Another United World
〜一つに集まった十四の世界〜


第十二話 英雄の息子



それぞれの目的の為分かれた戦士達。ファンダリアへ向かったメンバーに待ち受けるものは






カイル「うっわぁ・・・寒ぃ〜・・・」

エド「流石ファンダリアだ・・・腕と脚凍らねぇよな・・・」

カイルとエドを初めとしたメンバーはアラスカファンダリア地方の港町、スノーフリアの町に来ていた。

リルム「それで、ファンダリア首都のハイデルベルグに行くんだよね? 経路はどうするの?」

ユフィ「こっからだったら、確か三つくらい道があるよ。」

ジューダス「ほう、詳しいな。まぁ僕も知っているがな。」

ユフィ「そっか。一つはこっから北に向かって、グルグ火山ふもとの聖地エスト・ガザ経由。」

ジューダス「二つ目はまっすぐハイデルベルグへ向かう、つまり北西に進むルート。そして三つ目は西に進み、途中で北上するルートの三つだ。」

ユフィ「単純に短距離なら北西へまっすぐ何だけど、問題があるんだよね。」

アル「問題?」

ユフィ「このルートには森があってね。迷い込んだら二度と出られないっていわくつきなんだ。」

ロニ「俗に言う迷いの森か。んで、他の二つはどうなんだ?」

ジューダス「西のルートはハイデルベルグ周辺へ通じる洞窟を通る。距離は少々あるが一本道だから迷いはしない。が、魔物が大量にいる。」

ユフィ「エスト・ガザ経由は一番長いけど一般道だから安全に行けるよ。だけど距離からつくのは明日になると思う。」

エド「なるほど。てか詳しいんだな。」

ジューダス「当然の事だ。」

ユフィ「アタシはマテリア探しで知った事だから。」

カイル「それでどうしようか。森を通るのは危険だと思うけど・・・」

リアラ「私は会えればいいから、どれでも構わないわ。」

ナナリー「アタシはエスト・ガザ経由がいいと思うよ。別に急ぐ旅ってわけじゃ無いんだし。」

レッド13「オイラは洞窟を通った方がいいと思う。いくら急がないたって、他のみんなを待たせちゃいけないから。」

リルム「そうね。それにその方が鍛えられる。」

カイル「おいおいリルム・・・でも俺も洞窟がいいと思う。ちょっと早めに行けば夜には着くと思うから。」

ジューダス「僕も同意だ。それにエスト・ガザ経由が安全とは言い切れないからな。」

アル「もしかして銀色の悪魔?」

ロニ「それを言ったら全部のルートが危険じゃねぇかよ。」

エド「そんな全てが上手く行くほど甘くは無いって事だろ。ウッドロウ王に会う為の試練と考えるなら等価交換の原則も立つさ。」

カイル「そうなんだろうかなぁ・・・どうしようか?」

エド「俺はカイルの判断に任せる。」

ジューダス「僕もだ。」

カイル「そっか・・・じゃあ洞窟を行こう。魔物さえ何とかすれば今日の夜には着くと思うからね。」

ユフィ「決まりね。それならここで装備を整えて行った方がいいんじゃない?」

リアラ「そうね。」

エド「となるとだ。防寒装備に薬や食料って所だな。」

カイル「そうだな。とりあえず分かれて行動して十分後に町の出口で。」

ロニ「おう。」

そしてメンバーは装備を整える為一度解散した。
十分後



カイル「俺らは買えるだけ薬を買ってきた。そっちは?」

ユフィ「アタシらはそれなりの装備を。」

エド「俺達は防寒用のコートを全員分買ってきたぞ。」

ナナリー「とりあえず一回分の食料を。腹が減ってちゃ駄目だからね。」

ロニ「よっしゃ。んじゃさっそく行こうぜ。」

カイル「あぁ。」

そして一向はハイデルベルグへ続く洞窟へ向かった。









カイル「うひぃ〜・・・外より寒いじゃねぇかよ。」

エド「やべぇ・・・マジで腕の調子が悪くなってきた・・・」

少し経って一行は洞窟の中を進んでいた。
しかしそこは外よりも寒さが厳しい場所だった。

ユフィ「あんたら大丈夫なの? そんな鎧に機械鎧オートメイルなんて。」

エド「正直動きが悪くなってるな。あまり戦えそうに無いかも知れない。」

アル「ぼ、僕も・・・」

ジューダス「仕方ないな。だったら下がってろ。」

エド「何?」

リルム「来たわよ!! ワイアード八匹!!」

前方を歩いていたリルムが接近するワイアードの群れに気づいた。

レッド13「アイツって確か自分より体力のある奴と自分の体力を入れ替える事が出来る奴じゃ?」

ナナリー「それなら近づけさせなきゃいいんだよ!! 烈火閃!!」

先手を取ったナナリーは炎を纏った矢を放ち、ワイアードを一体倒した。

カイル「それなら俺だって!! 爆炎剣!!」

カイルが剣を振るうと炎が発生し、その炎がワイアードの群れの所に上がった。

ユフィ「よっし!! そこっ!!」

その隙を突いてユフィが十字手裏剣を投げつけた。
その一投は強力で、一度で三体のワイアードを倒した。

ジューダス「今の内に行くぞ!! ロニ、リルム続け!! リアラは援護を!!」

ロニ「おう!!」

リルム「えぇ!!」

リアラ「はい!!」

ジューダスを先頭にロニとリルムが続き、リアラは晶術の詠唱を始めた。

ジューダス「月閃光!!」

リルム「瞬雷刃!!」

ジューダスが月閃虚崩の一太刀目の衝撃波を、リルムが剣による雷の刃を飛ばしそれぞれ一体ずつワイアードを倒した。
しかしそれに反応して一体のワイアードがロニに迫ってきた。

