第四話

神にも悪魔にも凡人にもなれる男





様々な仲間達と友に旅立った優真。彼らの前に立ちはだかるのは果たして・・・


ハガネブリッジ


浩之「そう言えば何処へ向かってるんだ?」

優真「そう言えば・・・」

素子「光陽町よ。」

浩之「光陽町?何であそこに?」

素子「そこで受け取る物があるのよ。詳しい事は後で話すわ。」

浩之「はいはい。じゃ、俺はブレードの調整行ってきますね、少佐さん。」

優真「僕もサイバスターを見に行きます。」

そう言って優真と浩之はブリッジから格納庫に向かった。

素子「あの子達、反発する雰囲気がありそうね。」

和哉「優真は大丈夫だと思いますよ?あいつ戦争嫌いでも人に反発するような奴じゃないですから。」

詠子「そうよね。で、どうして私がブリッジに?」

和哉「あぁそうそう。詠子には俺の補佐を頼みたいんだ。」

詠子「えぇ!?」

和哉「ほとんどの上位クルーはあの襲撃でやられちまったし、草薙少佐も灰原大尉も前線に出るしイシカワさんもオペレーターがメインだから・・・」

詠子「だからって何で私?」

和哉「詠子は結構まとめ役を買って出るだろ?だからよ。」

詠子「あのね・・・ここは家とは違うのよ?」

和哉「まぁまぁ。俺だって今日艦長代行になったばかりだしよ。お互い様って事よ。直人は一応パイロットだし。」

詠子「まったく・・・」

イシカワ「とりあえずは俺もフォローは入れる。安心しろ。」

詠子「はぁ・・・」


ハガネ格納庫


隆士「えっと・・・」

梢「白鳥さんお茶です。」

隆士「あぁありがとう梢ちゃん。」

隆士と梢は格納庫でストライクの調整をしていた。

梢「どうなんですかこの機体は?」

隆士「うん。ストライクには戦況に合わせた武装を装備出来るから僕に合った戦い方をすれば何とかなると思うよ。」

梢「そうなんですか?」

隆士「うん。背部と両肩、それに両腕に装備がつけれるハードポイントがあるんだ。昨日の戦いでは背部と右肩についていたよね?」

梢「はい。背中の大きな銃と肩のバルカンとミサイルがついた・・・」

隆士「アレはランチャーパックって言って遠距離砲撃用の装備だったんだ。他にも中距離高機動戦闘用のエールと近接格闘戦闘用のソードがあるんだ。」

梢「凄い機体なんですね・・・」

隆士「うん・・・ただ今は僕がOS書き換えたから実質僕専用なんだけどね・・・」

梢「・・・どうして言わなかったんですか?」

隆士「え?」

梢「ジュピトリアンの血が流れてる事を・・・」

隆士「・・・怖かったんだ・・・ジュピトリアンを迫害するG・B、『ガイア・ブルー』がいたと思ったら・・・」

梢「大丈夫ですよ。皆さんG・Bじゃありませんから。」

G・B、ガイア・ブルーとはジュピトリアンを迫害し、排斥しようとしている集団である。

隆士「うん・・・」

梢「だから、白鳥さんは白鳥さんです・・・」

隆士「ありがとう梢ちゃん・・・」

梢「白鳥さん・・・」

「あ、あのぉ〜」

二人のいる下の方、ストライクの足元から声が聞こえてきた。

梢「珠実ちゃん?」

「あ、マルチですぅ〜」

いたのは掃除用具を持ったマルチだった。

隆士「どうしたの?」

マルチ「あのぉ〜・・・このMSさんのお掃除をしたいのですがぁ・・・」

隆士「あ、うん。お願いしようかな?」

マルチ「お任せくださいです!!」

そう言うとマルチは足元からストライクの掃除に取り掛かった。

梢「声が珠実ちゃんそっくりだからちょっとね。」

隆士「はは・・・同感・・・」



あかり「マルチちゃん、ここでも頑張ってるね。」

雅史「うん。琴音ちゃんも葵ちゃんも主に荷物運びを担当してるって。」

あかり「志保はオペレーターになるって。それに保科さんも。」

雅史「レミィも理緒ちゃんも頑張ってるみたいだしね。」

浩之「お、何話してるんだ?」

あかりと雅史の所に浩之がやって来た。

