Three Page


プレゼント







ミコト「むぅ〜・・・」

本編終了の残暑が残る九月、ミコトは何かと睨み合いをして唸っていた。

マーカス「どしたッスかミコトさん?」

そんなミコトの元にマーカスがやって来た。

ミコト「あ、マーカス・・・ねぇ・・・これ・・・」

マーカス「ん?」

ミコト「何に見える?」

そう言ってミコトは睨んでいた何かを見せた。それは・・・

マーカス「・・・ぞ、雑巾・・・?」

かなりボロボロの雑巾としか言いようの無い布だった。

ミコト「やっぱりそうよね・・・うぅ・・・」

雑巾と言われて何故かミコトは落ち込んだ。

マーカス「え?で、これ本当は何なんス?」

ミコト「・・・スカーフ・・・」

マーカス「え・・・?」

ミコトが見せた布は実はピンク色のスカーフだった。

ミコト「やっぱり作り直そう。」

マーカス「いきなりどうしたんスか?」

ミコト「・・・もうすぐ私達誕生日でしょ?」

マーカス「そう言えば・・・あ〜それジタンさんへのプレゼントッスか。」

ミコト「うん。でもこれじゃ・・・」

マーカス「ん〜・・・まぁお二人の誕生日までまだ一週間あることだし俺も強力するッスよ。」

ミコト「マーカス・・・嬉しいけどこれは私一人でやりたいの。」

マーカス「そうッスか・・・でも大丈夫ッスか?」

ミコト「大丈夫よ。」

マーカス「ならいいッスが・・・まぁ頑張ってくださいッス。」

ミコト「うん。」







エーコ「へぇ〜ミコトがスカーフを。」

ルビィ「そや。あの子手に結構怪我してたから必死になって作ってるんやろ。」

ビビ「でもどうして突然・・・」

その頃ルビィはいつ知ったのかは分からないがミコトの事を仲間達の一部に話していた。

ブランク「そういやぁそろそろジタンの誕生日じゃないか?」

シナ「そう言えばそうズラ。」

エーコ「そなの?」

ビビ「じゃあそれってジタンへの誕生日プレゼント?」

ルビィ「やないの?でも近くに恋人おるのに兄へのプレゼントって・・・てかあの子も誕生日やん。」

エーコ「ミコトってかなりのブラコンだからね〜・・・」

ビビ「それよりもさ・・・間に合うのかな・・・」

シナ「そいつは分からないズラ。あの子がどれだけ器用か不器用かオイラ達は知らないズラ。」

ビビ「そうじゃなくて・・・ジタンさ・・・」

ブランク「チッ・・・そっちがあったか・・・」

エーコ「今何処で何してるのかしらジタンは・・・」







ジタン「ヘックシュ!!」

リネット「風邪?」

ジタン「知らねぇよ・・・」

ジタンはモグネット本部の近くの海でリネットと会っていた。







ビビ「お姉ちゃんの戴冠式は二週間後だったよね?」

エーコ「流石にその日には来るだろうけど・・・誕生日は難しいわね。」

ルビィ「あいつ・・・ちゃんと来るやろうか・・・」

エーコ「それにしてもどうしてスカーフを手作りなのかしら・・・?」

ルビィ「何でもマフラーはまだ早いしバンダナはあいつ結構もっとるやろ?それでスカーフにしたらしいで。ちゃんとした道具まで揃えて・・・あら本気やで。」

エーコ「兄を想う気持ちは偉大なりか・・・マーカスがかわいそう・・・」

