第八話

エルピスへ





オーストラリアへ向かう途中エルピス領域近くにて新たな敵の襲撃を受けたハガネ。その敵とは・・・


「・・・反応がある・・・この先だ。」

「あぁ。」

エルピス領域近くの海上、ある場所に向けて飛行する小型の機体が二機いた。

「早くしよう・・・僕はもう・・・」

「焦るなって。まだいるとは決まってないんだぞ。」

話をしながらその二機は高速で向かっていった。









隆士「このぉ!!」

ドシュゥゥゥ!!

隆士はアグニをハガネから放つが当たりはしなかった。

稟「くそっ!!動きが早い・・・!!」

ハガネは大きさが七mほどの昆虫の羽のような物で飛行する機体の部隊と戦っていた。

優真「やぁっ!!」

ガギィィン!!

優真「くっ!!」

優真はディスカッターで切りかかったがその機体が持っていた実体剣で受け止められた。

浩之「何なんだよこのてんとう虫もどきは!?」

雅史「てんとう虫って言うよりはコガネムシかカナブンじゃ・・・」

浩之「んなこたどうだって・・・雅史後ろだ!!」

雅史「え?うわっ!!」

雅史の後ろにいた機体が腕から火炎放射を放ったが、雅史は寸前でかわした。

雅史「危なかった・・・ありがとう浩之。」

浩之「気をつけろよ。って言いたいがこっちも危険だからな・・・」

雅史「うん・・・」

火炎放射を放った赤い機体は意外にも機動性が高く、尚且つ数が多かった。

稟「一種の雑魚だと思うんだがな・・・」

あかり「MSや宇宙怪獣とは大違いだよ〜・・・」

素子「だから戦い方が違うと言っただろう!!よく考えるんだ!!」

のび太「了解!!」

ジョニー「機動性なら負けるか!!喰らえ!!」

ジョニーはリニアガンを連射して一機撃墜した。

優真「装甲は薄い。一気に切り込めば!!」

優真は剣を弾き、そのまま機体を切り落とした。
だが。

ドォォォン!!

優真「うわぁっ!!」

後ろから赤い機体と共にいた青い機体が持つミサイルを喰らいバランスを失った。

シロ&クロ「優真!!」

優真「大丈夫・・・だけどこのままじゃ・・・!!」

和哉「エルピス領域近くで・・・全く何なんだよこいつらは・・・?」

隆士「機動力がMSやPTとは大違いだ・・・そう言えば。」




隆士(どうしたんです沙夜子さん?)

沙夜子(気をつけて・・・新たな敵が来るわ・・・)

隆士(え?)

沙夜子(海と大地の狭間から・・・)

隆士(海と大地の狭間?一体どう言う・・・)

ジョニー(白鳥早くしろ!!)

隆士(あ、はい!!話は後で沙夜子さん。)

沙夜子(だけど大丈夫よ・・・二人の剣士が来てくれる・・・)

隆士(剣士?)




隆士「沙夜子さんが言った事・・・あれって・・・って今は戦闘中だ。後にしなきゃ!!」

隆士は考えを振り払って再びアグニを放った。

稟「うおぉーーー!!」

稟はマシンキャノンを連射しながら突撃し、赤い機体と青い機体を切り倒した。

稟「バスターライフルは簡単に避けられちまう・・・一気に切り込むしか無い!!」

素子「実弾兵器ならバリアは無効出来る・・・バルキリーなら十分相手になれる!!」

素子は青い機体が数対集まっている場所へ突撃した。
すると青い機体が一斉にミサイルを素子に撃ってきた。

素子「甘い!!」

素子はバルキリーを中間形態のガウォークに変形して一度止まってから青い機体の上に上がりミサイルをかわした。

素子「そこだっ!!」

そのまま上からガンポッドで青い機体を二機撃墜した。

素子「スティール2!!後何体だ!?」

和哉「こちらスティール2、赤い機体が10、青い機体が4だ。」

優真「後十四・・・何とかなりそうだ・・・」

イシカワ「いや待て。レーダーに反応、増援だ!!」

浩之「何!?」

イシカワの言った通り戦闘空域に頭部に牙のような物がついた赤とオレンジの機体一機と機動性の高いピンクの機体が二機。
そして赤い機体が六機現れた。

稟「こんな時に増援なんて・・・正直厳しいぞ・・・」

あかり「何とかしなきゃ・・・これじゃあ・・・」

浩之「あかり避けろ!!」

あかり「浩之ちゃ?はっ!!」

あかりの後ろに赤い機体が三機集まり、火炎放射を同時に放ち巨大な火炎を作り出してあかりを攻撃してきた。

あかり「間に合わない!!」

浩之「くそっ!!テスラ・ドライブ出力最大!!」

浩之はアルブレードのテスラ・ドライブの出力を最大に上げ、あかりの所まで加速した。

浩之「あかりぃーーーー!!」

ドガッ!!

