女の子なら誰でも憧れた六月の花嫁

あたしもその一人だったけど

今はもう興味は無い

だって

あたしはもう・・・

あの人と・・・







June Bride

〜たとえこの時だけでも〜






「大丈夫?」

「何とかね。」

外側の大陸、黒魔道士の村の宿に一組の男女・・・少年と少女がいた。

「ビビ最近元気無いから・・・」

「大丈夫だから。心配しないでエーコ。」

少年はビビ、少女はエーコ。ガイアを救ったあの英雄だ。しかしビビの様子がおかしかった。

ビビ「あんな戦いがあったらちょっと疲れただけだよ。」

エーコ「そうよね。ビビも結構頑張ってたから。」

ビビ「だからそんなに気にかけなくて大丈夫だよ。エーコだって大変でしょ。」

エーコ「いいのよ別に。それに・・・」

ビビ「それに?」

エーコ「ううん・・・何でも無い。じゃあ今日はもう帰るね。」

ビビ「うん。じゃあね。」

そしてエーコは宿から出た。

ビビ「・・・やっぱり気付いてるのかな・・・僕の残り時間・・・」





エーコ「ただいま〜」

エーコは自分の故郷、マダイン・サリに帰っていた。

モーネル「お帰りクポ〜」

モリスン「エーコ嬢、本日もビビ殿の元へ?」

エーコ「そうよ。」

マダイン・サリに帰ってきてすぐに五匹のモーグリがやって来た。

モコ「エーコはいっつもビビの所クポ。もしかしてビビの事・・・」

エーコ「モコ!!」

モコ「おお怖・・・」

エーコ「でも最近ビビの様子がおかしいのよ・・・」

モチャ「おかしい?」

エーコ「何かを隠してるような・・・そんな感じが・・・」

モコ「もしかしてビビもエーコの事が・・・」

エーコ「モコいい加減にしなさい!!」

モリスン「それよりもエーコ嬢、本日もリンドブルムから・・・」

エーコ「もしかしてシドおじさんとヒルダおばさん?」

モリスン「ええ。」

チチモ「確かエーコを養子に迎えたいとか・・・」

この時エーコはリンドブルムのシド夫妻から養子に来ないかと言う誘いが来ていたが、エーコはまだ悩んでいた。

エーコ「でもそうなるとここは・・・」

チチモ「そうクポ・・・でもエーコがそのリンドブルムとかに行っても僕らはずっといるクポ。」

モリスン「ですからエーコ嬢は自分なりに考えて欲しいクポ。」

エーコ「ありがとね。」





「どうじゃ様子は?」

ビビ「フライヤ・・・今は大丈夫だよ。」

エーコが帰った黒魔道士の村の宿屋にネズミの女性、フライヤがいた。

フライヤ「で・・・どうなんじゃ・・・?」

ビビ「・・・多分一ヶ月半くらいだと思う・・・」

フライヤ「そうか・・・もう・・・」

ビビ「仕方ないよ・・・僕はそういう存在なんだ・・・」

フライヤ「この事は他の者には・・・?」

ビビ「・・・エーコ以外には言ったよ・・・」

フライヤ「ビビ・・・」

二人はとても重い会話をしていた。

ビビ「そう言えば・・・まだ・・・」

フライヤ「・・・ジタンはまだ戻ってきておらん。」

ビビ「・・・結局もう・・・間に合わないのかな・・・?」

フライヤ「ビビ・・・」






エーコ「え?デート?」

「フライヤが言ってたわよ。『ビビがエーコとデートしたい』って。」

ある日マダイン・サリに黒髪の少女がエーコに会いに来ていた。

エーコ「デートって・・・あたしした事無いよダガー・・・」

ダガー「大丈夫よ。」

少女はダガー、アレクサンドリアの女王でエーコと同じ召喚士一族の生き残りでもある。

エーコ「それにどうしてビビが・・・?」

ダガー「え?えっと・・・ま、まあいんじゃない?」

エーコ「ん〜・・・ま、いっか。」

ダガー「・・・」

ダガーは一瞬悲しげな表情になった。

エーコ「どしたの?」

ダガー「な、何でも無いわ!!」

エーコ「そう?」

ダガー(・・・ごめんね・・・)