あかり「あ。浩之ちゃん。マルチちゃん、頑張ってるな〜って。」

浩之「そうだな。そう言えばお前らは機体どうなったんだ?」

雅史「うん。風守町で補給された量産型のヒュッケバインMk−Uが二機あるんだ。」

前にも浩之が言ったヒュッケバインとはかつて製作中に大きな事故を起こした事があるPTであり。
その事故で基地一つ消滅させた事から『バニシング・トルーパー』と呼ばれている。
今は凍結され、その後作られたMk−Uを量産したのが今話に出てる機体である。

雅史「それで今装備を僕の機体とあかりちゃんの機体とを別々につけてるんだ。」

浩之「そうなのか。」

あかり「うん。私って遠距離が得意だからそれに合った装備をつけてもらってるの。」

雅史「僕は別に近距離も遠距離も気にしないから別にどんな装備でもいいって言ってあるから。」

浩之「そうか。楽しみだな。」



優真「なるほどね。これが・・・」

クロ「そうニャ。で、こうしたら・・・」

優真はクロとシロからサイバスターの操縦のレクチャーを受けていた。

のび太「あのサイバスターってさ・・・何だか普通の兵器ってわけじゃ無いみたいだね。」

桜「今更なに?」

のび太「うん。何だかサイバスターには・・・兵器にはあるはずの無いような何か力があるような感じがするんだ。」

静香「ええ。何か魔力のような・・・」

すず「ですが神界魔界とは関連が無いはずでは?」

のび太「う〜ん・・・」

ドラえもん「お〜いみんな〜」

四人の所にドラえもんがやってきた。

のび太「あ、ドラえもん。」

ドラえもん「どうだった?」

のび太「うん。多分『騎士』には何か反応があったんだけど・・・ほんのちょっとだからどうか分かんなくて。」

ドラえもん「『天』、『ムー』、『EVA』はまだこれと言った反応が無いから・・・『騎士』だけでも何か分かれば・・・」

のび太「でもどうしてあんな物が遺跡から・・・」

ドラえもん「さぁ・・・」

素子「お前達、一度集まれ。」

桜「ほえ?」

素子が格納庫にいるメンバーに召集をかけた。

すず「何でしょう?」

静香「行ってみましょう。」

呼び出され、優真とクロシロ、隆士と梢、浩之あかり雅史、そしてのび太達が素子の近くに集まった。
マルチは一心不乱に掃除をしていた。

優真「何です?」

素子「もうすぐ光陽町につくからそこである物の受け渡しがある。それの手伝いを各機の機体でやってもらう。」

浩之「MSやPTって事は大きいのか?」

素子「戦闘機タイプだけど大きいわ。コードネーム『AF』。現在五機を確認してる兵器だそうだ。」

梢「どう言う物なんです?」

素子「月で見つかったという兵器らしいが、動かすにはそれに適した操縦者とその意志が必要になるそうだ。」

優真「サイバスターに似てるのかな?」

のび太「でもどうして月にあった物が地球に、それも光陽町にどうして?」

素子「それの研究を主に行ってるのがユーストマとフォーベシィだからだ。」

優真「ユーストマとフォーベシィって・・・あの?」

素子「あぁ。」

雅史「まさか神王と魔王のおじさんに会うなんて・・・」

隆士「うん・・・」

素子「知っているのか?」

浩之「ダチがダチだからな・・・」

隆士「僕もね・・・」

あかり「でもそうだったらまた稟君達に会えるんだね。」

浩之「時間があればだけどな。」

優真「それってまさか・・・『神にも悪魔にも凡人にもなれる男』の・・・?」









「へっくし!!」

「どうしたの稟くん?風邪?」

稟「いや・・・噂されてるんだと思う・・・」

「大丈夫ですか稟さま?」

稟「あぁ・・・」

光陽町に噂の男、土見稟とそのとりまきがいた。
事細かに紹介すれば幼馴染の芙蓉楓、神界の王女シアことリシアンサス、魔界の王女リンことネリネ。
更に子供みたいな風貌のプリムラ、危険度SSクラスの先輩時雨亜沙とカレハ。
そしてクラスメート及び悪友の緑葉樹と麻弓=タイムがそこにいた。