ロニ「甘い!! どりゃっ!!」

ロニは正拳でそのワイアードを群れの所へ殴り飛ばし、同時に斧を掲げた。

ロニ「爆灰鐘!!」

そのまま爆灰鐘を放ち、ワイアードにダメージを与えた。

リアラ「そこ!! フレイムドライブ!!」

続けてリアラがフレイムドライブを放ち、三体倒した。

カイル「後少し!! 一気に倒す!!」

ユフィ「よっし!!」

残ったワイアードにカイルとユフィが向かった。

カイル「爆炎剣!!」

ユフィ「てやっ!!」

カイルが爆炎剣、ユフィが手裏剣で切りつけて倒した。

リルム「みんな大丈夫?」

エド「あ、あぁ。」

ナナリー「これで先に進め・・・!!」

その時ナナリーはリルムの後ろにワイアードが迫っているのに気づいた。

ナナリー「リルム後ろ!!」

リルム「っ!?」

リルムもワイアードに気づいたが、既にワイアードはリルムに飛び掛っていた。

リアラ「リルムあぶなっ!!」

リルム「甘い!!」

ワイアード「ギャッ!!」

リアラ「えっ!?」

リアラが技を出そうとしたが、リルムは飛び掛ってきたワイアードを回し蹴りで蹴り飛ばしてしとめた。

リルム「ふぅ。」

リアラ「す、凄い・・・」

カイル「また腕上げた見たいだね。」

エド「のようだな・・・」

ナナリー「どう言う事?」

カイル「そう言えば言ってなかったけど、リルムは戦い好きなんだ。」

エド「いっつも強くなる事を考えていてな、そんじょそこらの奴じゃ敵わないだろう。」

ユフィ「はぁ〜ん。見かけによらないモンなんだね〜」

エド「蛙の子は蛙って事だよ。」

ナナリー「は? どう言う事?」

ジューダス「聞いた事がある。スタンの妹リリスは18年前の戦いに参加した事があると。」

ロニ「何だとぉ!? ホントかよカイル!?」

カイル「ロニは知らなかったっけ? リリスおばさんはあぁ見えて『ちょっと参加』って気分で色んな事をしてるんだよ。」

エド「ちょっとの気分で時には料理対決に乱入して優勝したり。時には闘技場に乱入して優勝したりと・・・」

カイル「18年前の戦いの時は確か、父さんが闘技場でおばさんと出会って、父さんが勝ったんだけどそれからおばさんもついて行ったとか。」

エド「そんな母親から生まれた娘が普通に育つと思うか?」

カイル「おばさんもちょっと嘆いていたなぁ〜・・・『リルムには女の子らしく育って欲しかった』って。」

リルム「悪かったわね。」

ユフィ「ほんっと、見かけによらないモンなんだね。」

アル「所でユフィさ。何かその手裏剣に細工したの?」

ユフィ「何で?」

ジューダス「一撃であの威力はそう滅多に無い。ワイアードが炎に弱いとは言え、その手裏剣に属性は付いていないはずだ。」

ユフィ「まぁね。その理由はこれだよ。」

ユフィは手裏剣を見せた。
その手裏剣に二つのマテリアが付いていた。

ナナリー「マテリア・・・かい?」

レッド13「『ほのお』のマテリアと『ぞくせい』のマテリアだよ。」

リアラ「ほのおに、ぞくせい?」

ユフィ「『ほのお』はそのまま、炎の魔法が使える。『ぞくせい』は一緒につけた魔法マテリアの属性を武器につけたりする事が出来るんだよ。」

