ていっ!!」

鼠条「くぉっと!!」

楓さんも持ち前の運動神経で鼠条と戦っている。

隆士(だけど妙だ・・・あいつがまだ何も得物を出してこない・・・)

戦いながら鼠条の動きを見ていたけど、あいつはまだ得物。
毒や酸を使っていない。

隆士「一体何を・・・」

犬斗「おらおら余所見してんじゃねぇ!!」

隆士「くっ!!」

少し気を抜いてしまった。
僕は何とか犬斗の刀を受け止める事は出来たがこちらが不利だ。

梢「白鳥さん!!」

鼠条「よっしゃそこだ!!」

楓「なっ!?」

突然鼠条が楓さんから距離を置きリモコンのような物を押した。

犬斗「あばよ!!」

隆士「え!?」

その同時に犬斗が僕と距離を置いた。
何か嫌な予感がした。

隆士「はっ!!」

僕はすぐジャンプした。
その時だった。

ジュッ!!

隆士「何っ!?」

僕のいた場所に液体が・・・
酸が飛んできた。

隆士「まさか鼠条この公園に!?」

鼠条「その通りよ!!死ね!!」

隆士「はっ!?」

その時僕に向かって酸が放たれたのに気づいた。

瑞穂「白鳥君危ない!!」

鼠条「空中で避けられるかボケ!!」

隆士「出来るさ!!はぁっ!!」

僕は鮭跳で何とか酸をかわし、着地した。

犬斗「ちっ。」

隆士「お前達・・・この公園に酸を発射する装置を仕掛けたんだな・・・!!」

牛凱「おうよ。はっきり言って設置には結構手間かけたんだぜ。」

鼠条「俺のこのリモコンでポチっとすりゃ酸がドピュドピュ出るぜぇ〜・・・」

楓「外道が・・・!!」

鼠条「言っていいのかぁ?その気になりゃそこのメスどもが溶けるぜぇ?」

梢「!?」

隆士「くそっ二人とも逃げるんだ!!」

牛凱「そうは。」

犬斗「させねぇ!!」

珠実「きゃっ!!」

隆士「くっ!!」

二人が邪魔をして僕らは梢ちゃん達の所には行けそうに無い。
となると残る希望は・・・

隆士「楓さん!!」

楓「分かっています!!」

楓さんに全てを託すしかない。

鼠条「オメェのようなのに奪えれるかっての!!」

楓「そのくらいなら・・・」

鼠条「にぃ!?」

楓さんは素早い動きで鼠条の懐に飛び込んだ。

楓「可能だ!!」

鼠条「おヴぁっ!!」

楓さんの掌底が決まり鼠条は吹っ飛び、同時にリモコンが手放された。

楓「これで!!」

楓さんはリモコンに手を伸ばした。

鼠条「このっ・・・野郎!!」

鼠条は忍ばしていたナイフを取り出した。
あいつの事だからあのナイフには・・・

隆士「楓さん危ない!!」

楓「な!?」

鼠条「死ねぇーーーー!!」

鼠条はナイフを楓さんに投げつけた。

楓「くっ!!」

楓さんはかする事無くナイフを避けた。
それと同時にリモコンから離れざるを得なかった。

鼠条「よく避けたな。俺特性の毒たっぷりのナイフをよ。」

隆士「やっぱり毒があったか・・・」

鼠条「当たり前よ。何だったらこうしたって・・・」

梢「え・・・」

鼠条「いいんだぜ!!」

鼠条は梢ちゃんと瑞穂さんにナイフを三本投げつけた。

隆士「危ない!!」

僕は反射的に二人の前に飛び出した。

隆士「はぁーーー!!」

キィン!!