麻弓「土見君は今はもうある意味有名人だからね。」

稟「何でこんな事になったんだか・・・」

樹「初めはバーベナ学園内。次に町中。今となっては日本全国にまで知れ渡ってる有名人だからな。」

楓「稟くん・・・」

亜沙「大丈夫よ楓。稟ちゃんはそんなにやわじゃないから。」

カレハ「そうですわ。」

稟「・・・先輩達に言われても説得力が無いように思えるのは俺だけか・・・?」

楓「ま、まぁ・・・」

カレハ「所で稟さん。お相手の方は既にお決めになられたのですか?」

樹「(ギロッ)」

カレハがその事を聞くと樹が稟を笑顔で睨みつけた。

リシアンサス「そうそう。どうなの稟くん?」

ネリネ「お決めになられましたか?」

稟「あ、あのなぁ・・・」

麻弓「楓も気になるでしょ?」

楓「わ、私は・・・」

亜沙「ねぇねぇどうなの稟ちゃん?」

稟「ちょ、ちょっとま・・・」

樹「稟、後で親衛隊呼んでいいか?」

稟「樹!!俺を殺す気か!!」

プリムラ「稟・・・大変だね・・・」

稟「ったく・・・そう言えば風守町の事だけどよ。」

麻弓「あ、話しそらした。ま、いいけど風守町は結構やられちゃったって。」

稟「浩之達は大丈夫だろうか。」

樹「まぁあいつも悪運は強いだろうから大丈夫だと思うぜ。」

楓「ここは襲われたりしないですよね・・・」

亜沙「どうして?だって特にこれと言った軍の施設なんか・・・」

リシアンサス「あ、ちょっとマズイかも〜・・・」

ネリネ「そうですわね・・・」

稟「シア、ネリネ、どう言う事だ?」

リシアンサス「お父さん方ね。少し前からある兵器の調査をしているんだ。」

ネリネ「ええ。ですからここが大丈夫だとは・・・」

稟「おいおい・・・そんな事言うなよ・・・」

ドォォォォン!!