あかり「きゃっ!!」

浩之はあかり機に突撃してどかした。
その結果。

ドゴォォン!!

浩之「うあぁっ!!」

火炎がアルブレードの左足に辺り、左足が爆発した。

あかり「浩之ちゃん!!」

浩之「大丈夫だ、左足一本ならな・・・」

あかり「ごめんね・・・」

浩之「謝るなって。だがまずいな・・・」

雅史「うわぁっ!!」

稟「つっ!!くそっ!!」

浩之の言うように、雅史機の右腕、稟のウイングがシールドごと左腕を破壊されダメージを負ってしまった。

ジョニー「このぉーーー!!」

ジョニーはオレンジ色の機体にリニアガンを連射して突撃した。
しかし。

ドゴォッ!!

ジョニー「くぉっ!!しまった!!」

オレンジ色の機体の股間部についてた砲から放たれた弾がリニアガンを破壊した。

素子「灰原!!はっ!?」

ガシィン!!

素子「しまった!!不覚を取ったか・・・!!」

一瞬ジョニーに気を取られた素子もピンクの機体に左の主翼と脚部を切られバランスを失った。

隆士「まずい・・・エールパックの準備をお願いします!!」

隆士は危険を察知し、一度格納庫に戻った。

優真「浩之さんに稟さん、雅史さんに灰原さん、それに素子さんまでやられるなんて・・・」

クロ「優真後ろ!!」

優真「えっ?」

ドゴォォン!!

優真「うわぁぁっ!!」

シロ「ウニャア!!」

背後から三位一体の巨大な火炎を喰らい、サイバスターの左後ろの羽が破壊された。

優真「くそっ・・・お返しだ!!」

優真はバランスを整え、ハイファミリアを放って赤い機体三機を落した。

優真「ごめんサイバスター・・・僕がしっかりしてなくて・・・」

クロ「優真はしっかりやってるニャ。」

シロ「それにサイバスターは破壊されても自己再生するから大丈夫ニャ。」

優真「そっか・・・だけどこのままじゃまずいよ。」

和哉「くそっ・・・負傷した機体を回収しろ!!この空域を離脱するしかない!!」

カレハ「分かりましたわ。皆さん戻ってください!!」

稟「ちっ・・・」

素子「仕方ないか・・・」

そしてあかりとのび太以外の機体がハガネに戻った。

智子「神岸さん野比君!!はよ戻るんや!!」

あかり「私はまだ大丈夫です。時間を稼ぎます!!」

のび太「僕もです!!」

詠子「そんな事言わないで早く!!やられるわよ!!」

隆士「大丈夫、僕も行きます!!」

そして格納庫からエールパックを装備したストライクが発進した。

隆士「後で合流地点でも教えてくれれば向かいます。ハガネは今の内に!!」

ジョニー「バカ言うな!!お前ら三人で何が出来る!!」

隆士「少なくても時間は稼げます。相手は実弾兵器だけだからエネルギーさえ切れなかったら大丈夫です!!」

あかり「だから早く離脱を!!」

和哉「くっ・・・!!」

詠子「兄さんどうするの!?」

和哉「・・・離脱する!!三機には後で合流地点を教えるんだ!!」

イシカワ「了解した。」

浩之「和哉さん!!あかり達を見捨てるのか!?」

和哉「これが戦争なんだ!!このまま留まってハガネを沈ませてもいいのか!?」

浩之「だけどよ!!」

和哉「命令だぞ!!藤田浩之!!」

浩之「くっ・・・!!」

あかり「大丈夫だよ浩之ちゃん。ちゃんと戻るから。」

隆士「今は僕らに任せて。」

のび太「だから撤退を。」

浩之「あかり・・・隆士さん・・・のび太・・・」

和哉の命令でハガネは戦闘空域から離脱を始めた。
だがその時。

ピピッ

イシカワ「ん?」

レーダーに反応が現れ、イシカワは調べた。

イシカワ「未確認機二機、こちらに近づいてきてるぞ。」

和哉「敵か!?」

イシカワ「分からない。だが系統からあの機体に似たタイプだ。」

和哉「気をつけ!!」

隆士&あかり&のび太「了解!!」

イシカワ「来たぞ!!」

イシカワが叫んだと同時にハガネのブリッジの真横を何かが二機通過した。

カレハ「きゃっ!!あ、あれは?」

智子「な、何や?」

一機は白い機体色の九m程の大きさで剣を持った昆虫のような機体。
もう一機は赤と白の機体色に九mほどの大きさで銃と剣を持ち、背部に二門の砲がついた鳥のような機体だった。

あかり「て、敵!?」

隆士「いや待って。まさか・・・」

あかり「え?」

隆士(沙夜子さんの言ってた剣士・・・?)