ブランク「ま、いいんじゃないか?」

シナ「そうズラ。そしてそのままはきょ・・・」

ルビィ「はいそこまで。それ以上言えばナイフが飛ぶで。」

シナ「・・・」

エーコ「ま、あたしらは影から見守ってようよ。」

ビビ「そうだね。」







ダガー「へぇ。ミコトが・・・」

ミコトがスカーフ作りをしている話はダガー達にも届いていた。

コウ「ああ。どうやらあいつの誕生日プレゼントとしてらしいぜ。」

ラニ「あの子も結構努力家なんだね。おっと抜け。」

ダガー「ああ!!」

コウ「くっそう!!」

ベアトリクス「賭け事は強いのに何故ババ抜きは・・・」

ちなみにダガー達は皆でババ抜きをしていた。

コウ「アレは運が勝負の分け目だからな。でもこれは運だけじゃ駄目だからな〜・・・」

スタイナー「これはただ単に二人がジョーカーを取り合ってるだけでは・・・」

ダガー「うるさいわねスタイナー・・・ああまた!!」

コウ「うっしゃこれで俺に勝機が・・・うおっ!!」

二人はずっとジョーカーを引き続けていた。

ベアトリクス「情けない・・・」

ダガー「うるさいわね!!絶対私が先に・・・ああ!!」

コウ「すぐに決着つけて・・・ぬあっ!!」

ダガー「待ってなさい!!すぐに終わらせて・・・いやっ!!」

コウ「ようしこれでとどめ・・・くぉっ!!」

スタイナー「これで何回目でありますか?」

ダガー「あうっ!!」

コウ「ちぃっ!!」

ダガー「ひぅっ!!」

コウ「どぅあっ!!」







ミコト「あうぅ〜・・・」

あくる日、ミコトはずっとスカーフを作っていたがまだ雑巾としか言いようが無いものばかりだった。

マーカス「ミコトさん・・・少しは休んだ方がいいッスよ。」

ミコト「でも・・・時間が無いから・・・」

ミコトは昨日からずっと休まずスカーフを作り続けていた為、髪はボサボサ目の下に隈手には大量の生傷。オマケにその部屋にはスカーフと言えない雑巾が大量にあった。

マーカス「そりゃそうッスが・・・休まないとミコトさんの体が持ちませんよ・・・」

ミコト「でも・・・このままじゃまだ・・・」

マーカス「だからってミコトさんが倒れちゃ元も子も無いッスよ。」

ミコト「でも!!」

マーカスの制止を振り切ってミコトは再びスカーフ作りを再開した。

マーカス「ミコトさん・・・」







マーカス「て事なんス・・・」

ルビィ「ミコトちゃんも強情やなぁ〜・・・」

マーカスは皆にミコトの事を相談した。

エーコ「ただアンタの押しが弱いんじゃない?」

ルビィ「それはウチもそう思う。」

エーコ「多分あっち側もそんな事言うんじゃない?」

その剣の国アレクサンドリア(あっち)側は今・・・







ダガー「はぁはぁ・・・」

コウ「ぜぇぜぇ・・・」

昨日から決着つかずのババ抜きがずっと行われていた。

ラニ「まだやってるの〜・・・?」

ダガー「う〜う〜・・・うるさい・・・わよ・・・」

サクラ「ぱぱよわい・・・」

コウ「ま、待ってろ・・・い、今俺が・・・勝ってや・・・」

ダガー「ま、負けな・・・」

この二人もミコト並にボロボロだった。







