注意事項


この話はIF(もしも)であり
原作ともCMSシリーズともJune Brideとも係わりはありません
そして悲しい結末を迎えるのでご了承の上、読むかどうかをご判断して下さい
また、勝手にビビの誕生日を決めてるのでその点についても割り切って下さい












少年「今年も花火大会の日が来たね。」

少女「あのさ〜・・・あたしいつも思うんだけど・・・」

少年「何?」

アレクサンドリアの城下町の水辺に青い浴衣を着た少年と瑠璃色の浴衣を着た少女がいた。

少女「何で毎年七月二十一日に花火大会があるの?」

少年「知らないの?今日はガイアを救った英雄が・・・」

少女「その話しさ、あたしあんまり知らないのよね。」

少年「そっか。それじゃ話そうか。昔この日にあった悲しい話を・・・」

少女「悲しい話・・・?」

少年「そう・・・この日に起こった・・・美しく、悲しいお話・・・」





花火






エーコ「暑いよ〜・・・」

ビビ「ちょっとは我慢しなよ・・・僕も暑いんだ・・・それに・・・」

1800年の猛暑が続く七月、黒魔道士の村に車椅子に座ってるビビとエーコがいた。

エーコ「あ・・・ごめん・・・」

ビビ「いいよ・・・もう・・・」

エーコの何気ない一言とビビの様子で二人の間に悲しそうな空気が流れた。

エーコ「・・・やっぱり・・・そうなの・・・?」

悲しそうな瞳をしてエーコはビビに問いかけた。

ビビ「うん・・・多分七月以内だって・・・」

エーコ「七月以内って・・・じゃあもう・・・」

ビビ「うん・・・少なくて十日、多くても二週間程・・・」

エーコ「ビビ・・・」

ビビ「命はいつか必ず終わる・・・僕の場合それが早かっただけだよ・・・」

エーコ「そんな事言わないでよ・・・ビビが死ぬなんて嫌よ・・・!!」

エーコは涙を流しながら車椅子に座ってるビビに抱きついた。この時ビビの残り時間が既に二週間をきっていた。

ビビ「・・・どうして僕達は・・・出会ったんだろう・・・」

エーコ「・・・?」

ビビ「出会わなければ・・・君は悲しまずにすんだのに・・・そして僕も・・・こんな辛い思いをせずに・・・」

エーコ「馬鹿!!そんな事言わないでよ!!」

ビビ「エーコ・・・ん!?」

泣きながらエーコは強引にビビにキスをした。

エーコ「ビビはそんな事考えてたの!?あたしはそんな事一度も・・・一度だって・・・!!」

ビビ「エーコ・・・」

エーコ「あの戦いの時約束したでしょ!!『死ぬまで恋人でいよう』って!!なのにそんな事を・・・!!」

ビビ「ごめん・・・僕・・・どうかしてた・・・」

エーコ「ビビ・・・うっ・・・うわぁーーーー!!」

こらえきれず、エーコはビビの胸で泣き出した。

ビビ「エーコ・・・!!」

そんなエーコをビビは抱きしめる事しか出来なかった。







ダガー「やっぱり今月中だって・・・」

フライヤ「そうか・・・」

クイナ「残念アル・・・」

スタイナー「ビビ殿・・・」

サラマンダー「・・・」

同じ黒魔道士の村の二人から離れた場所にダガー達英雄が五人揃っていた。

フライヤ「覚悟は決めていたつもりじゃが・・・やはり・・・」

ダガー「割り切れってのが無理なのよ・・・ビビが死ぬなんて・・・」

ダガー達もビビの残り時間について話し、悲しみにくれていた。

クイナ「どうしようも・・・無いアルか・・・?」

サラマンダー「だろうな・・・厳しい話だが・・・」

スタイナー「くそっ・・・」









ビビ「花火大会?」

エーコ「そうよ。七月二十日にあるんだって。」

あくる日、二人はまた黒魔道士の村で話し合っていた。

ビビ「二十日って・・・僕の誕生日の前日?」

エーコ「うん。で、一緒に見に行かない?」

ビビ「いいけど・・・大丈夫かな・・・?」

エーコ「・・・分かってるわよ・・・タイムリミットがもう少ないの・・・」