隆士が考えていると白い機体が持っていた剣を構えた。

隆士「くるっ!?」

そして一気に加速して隆士達に向かってきた。

隆士「速い!!」

隆士はシールドを前に出して防御の姿勢を取った。
しかし。

隆士「なっ?」

白い機体はストライクに見向きもせずに敵の機体に向かっていった。

あかり「敵じゃ・・・ない?」

そして白い機体は一瞬の内に赤い機体を四機切り落とした。

あかり「凄い・・・」

そして赤い機体も右手に持った銃を構えて白い機体の後に続いた。

隆士「やっぱり・・・」

赤い機体は銃を連射し残った青い機体を撃墜した。
しかし後ろにピンクの機体がミサイルを向けていた。

あかり「後ろです!!」

ピンクの機体がミサイルを放ったが、赤い機体は気づいていたらしく下に下がってミサイルをかわした。
そして同時に背部を肩に移動させて放ちピンクの機体を撃墜した。

隆士「凄い・・・強い・・・」

のび太「隆士さん。僕達も。」

隆士「あ、そうだね。」

見入っていた隆士達も戦闘に参加しようとした。
しかしその時だった。

「両軍に告げる!!今すぐ戦闘を中止しろ!!ここはエルピス領域だ!!」

突然通信が入った。

和哉「しまった!!エルピスの領域に入っていたのか!?」

遠くから大きな銃を持った大き目の羽がある機体と小型の機体が近づいてきていた。

隆士「エルピス軍だ!!」

あかり「ど、どうしよう〜」

和哉「ここは大人しくするか。問題はあっちの方・・・」

エルピス軍が忠告したが、敵の部隊は戦闘を止めず、エルピス軍の機体に向かった。

「仕方ない・・・」

羽の機体が持っていた銃を部隊に向けた。

「ディストラクションライフル、チャージ!!」

エネルギーを集めると銃の形が変形した。

「MAXモード!!ファイア!!」

ドシュウゥゥ!!