エーコ「・・・」

ビビ「どうしたの?さっきから黙ってるけど。」

エーコ「・・・いざデートってなると緊張って言うか・・・恥ずかしいって言うか・・・そんな感じ・・・」

アレから三日後、二人はリンドブルムでデートしていた。

ビビ「エーコでもやっぱりそんな事思うんだ。」

エーコ「な、どう言う意味よそれ!!」

ビビ「べ、別にそんなつもりで・・・」

エーコ「フンだ!!いいですよ〜!!ビビはどうせあたしの事そんな目で見てたんだね!!」

ビビ「ち、違うよ!!僕は君の事を・・・!!」

エーコ「え?」

ビビ「あ、な、何でもないよ。それより何処に行こうか?」

エーコ「そうね・・・ビビは何処行きたい?」

ビビ「僕は・・・特に無いね。」

エーコ「は?あんたが誘ったのに?」

ビビ「違うよ。今日はエーコの要望だけで進めようと思ってるんだ。」

エーコ「はい?」

ビビの一言にエーコはキョトンとした。

ビビ「だから今日は全部エーコに任せるよ。」

エーコ「そんなんでいいの?」

ビビ「いいんだって。」

エーコ「ん〜・・・じゃあ行こうか!!」

そう言ってエーコはビビの手を握り走り出した。

ビビ「ちょっと待ってよ!!」

そしてビビは引っ張られるようにエーコについて行った。







ダガー「今頃二人はデートかしら・・・?」

フライヤ「じゃろうな・・・」

「まだエーコには言ってないのか・・・?」

ダガー「うん・・・言うのが辛くて・・・」

「それはそうだろう・・・あの二人はよく行動を共にしていた・・・」

「それに歳も近いし仲良かったアルし・・・」

ダガー「サラマンダー・・・スタイナー・・・クイナ・・・これでいいのかな・・・?」

サラマンダー「さぁな・・・」

スタイナー「すまぬが・・・」

クイナ「分かんないアル・・・」

ダガー「・・・」

リンドブルム城の一室にダガーとフライヤの他、英雄のスタイナー、クイナ、サラマンダーが何かについて話していた。

フライヤ「ダガー・・・」

ダガー「私達に出来る事・・・何も無いのかな・・・」

フライヤ「・・・」

ダガーの一言に皆悲しげな顔になった。







エーコ「かっわい〜〜!!」

ビビ「も、もしかしてまだ買うの・・・?」

その頃二人はリンドブルムの雑貨屋で買い物をしていた。

エーコ「なによぉ〜〜!!今日はエーコの言う事全部聞いてくれるんでしょ!?」

ビビ「そうとは言ってないよ・・・」

エーコ「似たような物じゃない。いいから買おうよ。」

ビビ「うん・・・」

エーコ「さ〜てと・・・あら?」

エーコが商品を取ろうとした時、近くに貼ってあった張り紙を見た。

エーコ「そっか・・・もうジューンブライドの時期なんだ・・・」

ビビ「何それ?」

エーコ「知らないの?六月に結婚すると幸福になれるって話なの。」

ビビ「へぇ〜」

エーコ「六月の花嫁、だからジューンブライドよ。女の子なら誰でも憧れる物よ。」

ビビ「それじゃあエーコも?」

エーコ「そりゃね。」

ビビ「ふ〜ん。で、相手っているの?」

エーコ「へぇっ!?」

ビビのあっさりとした一言にエーコの顔は真っ赤になった。

ビビ「憧れるんならやっぱり相手もいるって事だよね?」

エーコ「あ、あああアンタね!!そんな事聞くもんじゃないのよ!!」

ビビ「あ、ごめん・・・」

エーコ「ったく!!ホントにドキドキしちゃったじゃない・・・!!」

ビビ「え?」

エーコ「何でもない!!」

ビビ「そう?」

エーコ「所でさ、どうしてデートなんか・・・?」

ビビ「ああそれね・・・ちょっと訳アリでね・・・」

エーコ「ビビ・・・?」

何故かビビの顔に寂しさと悲しさが漂っていた。

ビビ「エーコの為に僕が出来る事って思ってこれくらいしか・・・」

エーコ「な、何言ってるの?」

エーコはビビが何を言っているのか分からなかった。

ビビ「僕が・・・僕が最期に君に出来る事って言ったら・・・」

エーコ「ど、どう言う事・・・?」

ビビ「エーコ・・・実はね・・・僕・・・ぼ・・・くは・・・」

エーコ「ビビ!?」

突然ビビがその場に倒れた。

エーコ「ビビ!!しっかりしてよビビ!!ビビ!!」