僕は何とかナイフを全て叩き落す事が出来た。

瑞穂「白鳥君!!」

隆士「え・・・ぐっ!!」

ナイフは防御出来たけどその後の犬斗の刀は避ける事は出来なかった。
奴は刀を一本投げつけ、それが僕の左肩の肩口に突き刺さった。

梢「白鳥さん!!」

隆士「だ、大丈夫・・・!!」

僕はすぐに刀を抜いた。
そこから血が流れ出した。

犬斗「無様だなぁ?そいつら見捨てりゃそんな怪我することも無かったろうに?」

隆士「見捨てられるわけ・・・無いだろう!!」

僕は痛みを堪え犬斗に切りかかった。

珠実「白鳥さん・・・この筋肉ダルマさっさと倒れるです!!」

牛凱「黙れチビがぁ!!」

珠実「うっ!?」

殴りかかった珠実ちゃんの腕を牛凱がつかんだ。

珠実「は、放すです!!」

牛凱「チョコマカ動きやがって・・・この腕を握り潰してやる!!」

珠実「あっ・・・あぁーーーー!!」

梢「珠実ちゃん!!」

瑞穂「梢ちゃん駄目!!」

牛凱「安心しな!!後で一緒に天国に送ってやるからよ!!」

珠実「そんなのは・・・ごめんです!!」

牛凱「なっ!?」

楓「おお・・・!!」

鼠条「にぃ!?」

珠実ちゃんは腕をつかまれたまま助走をつけて飛び上がり両足を高く上げた。

珠実「いやぁーーー!!」

牛凱「ガッ!?」

珠実ちゃんは勢いよく両足を下ろし牛凱の脳天に蹴りを入れた。

珠実「これで終わりじゃありませんです!!」

そのまま牛凱の手から逃れてすぐに右足で顎を蹴り上げた。

珠実「はっ!!」

そのまま飛び上がり後ろ回し蹴りの要領で左足で顔を蹴り。

珠実「やぁーーー!!」

最後に右ひざで牛凱の顔を蹴り、そのまま地面に叩きつけた。

瑞穂「す、すごい・・・」

犬斗「まさか牛凱が・・・くそっ!!鼠条!!」

鼠条「分かってらぁ!!こうなりゃ皆殺しだ!!」

そう言って鼠条はリモコンを取ろうとした。

楓「させません!!」

同時に楓さんもリモコンを取ろうとした。

隆士「楓さん!!」

僕は楓さんをサポートしようと向かおうとした。
だけどその時。

犬斗「させねぇよ!!」

隆士「わっ!!」

犬斗が刀二本で僕に切りかかり、それを受け止めるので精一杯だった。

鼠条「取らせねぇ!!ちぇい!!」

楓「し、しまった!!」

鼠条がナイフを投げつけ、怯んだその隙にリモコンを取ってしまった。

鼠条「こうなりゃ暴走させてやる!!」

そう言って鼠条はリモコンを滅茶苦茶に押しまくった。

楓「まずい!!」

そのすぐ後に公園中に仕掛けられたトラップから酸が大量に発射された。

隆士「鼠条の奴なんて事を!!みんな早く逃げて!!」

梢「は、はい!!珠実ちゃんも!!」

珠実「わ、分かったです・・・!!」

珠実ちゃんは右腕の痛みを堪えて立ち上がろうとした。
その時珠実ちゃんに酸が向かっているのが見えた。

梢「珠実ちゃん!!」

瑞穂「梢ちゃん!?」

梢ちゃんが珠実ちゃんの所に向かって行った。

珠実「こ、梢ちゃ・・・!!」

梢「危ない!!」

ジュッ!!

梢「あぁーーーっ!!」

隆士「!?」

楓「なっ!!」

珠実「こ、梢ちゃん!!」

梢ちゃんが珠実ちゃんをかばって背中に酸を浴び倒れた。

隆士「こ、梢ちゃん・・・」

犬斗「ひゃっはっは!!こりゃおもしれぇ!!なぁしらと・・・?」

その瞬間何かが目覚めた感じがした・・・
抑えきれない怒り・・・
やりようの無い悲しみ・・・
そして彼女を巻き込んでしまった自分自身の不甲斐無さ・・・
それ全てが一度に現れ・・・
僕の中の何かが・・・
修羅が再び覚醒した。