ビビ「うん・・・多分その時はもう・・・いつ止まってもおかしくないと思う・・・だから・・・」

エーコ「でもお願い・・・一緒に見ようよ・・・」

ビビ「・・・うん。」

エーコ「約束したからね・・・」

ビビ「うん・・・」

そして二人は約束し、その証として口付けを交わした。

ダガー「ビビ・・・エーコ・・・いい?」

ビビ「あ、お姉ちゃん。」

二人の元にダガーが来た。

ダガー「ビビ・・・体の具合どう・・・?」

ビビ「今は大丈夫だよ・・・それに・・・」

ダガー「それに?」

ビビ「エーコと約束したんだ・・・二十日の花火大会を一緒に見るって・・・」

ダガー「花火・・・大会?」

エーコ「あたし・・・初めてなの・・・」

ビビ「?」

エーコ「ずっとマダイン・サリにいたからさ・・・今回の花火がどんなのかを・・・あたし知らないの・・・」

ビビ「それは僕もさ。」

ダガー「そうよね。二人はまだ小さい花火しか見てないからね。」

エーコ「街の人の話を聞いてるとさ、ヒュ〜〜〜って空に上がって、それでバーーーン!!とか。上がってバーーーン!!でバチバチバチ〜とか。」

ダガー「まぁ〜アバウトすぎるけど・・・簡単に言えばそんな感じよ。」

ビビ「へぇ〜楽しみだな〜・・・」

ダガー「とっても凄いわよ。だからビビ・・・それまでは絶対に・・・」

ビビ「うん・・・分かってるよ・・・」

エーコ「ビビ・・・」







フライヤ「ほう・・・花火大会か。」

スタイナー「良いではありませぬか。何か問題でも?」

ダガー「ビビの命がそこまで持つかどうかよ・・・」

クイナ「アル・・・」

サラマンダー「現状はどうなんだ?」

ダガー「・・・二十日が峠だと思う・・・」

フライヤ「ギリギリか・・・」

ダガー「ええ・・・花火大会まではね・・・」

フライヤ「・・・と、言うと?」

ダガー「・・・確実に・・・」







ビビ「いよいよ明日だね。」

エーコ「うん。」

七月十九日、ビビとエーコはかわらず黒魔道士の村にいた。

ビビ「今日あたりにあっちに向かおうかと思うんだけど・・・」

エーコ「それなら大丈夫よ。リンドブルムのシドおじさんに頼んでヒルダガルデ三号を森の入口の所に着陸してもらう様に言ってるから。」

ビビ「そっか。でも車椅子で森の入口まで行けるかな・・・?」

エーコ「大丈夫だって。あたしがついてるから。」

ビビ(だから心配なんだよな〜・・・)

エーコ「何か言いたげな顔ね?」

ビビ「べ、別に・・・」

エーコ「そう?じゃあ行きましょうか。」

ビビ「うん。」

そしてエーコがビビの車椅子を押して黒魔道士の村を出発した。

エーコ「こうやって二人きりで出歩くのって久しぶりよね。」

ビビ「そうだね。僕がまだ元気だった時は手をつないで歩いてたよね・・・」

エーコ「そんな大昔みたいに言わないの。一ヶ月くらい前の事でしょ。」

ビビ「でも言い方を変えれば一ヶ月も前の話なんだよね・・・」

エーコ「あ〜もう!!そんなに悲観的に考えないで!!」

ビビ「ご、ごめん・・・」

エーコ「あたしだって・・・辛いんだから・・・」

ビビ「エーコ・・・?」

エーコ「ビビが・・・死ぬなんて・・・考えるだけで・・・心が・・・つぶれそうだよ・・・」

エーコは涙混じりに話した。

ビビ「エーコ・・・」

エーコ「だから・・・ビビが死んだら・・・あたしもその後を・・・」

ビビ「そんなのやだよ!!」

エーコ「!?」

いつもと違い今度はビビがエーコに怒った。

ビビ「そんなの・・・嫌だよ・・・エーコはまだ行き続けれるんだ・・・だから無闇に死のうなんて・・・!!」

エーコ「分かってるよ・・・けど・・・今のあたしに・・・ビビ無しで生きていく事なんか・・・」

ビビ「それはみんな同じだよ!!お姉ちゃんもおじちゃんもフライヤもサラマンダーも・・・みんな必ず悲しみを背負って・・・それでも精一杯未来まえに向かって生きているんだ!!」