稟「なっ!?」

楓「きゃっ!!」

突然町の外れから爆発が起こった。

稟「お、おいおい・・・まさか!!」

空を見るとJフリートのMS部隊が町を攻撃していた。

稟「冗談じゃねぇぞ!!みんな逃げるぞ!!」

リシアンサス「で、でもどこに!?」

稟「とにかく逃げるんだよ!!」

稟達は爆撃から逃れる為走り出した。

J兵士「ジェリド中尉。なぜこの町に爆撃を。ここはアーシアンとは関係が無いはずでは?」

ジェリド「上の情報ではこの町には連合の協力者がいる。ならばいずれ俺達の敵になるだろう。」

J兵士「危ない芽は紡いでおくと言う事ですか。」

ジェリド「あぁ。だから思う存分やれ!!」

Jフリート兵士ジェリドのガブスレイを筆頭にグゥル搭乗のジン四機、ディン六機が町に爆撃を開始した。

稟「くそぅ・・・何でこんな事に!!」

プリムラ「稟・・・!!」

楓「稟君・・・」

稟「大丈夫だ・・・とりあえず今は逃げるだけ逃げて・・・」

亜沙「で、何で稟ちゃん達の家の前?」

稟「あれ・・・?」

一向は無意識のままに芙蓉、土見家、シア宅、ネリネ宅の前に来ていた。

稟「あぁ〜・・・どうしてだ?」

樹「稟・・・」

稟「ま、まぁここまで来たんだ。神王のおじさんにしろ魔王のおじさんにしろ、何か力になってはくれるだろう・・・」

リシアンサス「まぁ一応神王だし・・・」

ネリネ「魔王ですし・・・」

カレハ「とりあえずどこかに身を隠した方が・・・」

稟「そ、そうだな。とりあえず・・・」

「シアぁーー!!稟殿ぉーー!!」

「ネリネちゃーーん!!稟ちゃーーん!!」

稟「あ・・・」

ちょうどその時ネリネ宅、つまり魔王の家から噂の神王ユーストマと魔王フォーベシィが出てきた。

稟「ちょ、ちょうどよかったです。今みんなと避難を・・・」

神王「おう!!だから早くこっちに来い!!」

リシアンサス「ど、どうしてリンちゃんの家に?」

魔王「こんな事もあろうかと我が家の地下にシェルターを作ってあるのだよ。さぁ。」

ネリネ「い、いつの間に・・・」

麻弓「こ、細かい話は後で!!今は身の安全を。」

稟「ナイス麻弓!!とりあえず身を守るのが先決だ!!」

と、言う事で一向は魔王宅地下のシェルターに避難した。

楓「町が・・・」

地下のシェルターにあったモニターで町がどうなっていくのかがよく見えていた。

リシアンサス「ねぇ・・・どうしてこんな事になっちゃったの・・・?」

ネリネ「お父様・・・」

魔王「恐らく・・・いや、間違いなく私達のせいだろうね・・・」

神王「『AF』を嗅ぎ付けやがったか・・・」

稟「『AF』?」

魔王「コードネーム『AF』。月で見つかった兵器でね・・・」

神王「魔力に似たなんかの力で動くらしくて俺らに調べて欲しいってよ。」

稟「・・・」

神王「稟殿・・・すまねぇ・・・」

魔王「ごめんね・・・稟ちゃん・・・」

稟「お二人は・・・悪くは無いですよ・・・」

楓「稟くん・・・」

稟「悪いのは・・・爆撃を仕掛けてきたあいつらだ・・・!!」

樹「稟・・・」

神王「・・・なぁまー坊。稟殿なら『アレ』を任せれるんじゃないか?」

魔王「神ちゃん・・・」

稟「な、何です?」

神王「稟殿。真面目な話だが・・・『恐怖』を覚えた事はあるか?」

稟「恐怖・・・?そりゃ子供の頃は・・・」

魔王「じゃあ今は?今は恐怖を感じているかい・・・?」

稟「今は・・・」

楓「あ、あの・・・何を・・・?」

稟「・・・少しだけ・・・だけどそれ以上に怒りを感じてます・・・」