その銃からアグニ以上の威力を持つビームが放たれ、敵の部隊が全て撃墜した。

隆士「なんて威力だ・・・」

あかり「あ、あの隆士さん・・・」

隆士「どうした・・・の・・・」

小型の機体が隆士とあかりに銃を向けていた。

「抵抗するならお前達も撃つ。」

あかり「あ、あの〜・・・」

隆士「別に抵抗なんかしない。言う通りにするよ。」

「君達はこの場から速やかに撤退してもらう。」

和哉「分かった。言う通りにしよう。」

詠子「補給は受けてもらえ無さそうね。」

和哉「仕方ない。」

ドラえもん「ちょっと待って!!」

その時ブリッジにドラえもんが来た。

和哉「どうした?」

ドラえもん「あの機体に乗ってる人に通信をして。」

カレハ「え?は、はい。」

カレハは羽の機体に通信を繋げた。

ドラえもん「クロノ君!!」

クロノ「ドラえもん!?そうか、君が乗っている軍艦がこの船だったのか。」

クロノと呼ばれたパイロットは通信に応じた。

ドラえもん「うん。出来れば修理と補給をしたいんだけど・・・大丈夫かい?」

クロノ「・・・提督に聞く。それまでここで待機していてくれ。」

ドラえもん「分かった。」

クロノ「シグナム、念の為ついていてくれ。」

シグナム「分かった。」

そう言ってクロノは小型機のパイロット、シグナムに命令して先にエルピス本島に戻った。

和哉「そうか。ドラえもんは元々エルピスからの協力者だったな。」

ドラえもん「うん。」

静香「大丈夫そうね。戻りましょう。」

あかり「うん。でもあの二機は?」

しかしその二機は既にどこかに飛び去っていた。

隆士「追うのは無理。ハガネから離れるのは危険だしね。」

あかり「うん・・・」

そして三機はハガネに帰艦した。

和哉「さて・・・どう出るか・・・」




十分後




智子「エルピス本島から接近する機影3、戦闘機や。」

本島から三機の戦闘機が接近してきた。

「ハガネに告げます。提督が修理と補給を認めるそうです。」

一機の戦闘機から小さな女の子の声が聞こえた。

和哉「りょ、了解した。」

のび太「何だか僕らと同じくらいの子見たいな声だったね。」

ドラえもん「まぁね。」

そして三機の戦闘機とシグナムの小型機に先導され、ハガネはエルピス本島に到着した。

少女「提督が話しをしたいと言うので代表者は降りてきてください。」

和哉「分かった。」

それから和哉、素子、ジョニーの少佐三人とメインパイロット達。
そしてパイロットの取り巻き、香、梢、朝美、沙夜子、志保、楓、亜沙、麻弓、ドラえもん、すずが降りてきた。