エーコ「ビビ・・・!!」

ビビ「もし君と僕の立場が逆だとして・・・僕が同じ事を話したらどう思う?」

エーコ「ビビに・・・死んでほしくは・・・」

ビビ「でしょ。僕はそれを・・・」

エーコ「分かってるわよ・・・けど・・・あたしはそんなに強くない・・・弱い人間なのよ・・・!!」

ビビ「エーコは弱くなんか無い!!」

エーコ「!?」

ビビ「エーコはあの戦いを乗り越えたじゃないか!!マダイン・サリでの孤独を耐え、モグを失って・・・それでも戦って生き抜いたじゃないか!!」

エーコ「そ、それは・・・」

ビビ「僕達が出会ってからはどうかは分かんないけど・・・それ以前はどう考えても君一人で乗り越えたんだ・・・だから君は弱くない・・・」

エーコ「・・・」

ビビ「でも・・・そう考えると僕の責任なんだよね・・・」

エーコ「え?」

先程まで怒り混じりだったビビが突然弱気な発言をしだした。

ビビ「僕が君に出会った事で君の強さを奪ったんなら・・・それは僕の責任さ・・・」

エーコ「そんな事無い・・・ビビは何一つ悪くない・・・!!」

ビビ「そう・・・かな・・・駄目だね僕は・・・さっきはあんな事言って・・・ごめんね・・・」

エーコ「え・・・」

ビビ「最後かもしれないのに・・・こんな事になっちゃって・・・」

エーコ「最後って・・・言わないで・・・」

ビビ「・・・?」

エーコ「最後なんて聞くと・・・ビビとの全てがそこで終わりみたいな感じがして・・・!!」

ビビ「エーコ・・・」

エーコ「だから・・・最後・・・なんて・・・!!」

エーコの瞳に涙が溢れ始めていた。

エーコ「言わないでよ!!うわぁ〜〜〜〜〜〜ん!!」

こらえきれずエーコは大声で泣き出した。

ビビ「エーコ・・・ごめ・・・ごめん・・・ね・・・!!」

そしてビビも遂に泣いてしまった。

エーコ「うわぁ〜〜〜〜〜〜ん!!」

ビビ「ごめんね・・・ごめんね・・・!!」

二人の鳴き声が森に響き渡っていた・・・







ダガー「どうしたの二人とも?」

ビエ「・・・」

フライヤ「ケンカ・・・では無いか。」

クイナ「何があったアル?」

ビビ「何でも無いよ・・・」

サラマンダー「何でも無い訳無いだろ・・・」

ビビ「それは・・・」

スタイナー「隠さずとも良い。我らに話してみよ。」

ビビ「・・・うん・・・」

そしてビビは先程の事をダガー達に話した。

ダガー「・・・それじゃあこんな事になってもおかしくないわね・・・」

クイナ「てか何でさっきワタシだけ名前出なか・・・フグヌッ!?」

ダガー「それで・・・!!二人は・・・どうしていたいの・・・!!」

二人に気付かれぬようダガーはクイナの足を思いっきり踏みつけていた。

サラマンダー「・・・こぇ〜・・・」

スタイナー「同感・・・」

エーコ「あたし達は・・・」

ビビ「僕達は・・・」

ダガー「ふう・・・ま、二人に話す事はそれぞれあるわね。」

ビエ「え?」

ダガー「まずビビ、自分のせいとかそんな事を考えないように。」

ビビ「うん・・・」

ダガー「次にエーコ。辛いからって自分から死ぬなんて考えちゃ駄目よ。」

エーコ「分かってるけど・・・」

ダガー「しょうがないわね・・・じゃあ私達はあなたがどうしようと口出しはしないわ。」

エーコ「え?」

ダガー「どうしようと、決めるのはエーコ次第。だからどうなろうと誰も何も言わないように。」

ビビ「けどお姉ちゃん・・・」

ダガー「考えを変えればいいのよ。もしエーコがあなたを追って死んだら、二人はまたずっと一緒にいられるって。だから何も言わない事。」

ビビ「・・・うん・・・」

ダガー「それじゃあ仲直りでもしなさい。」

ビビ「・・・ごめんね・・・」

エーコ「ごめん・・・」

ダガー「ま、これで一件落着ね。」

スタイナー「しかし・・・これでよかったでありますか?」

クイナ「そ、そうアル・・・ワタシの足が・・・」

サラマンダー「それは置いといてだ・・・」

フライヤ「アレでよかったのか?」

ダガー「・・・いいわけないでしょ・・・」

フライヤ「何?」

ダガー「ビビが死んで・・・エーコも死ぬなんて嫌よ・・・でも・・・私には二人の仲の方が大切だって思ったから・・・」