エド「マテリアに関しちゃよく分からないんだよな。何か違うのか?」

ユフィ「まぁそれはその内話すよ。寒いから先進まない?」

ジューダス「それもそうだな。」

カイル「うん。行こう。」

再び一行は洞窟の進みだした。

エド「それにしても・・・何だよこの寒さは・・・」

アル「う、うん・・・」

ジューダス「噂ではこの洞窟に氷の精霊セルシウスがいるらしいが、真相は定かじゃない。」

ナナリー「だけどこんだけ寒けりゃ嘘ってわけじゃ無さそうだね・・・」

レッド13「だねぇ・・・あれ?」

歩いていると一行はやけに開けた場所に来た。

ロニ「ここだけ何かやけに広くないか?」

リルム「えぇ。何かありそうな・・・」

その時、突如洞窟内が揺れだした。

カイル「何だ!?」

リアラ「何か・・・来る!!」

リアラが叫んだ瞬間、氷の中から巨大な魔物が出てきた。

ナナリー「な、何だいコイツは!?」

レッド13「多分コイツはシリオンだよ!! 氷と水の属性を持つ魔物!!」

エド「何でこんな奴がいるんだよ!! くそっ!!」

エドは腕を動かそうとしたが、凍りつきかけて動きが悪かった。

カイル「二人は下がってて!! みんな行くぞ!!」

リルム「えぇ!!」

戦えないエドとアルの事を思ったカイルは二人を下げ、シリオンに向かっていった。

カイル「こいつも多分炎に弱いはずだ!! リアラ、ナナリー!!」

リアラ「はい!!」

ナナリー「分かってるよ!!」

カイルが叫んだと同時に二人は詠唱を始め、他のメンバーはシリオンに向かっていった。

ユフィ「先手必勝!! 行けぇ!!」

ユフィは手裏剣を投げつけた。
しかしシリオンは手でもある翼で手裏剣を弾いた。

ジューダス「投擲はよせ!! 接近して一気に叩く!!」

ジューダスが先行してシリオンに切り付けた。

ロニ「炎の技は持って無くてな!! これでどうだ!!」

ロニが斧に力を込めると、刃の部分に雷が集まりだした。

ロニ「雷神招!!」

斧で切りかかると雷が落ち、斬撃と雷でダメージを与えた。

リルム「ロニ、頭借りるよ!!」

ロニ「はっ!?」

リルム「はっ!!」

ロニ「だっ!?」

リルムはロニを踏み台にして高くジャンプした。

リルム「雷破斬!!」

シリオン「ギャァッ!!」

リルムがシリオンの頭部に切り上げ、切り下ろしの連続切りをし、最後に雷が落ちてそれなりにダメージを与えられた。

シリオン「グガァァ!!」

リルム「はっ!?」

シリオンが反撃として翼でリルムに攻撃をしてきた。

カイル「リルム!!」

リルム「くぅっ!!」

リルムは防御の姿勢を取り、翼による攻撃を防いだ。
しかしそれによりリルムは下へと叩き落された。

カイル「危ない!!」

リルム「きゃっ!!」

地面に落ちる寸前、カイルが飛び出してリルムを受け止めた。

リルム「ありがとう。」

カイル「いいって、二人とも!!」

ナナリー「OK!! ヴォルカニックレイ!!」

リアラ「バーンストライク!!」

リアラがバーンストライク、ナナリーが地面が噴火し、火炎弾を降らす晶術でシリオンを焼きつかせた。