神王「怒りか・・・それは町を襲ってる奴らにか?」

稟「それもですけど・・・同時に何も出来ない自分に・・・」

神王「そうか・・・」

稟「力があるんなら・・・俺は・・・」

魔王「・・・決まりだね。」

神王「だな・・・」

稟「はい?」

リシアンサス「お、お父さん?」

ネリネ「お父様・・・何を・・・?」

神王「稟殿。ちょっと一緒に来てくれ。」

稟「ど、どこに?」

魔王「君に託したい物があるんだ。」

樹「稟、大丈夫か?」

稟「あぁ。ちょっと行ってくるな。」

楓「稟君・・・」

稟「大丈夫だ。亜沙先輩、カレハ先輩。年長者として、頼みますね。」

カレハ「稟さん・・・」

亜沙「無茶は駄目よ・・・稟ちゃん。」

稟「分かってる。」

麻弓「これが最後の別れなんかにならないよね?」

稟「そんな事は無いさ。絶対に・・・」

プリムラ「稟・・・絶対に・・・戻ってきて・・・」

稟「勿論だ。」

ニ世界の王に案内され、稟はシェルターの奥に来た。

稟「あの、一体何を・・・」

魔王「実は私達は『AF』と共に、ある物を保管しているんだよ。」

稟「ある物?」

神王「そいつは『黒の時代』の遺産、Nジャマー設置以降眠りについた天使・・・」

稟「『黒の時代』の・・・それじゃあMS?」

魔王「そう・・・私達はそのMSを『ゼロ』と呼んでいる。」

稟「『ゼロ』・・・だけどNジャマーの影響で使えないなら・・・」

神王「そうだがその『ゼロ』を基準に作られたMSがいたとしたらどうする?」

稟「・・・」

魔王「稟ちゃん。もう気づいているんじゃないのかい?」

稟「俺に・・・MSに乗れって事ですか?」

神王「率直に言うとその通りだな。」

魔王「稟ちゃんのその意志があれば・・・大切な人達を守れるんじゃないかって。」

稟「・・・」

神王「俺らは別に強制させるつもりはねぇ。どうするかは稟殿次第だ。」

稟「俺は・・・」









ジェリド「『AF』はどこだ!!素直に出せ!!」

ジェリドはガブスレイのフェダーインライフルで町を攻撃し続けていた。

ジェリド「ふん・・・こうなったら町を完全に破壊して、それからだ。」

リシアンサス「酷すぎるよこんなの・・・」

ネリネ「ええ・・・」

楓「町が・・・」

楓達はシェルターのモニターから町を見ていたが、そこに写る光景は無残としか言いようが無かった。

麻弓「何を・・・何をしたってのよ・・・」

樹「近くに基地も少ないから・・・このままじゃ完全に・・・」

楓「・・・ジュピトリアン・・・ジュピトリアンなんか・・・みんな・・・」

ジェリド「これと言った反応もしめさん・・・レーダーに見つからないような細工をしたようだな。」

J兵士「ん?ジェリド中尉。」

ジェリド「どうした。」

J兵士「三時の方向の地下に熱源反応。何かが来ます!!」

ジェリド「熱源反応だと?『AF』か?」

J兵士「違います!!この反応は・・・MSです!!」

ジェリド「何だと!?」

ゴォォゥ!!

ジェリド「なっ!?」

町の外れの何も無いはずだった空き地から何かが飛び出した。
右手には巨大なライフル、左手には盾を持ち。
その背中には羽があった。

ジェリド「何だあのMSは!?」

そのMSがジェリドのガブスレイに向けてライフルを向けた。

ジェリド「やる気か!!ならばっ!!」

ジェリドはガブスレイのビームサーベルを出し、羽のあるMSに突撃した。

ジェリド「やらせてもらう!!」

「これ以上好きにさせやしない!!」

ウィィ・・・ゴォォォ!!