サラマンダー「だからか・・・俺はそう言うの苦手だから何も言わないがな・・・」

クイナ「どんな結末を迎えるかは・・・」

スタイナー「エーコ次第でありますか・・・」







エーコ「うわぁ〜〜上がった上がった〜〜〜!!」

ビビ「凄いや〜〜〜!!」

七月二十日の夜、花火大会はアレクサンドリアで開催され、ビビとエーコは城の上部、アレクサンダーの祭壇で見ていた。



ダガー「まだ大丈夫みたいね・・・」

フライヤ「そのようじゃな・・・しかし・・・」

スクサ「ぐへぇ・・・ぐへぇ・・・」

ダガー達は影から二人を見守っており、何故かこの三人はバテていた。

フライヤ「アレくらいで・・・」

ダガー「車椅子を抱えてここを登ったんだもの・・・」

そう、この三人がバテているのはビビが座ったままの車椅子をここまでかついで来たからである。

ダガー「そんなことよりも・・・まだ大丈夫のようねビビ・・・」

フライヤ「ダガーの話した事が本当ならば・・・」

ダガー「今は九時・・・後三時間で・・・」

フライヤ「・・・」



ビビ「綺麗だね〜・・・」

エーコ「うん・・・」

ビビ「僕良かったよ。こんな綺麗な物が見れるなんて・・・」

エーコ「あたしは・・・ビビがいるだけでいいわ・・・」

ビビ「エーコ・・・」

エーコ「ビビ・・・」

一つの大きな花火が広がったとほぼ同時に二人はキスをした。

ビビ「ずっと一緒にいたい・・・本当の事を言うと死にたくなんか無い・・・」

エーコ「ビビ・・・」

ビビ「ずっと君とこうしていたい・・・けど・・・叶わない願いなんだよね・・・」

エーコ「大丈夫・・・その時が来るまで・・・ずっといるから・・・」

ビビ「ありがとう・・・エーコ・・・」

二人が見つめ合い、抱き合っている時もずっと花火は上がり、闇空に鮮やかな花を咲かせ続けていた。







ダガー「・・・もう・・・残り少ないわね・・・」

フライヤ「ああ・・・もう十一時半か・・・」

ダガー「ビビ・・・エーコ・・・」



ビビ「もう・・・行こうよ・・・」

エーコ「嫌・・・もう少しこうさせてて・・・」

花火が全て撃ち終わった後もエーコはビビに抱きついていた。

ビビ「でも・・・」

エーコ「分かるの・・・ビビの鼓動が・・・遅くなってるの・・・」

ビビ「・・・」

エーコ「だから・・・」

ビビ「うん・・・じゃあさ・・・今までの事を・・・語り合おうか・・・」

そして二人は抱き合いながら出会ってから今日までの事を語り始めた。



ダガー「ビビ・・・」

フライヤ「・・・」

ダガー達も二人の会話を耳にしながら、ダガー達も今までのビビとの旅を思い返していた。

ダガー「・・・うっ・・・」

フライヤ「ダガー・・・」

ビビとの旅を思い返す中で、ダガーも遂に泣き出してしまった。

ダガー「やっぱり嫌よ・・・ビビが死ぬなんて・・・!!」

フライヤ「・・・」

ダガー「ビビぃ・・・!!」



エーコ「・・・って事もあったよねビビ。」

ビビ「・・・」

エーコ「ビビ?」

ビビ「・・・え?」

エーコの呼びかけに対するビビの反応が変化しつつあった。

ビビ「ごめん・・・ちょっと意識が・・・」

エーコ「大丈夫・・・?」

ビビ「・・・分かんない・・・」

エーコ「もしかして・・・もう・・・?」

ビビ「・・・」

一瞬戸惑ったがビビはうなずいた。

ビビ「多分・・・誕生日は迎えれないかも・・・」

エーコ「駄目よ・・・まだ死なないで・・・まだ話したい事いっぱいあるんだから・・・!!」

ビビ「それは僕もさ・・・でも・・・」

ビビは残りの力を精一杯振り絞りエーコの手を握った。

ビビ「分かるだろ・・・僕が・・・もう・・・」

エーコ「手が・・・冷たい・・・」

ビビの体は冷たくなりかかっていた。

ビビ「でも僕は・・・君とこうしていられるだけで・・・幸せだよ・・・」

エーコ「ビビ・・・!!」

眼に涙を浮かべ、エーコもビビの手を両手で握った。

ビビ「出会わなければ・・・なんて言って・・・ごめんね・・・僕は今・・・君と出会えて・・・よかったと・・・思う・・・よ・・・でなきゃ・・・こんな幸せな気持ちに・・・ならなかったと・・・思う・・・から・・・」