フライヤ「とりあえずは落ち着いたが・・・もう時間は少ないじゃろうな・・・」

ダガー「そう・・・」

エーコ「・・・」

リンドブルムの医務室と思われる部屋の近くにエーコと他の仲間達が揃っていたが、エーコの表情はとても暗かった。

ダガー「エーコ・・・」

エーコ「・・・みんな知ってたの・・・?」

ダガー「・・・うん・・・」

エーコ「みんな知ってたのに・・・どうしてあたしにだけ・・・」

ダガー「エーコ・・・それは・・・」

エーコ「どうしてあたしだけ仲間外れなの!?どうしてあたしだけ!!」

フライヤ「エーコそれはのう・・・」

エーコ「どうしてあたしにだけビビがもうすぐ死ぬ事を教えてくれなかったの!?」

そう、ビビとフライヤが話していた事、そしてダガー達が話していた事とは、ビビの残り時間についてだった。

ダガー「だって・・・知ったらエーコ・・・悲しむでしょ・・・だからビビも・・・」

エーコ「嘘!!みんなあたしの事をのけ者にして・・・仲間だって思ってたのに・・・!!」

ダガー「誤解よ!!仲間だって思ってたから・・・」

エーコ「じゃあどうしてあたしにだけ教えてくれてなかったの!?」

ダガー「だから・・・」

エーコ「みんな・・・どうして・・・!!」

フライヤ「・・・エーコ・・・」

エーコ「ジタンも帰って来ないのに・・・ビビもあたしの側から・・・もう・・・もういやなのに・・・!!」

エーコはビビの残り時間を知り、そしてそれを仲間達は既に知っていた事とが重なり怒りと悲しみが混じった涙を流した。

クイナ「・・・」

スタイナー「・・・なぐさめるのは・・・難しいな・・・」

サラマンダー「だな・・・」

ダガー「・・・私だって辛いわよ・・・」

エーコ「!?」

ダガー「私だけじゃない・・・みんな辛いの!!あなたもそうでしょうけど私達も同じなの!!」

遂にダガーも怒りが爆発したが、その瞳には涙が溢れていた。

エーコ「だったらどうしてあたしだけ・・・!!」

ダガー「それはビビがあなたの事を・・・!!」

ビビ「お姉ちゃん・・・」

ダガー「ビビ!?」

医務室から少し元気が無いビビが出てきた。

ビビ「ごめんねエーコ・・・でも、みんなの言った事は本当だよ・・・」

エーコ「でも・・・どうしてあたしに・・・」

ビビ「・・・少しでも君の笑顔を見ていたかったんだ・・・」

エーコ「え・・・?」

ビビ「僕の事を言ったら・・・エーコは悲しむでしょ・・・?だから・・・君の悲しむ顔なんて見たくは無い・・・」

エーコ「ビビ・・・」

ビビ「ごめんね・・・ずっと黙ってて・・・」

エーコ「・・・ねぇ・・・後どれくらいなの・・・?」

ビビ「もう・・・一ヶ月あるかないかだと思う・・・」

エーコ「そんな・・・もうそれだけなの・・・」

ビビ「うん・・・」

エーコ「ビビ・・・う、うわぁーーーー!!」

エーコはビビに抱きつき大声で泣き出した。

ビビ「・・・」

ダガー「ビビ・・・エーコ・・・」







ダガー「どうしたらいいのかしら・・・」

フライヤ「うむ・・・」

ビビがエーコに寿命を告知してから仲間達は二人の為に出来る事を必死に考えていた。

クイナ「後一ヶ月で出来る事ってそんなに無いアル・・・」

スタイナー「しかしこのまま何もしないと言うのは・・・」

サラマンダー「だが何が出来る・・・」

フライヤ「それを今考えてるではないか。」

ダガー「・・・どうしたら・・・」







エーコ「・・・」

エーコは一人、リンドブルムの服屋にいて寂しげな表情で展示されてるウェディングドレスを見つめていた。

エーコ「・・・本当はあたしもこれに憧れてるはずなのに・・・そんな気持ちが出てこない・・・」

エーコはウェディングドレスを見て瞳に涙が溜まっていた。

エーコ「どうして・・・どうして・・・ビビ・・・」

「泣かないで・・・」

エーコ「!?」

エーコの隣にビビが来て、エーコの涙を手でぬぐった。

エーコ「ビビ・・・」

ビビ「君の涙は・・・見たくないよ・・・」

エーコ「・・・でも・・・」

ビビ「・・・ねぇエーコ・・・」

エーコ「何・・・?」