エーコ「と言ってもこっち(船の国リンドブルム)でしか今はまともに動けれないしね。ミコトがいるし。」

マーカス「どうしたらいいッスか・・・?」

ルビィ「手を出してでも止めさせる?」

エーコ「体をはってでも止めさせる?」

マーカス「どっちにも俺には無理ッス・・・」

エル「駄目じゃんそれじゃ!!」

マーカス「ぐっ・・・」







マーカス「ミコトさん今日も徹夜したのかな・・・」

次の日マーカスは前ジタンの部屋、現ミコトの部屋の前で悩んでいた。

マーカス「ミコトさん入るッスよ。」

そしてマーカスは部屋に入った。そこには・・・

マーカス「昨日より増えてる・・・」

スカーフと言えない物が大量にあり、そしてその中に・・・

ミコト「うぅ・・・」

ミコトがいた。

マーカス「ミコトさん・・・大丈夫ッスか?」

ミコト「あ・・・マーカス・・・これ・・・」

マーカス「こ、これ・・・」

ミコトがマーカスに見せた物。それは・・・

マーカス「スカーフ・・・上手く出来たッスね。」

ミコト「まだまだよ・・・でもありがとう・・・」

今までの物よりも出来が良いスカーフがあった。

ミコト「だから・・・これから・・・もっと・・・良い物・・・を・・・」

マーカス「おわっ!!ミコトさん!!」

ミコト「ZZZ・・・」

ミコトはマーカスに倒れこむように眠りについた。

マーカス「・・・お疲れ様ッス・・・」

そう呟いてマーカスはミコトを抱きしめた。

マーカス「だから今はゆっくり休んでくれッス・・・」

ミコト「・・・」







ビビ「そっか。ミコトお姉ちゃんやっとうまく作れたんだ。」

エーコ「と言ったってまだまだ良い出来じゃない物だけどさ。」

ブランク「ジタンの誕生日まで後四日。やっと基本が完成したって事か。」

シナ「じゃあ後四日でいい物を完成させるって事ズラか。」

ルビィ「あの子なら大丈夫やろ。」

ビビ「でも大丈夫じゃないのは・・・」







ダガー「ぐぅ・・・」

コウ「がはっ・・・」

こっちの決着がつかなかった二人は三日目にして決着つかず同時倒れで終わっていた。







ビビ「だよね。」

ブランク「ああ。」

ルビィ「さてと、うちらはあの二人を見守ってやろうや無いの。」

エーコ「うん。」







ミコト「よし。これなら大丈夫かしら。」

それから三日後、ミコトは店で売ってるのと同じようなスカーフを作り上げれた。

マーカス「お疲れ様ッスミコトさん。」

ミコト「マーカスもありがとう。」

マーカス「へっ?」

ミコト「ずっと私を見ててくれたでしょ。だからこそ私はここまで来れた。だからありがとう。」

マーカス「そんな・・・俺なんか何にも・・・」

ミコト「ううん。マーカスがいたから私は・・・」

マーカス「ミコトさん・・・それでどうやってジタンさんに渡すんスか?」

ミコト「伝わるかどうか分かんないけど兄さんに呼びかけてみるわ。」

マーカス「あ、なるほど・・・」

ミコト「よれじゃ早速・・・(兄さん・・・)」

ミコトはジタンに呼びかけた。

ミコト(私兄さんに誕生日プレゼントを作ったの・・・渡したいから明日ピナックルロックスに来て・・・)