レッド13「後一息!!」

シリオン「ガァァァ!!」

ジューダス「何だ・・・?」

シリオンの叫びに突如津波が発生し、一同に迫ってきた。

ロニ「お、おわぁぁぁっっ!?」

津波は一同を飲み込んだ。

ユフィ「ぷはっ!! 冷たぁ〜!!」

カイル「こうなったら一気に倒す!! うおぉぉぉ!!」

カイルは剣を握り締め、シリオンに向かい走り出した。

リルム「援護するよ!! 瞬雷刃!!」

ジューダス「月閃光!!」

リルムとジューダスが瞬雷刃と月閃光でカイルの援護をした。
二つの攻撃はシリオンの翼を切り落とした。

カイル「喰らえ!! 空破絶風撃!!」

カイルは空破絶風撃でシリオンを突き出した。

レッド13「トドメは任せて!!」

そしてレッド13もシリオンに走り出した。

レッド13「スレッドファング!!」

レッド13は猛スピードでシリオンに突撃し、シリオンを貫いた。

シリオン「ガァァァァ!!」

レッド13のスレッドファングでシリオンは倒れた。

ナナリー「ふぅ・・・それにしても・・・」

エド「こんな寒い洞窟の中でびしょ濡れになっちゃぁ・・・風邪引いちまうぞ・・・」

リアラ「うん・・・」

カイル「早く行こう・・・このままじゃ凍りついちまう・・・」

ロニ「あぁ・・・うぅ〜」

シリオンを倒した一行は再び進みだした。

ロニ「うぅ〜さみぃ・・・何か暖かくなるいい方法無いかぁ? 俺は今無性に人肌恋しいぜ。」

ナナリー「なら、アタシが暖めてあげようか〜?」

そう言ってナナリーは指を鳴らしだした。

ロニ「あ、いえ。大丈夫ですので。」

エド「何やってんだか・・・」

リルム「本当・・・」

カイル「とにかく急ごうよ。このままじゃ本当に・・・」

カイルが話そうとした時、突然洞窟内に激しい振動が起きた。

リアラ「え? な、何?」

アル「ね、ねぇまさか・・・」

ジューダス「そのまさかのようだな・・・」

振動は大きくなり、突如洞窟が崩れだした。

ロニ「うぉあぁぁぁぁ!!」

一行は崩れるより早く洞窟内を駆け抜けた。

カイル「走れぇぇぇ!!」

全員全力で走りはしたが、洞窟が崩れる方が早かった。

レッド13「そうだ!! ユフィ、エスケプを!!」

ユフィ「そ、そっか!! 『りだつ』のマテリアはぁ・・・」

ユフィが道具を入れた袋から『りだつ』のマテリアを取り出そうとしたが、遂に洞窟の全域が崩れだした。

ロニ「駄目だぁぁぁぁぁぁぁ!!」

カイル「うわぁぁぁぁぁ!!」









エド「・・・ん・・・?」

カイル「・・・ん、ん?」

気を失っていた一行は、何故か洞窟の外にいた。

リルム「た、助かったの・・・?」

ユフィ「み、見たい・・・」

アル「助かったぁ・・・ありがとうユフィ。」

ユフィ「へ?」

レッド13「何とかエスケプ間に合ったんだね。」

ナナリー「助かったよ。」

ユフィ「そ、そうかい? あ、あははは〜・・・」

しかしユフィの装備には、『りだつ』のマテリアは装備されてなかった。

ユフィ(アタシは何もしていない・・・じゃあ一体何が・・・?)