エーコ「うん・・・」

ビビ「・・・エーコ・・・ずっと・・・ずっと好き・・・だよ・・・」

エーコ「あたしも・・・ビビが・・・大好きよ・・・」

ビビ「うん・・・」

エーコ「あたしもビビがいたから・・・今のあたしがいるのよ・・・だから・・・」

ビビ「・・・」

エーコ「ビビ・・・?」

エーコの呼びかけにビビは何の反応も示さなかった。

エーコ「嘘・・・でしょ・・・?」

ビビ「・・・」

エーコ「ねぇ起きて!!まだ話したい事があるの!!ねぇったら!!」

エーコはビビの体を揺らしたが、反応は無かった。

エーコ「そんな・・・ビビ・・・!!」

ダガー「エーコ・・・」

エーコの下にダガー達が来た。

エーコ「みんな・・・ビビが・・・ビビが・・・!!」

フライヤ「・・・七月・・・二十一日・・・ビビ・・・他界・・・!!」

エーコ「うっ・・・うくっ・・・!!ビビーーーーーー!!」

エーコは既に止まったビビの体に抱きつき大きな声で泣き出した。

エーコ「うわぁーーーーーーーーー!!」

ダガー「さよなら・・・ビビ・・・!!」

スタイナー「・・・ビビ殿・・・」

クイナ「ビビ・・・」

サラマンダー「あばよ・・・ビビ・・・」







フライヤ「全ての手筈は済んだぞ・・・」

ダガー「ありがとう・・・フライヤ・・・」

フライヤ「仲間の為じゃ・・・」

ダガー「うん・・・」

サラマンダー「で、エーコはどうなんだ・・・?」

ダガー「そう言えばどうなの?」

スタイナー「ずっと祭壇にいると思われますが・・・」

クイナ「エーコはどうするアルか・・・」

ダガー「それは彼女次第よ・・・」

フライヤ「その通りじゃ。もうすぐ夜明けじゃ。ダガーはもう休んでもよい。後は我らがやっておく。」

ダガー「ありがとうフライヤ。」

フライヤ「いいって事じゃ・・・おや?」

ダガー「どうしたの?」

フライヤ「いやの・・・ここに置いてあった薬が一つ無くなっておるのじゃ。」

ダガー「薬?」

フライヤ「何でも危険な物で後で処理しておいてくれと頼まれておったのじゃが・・・」

ダガー「ねぇ・・・もしかしてその薬・・・人には有害・・・?」

フライヤ「ああ、しかもかなりな。だから処理を・・・まさか!?」

ダガー「そのまさかよ!!エーコは祭壇よね!?」

スタイナー「た、多分でありますが・・・」

ダガー「急がなくちゃ!!」

クイナ「口出しするなって言ったのにどしてアル?」

サラマンダー「別れの挨拶ぐらいって事だろ・・・」

フライヤ「だろうな・・・早く行くぞ!!」

そしてダガー達は祭壇に向かい走り出した。







エーコ「・・・もうすぐ・・・夜が明ける・・・」

夜明け前、エーコは祭壇にいたが、心が砕かれたかのごとくその瞳に光は無かった。

エーコ「そして始まるんだ・・・ビビがいない時間が・・・」

呟きながらエーコは液体の入った小さなビンを取り出した。

エーコ「みんなごめんね・・・やっぱりビビがいないのは・・・あたしには耐えられない・・・」

そう言ってエーコはビンのふたを取った。

エーコ「でもこれで・・・また・・・会えるね・・・」

そしてエーコはビンの中の液体を飲んだ。

エーコ「ビビ・・・」

そしてすぐにエーコはその場に倒れた。