ビビ「僕の寿命の事を知らなかった時思ってた・・・叶えたい願いって何?」

エーコ「な、何よ突然・・・」

ビビ「お願い教えて。」

エーコ「前の叶えたかった願い・・・」

そう言われてエーコは少し考えた。

エーコ「・・・ジューンブライド・・・」

ビビ「ジューンブライド・・・か・・・」

エーコ「そう思ってたけど・・・今は・・・」

ビビ「大丈夫だよ。ちょっといい?」

エーコ「え?」

そう言うとビビはエーコの左手を取った。

ビビ「これくらいか・・・ありがとね。」

エーコ「何なの・・・?」

ビビ「大丈夫だから。悲しまないでね。それじゃ。」

そう言ってビビは何処かに向かった。

エーコ「・・・ビビ・・・」







フライヤ「どうしたものか・・・」

仲間達はまだ頭を抱えて悩んでいた。

ダガー「もしかして・・・私達に出来る事は・・・」

クイナ「その先は言っちゃ駄目アル。」

ダガー「クイナ・・・」

スタイナー「諦めたら駄目ですぞ。」

ダガー「スタイナー・・・」

サラマンダー「仲間なら・・・な・・・」

ダガー「サラマンダー・・・」

フライヤ「皆の言う通りじゃ。諦めてはならぬ。」

ダガー「フライヤ・・・そうよね。絶対に私達に出来る事はある。絶対に。」

フライヤ「ああ。」

ビビ「あ、よかったみんないるね。」

ダガー「ビビ?あなたどうしてここに?」

ビビ「みんなに頼みたい事があるんだ。」

クイナ「頼みたい事アルか?」

スタイナー「それは構わぬが・・・」

サラマンダー「何をするんだ?」

ビビ「エーコの願いを・・・叶えたいんだ・・・」

そしてビビは仲間達に何かの説明をした。

ダガー「・・・分かったわ。」

ビビ「ごめんね。でも・・・彼女の為に・・・」

フライヤ「いいのじゃよ。しっかりやるのじゃぞ。」

ビビ「うん!!」

そしてビビ達は何か行動を始めた。







クイナ「場所は黒魔道士の村でいいアルね。」

スタイナー「しかし時間が少ないから我々だけになるな。」

サラマンダー「その分祝ってやろうぜ・・・」









ダガー「えっと・・・エーコってこれくらいだったよね?」

フライヤ「そうじゃろうな。」

ビビ「こっちも何とか出来たよ。」

ダガー「次はビビね。」

ビビ「うん。」







スタイナー「ぬおぉーーーー!!」

クイナ「男は力仕事が・・・一番アル・・・!!」

サラマンダー「黙って作業しろ・・・!!」







ダガー「・・・よし!!ほとんど完了ね!!」

フライヤ「日にちはどうするのじゃ?」

ビビ「う〜ん・・・三日後にしよう。」

ダガー「分かったわ。」





そしてビビ達が行動を終わらせてから三日経った。







エーコ「・・・ビビ・・・」

エーコは一人ビビの事を想い泣いていた。と、そこに。

ダガー「ここにいたのねエーコ。」

エーコ「ダガー・・・フライヤも・・・」

ダガーとフライヤがやって来た。

エーコ「どうしたの・・・?」

ダガー「今すぐ来て欲しいの。」

エーコ「何処に?」

フライヤ「何処だって良いじゃろ。さぁ。」

エーコ「う、うん・・・」

そしてエーコは訳が分からぬまま二人に連れられ飛空挺に乗り外側の大陸に向かった。

ダガー「エーコこれに着替えて。」

そう言ってダガーはエーコに箱を渡した。

エーコ「何これ・・・?」

フライヤ「見れば分かる。」

エーコ「そう・・・?」

そしてエーコは箱を開けた。

エーコ「ちょっ・・・これ・・・!!」

ダガー「急いでね。私達も手伝うから。」

エーコ「ちょっと待ってよ!!一体何なの?」

フライヤ「いいから早く着替えるのじゃ。」

エーコ「ちょっと!!何なのよ〜〜〜!!」

そしてエーコは二人により強引に着替えさせられた。





ダガー「・・・よし、メイクもバッチリ!!」

エーコ「あの・・・」

フライヤ「ふむ。これならば悪くなかろう。」

エーコ「な、何なの・・・?」

エーコは純白のウエディングドレスを着ていた。

ダガー「黒魔道士の村まで秘密よ。じゃあ私達も着替えましょうか。」

フライヤ「ああ。」