和哉「何でまたこんな人数なんだ?」

ドラえもん「まぁまぁ。」

そんな事を話していると奥から一人の女性と背の低めの少年がやって来た。

女性「地球連合第九艦隊ハガネの皆様ですね。私はリンディ=ハラオウン、エルピスの提督です。」

和哉「え?あなたが?」

リンディ「いつもそう言われます。ですが本当の事です。」

少年「提督、そんな事よりも。」

リンディ「えぇ。修理補給はいいですが、近々Jフリートの一部隊がここに来るんです。」

稟「Jフリートが!?」

隆士「まぁ中立国だからね。」

麻弓「もしかして大阪や私達の町を襲った部隊!?」

リンディ「それは分かりません。ですが彼らも連合では無い部隊に襲撃されて修理補給を求めているのです。」

志保「別にしなくたっていいんじゃない?」

少年「そうは行かない。エルピスは中立である限り、連合だろうとJフリートだろうとしなくてはいかないんだ。」

志保「何よ生意気ね。何なのよアンタは?」

少年「エルピス軍戦闘指揮官、クロノ=ハラオウンだ。」

浩之「戦闘指揮官!?こんな子供が?」

クロノ「子供と言っても僕は十四だ。」

優真「僕より一つ下か。」

朝美「私より一つ上なんだ。」

のび太「あれ?ハラオウンって、リンディ提督と同じ?」

リンディ「クロノは私の息子なんです。」

稟「十四の子供持ちでその若さって、亜麻さんじゃないんだから・・・」

亜沙「まぁ母さんも若いからね。」

亜麻とは亜沙の母親だが、外見からは全く分からないほど若い人である。

リンディ「とにかく補給はします。ですが領域内でJフリートと交戦する事は認めませんので。」

クロノ「一応言っておくが市街地で出くわしても騒動は起こさないように。」

亜沙「しょうがないわね。」

梢「分かりました。」

リンディ「それと、乗組員にG・Bはいませんよね?」

和哉「えぇ。少々ジュピトリアン嫌いはいますがG・Bはいません。」

リンディ「そうですか。」

素子「G・Bがいては何かまずい事でも?」

リンディ「えぇ・・・」

浩之「大方中立だからアーシアンだけじゃなくジュピトリアンもいるんだろうさ。」

クロノ「まぁそうなのだが・・・」

「リンディさ〜ん。」

話していると遠くから四人の少女と一人の女性が来た。
その内少女の一人は車椅子に座って、女性が後ろから押していた。

リンディ「皆さんお疲れ。こちらがハガネの皆さんです。」

優真「その子達は?」

のび太「その声、さっきの戦闘機の?」

少女「はい。高町なのはです。」

少女「フェイト=T=ハラオウンです。」

車椅子の少女「八神はやて言います。この子はヴィータや。」

ヴィータ「・・・よろしく。」

女性「シャマルです。はやてちゃんのお世話をしています。」

浩之「何でまたこんな子供があの戦闘機に?」

リンディ「彼女達はエルピス軍が誇るテストパイロットです。若いけど腕は確かよ。」

ジョニー「若いと言うか幼いだロ・・・」

クロノ「まぁなのは、フェイト、はやては九歳、ヴィータに至っては八歳だからな。」

はやて「テストパイロット言うてもうちは足が不自由やさかい、ヴィータがサポートで一緒に乗ってるんや。」

和哉「ですけどそんな歳でテストパイロットって、ご家族に許可は取ったんですか?」

なのは「いいえ、私達が自分で決めたんです。それにフェイトちゃんのお母さんはリンディさんですし。」

朝美「そうなんだ。」

稟「それにしたって家族に言った方が良くないか?なのはとはやて、それにヴィータは。」

はやて「かまわへんて、うちお父さんもお母さんもいないんや。」

稟「あ。悪い・・・」

はやて「気にしてへんから、ええよ。」

なのは「私はお父さんもお母さんも、お兄ちゃんもお姉ちゃんもいるけど、ここにはいないんだ。」

あかり「ここにはいない?」

リンディ「なのはさんは一人でエルピスに来たのです。ある理由から・・・」

クロノ「それに、フェイトにはやて達も・・・」

楓「ある理由って・・・?」

沙夜子「・・・辛かったのね・・・」

なのは「え?」

すず「分かるんですか?理由が。」

沙夜子「えぇ。この子達・・・いえ、フェイトちゃんだっけ・・・?」

フェイト「はい・・・?」

沙夜子「あなた・・・G・Bを憎んでいるわね・・・?」

リンディ「どうしてそれを?あなたは?」

沙夜子「黒崎沙夜子、戦争で夫を亡くしたただの母親よ・・・」

リンディ「そうですか・・・」

隆士「・・・そうか。そう言う事か。」

梢「白鳥さんも分かったんですか?もしかしてジュピトリアン?」

隆士「いや、ジュピトリアンだったら会った時に何となく分かるさ。この子達はアーシアンだよ。」

楓「アーシアンなら何でG・Bを?」

リンディ「あなた・・・ジュピトリアンなんですか?」

隆士「2NDですけどね。名は白鳥隆士。その子達、なのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃんは・・・魔力を持つ人間ですね?」