ダガー「・・・間に合わなかった・・・」

そのすぐ後にダガー達が祭壇に到着した。

フライヤ「行ってしまったか・・・」

スタイナー「さらばでありますエーコ殿・・・」

クイナ「また仲間が一人・・・」

サラマンダー「・・・」

ダガー「エーコ・・・」

ダガーは止まったエーコの体を抱きかかえ、夜明けの日差しに彩られた青とオレンジの空を見上げた。

ダガー「ビビ・・・今あなたの元にエーコが行ったわ・・・ずっと二人は一緒だから・・・仲良くしてね・・・」

そう呟いたダガーの頬に一筋の涙が流れた。







ジタン「そんな事があったんだな・・・」

ダガー「うん・・・」

それから月日が流れ、行方不明だったジタンが帰って来てから半年ほど経ったあの日・・・

ダガー「それで決めたの・・・あの二人が死んだこの日に・・・この空に花火を打ち上げるって・・・」

ジタン「二人が見てる事を祈ってか・・・」

ダガー「うん・・・」

ジタン「・・・今日だけじゃないよな?」

ダガー「え・・・?」

ジタン「今日だけ・・・今年だけじゃないよな?」

ダガー「当たり前よ。これからずっと、何十年何百年、何千年経ったって・・・」

ジタン「ああ・・・」

ダガー「あなたはずっと・・・死ぬまで離れないでね・・・」

ジタン「勿論さ・・・」

そう言って二人は口付けを交わした。そして二人の左手の薬指には銀色の指輪が輝いていた。

















少年「それからもう百年・・・1900年の今もこれは続いているんだ・・・空に還った英雄のビビ=オルニティアとエーコ=キャルオルの為に・・・」

少女「・・・よくずっと続いたよね・・・」

少年「それ程人の心に残ってるのさ・・・この星を救った英雄が・・・まだ九歳と六歳の子供が・・・」

少女「でもさ・・・これって偶然なのかな・・・?」

少年「何が?」

少女「ううん、何でも。」

少年「そう?」

少女「・・・見ているよね・・・」

少年「・・・見ているさ・・・この空の何処から・・・ずっと二人で・・・」

少女「そうよね・・・ねぇ・・・」

少年「どうしたの?」

少女「アンタは・・・あたしの前から・・・いなくなんないよね・・・?」

少年「・・・当たり前さ。君を一人になんかしないよ。」

少女「約束よ・・・」

少年「うん。」

二人が約束したと同時に空に大きな花火が咲いた。

少女「あ!!始まっちゃった!!」

少年「しまった〜・・・結構いいポイントを見つけたのに・・・時間食っちゃってたんだ・・・」

少女「だったら今から行けばいいでしょ!!早く行こうよビビ!!」

ビビ「そうだよね。こっちだよエーコ!!」

エーコ「うん!!」

そして少年と少女・・・ビビとエーコは手をつなぎ走り出した。決して離さぬ様に強く握り締めて・・・

















花火を空に咲かせるのは


空に還った命達に


その美しさが見えるように


僕はそう思う


君はどう思う?


この時だけに咲く花を


君はどう思って見上げる?


様々な思いを胸に


僕らは花火を見下ろしている




〜FIN〜





あ と が き


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