ジタン「そっか。明日俺の誕生日か。」

リネット「どしたの?」

ジタン「いやさ今(事情説明)って事でさ。」

リネット「ほえ〜・・・」

ジタン「で、俺は明日には動けれるのか?」

モリスン「明日は無理でしょう・・・後せめて一週間は最低・・・」

ジタン「ぬぅ〜・・・」

リネット「あ、待てよ・・・意外に行かない方がいいかも。」

ジタン「何で?」

リネット「それはね・・・」







ミコト「伝わったかな・・・」

マーカス「それは流石に分からないッス・・・」

ミコト「そうよね。じゃ、明日の準備をしておこうかしら。」

マーカス「で、渡す奴は決めてるんスか?」

ミコト「ええ。これよ。」

ミコトの手には今までの中で一番綺麗に出来てるスカーフがあった。

マーカス「いいと思うッスよ。」

ミコト「でしょ?この数日で仕上げれた中で最高の出来よ。」

マーカス「そうッスね。」

ミコト「それじゃ明日の準備をするから・・・出来れば部屋を・・・」

マーカス「分かったッス。」

そしてマーカスは部屋を出た。

ミコト「さてと・・・明日が楽しみだわ。」







エーコ「いよいよ運命の日ね。」

ビビ「うん。ジタンは来るのかなぁ?」

ブランク「流石にこいつばっかりは分かんないな。」

ルビィ「しかしこの場合マーカスはどう動くのかが気になるわ。どないすんやろ。」

エーコ「こう言うのって複雑だからね。」







マーカス「へぇっくしょい!!風邪でもひいたッスかな?」

マーカスはそんな事を話されてるとは知らずまたミコトの部屋の前に来ていた。

マーカス「ミコトさ〜ん入るッスよ〜」

ミコトの返事を待たずにマーカスは部屋に入った。するとそこには・・・

ミコト「え・・・?」

マーカス「は・・・?」

見事に着替え中(着て行く服を選び中とも言う)の下着姿のミコトがいた。

ミコト「あ・・・あ・・・あ・・・!!」

マーカス「い、いやその・・・これは・・・偶然と言うか・・・ほんの些細な事故でして・・・!!」

必死になって誤魔化そうとしているマーカスではあったが二人揃って顔が徐々に赤くなっていた。

ミコト「いやぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

マーカス「失礼しましたぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー!!」

ミコトに物を投げ付けられる前にマーカスは雲が引くほどの速さでその場を逃げた。

ミコト「み、見られた・・・見られちゃった・・・!!」







マーカス「はぁはぁ・・・見てしまった・・・しかし意外とスタイルは・・・って俺は何を考えてるんだ!!死ねばいいんだ、死ねばいいんだ、死ねばいいんだ!!」

マーカスは先程の事を必死に忘れようと壁に頭を何度もぶつけ続けた。

マーカス「死ねばいいんだ、死ねばいいんだ、死ねばいいんだ、死ねばいいんだ、死ねばいいんだ!!」

ミコト「あ、あの・・・マーカス・・・?」

マーカス「死ねばいいん・・・だ・・・?」

いつの間にかミコトが近くにいた。

マーカス「おわぁっ!!」

すぐにマーカスは距離を置いてミコトに土下座をした。

マーカス「すいませんでした!!俺は別に見る気など無くあれはホントの事故でして・・・!!」

ミコト「い、いいわよもう・・・見られたのは恥ずかしかったけど・・・マーカスだけだったから・・・」

マーカス「いいえ!!男が女性のあられもない姿を見てしまうのはとてつもない犯罪行為!!決して俺はあなたのあのような姿を決して・・・!!」

ミコト「も、もういいわよ・・・それにそこまで言うと私も恥ずかしいし・・・」

マーカス「ですから俺は・・・ああ〜〜〜〜〜俺なんか死ねばいいんだ、死ねばいいんだ、死ねばいいんだ、死ねばいいんだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