リンディ「・・・その通りです。」

麻弓「魔力を持つ人間?何なの?」

稟「さぁ・・・隆士さん何なんだそれは?」

隆士「文字通りさ。神族魔族と関係の無い血筋で魔力を持って生まれた人間の事だよ。」

梢「麻弓ちゃんは魔族と人間、アーシアンのハーフでしたけど、それとは違うんですか?」

隆士「全く違うよ。あまり公にはなってないけど、G・Bはジュピトリアン以外にも魔力を持つ人間を迫害・・・いや、排除対象にしているんだ。」

雅史「排除?」

隆士「・・・もしかしたらだけど、フェイトちゃんには辛い話かもしれないけど、いいかい?」

フェイト「・・・はい。」

隆士「神族と魔族が現れてから、時折魔力を持って生まれる純血の人間が生まれるようになったんだ。一説では突然変異って言うけど真実は分からないんだ。」

すず「それと彼女と何の関係が?」

隆士「うん。魔力を持つ人間が世間に増えてから、G・Bはその人達を危険視し、迫害じゃなく排除、つまり全員抹殺しているんだ。」

朝美「ぜ、全員抹殺・・・!?」

楓「酷い・・・」

隆士「僕もジュピトリアンだから魔力持ちの友達もいたけど、数年前にG・Bに見つかってみんな殺されたって聞いたよ・・・」

素子「私も噂でしか聞いた事が無いが、魔力持ちの人間はジュピトリアンからしたらどうなのだ?」

隆士「ジュピトリアンからしたら魔力持ちの人間は同胞だよ。たとえ元がアーシアンでも、魔力がある事でそれは既に関係無くなってるから。」

リンディ「そうです。エルピスには大勢魔力持ちの人がいます。戦争から逃れる為に、ここに来る人が多いのです。」

あかり「じゃあフェイトちゃんは・・・」

リンディ「・・・フェイトは。」

フェイト「母さん、私が話すよ。」

リンディ「フェイト・・・」

フェイト「私はある日G・Bの襲撃で、家族のみんなを殺されたの。母さんは、私が魔力を持ってても一緒に暮らそうって言ったから・・・」

亜沙「・・・」

フェイト「母さんも・・・お手伝いだったリニスも・・・姉のアリシアもみんな・・・」

なのは「それでフェイトちゃんは天涯孤独になっちゃって、リンディさんが引き取ったんです。」

はやて「そやからミドルネームのTはテスタロッサ、フェイトちゃんの元々の姓なんや。」

素子「・・・私もG・Bは気に食わない。しかし連合の上層部はG・Bに深く係わっているからな・・・」

ジョニー「少なからず、俺らもG・Bに係わっているんだよな・・・」

なのは「ですけどあなた達はG・Bではありませんから。」

のび太「そうだけど・・・」

クロノ「まぁ立ち話していたってしょうがない。早速補給を始めよう。」

リンディ「えぇそうね。」

和哉「しばらくは自由行動だ。補給が終わり次第ここを経つ。」

優真「了解。」

リンディ「今はゆっくり休んでてくださいね。」

和哉「ありがとうございます。」


ハガネブリッジ


素子「各機の修理の具合はどうなんだ?」

ジョニー「それに関しちゃ雛山が知らせに来るってよ。」

「呼びました?」

丁度その時ブリッジに浩之についてきた触角のようなアホ毛が特徴な雛山理緒が来た。

ジョニー「おう。全員の機体はどうなんだ?」

理緒「えっと。サイバスターはクロちゃんとシロちゃんが言ってたようにもう直り始めてます。」

和哉「他の機体は?」

理緒「アルブレード、ウイング、佐藤君のヒュッケバインはまだかかりそうです。灰原少佐と草薙少佐のメビウスとバルキリーは後少しで終わるそうです。」

ジョニー「そうか。となると今動けるのはストライク、ヴォルレント、神岸のヒュッケバインか。」

理緒「はい。ですけどサイバスターはそろそろ完全に直るそうです。」

素子「どっちにしろ、今は襲撃されたくないわね。」

和哉「エルピスの領域内で仕掛けるってそんなに無いでしょう。あの小型機の部隊だったら分からないですがね。」

素子「それに宇宙怪獣もね。」

和哉「ま、警戒はしておいて休んでましょうよ。」

理緒「そうですね。」







優真「話には聞いてたけど、ここの軍事力って凄いなぁ。」

梢「そうですね。」

優真、梢、珠実、浩之はエルピスの兵器がある工場の前にいた。

浩之「確かにこれなら孤立してても十分戦えるだろうな。」

珠実「ですね〜」

「お〜い。」

優真「ん?」

遠くから稟と楓がやってくるのが見えた。

浩之「おう。どうしたんだ?」

稟「いや、隆士さんを探してたんだけど。知らないか?」

梢「白鳥さんですか?そう言えば・・・」

珠実「その前にどうして白鳥さんに?」

稟「・・・楓が謝りたいってよ。」

楓「・・・」

浩之「は?」

珠実「何かあったんですか?」

稟「まぁ。ちょっとな。」

優真「だけど正直どこに居るんでしょう?」

梢「魚子ちゃんなら分かると思うんですが・・・」

稟「ななこ?」

楓「あ、もしかして梢ちゃんの。」

梢「はい。あの子なら白鳥さんの居場所を分かると思うんですが。」

浩之「自分の意思じゃ変われないのか?」

梢「はい・・・」

珠実「困りましたですぅ・・・」

その場一同「う〜ん・・・」

一同はその場で頭を抱えた。
その時。

優真「・・・ん?」

優真が何かを感じ取った。

優真「風が来ます。」

稟「え?」

梢「優真君どう言う・・・」

その時。

ビュワッ!!