隆士「う・・・」

犬斗「な、何だこの殺気?」

隆士「うわぁーーーーーーー!!」

犬斗「ごヴぁっ!?」

珠実「!?」

怒りに全てを任せた僕は狼牙で犬斗を蹴り飛ばし、その勢いを利用し鼠条の方を向きνXカリパーを構えた。

隆士「鼠条ーーーーーーー!!」

二度と使いたくは無かった・・・
だが修羅とかした僕には関係の無い事だった。
誰かを助ける為なら・・・
再び罪を重ねてもいい。

隆士「うおぉーーーー!!」

僕は一気にバットを振り上げた。

鼠条「な、何だぁ!?」

隆士「天!!」

鼠条「何っ・・・がっ!?」

バットを振り下ろした刹那、空を走り僕の斬激は鼠条の体を斬り貫いた。

隆士「うおぁーーーーー!!」

それだけでは修羅は納まらずそのまま鼠条に向かい走り出した。

鼠条「なっ・・・!?」

僕はバットを水平に構え、右腕を引けるだけ引いて突きの体制を取った。
このまま奴の体を撃ち貫くように・・・

隆士「おぉーーーーーー!!」

瑞穂「駄目よ白鳥君!!」

楓「隆士様!!」

珠実「白鳥さん!!」

みんなの声が聞こえるけどそれだけじゃ止まりはしない・・・
修羅は奴を殺さない限り納まりそうに無い・・・
あの時のように・・・

梢「白鳥さん・・・駄目・・・です・・・!!」

隆士「!!」

か細く苦しみに染まった声を聞いて僕は体を止めた。
あの時とは違う・・・
守ろうとした人の声を聞いて・・・

隆士「こず・・・え・・・ちゃん・・・?」

梢「駄目です・・・もう・・・罪を重ねないでください・・・!!」

隆士「梢ちゃん!!」

僕はバットを捨て、梢ちゃんの所に走った。

犬斗「くそっ!!ずらかるぞ!!」

鼠条「お、おう!!」

二人はその隙に逃げ出したが僕にはどうでもよかった。

隆士「梢ちゃん大丈夫!?」

梢「は、はい・・・」

楓「幸い酸は皮膚まで到達していなかったようです。それでもしばらくは辛いでしょうが・・・」

隆士「よかった・・・」

梢「白鳥さん・・・私は大丈夫ですから・・・もう罪を重ねなくていいんですよ・・・」

隆士「・・・うん・・・」

瑞穂「急いで戻ろう。ここにいたら危険だから。」

珠実「はいです。」

梢ちゃんを楓さんが抱えて僕らは帰ろうとした。
その時だった。

牛凱「こ、この・・・チビがぁ・・・!!」

珠実「え・・・?」

珠実ちゃんに倒されたはずの牛凱があの時破壊したと同じ鉄球を持ち出し構えていた。

牛凱「死ねぇーーー!!」

珠実「はっ!!」

そして一番後ろを歩いていた珠実ちゃんに鉄球を投げつけてきた。

珠実「しまっ!!」

不意打ちもあって珠美ちゃんは避けれそうになかった。

隆士「珠実ちゃん危ない!!」

珠実「きゃっ!!」

とっさに僕は珠実ちゃんを突き飛ばした。

梢「し、白鳥さん!?」

隆士「・・・ごめんね・・・」

ドガッ!!

鈍い音が聞こえた・・・
僕は鉄球の直撃を喰らった・・・
闇空に浮かぶ月を最後に・・・
僕の意識は・・・







梢「し、白鳥さん!!」

珠実「白鳥さん!?」

一瞬何が起こったか分からなかった。
気づいた時には白鳥さんが鉄球の直撃を喰らって倒れていた。

牛凱「くそっ!!こうなりゃ全員!!」

瑞穂「よくも・・・よくもぉーーー!!」

牛凱が鉄球を引き戻すより早く瑞穂さんが釘バットを持って牛凱に向かって行った。

牛凱「なっ!?」

瑞穂「うわぁーーーー!!」

ボグッ!!