ジューダス「現状確認だ。全員大丈夫か?」

ロニ「俺は大丈夫だ。」

ナナリー「ま、アンタは死んでも死ななそうだし。」

エド「俺とアルも大丈夫だ。」

ユフィ「アタシらも大丈夫・・・って、リアラは?」

カイル「え? あぁっ!!」

カイルは近くで倒れたままのリアラを見つけた。

カイル「リアラ!!」

カイルはすぐに駆け寄り、抱き寄せた。

カイル「リアラしっかりして!! リアラ!!」

ナナリー「息はしてる、気を失ってるだけだよ。」

カイル「そっか、よかった・・・」

エド「どっちにしてもここにずっといるのはまずい。急いでハイデルベルグに向かおう。」

カイル「そ、そうだな。」

気を失ってるリアラをカイルが背負い、一行はハイデルベルグへ向かった。




ハイデルベルグ




エド「予想以上に早く着いたな。」

ジューダス「あぁ。それでこれからどうする気だ?」

カイル「まずリアラの様子を診なくちゃいけない。ウッドロウ王に会うのはリアラの為だから。」

ユフィ「となると、宿屋辺りで休まなくちゃね。」

リルム「そうね。」

ナナリー「宿屋宿屋・・・お、あったよ。」

ちょうど近くに一軒の宿屋があった。

アル「あそこにしよう。このままじゃ動けなくなっちゃう。」

ロニ「そうだな。」

そして一行はその宿屋に入った。

エド「うぅ〜・・・寒かったぁ〜・・・」

カイル「ホント・・・えっと〜」

「おや、カイルじゃないか。」

カイル「え?」

宿屋にいた女性がカイルに話しかけてきた。

カイル「えっと・・・あなたは・・・?」

女性「何だ、忘れたのか?」

カイル「あ、もしかして・・・マリーさん?」

マリー「あぁ。久しぶりだな。」

ユフィ「誰?」

リルム「マリー・エージェント。18年前の戦いで四英雄と共に戦ったと言う女戦士よ。」

ロニ「お久しぶりッス、マリーさん。」

エド「その様子ならのんびりやってるそうですね。」

アル「こんにちわ。」

マリー「ロニにエドワード、アルフォンスか。お前達も久しぶりだな。それにしても、何故ここへ?」

カイル「ウッドロウ王に会いに来たんです。あ、この子を休めさせたいんですが・・・」

マリー「そうか。なら部屋を一つ貸そう。来い。」

カイル「ありがとうございます。」

マリーの案内でカイルは宿屋の奥に向かった。

ロニ「さてと、ここでしばらく休んでるか。」

エド「そうだな。俺とアルもこのままじゃ何も出来ないからな。」

ナナリー「十分暖めなくちゃね。」

アル「うん。」




エド「お、もう大丈夫なのか?」

リアラ「はい・・・ごめんなさい、迷惑かけて・・・」

数分後、リアラが目覚めた。

マリー「どうやら軽い貧血だったようだ。」

ロニ「そっか。んじゃ、城に向かうとしますかね。」

マリー「まぁ待て。せっかく来たんだ。何か作ってやろう。」

カイル「あ、そう言や何も食べてなかったか。」

ナナリー「すっかり忘れてたね。」

マリー「待っていな。今作ってやる。全部で何人だ?」

カイル「えっと・・・俺、リアラ、ロニ、ジューダス、ナナリー、リルムに・・・エド、ユフィにレッド。九人前だね。」

マリー「そうか。アルフォンスは食べれなかったか。」

アル「こんな体ですからね。」

マリー「分かった。少し待って・・・ん?」

リアラ「どうかしました?」

ジューダス「・・・」

マリー「いや、何でも無い。待ってろ。」

ジューダスを見て言葉が詰まったが、マリーは厨房の方に向かった。




マリー「出来たぞ。」

また数分後、マリーは料理を作って持ってきた。

ロニ「こ、これは・・・ビーストミートのポワレ!!」

エド「そうか。そう言やこの料理はマリーさんがルーティさんに教えたんだったな。」

マリー「たっぷり作ったから、遠慮せずに食べな。」

カイル「勿論!! いっただっきまーす!!」

ロニ「あぁこらカイル!! 先走るんじゃねぇ!!」

エド「飯くらい静かに食えよ・・・」

ジューダス「同感だ。」

マリー「ほら。」

ジューダス「ん?」

何故かマリーがジューダスにプリンを差し出した。

ジューダス「何のつもりだ?」

マリー「何となくな。いらないなら下げるが。」

ジューダス「・・・いや、いい・・・」