マーカスは今度は床に頭をぶつけ始めた。

ミコト「も、もう止めてよ・・・そのままじゃマーカスの体が・・・」

マーカス「いいえこうでもしないとあなたのあの上下共に純白の下着姿を忘れる事が出来ません!!くそ〜〜何故男はこんな生き物なのだ〜〜〜!!」

ミコト「マ、マーカス声が大きいわよ!!」

マーカス「はっ!!お、俺はまたなんて失礼な事を〜〜〜〜〜!!死ねばいいんだ、死ねばいいんだ、死ねばいいんだ〜〜〜〜〜〜〜!!」

ミコト「だ、だから落ち着いてって〜〜〜〜〜!!」



数分後



ミコト「落ち着いた?」

マーカス「え、ええ何とか・・・」

それなりの時間が経過しマーカスは落ち着きを取り戻した。

ミコト「見られた物はしょうがないわ。あの姿はサービスにしておいてあげるから誰にも言わないでね。」

マーカス「はい・・・ッス・・・」

ミコト「で、どう?今日の私の服。」

マーカス「え?」

ミコトの服はフリルが多めについたピンクの花柄ワンピースだった。

ミコト「おかしいかな?」

マーカス「い、いや・・・てかむしろ似合い過ぎてて可愛いッス・・・」

ミコト「え?」

マーカス「い、いや何でも!!で、これからお出かけッスか?」

ミコト「うん。いつまでいるかは分からないけど来るまで待つつもりよ。」

マーカス「そうッスか・・・お気を付けて・・・」

ミコト「行って来るわ。」

そう言ってミコトは出かけた。

マーカス「はぁ〜・・・ミコトさんの中で一番なのはジタンさんなんスか・・・寂しいと言うか・・・ん?待てよ・・・ジタンさんの誕生日と言う事は・・・しまったぁ!!何故俺はこんな事に気が付かなかったのか!!急がねば!!」

突然マーカスは何かを思い立ちアジトを飛び出した。







ミコト「兄さん来るかしら・・・」

その頃ミコトは既にピナックルロックスに到着してジタンを待っていた。

ミコト「この服・・・今日の為に買った物だから・・・早く兄さんに会いたい・・・」

今のミコトの心の中はジタンの事だけであった。一方その頃。







マーカス「ぬぅ〜・・・何がいいのやら・・・」

マーカスはもの凄い形相で船の国リンドブルムの商業区の店と言う店を全て見回っていた。

マーカス「これと言った良い物が中々・・・およっ?」

その中でマーカスは小さなサファイアが施された髪飾りを手に取った。

マーカス「これだ!!すんませんこれくださいッス!!」

店の人「あ〜それかい?二万ギルだよ。」

マーカス「た、高っ!!し、しかしこれが恐らく一番・・・支払いはタンタラスで頼むッス!!」

店の人「毎度あり〜」

マーカス「おっし!!後はミコトさんがいるピナックルロックスに向かうだけッス!!」

そしてマーカスは即行で買った髪飾りを自分のポケットにしまい店を飛び出した。と、その時。

マーカス「ん?雨・・・?」

雨が降り出し始めた。

マーカス「まずっ・・・確かミコトさんは傘を持っていかなかったはず・・・急がねば!!」

そして雨の中マーカスはミコトのもとに向かった。







ミコト「えぇ〜・・・なんで雨が降ってくるのよ〜・・・ショックゥ〜・・・」

ピナックルロックスにも雨が降り始めてミコトは雨宿りをする場所を探し出した。

ミコト「え〜っと・・・あ、ここなら。」

ミコトは雨宿り出来そうな洞穴を見つけ、中に入った。

ミコト「あ〜あ・・・服がビチョビチョ・・・よっと。」

ミコトは数箇所服を絞って水を切った。

ミコト「スカーフもちょっと濡れてる・・・やっぱり箱かなんかに入れて来ればよかった・・・」

今回ミコトはスカーフだけを手持ちで持ってきていた。

ミコト「はぁ〜あ・・・何なのよもう・・・」

雨によりミコトのテンションは落ちていた。と。

「ギィ・・・!!」

ミコト「え?」

ミコトの後ろで何かが動いた。それは・・・

霧の魔獣「ギィ・・・!!」

なんと霧の魔獣の生き残りだった。

ミコト「う、嘘!?何で霧の魔獣が・・・はっ!!」





クジャ(”霧”の発生は止まったが、洞窟や森などにはまだ残っているだろう?)





ミコト「発生が止まってもまだ完全に消えた訳じゃないのね・・・だったら私が相手に・・・ってアレ!?」

ミコトは銃を取ろうとしたが何処にも銃は無かった。

ミコト(しまった〜・・・部屋に置いて来たの忘れてた〜・・・)

つまり丸腰なのである。

霧の魔獣「ギシャーーー!!」

ミコト「いやぁーーー!!」

打つ手が無い為ミコトは逃げるしかなかった。

ミコト「どうしてこんな目に遭わなきゃいけないのよ〜〜〜〜!!」

ミコトは雨の中半泣きで霧の魔獣から逃げ続けた。しかし。

霧の魔獣「ギシャーーー!!」

霧の魔獣はミコトよりも遥かに速くすぐに追いつかれてしまった。

ミコト「ま、まずいっ!!」

バシッ!!