ジェリド「なっ!?」

MSのライフルからとてつもない威力のビームが放たれた。

ジェリド「くっ!!」

ジェリドはそのビームをかわしたが、後方のジンとディンが一機ずつ残し撃墜された。

ジェリド「何だ今のビームは・・・」

リシアンサス「な、何今の・・・それにあれ・・・」

地下から楓達もそのMSの一撃を見てあ然としていた。

亜沙「物凄い威力を持ってるのは分かるけど・・・あれはちょっとやば過ぎじゃ・・・」

ネリネ「もしかして・・・」

麻弓「どうしたの?」

ネリネ「あれに乗っているのは・・・」

魔王「その通り、稟ちゃんだよ。」

楓達の所に神王と魔王が戻ってきた。

楓「神王様と魔王様!!どうして稟くんが!?」

神王「俺達はちょっと教えただけで、アレに乗ると決めたのは稟殿の意思だ。」

楓「どうして・・・!!」

魔王「『守りたい奴らがいるから戦うんだ。』そう言って彼はウイングに乗ったんだ。」

リシアンサス「ウイング・・・」

神王「稟殿聞こえるか!?」

稟「あぁ。聞こえる!!」

通信で稟の声が届いた。

神王「見ての通りバスターライフルは通常でその威力だ。気をつけて撃たねぇと周りがエライ事になんぞ。」

魔王「それと両腕のカートリッジを合わせても九発しか撃てないから気をつけてね。」

稟「後八発か・・・残りは撃たないで済ませたいが・・・」

楓「稟くん!!」

稟「楓、俺は大丈夫だから心配するな。」

楓「ですが!!」

稟「話は後でする!!俺の帰りを待ってな!!」

そう言って稟はバスターライフルを下に置いてシールドからビームサーベルを取り出した。

稟「今はこいつらを倒してからだ!!」

ジェリド「くそっ!!撃て撃て!!」

ジェリド達はウイングに一斉に攻撃を仕掛けた。

稟「くっ!!」

稟はシールドを前に出して攻撃を防いだ。

稟「やられるわけには・・・いかねぇんだよ!!」

ジェリド「何っ!?」

稟は一気に突撃し、ジェリドを突破してジンをビームサーベルで斬った。

ジェリド「後ろががら空きだ!!落ちろ!!」

ジェリドは後ろからライフルを放った。

稟「くそっ!!」

稟は振り向いてシールドで防御しようとしたが残されたディンが仕掛けてきた。

稟「邪魔するな!!」

ドガッ!!

稟はシールドでディンの頭部を突き刺して振り払い、同時にサーベルで切り落としたが隙が生じてしまった。

ジェリド「死ねっ!!」

稟「し、しまっ!!」

ドォォォン!!

稟「うわぁっ!!」

稟はライフルを喰らったが特に大きなダメージは無かった。

稟「・・・大丈夫なのか?」

ジェリド「な、何だあの装甲は?PS装甲では無いのか!?」

稟「耐久力はあるんだな・・・だったら次はこっちの番だ!!」

稟はウイングのバーニアを吹かしてジェリドのガブスレイに突撃した。

ジェリド「やさせるか!!」

バヂィィッ!!