楓「きゃあっ!!」

珠実「きゃっ!!」

梢「・・・」

一陣の強い風が吹き、少女三人のスカートが見事に捲くれ上がった。

優真「わわわっ!!」

稟「あ・・・」

浩之「・・・見事な純白。」

珠実「こ、こらぁ!!」

浩之「俺らに怒るなよ。風に怒れ風に・・・ってあれ?優真、お前風読めたのか?」

優真「あ、そう言えば。風守町の風だけかと思ってたけど、別にそうじゃないのかな?」

浩之「かもな。って梢、どうした?」

梢「・・・」

梢はスカートが捲り上がった瞬間から時が止まったかのように動かなかった。

楓「梢ちゃん?どうし・・・」

バタッ

楓「梢ちゃん!?」

突然梢がその場に倒れた。

珠実「多分ショックだったか恥ずかしかったんでしょう。もしかするとこれは・・・」

稟「これは?」

珠実「誰かに変わってるですね。」

優真「え?」

梢「ん・・・」

話していると梢が目を覚ました。

優真「あ、梢さ・・・ん?」

梢「?」

目覚めた梢は頭に理緒に似た触覚のようなアホ毛が出て、瞳が金色だった。

珠実「何とまぁタイミングいいですねぇ。魚子ちゃ〜ん。」

魚子「あ!!茶ノちゃん!!」

彼女は偶然にも魚子に変わっていた。

浩之「偶然って凄いもんだな・・・」

魚子「誰なのこの人達?」

珠実「あぁ〜お友達です〜」

魚子「ふ〜ん。」

珠実「あ、魚子ちゃん。いいですか?」

魚子「何?」

珠実「白鳥さんどこにいるか分かるですか?」

魚子「お兄ちゃん?んとね〜・・・」

魚子は辺りを見渡した。

魚子「こっちだよ〜〜〜〜〜〜!!」

そう言って魚子はある方向へ走って行った。

稟「速っ!!」

珠実「追いかけるです〜!!」

浩之「おいおい・・・」

そして優真達は魚子を追いかけた。
その時隆士は。







隆士「そっか。はやてちゃんは親戚のおじさんの所から来たんだね。」

はやて「そうや。」

ハガネから離れたドックでなのは、フェイト、はやて、ヴィータ、シャマル達といた。

はやて「小さい頃にお父さんもお母さんも死んでもうてな、イギリスにいたグレアムおじさんが引き取ってくれて、一緒に暮らしてたんや。」

なのは「そこでヴィータちゃん達に会ったんだよね?」

シャマル「はい。四年も前ですか・・・」


ちょっと回想


シャマル当時「ふぅ・・・」

シグナム当時「ぐっ・・・お、お前!?」

シャマル「あ、動いちゃ駄目。傷に響きますよ。」

その時二人はヨーロッパのある廃墟と化した町にいた。

シグナム「・・・何故助ける?私達は敵同士だぞ?」

シャマル「怪我人に敵も味方も無い、私はそう言われました。」

シグナム「・・・」



隆士「シグナムさんと敵同士だったんですか?」

シャマル「えぇ。彼女はアーシアンで地球軍、私はジュピトリアンでJフリートだったんです。それで・・・」



シャマル「もうこの辺りの両部隊は私達を除いて全滅でしょうね。」

シグナム「そのようだな・・・ん?」

シャマル「あら?」

その時廃墟にたたずむまだ四歳のヴィータと一頭の犬がいた。

シャマル「どうしたの?お父さんとお母さんは?」

ヴィータ「・・・」

シャマル「えっと・・・名前は?」

ヴィータ「ヴィータ・・・」

シャマル「ヴィータちゃんね。私はシャマル、一緒に行こう?」

ヴィータ「・・・」



隆士「戦災孤児だったんだね。」

ヴィータ「悪い・・・?」

隆士「いや。それでどうしてはやてちゃん達と?」

シャマル「あの後三人でどこか落ち着ける場所を求めてたらヴィータちゃんが病気になりまして、どうしたらいいか分からない所をグレアムさんが招いてくれたんです。」

はやて「それからやな。私とおじさん、シャマル達と暮らして。それで一年ほど前?その頃に気になって魔力検査したら陽性でてもうて。」

シャマル「はやてちゃんは一人で来るって言ったんですが、ヴィータちゃんがどうしても一緒に行くって聞かなくて。」

ヴィータ「私ははやてといたいんだ・・・」

はやて「そやから私はシグナム、シャマルにヴィータ、ザフィーラとここに来たんや。」

隆士「ザフィーラ?」

なのは「ヴィータちゃんが飼ってた犬です。フェイトちゃんのアルフと仲がいいの。」

アルフとはフェイトの飼っている犬である。

なのは「私はね。家族みんなと暮らしていたの。友達もいて変わらない日常を送ってたんだ。ある日学校で魔力の事について習って気になって自分で調べたの。」

隆士「それで陽性反応が?」

なのは「うん。みんな反対したんだけど、家にいたらみんなに迷惑がかかるから私一人で来たの。あ、ユーノ君も一緒に。」

なのはが名を呼ぶとなのはの肩にいたフェレットが反応した。

隆士「ユーノって言うんだ。」

なのは「一番お姉ちゃんが可愛がってたんだけど、出掛ける時に。」

隆士「優しいお姉ちゃんなんだね。」

なのは「うん。でも・・・白鳥さんとお姉ちゃんの声似てる気が・・・」

隆士「え?」

なのは「あ、何でも無いよ。で、今でも私は家族や友達に手紙を送ってるの。大丈夫だよって。」