ミコト「あうっ!!」

ミコトは霧の魔獣のヘッドアタックを喰らい突き飛ばされた。

ミコト「うくっ・・・!!スカーフが・・・!!」

ミコトは突き飛ばされた際にスカーフを落としてしまった。しかも。

霧の魔獣「ギィ・・・!!」

霧の魔獣がスカーフが落ちてる場所を通過するルートでミコトに再び襲い掛かって来た。

ミコト「や、止めてぇ!!」

霧の魔獣「ギィーーー!!」

ミコト「!!」

無残にも魔獣はスカーフの上を通り、スカーフはボロボロになってしまった。

ミコト「そ、そんな・・・」

ミコトに絶望感が襲い、その場に膝をついてしまった。

霧の魔獣「ギィーーー!!」

そんなミコトをよそに霧の魔獣は止まらずに再びミコトを襲おうとしていた。

ミコト「・・・」

しかしミコトは動こうとせず、ずっとその場で落ち込んでいた。

霧の魔獣「ギィーーー!!」

そして霧の魔獣はミコトのすぐ前まで来た。と、その時。

「どりゃーーーー!!」

ザシュッ!!

霧の魔獣「ギィーーー!!」

ミコト「・・・?」

何者かが現れ霧の魔獣を倒した。その人物は・・・

マーカス「ま、間に合った・・・」

やはりマーカスだった。

マーカス「ミコトさん、大丈夫ッスか?」

ミコト「・・・」

マーカスが呼びかけてもミコトは何の反応もしなかった。

マーカス「ミ、ミコトさん!?どうしたんすか!?」

ミコトの異変に気付いたマーカスはすぐに彼女に駆け寄り肩を掴んだ。

マーカス「見た所あまり怪我はしてないはず・・・どうしたんスか?」

ミコト「・・・ぁ・・・」

もう一度呼びかけられミコトは小さいながらも反応を見せた。

マーカス「何があったんス?あまり怪我をしてるわけじゃ無さそうッスけど・・・」

ミコト「マー・・・カス・・・うっ・・・」

マーカス「え?」

突然ミコトは泣き出した。

ミコト「・・・ぐすっ・・・フが・・・」

マーカス「え・・・?あ・・・」

マーカスはすぐにミコトが泣いている理由が分かった。

マーカス「・・・」

マーカスの近くに霧の魔獣によってボロボロになったスカーフが落ちていた。

マーカス「大丈夫ッスよ・・・また作り直せば・・・」

ミコト「無理よ・・・」

マーカス「無理って何がッス?」

ミコト「・・・何度も何度も失敗して出来た物なのに・・・兄さんは来ない・・・魔獣にボロボロにされる・・・もう嫌よ・・・」

マーカス「・・・これ見てくれッス。」

ミコト「・・・?」

そう言ってマーカスはミコトに何かを見せた。それは。

ミコト「このスカーフ・・・」

マーカス「そう、一番初めにミコトさんが作ったスカーフッスよ。」

ミコトが初めに作ったスカーフだった。

マーカス「初めはこんなんだったのに今はあれほどの物がミコトさんには作る事が出来るんスよ。だからくじけずもう一度、またボロボロになったら何度も作ればいいんスよ。」

ミコト「マーカス・・・」

マーカス「それと・・・」

ミコト「・・・?」

マーカスは先程買った髪飾りを霧の魔獣に突き飛ばされた際に解けた左側の髪をもう一度とめるようにつけた。

マーカス「・・・誕生日おめでとうッス・・・」

ミコト「え・・・?」

マーカス「ジタンさんが誕生日って事はその双子のミコトさんも誕生日って事ッス。それは俺からのプレゼントッス。」

ミコト「そっか・・・私も・・・」

マーカス「俺も気付かなかったッスが・・・何とか間に合ったッス。」

ミコト「・・・綺麗・・・」

髪飾りはミコトに見れるよう前つけていたゴムと同じ場所につけていた。

ミコト「これサファイアよね?どうしてこれを?」

マーカス「そりゃ九月の誕生石はサファイアッスから。それに・・・」