マリー「そうか。」

ロニ「は〜ん。お前プリンが好きなのか。」

ジューダス「そんなんじゃない。」

ナナリー「可愛い所あるじゃないの。」

ジューダス「違うと言っているだろ!!」

「あら? お客さんですか?」

その時宿屋に子供っぽい服装と髪型の女性がやって来た。

カイル「あれ? チェルシーさん?」

チェルシー「あれ、カイル君? どうしてここに?」

カイル「えぇ。ちょっと。」

レッド13「今度は誰?」

アル「チェルシー・トーンさん。18年前の戦いで四英雄と共に戦ったって言う弓使いの女性。当時は14歳だって言うけど。」

ユフィ「となると・・・32歳!? わっかんないモンだねぇ。」

チェルシー「言わないでください。それよりどうしてここに?」

カイル「俺達ウッドロウ王に会いに来たんです。」

チェルシー「ウッドロウ様に?」

カイル「はい。ちょっと用事があって。」

チェルシー「そっかぁ。それじゃああまり話し出来そうに無いね。」

カイル「すいません。またその内に。」

チェルシー「はい。あら?」

ジューダス「・・・」

チェルシーもジューダスを見た瞬間様子がおかしくなった。」

チェルシー「あの〜あなたは・・・」

ジューダス「僕はジューダスだ。どうかしたか?」

チェルシー「あ、いえ。18年前に会ったある人に似てるな〜って思ったんですけど、そんなわけ無いですよね。」

ジューダス「・・・当たり前だろう・・・」

エド「・・・あいつ一体何を・・・」

アル「あのぉ〜兄さん。」

エド「ん?」

アル「もうご飯無いよ。」

エド「何ぃ!?」

エドがテーブルを見るとそこにマリーの料理は無くなっていた。

エド「俺ほとんど食ってねぇんだぞ!! カイルだなぁ!?」

カイル「こう言うのは早い者勝ちだろ? ご馳走様。」

エド「くぅ・・・」

マリー「まぁまたその内作ってやる。そろそろ行ったらどうだ?」

エド「へ〜い・・・はぁ・・・」

カイル「それではまた。行こう。」

エド「あぁ・・・」

エドだけ元気が無いまま一行は宿屋を後にした。

チェルシー「・・・ねぇマリーさん。あの仮面の人って・・・」

マリー「多分アイツだろう。声も雰囲気も同じだ。」

チェルシー「だけどあの人は18年前に・・・」

マリー「あぁ。だがあんな奴二人といない。間違いは無いだろう。」

チェルシー「一体どう言う事なんでしょう・・・」









門番A「陛下に面会だと?」

カイル「はい。」

宿屋を後にした一行はハイデルベルグ城の門前に来ていた。

カイル「紹介状もあります。ナナリー、確か紹介状持ってたよね?」

ナナリー「あいよ。えっと〜・・・あれ?」

エド「どうかしたのか?」

ナナリー「・・・無い・・・」

カイル「えぇ!?」

アル「もしかしてさっきの津波で・・・?」

ロニ「どうすんだよ? せっかくフィリアさんが俺らの為に用意してくれたんだぞ?」

門番B「フィリア司祭だと? お前達どう言う関係なのだ?」

ユフィ「どう言う関係って、どんな関係なの?」

レッド13「そう言えばオイラ達はよく知らないんだっけ。」

ロニ「(待てよ? もしかしたら・・・)何を隠そうこいつはあの四英雄スタン・エルロンの息子だぜ。」

門番A&B「ス、スタン・エルロンの息子!?」

ユフィ「ほえ〜、アンタ凄かったんだ。」

門番A&B「た、ただいま行って来ます!!」

そう言って門番は猛スピードで走り去った。

エド「いいのか?」

ロニ「いいって。会えるならな。」

エド「ま、これでウッドロウ王に会えるわけだな。」

カイル「あぁ。」

ジューダス「・・・すまないが僕は退席させてもらう。」

カイル「え? どうしてさ。」

ジューダス「気が向かないだけだ・・・後でな。」

そう言ってジューダスはその場から去った。

ユフィ「変な奴。」

カイル「仕方ない。俺達だけで行こう。」

リアラ「うん。」

そして一行はウッドロウがいる玉座の間に向かった。

ウッドロウ「カイル君だね。」

カイル「は、はははは・・・はい!!」

カイルはガチガチに緊張していた。

エド(おいカイル・・・少しはリラックスしろ・・・)

カイル(バカヤロウ!! あのウッドロウ王だぞ!? 無理に決まってんだろうが!!)