そして二人も正装と思われる服装に着替え始めた。

エーコ「何なの・・・一体・・・?」

エーコは何が何だか分からぬまま黒魔道士の村に着き、二人に連れられある場所へ向かった。

エーコ「ねぇ・・・いい加減教えてよ。何があるの?」

ダガー「そろそろいいかしら?」

フライヤ「ああ。」

ダガー「あなたの願いを叶えるのよ。」

エーコ「あたしの・・・願い・・・?」

ダガー「ええ。」

エーコ「あたしの願いって・・・」

ダガー「そうよ。みんなお待たせ!!」

エーコ「え・・・?」

エーコ達が着いた場所は森の一角に出来た鮮やかな飾りが施された空間といつもと違った服を来たスタイナー達三人。そして・・・

ビビ「やぁ。」

白いタキシードを着たビビであった。

エーコ「ビ、ビビ!?アンタ何やってんの!?」

ビビ「見て分からない?君の願いを叶えているんだよ。」

エーコ「あたしの願いって・・・もしかして・・・!!」

ビビ「そ、ジューンブライドさ。」

エーコ「それじゃあ・・・これって・・・」

ビビ「やっぱり僕じゃ駄目だったかな?」

エーコ「あたしとビビの・・・」

ダガー「ええ。」

エーコ「・・・!!」

今何が行われてるかを知ってエーコの顔は赤くなった。

ビビ「僕はもうすぐ死んでしまうけど・・・出来る限り長く君の笑顔を見ていたくて・・・それで君の願いを叶えようと思ってね。」

エーコ「ビビ・・・」

ビビ「やっぱり相手が僕じゃ嫌?」

エーコ「そ、そんな事・・・無いわよ・・・」

ビビ「よかった。」

エーコ「でもどうして・・・」

ビビ「・・・僕も死ぬのにこんな事するなんて馬鹿げてると思うよ。でもね・・・死ぬ前に君と同じ想い出を作りたくてね・・・」

エーコ「ビビ・・・」

ビビ「エーコ・・・僕は君の事が・・・好きだ。」

エーコ「・・・!!」

ビビ「・・・だから・・・」

エーコ「・・・も・・・」

ビビ「?」

エーコ「あたしもビビの事・・・好き・・・」

ビビ「え?」

エーコ「あたしも・・・ビビの事・・・大好き!!」

ビビ「エーコ・・・」

ビビはそっとエーコを抱きしめた。

ビビ「歳からすればゴッコかもしれないけど・・・僕は本気だよ・・・」

エーコ「うん・・・」

エーコは嬉しく、頬に涙が流れていた。

ダガー「それじゃあ話もまとまったみたいだし・・・スタイナー。」

スタイナー「はっ!!」

クイナ「そろそろ始めるアルよ。」

サラマンダー「急げ。」

フライヤ「ほれ。ブーケじゃ。」

ビエ「うん!!」

そして二人は寄り添いスタイナーの前に立った。

スタイナー「え〜・・・っと・・・あ〜・・・そ、それではこれより・・・」

ダガー「前振りはいいから!!」

スタイナー「はっ!!え〜・・・ではビビ殿。お主は死迎えるその時までエーコ殿を妻とし、守り、愛する事を誓うでありますか?」

スタイナーは緊張混じりの声でこの時用に考えた言葉を話した。

ビビ「はい。」

スタイナー「エーコ殿。そなたはビビ殿が・・・ビビ殿がそなたの元を離れる時までビビ殿の夫となり、彼と共に生き、愛する事を誓うでありますか?」

エーコ「はい!!」

スタイナー「え〜・・・では指輪の交換を・・・」

エーコ「え?」

ビビ「ちゃんと用意してるよ。クイナ。」

クイナ「任せるアル。」

そう言うとクイナは二人に何かを差し出した。

エーコ「これって・・・婚約指輪エンゲージリング!?」

ビビ「そうだよ。」

クイナが差し出したのは二人の名が刻まれた銀色の指輪だった。

エーコ「でもあたしの指に合うの・・・?」

ビビ「この前測ったから。」

エーコ「え?・・・あ〜あの時。」

ビビ「そうだよ。それじゃあエーコ・・・」

ビビは指輪を取り、エーコの左薬指に通した。

エーコ「ビビ・・・」

エーコがビビの左薬指を見ると同じ指輪が光っていた。

ビビ「後個人的に僕からあげたい物があるんだ。」

エーコ「何?」

ビビ「サラマンダー。」

サラマンダー「おう・・・」

サラマンダーはビビに何かを渡した。

エーコ「それは・・・?」

ビビ「アクセサリー屋さんに頼んで作ってもらったんだ。君と僕の誕生石、ルビーとアクアマリンの装飾が施されてるネックレスさ。」