隆士「そっか。みんな大変だったんだね・・・」

ヴィータ「アンタはどうしてあの船にいるのさ。ジュピトリアンなんだろ?」

隆士「・・・僕は・・・」

「もう仲良くなったんだね。りゅっち。」

隆士「ん?」

話そうとした時、近くに亜沙が来ていた。

隆士「あーちゃん。いたんだ。」

亜沙「うん。やっと普通に話せるね。」

隆士「そうだね。」

なのは「二人はどう言う関係なんです?」

亜沙「ボクとりゅっちは家は離れてたけど小さい頃よく遊んでたんだ。だから幼馴染かな?」

隆士「そうだね。僕があーちゃんの所に行って一緒に遊んで。そう言えば体大丈夫なの?」

亜沙「ん〜・・・一応ね。」

フェイト「時雨さん体悪いんですか?」

亜沙「小さい頃はね。今は平気よ。」

隆士「ならよかったよ。」

フェイト「あ、Jフリートの軍艦が来たわ。」

隆士「え?」

話しをしているとそのドックにJフリートのボスゴロフ級戦艦が入港してきた。

亜沙「そう言えば言っていたもんね。あ、誰か出てきたよ。」

入港してすぐに艦内から一人の青年が降りてきた。

「ったく、一体なんだったんだあの部隊は・・・」

隆士「!!、彼は!!」

亜沙「どうしたのりゅっち?」

亜沙が問いかけたが隆士はその青年の方に走って行った。

亜沙「ちょっとりゅっち!!」

なのは「え!?ちょっと待ってください〜〜!!」

そして亜沙、なのは達は隆士の後を追った。

隆士「翼君!!」

翼「!?」

そう、その青年は山吹翼だった。
隆士に呼ばれた翼は驚いて振り向いた。

翼「白鳥!?どうしてお前がここに!?」

隆士「僕らはここに修理と補給で・・・」

翼「・・・降りろって、言ったよな・・・」

隆士「うん・・・だけど出来ない。もう降りるなんて出来ないよ。」

翼「・・・バカヤロウ・・・」

隆士「うん・・・」

亜沙「一体どうしたのよ?」

その時亜沙、なのは達が追いついてきた。

隆士「あ。ごめんね。」

翼「誰なんだ?」

隆士「僕の幼馴染の時雨亜沙、あーちゃんとエルピスの方々だよ。」

翼「そか。」

隆士「紹介するよ。彼は・・・」

「・・・ゃ〜〜〜〜〜ん・・・」

隆士「ん?」

その時妙な地響きと誰かを呼ぶ少女の声が聞こえてきた。

隆士「あ、もしかして。みんなどいて。」

一同「はい?」

どうしてか分からないが亜沙達は隆士から離れた。
すると。

魚子「お兄ちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」

隆士「っとぉ!!」

魚子が走ってきて隆士に突撃した。
しかし隆士は見事に受け止めた。

隆士「やっぱり魚子ちゃんか。どうしたの?」

魚子「んとね〜茶ノちゃんの友達がお兄ちゃんを探してたの。」

隆士「誰?」

稟「は、はぁはぁ・・・速いっての・・・」

そして後ろから優真達が追いついてきた。

亜沙「ど、どうしたの?」

浩之「いや、楓が隆士さんに何か用事があるとかで探してて・・・」

優真「ちょっと流石に疲れたよ・・・」

隆士「楓ちゃんが?」

楓「はい・・・あ、あの・・・この前は・・・」

隆士「・・・もういいよ。」

楓「ですが。」

亜沙「りゅっち、楓と何かあったの?」

隆士「何でも無いですよ。ね?」

楓「あ、あの・・・」

浩之「ちょい待ち、時雨先輩って隆士さんと知り合いだったんすか?」

亜沙「そうよ。」

稟「そうだったんだ。」

珠実「所で、そこにいるJフリートは誰ですぅ?」

なのは「そう言えば、隆士さんが言おうとした時にきましたから・・・」

隆士「そうだね。彼は山吹翼君。僕の、友達だよ・・・」

フェイト「え・・・?」

優真「そ、それじゃあ・・・」

隆士「うん・・・それに、彼はイージスのパイロットだよ・・・」

浩之「待てよ、じゃあ大阪基地で・・・」

翼「あぁ・・・戦ったよ・・・」

楓「お友達が敵だなんて・・・」

隆士「仕方ないさ・・・戦争なんだから・・・」

翼「白鳥、そいつらがお前の仲間か・・・?」

隆士「そうだよ・・・」

翼「そうか・・・」

隆士「翼君。僕はハガネから降りる事は出来ない。守りたい人達がいるから。」

翼「俺だって、軍を抜ける訳に行かない。だから、次会う時は・・・敵だからな・・・」

隆士「うん・・・」

そう言って翼はその場から去った。

魚子「お兄ちゃんどうしたの?」

隆士「何でも無いよ・・・何でも・・・」

優真「隆士さん・・・」

友人と戦わなくてはいけない事を知った優真達は、隆士に声をかける事が出来なかった。





謎の敵襲来によりエルピスに入ったハガネ。そこにどんな出会いがあるのだろうか・・・



続く






あ と が き
ここに来て新たな敵が現れました
書いて思ったがここまでじゃエルピス関係者が全員なのは系な・・・
まぁスパロボを沢山してる人なら敵のユニットは分かるでしょう
次回は某女王様?が・・・
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