ミコト「それに?」

マーカス「このサファイア・・・小さいけどミコトさんの瞳と同じッスから・・・」

ミコト「同じって・・・どう言う事?」

マーカス「それは・・・」

マーカスはそっとミコトの髪と髪飾りを右手の掌に乗せた。

マーカス「・・・澄んだ碧色あおいろをしてるからッス。」

ミコト「・・・」

マーカス「ミコトさんのその瞳は・・・純粋で何の汚れも無い・・・とても綺麗な瞳ッス・・・」

ミコト「もしかして小さいのは私の胸の事かしら?」

マーカス「・・・一応真面目に話してるんスけど・・・」

ミコト「あ、ごめん・・・」

マーカス「このサファイアも同じッスよ。見つめ続ければ心を奪われるような澄んだ碧色を・・・」

ミコト「!!」

マーカスの説明に何故かミコトはドキッとした。

マーカス「だから俺はこの・・・どしたッス?」

ミコト「・・・」

マーカスはミコトの顔が赤くなっていた事に気付いた。

ミコト「マーカス・・・今・・・何て・・・?」

マーカス「へ?俺何か・・・ああ。」

一瞬何を言われたのか分からなかったマーカスだったがすぐに気付いた。

マーカス「そうッスよ・・・俺は・・・」

ミコト「マーカス・・・」

マーカス「・・・」

二人は見つめ合った。

ミコト「・・・嬉しい・・・」

マーカス「どう致しまして・・・ッス・・・」

そして二人とも目を閉じ、唇を重ねた。

マーカス「こんな事初めてッスけど・・・よろしくッス。」

ミコト「うん・・・クシュン!!」

マーカス「寒いッスか?」

ミコト「ちょっとだけ・・・結構濡れちゃったからかな・・・?」

マーカス「じゃ、こうするッス。」

ミコト「・・・はぁ・・・!!」

マーカスはそっとミコトを抱きしめた。

マーカス「どうッス?」

ミコト「うん・・・暖かい・・・ずっと・・・こうしてて・・・」

マーカス「そうしたいッスけど・・・このままじゃ二人とも風邪ひいちゃうッス。」

ミコト「うにゅ〜・・・」

マーカス「甘えたって駄目ッスよ。」

ミコト「むぅ〜・・・」

マーカス「それじゃ、行くッスよ。」

ミコト「わっ!!」

マーカスは半ば強引にミコトをお姫様抱っこした。

マーカス「これならいいッスね?」

ミコト「・・・うん。」

マーカス「じゃ。出発ッス。」

そして二人は船の国リンドブルムに向かった。







二人の心が一つになった日・・・それぞれの道から二人の道へと新たにスタートした少年と少女は・・・二人なりに二人の愛を深めていくのでした。



後日談



バクー「なんじゃこりゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」

ブランク「どしたボス?」

バクー「タンタラス宛に二十万の請求書が来てやがる!!誰だこんなに使ったのは!?」

ルビィ「あ〜・・・もしかして・・・」



マーカス「ミ、ミコトさん・・・アレ十八万かけたんスか・・・?」

ミコト「・・・エヘッ」

マーカス「・・・ボスのデコピン喰らう前に退散するッス・・・」

ミコト「うん。」



バクー「誰じゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」




続く










あ と が き
二人のファーストちゅ〜です。
書いてて自分で思ったんですがマーカスくせぇ事言うな〜
ちなみにボツにしたネタですが・・・
ミコトのアレは勝負下着です。(いまいち意味を知らずに使ってる。僕が。)
第ニ話へ
戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送