エーコ「ビビ・・・」

ビビ「ちょっとごめんね。」

そう言うとビビはネックレスのチェーンを外し、エーコの首に通した。

ビビ「どう?」

エーコ「ステキ・・・ありがとビビ・・・」

ビビ「よかった。気に入ってくれたみたいだ。」

エーコ「当たり前よ・・・」

フライヤ「さてと。そろそろアレじゃな。」

ダガー「アレね。」

エーコ「アレって・・・ま、まさか・・・!!」

エーコはこの後起こると思う展開に気付き顔が赤くなった。

ビビ「うん・・・」

スタイナー「え〜・・・では誓いのキスを・・・」

エーコ「ま、まさかここでファーストキスだなんて・・・!!」

ビビ「僕だってそうさ。でも君なら・・・」

エーコ「・・・あたしも・・・」

そして二人は見つめあった。

ビビ「エーコ・・・」

エーコ「ん・・・」

二人は目を瞑り、口付けを交わした。

ダガー「おめでとう・・・おめでとう!!」

フライヤ「よかったの・・・」

クイナ「バンバンザイアル!!」

サラマンダー「何だそれ・・・」

スタイナー「え〜・・・では結婚式には恒例のブーケトス・・・と言っても二人しかおらぬがな。」

ダガー「私が取るからね。」

フライヤ「負けないぞ。」

エーコ「それじゃあ・・・え〜〜〜い!!」

エーコは思いっきりブーケを投げた。と、その時。

ルビィ「ウチのもんや!!」

ベアトリクス「私のです!!」

ラニ「私のだよ!!」

ミコト「ちょ、ちょっと・・・!!」

ダガー「な、何!?」

クイナ「オヨヨ!?みんな!?」

ブーケが投げられた瞬間、英雄達を影から支えた他の仲間達が突然現れた。

ブランク「よ。」

サラマンダー「どうしてここが・・・?」

マーカス「俺らを舐めてもらっちゃ困るッス。」

シナ「そうズラ。」

スタイナー「ま、よいか・・・しかし・・・」

ルビィ「渡さへんで!!」

ダガー「私だって!!」

ミコト「何なのよ・・・ただ雰囲気的に参加した方がいいと思って参加したけど・・・」

女性人は一人除いて必死になってブーケを取ろうとしていた。

フラットレイ「やはり女はアレを求むのだな。」

バクー「大体そう言うもんだろ。」

シド「そうじゃて。」

トット「しかしそれも悪くは無いでしょう。」

スタイナー「バクーにシド大公、それにトット殿も。」

トット「スタイナー殿、一言声をかけてもらえれば私がやって差し上げた物を・・・」

スタイナー「・・・」

フラットレイ「しかし・・・いつまでやってるのだ・・・」

フライヤ「くそっ!!」

ベアトリクス「押さないで下さい!!」

ラニ「そう言うアンタだって!!」

ブーケは女性人のすぐ上に来てはキャッチしようとして弾かれ頭の上をポンポン跳ねていた。そして。

ダガー「やった!!」

遂にダガーがキャッチした。

フライヤ「ま、よいか。」

ラニ「取ってみたかったのに・・・」

ベアトリクス「不覚・・・」

ルビィ「あ〜あ。」

ミコト「何かあるのアレに・・・?」

ビビ「・・・やっぱり楽しいのが一番だね。」

エーコ「うん・・・」

ビビ「・・・少ないと思うけど・・・ずっと一緒にいようね・・・」

エーコ「うん・・・!!」

そして再び口付けを交わした。

ダガー「ビビ・・・エーコ・・・幸せにね・・・」

祝いの言葉をかけたダガーの瞳にほのかに涙が滲んでいた。













それから一ヵ月後・・・

ビビは止まってしまった・・・

最期に『ずっと愛してる・・・見守ってるから・・・』と言って・・・

もちろん泣いたけど・・・

いつまでも泣いている場合じゃない

だって

ビビはいつもいるんだから・・・

この指輪とネックレス・・・

そして

あたしの心の中に・・・

ずっとずっとビビはいるんだから・・・

だから

あなたに何度でも伝えるわ

少しの間でも

こんなに大きな幸せをくれて

ありがとう

愛してる

大好きだよ・・・ビビ・・・





FIN





あ と が き


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