エド(それでもだっての・・・)

ウッドロウ「そう緊張しなくてもいい。久しぶりだね。」

カイル「え? 王は俺の事を知っているんですか?」

ウッドロウ「覚えていないのも無理は無い。君とは十年前に会っているのだよ。」

カイル「十年前・・・?」

リルム(そっか。そう言えばあの時に・・・)

ウッドロウ「話を始める前に二つお願いがある。」

カイル「え?」

ウッドロウ「一つは堅苦しいので『陛下』ではなくさん付けで呼んで欲しい。二つ目はその呼び方にふさわしい態度で接してもらいたい。」

カイル「は・・・はい!! へい・・・ウッドロウさん。」

ウッドロウ「君達もそうしてくれたまえ。」

ユフィ「ま、その方が気が楽だし。」

ウッドロウ「それで、本日来た用とは?」

カイル「それは、リアラ。」

リアラ「えぇ。」

リアラはウッドロウの近くに来てペンダントを握った。

リアラ「・・・違う・・・」

アル「そっかぁ・・・」

ウッドロウ「一体どう言う事かね?」

エド「実は今日来た理由は彼女、リアラが求めている英雄を探す為なんです。ルーティさんとフィリア司祭には既に会っているので、ウッドロウさんならどうかと。」

ウッドロウ「なるほど。では世間で言われる英雄とは違うかも知れないな。」

カイル「そっかぁ・・・でも大丈夫だよ。リアラなら絶対見つけられるって。」

リアラ「ありがとう。」

ウッドロウ「やはり息子だね。スタンそっくりだよ。」

カイル「え?」

ウッドロウ「かつての戦いで困難な時、スタンは『諦めるな。何とかしよう』と言って最後までやり遂げられた。」

カイル「父さんが・・・」

ウッドロウ「君は親から英雄としての素質を受け継いでいるようだね。」

カイル「そ、それって・・・」

ウッドロウ「諦めない心と言う物を大切に、日々努力に勤めばきっと英雄になるだろう。」

カイル「は、はい!!」

エド「カイルの奴・・・気づいてないな・・・」

ユフィ「ん?」

エド「いや・・・」







リルム「だけどさ、結局リアラの探している英雄って誰なんだろうね。」

ウッドロウの面会が終わった一行は城の入り口まで来ていた。

レッド13「ウッドロウさんは世間で言われてるのとは違うって言ってたけど。」

カイル「まぁ何とかなるって。それにしても、さっきのは英雄王に期待されてるって事なんだろうかなぁ?」

エド「・・・あのな、カイル。」

ジューダス「思ったとおりだな。」

エド「お、ジューダス。」

入り口の所でジューダスが合流した。

ユフィ「思ったとおりって?」

ジューダス「カイルの事だ。」

カイル「え?」

ジューダス「この城の人間はお前の事を見てはいない。」

カイル「は?」

ジューダス「この城の人間はお前でなく、お前の後ろにいるスタンとルーティを見ているに過ぎないんだ。」

カイル「・・・!!」

ジューダス「ウッドロウの『親から受け継いでいる』と言う言葉が証明している。違うか?」

カイル「そ、それは・・・」

ジューダス「そしてリアラが一緒に出てきた所を見ると、ウッドロウが目的の英雄ではなかったのだろう?」

レッド13「う、うん。」

ジューダス「まるで茶番だな。仲間が苦しんでいると言うのに、お前は一人ウッドロウにおだてられ城の人間にちやほやされてさぞ気分がよかっただろう。」

カイル「う・・・」

ジューダス「これではお前の英雄になると言う言葉も眉唾モノだな。」

カイル「!!」

ジューダスのその言葉にショックを受けたカイルはその場から走り出した。

リアラ「カイル!!」

そしてその後をリアラがすぐに追った。

ロニ「てめぇ何様のつもりだ!?」

ロニはジューダスの行為に怒り、胸倉を掴んだ。しかし。

エド「よせロニ!!」

エドがジューダスを掴んでいるロニの腕を掴んだ。

エド「俺だって同じ事を思ってたんだ。こいつが先に言ったけどな・・・」

ロニ「エド・・・」

エド「どんな理由があったって、スタンさん達の名を使ったのはお前だからな・・・お前がジューダスに言える口じゃねぇと思うぞ。」

ロニ「くっ・・・」

エドの言葉にロニはジューダスを放した。

エド「それにあいつが目指してるのはスタンさんのような英雄だ。だからあいつが傷つこうとも真実を言わなきゃいけないんだよ・・・」

ロニ「エド・・・」

収まりはしたが、一向の中に気まずい空気が漂っていた。




ファンダリアに到着した一向に襲った亀裂。傷ついたカイルの心を、リアラは癒せれるのだろうか。




続く










あ と が き
原作にもあったカイル傷心シーン
正直ここの事よく覚えてなかったのですけどね
リルムも一気に活躍しますし
次回は奴がくるかも?
この時点の相違点
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