牛凱「ごぶっ!!」

瑞穂さんは牛凱の顔を釘バットで叩きつけました。

瑞穂「こいつよくも!!よくも白鳥君を!!」

牛凱「ぶごっがっ!!」

珠実「ちょっとあのままじゃ死んじゃうですよ!!」

楓「止めなくては!!」

梢「み、瑞穂さん・・・!!」

楓「こ、梢さん!?」

私は瑞穂さんの所に向かった。

梢「瑞穂さん・・・」

瑞穂「白鳥君を・・・白鳥君を・・・!!」

梢「もう・・・やめてください・・・」

瑞穂「梢ちゃん!!でもこいつは!!」

梢「やめてください!!」

瑞穂「!?」

梢「やめて・・・ください・・・」

瑞穂「梢・・・ちゃん・・・」

梢「誰も・・・罪を負わなくてもいいのに・・・」

瑞穂「・・・」

珠実「梢ちゃん・・・」

楓「皆さん・・・戻りましょう。」

梢「はい・・・それと警察にこの事を・・・」

楓「分かりました。」

瑞穂「梢ちゃん・・・」

梢「行きましょうよ・・・皆さんで・・・」

瑞穂「ええ・・・」

私達は鳴滝荘に戻りました・・・
重傷の白鳥さんと一緒に・・・







恵「それで白鳥クンは大丈夫なの?」

珠実「今楓さんが診てるです・・・」

翼「どうしてまたこんな事に・・・」

珠実「・・・私のせいです・・・」

花梨「お珠・・・」

珠実「私を助けて白鳥さんは・・・」

梢「珠実ちゃん・・・自分を責めないで・・・」

珠実「ですが・・・」

朝美「珠実お姉ちゃん・・・お兄ちゃんは大丈夫だよ。」

理想奈「そうよ。だって大家さんを残して死ぬなんて・・・死んでも許せないわ。」

恵「だから大丈夫だって。すぐにまたあたし達の前に・・・」

楓「・・・」

皆さんで話してると楓さんが戻ってきました。

梢「楓さん、白鳥さんは・・・」

楓「幸い体に大きな痛手はありませんでした・・・傷はほんのかすり傷程度で済んでいました。」

梢「ほっ・・・」

その瞬間不安が晴れたような感じがしました。

楓「ですが・・・」

梢「え?」

朱雀「自体は深刻です・・・」

梢「白鳥さん・・・いえ、朱雀さんですね?」

朱雀「はい・・・」

沙耶「自体は深刻って何かあったんですか?」

朱雀「その・・・白鳥さんが・・・」

灰原「白鳥がどうかしたのか?」

神那「俺が話すよ。」

梢「栗崎さん・・・白鳥さんがどうかしたんですか・・・?」

神那「ああ・・・」

栗崎さんは一度深呼吸をして間を置きました。
その間皆さんシンと静まりました・・・

神那「・・・心して聞けよ・・・」

梢「はい・・・」

神那「・・・隆士の奴が・・・目覚めなくなった・・・」

梢「!?」

栗崎さんの言葉が信じられなかった・・・
いえ、信じたくなかった・・・
自分の耳を疑ってみたけど間違いなく・・・
白鳥さんが目覚めなくなったと聞こえた・・・

梢「白鳥さんが・・・目覚めなくなった・・・?」

神那「ああ・・・死んじゃいないが・・・目を覚まさなくなってる・・・」

恵「ちょ、どう言う事なのよそれ!?」

神那「こっちだって聞きたいくらいだ・・・こんな風になってから誰かが寝たり起きたりするのに気づけるのはそいつの波動を感じれるからだ・・・」

梢「波動・・・?」

神那「多分だが完全に死ねばそいつの波動は感じないだろう・・・だが生きてさえいれば寝てようが起きてようが波動は感じ取れる・・・」

梢「そ、それで白鳥さんの波動は・・・?」

神那「限りなく・・・ゼロに等しいほど・・・って所か・・・今あいつの精神はかろうじて生きてる所だろう・・・」

梢「かろうじて・・・でも・・・でも死んでいないんですよね?」

神那「今はな・・・」

梢「なら大丈夫です・・・生きているなら・・・生きているならまた会えますから・・・」

瑞穂「梢ちゃん・・・強いんだね・・・でも・・・もしもの時は・・・」

梢「・・・その時は事実を受け入れます・・・」

だけど本当はそうなって欲しくない・・・
二度と白鳥さんに会えないなんて嫌ですから・・・

珠実「・・・梢ちゃん・・・」

梢「大丈夫よ珠実ちゃん。そんなに私は弱くないから。」

珠実「・・・ごめんなさいです・・・」

神那「・・・こうなったら荒療法にとってかかるか。」

三千代「あ、荒療法?」

神那「こうなっちまったのには俺らにも非はある。何が何でも隆士を起こすしかない。」

まひる「そんな事出来るのか?」

神那「ん〜・・・それは・・・虎丈が知ってるだろうさ。」

虎丈「俺らをこの状態にした菫里さんなら何とかしてくれるかもしれないさ。」

朝美「すみれざとさん?」

梢「その人なら何とかしてくれるのですか?」

虎丈「可能性で言えばな。あの人への連絡なら出来る。電話借りるぜ。」

梢「はい。」

そう言って虎丈さんは受話器を置いている場所に向かいました。

タチバナ「しかし問題はまだ残されています。」

沙夜子「まだ二人だものね・・・」

梢「あ・・・」

そう言えばまだ捕まえれた十二支は二人・・・
兎連さんに鳥汐ちゃん・・・
先ほど出会った犬斗に鼠条・・・
まだまだいるんでした・・・

恵「前に来た賑やかそうなのと朝美ちゃんの友達の子、それに襲ってきたのを除いても六人いるのよね・・・」

梢「その六人の内一人が白鳥さんを一度殺した人・・・竜汪と言う方がいる・・・」

翼「確かそいつって強いんだったんだよな。大丈夫なんだろうか・・・」

三千代「翼さん・・・」

翼「こんな時非力な自分が情けないぜ・・・でもお前は守ってやるよ。」

三千代「期待しますわ・・・」

瑞穂「非力な自分か・・・そうよね・・・」

珠実「私達とは別の次元の話に等しいです・・・」

楓「私達も全力を出します。あなた達には危害を及ばないようにします。」

朝美「ありがとうございます・・・」

虎丈「ん?何の話だ?」

そんな事を話していると虎丈さんが戻ってきました。

梢「どうなんですか?」

虎丈「明日ここに来てくれるって。多分何か解決方法があるだろうさ。」

梢「よかったです・・・」

虎丈「ただそれで解決するかはまだ分かんないぜ・・・」

梢「分かっています・・・」

だけど私の心は不安でいっぱいでした・・・
もしまた白鳥さんに二度と会えないなんて事になったら・・・
私はその時何をするかも分からない・・・
だから今の私に出来る事・・・




愛する人が帰ってくるよう祈るだけ・・・





十二の調
十四の調
戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送