ウイングとガブスレイのサーベルがぶつかり火花を散らした。

稟「くぅ!!」

ジェリド「うぉーー!!」

樹「本当にアレに稟が・・・?」

亜沙「稟ちゃん・・・」

神王「ん?お、おいこりゃやべぇぞ。」

魔王「どうしたの神ちゃん?」

神王「奴らの増援が来た。気をつけろ稟殿!!」

稟「マジかよ!!くっそ・・・」

戦闘空域にガルダタイプの輸送機とギャプラン一機、アッシマー八機が現れた。

ジェリド「カクリコンか・・・すまない。」

カクリコン「どうした。ジェリドらしくないぞ。」

ジェリド「あのMSには気をつけろ。耐久力が尋常じゃない。」

カクリコン「分かった。行くぞ!!」

ギャプランのパイロットカクリコンを先頭にMS部隊が稟に仕掛けてきた。

稟「まずっ!!いくらこの機体でもあの数は・・・」

神王「いや、大丈夫そうだ。」

稟「え・・・?」

魔王「味方が来たよ稟ちゃん!!」

稟「味方!?」

稟が辺りを見渡すとハガネが近づいているのに気づいた。

稟「アレは・・・ハガネ!?」





素子「まさかここにもJフリートがいるなんてね・・・全員準備はいいか!?」

優真「はい!!」

隆士「いつでも!!」

浩之「あかりと雅史はまだ無理だろうだから、出れるのは俺らだけだ。」

ジョニー「まぁあの程度なら大丈夫だロ。」

素子「その通り。行くわよ!!」

優真「了解!!天城優真、サイバスター。出ます!!」

先頭を優真が飛び出した。

隆士「パックはエールでお願いします。」

続いて隆士のストライクの背部にエールパックが装備され、ビームライフルとシールドを装備した。

隆士「相手がジュピトリアンだからって・・・白鳥隆士、ストライク。行きます!!」

発進と同時にストライクのボディがグレーから本来の色になった。

浩之「稟達・・・無事だといいが・・・藤田浩之、アルブレード。行くぞ!!」

稟達の事を心配しながら浩之も発進した。

素子「町に被害を出さないように頼むわね。草薙素子、VF−1S。出る!!」

ジョニー「当たり前よ!!流星ジョニーと灰原由紀夫、メビウス・ゼロ。行くぜ!!」

そして素子とジョニーも出撃した。

稟「助かったのか・・・?」

ジェリド「余所見してる暇があるか!!」

稟「あっ!?」

ガブスレイのライフルがウイングのコクピットに突きつけられていた。

ジェリド「いくらなんでも、これなら・・・!!」

稟「まずい!!」

ジェリド「死ね!!」

ガブスレイのライフルが発射されようとしていた。
しかしその時だった。

浩之「うおぉーーーー!!」

ジェリド「何っ!?」

浩之がレールガンを撃ちながら突撃してきた。

ジェリド「くそっ!!」

浩之の突撃に怯み、ジェリドは一度離れた。

稟「た、助かった・・・」

浩之「大丈夫か?」

稟「あ、あぁ・・・ってその声は浩之か!?」

浩之「り、稟!?どうしてそんなのに乗ってるんだ!?」

稟「そ、それはお前もだろ!!」

浩之「ま、まぁ色々あってな。とりあえず話は後で!!」

稟「わ、分かった!!」

一通り話し終えて二人は戦闘に参加した。

優真「シロ、クロ!!お願い!!」

シロ&クロ「オッケイニャ!!」

コクピット内のシロとクロが光に変わり、サイバスターの外に出た。
そしてその光が小型の戦闘機に変化しアッシマー一機に向かった。

J兵士「な、何だこいつらは!?」

アッシマーがシロとクロに翻弄され、隙が生じた。

優真「そこだっ!!」

J兵士「しまったぁっ!!」

ズヴァッ!!

優真はディスカッターでアッシマーを斬り落とした。

優真「これがハイファミリアか。」

クロ「そうニャ。このまま行くニャ!!」

優真「うん!!」

J兵士「くそっ!!落ちろ落ちろ!!」

アッシマーの一機が素子のバルキリーにビームライフルを連発したが一発も当たらなかった。

素子「甘い!!その程度で私の相手が務まるか!!落ちろ!!」

素子は両翼下部のマイクロミサイルポッドのミサイルをアッシマーに向けて発射した。

J兵士「う、うわぁーーーー!!」

スドドォォォン!!

アッシマー一機に対し十発のマイクロミサイルが命中し、撃墜された。

素子「後八機ね。」

隆士「行けぇ!!」

隆士もアッシマー一機にビームライフルを連発していた。

J兵士「数撃てばいいというわけではない!!」

MS形態に変形したアッシマーがビームを避けつつストライクにビームライフルを撃ってきた。

隆士「わっ!!」

バシュゥ!!

隆士はとっさにシールドを前に出してビームを受け止めた。

隆士「危なかったなぁ・・・ってうわっ」

何気なく見たエネルギーゲージが以上に減っていた。

隆士「このビームライフル、本体のエネルギーを食うのか・・・連射は危険だな。」

そう思った隆士はライフルを捨て、エールパックに装備されてるビームサーベルを取り出した。

隆士「だったら近づいて斬る!!」

アッシマー「突撃か!!」

アッシマーのパイロットは隆士が突撃を目論んだと読み、MAに変形して機動性で勝負を仕掛けてきた。

隆士「逃がさない!!」

隆士は逃がさないように持っていたビームサーベルをアッシマーに投げつけた。

J兵士「何だとっ!?くっ!!」

アッシマーはそれをかわしたが機体のバランスを崩してしまった。

隆士「そこだぁ!!」

隆士はブースターを思いっきり吹かし、もう一本のビームサーベルを取り出した。

隆士「はぁっ!!」

ズヴァッ!!

下から上へ、隆士はアッシマーを斬り落とした。

J兵士「このぉ!!落ちろぉ!!」

隆士「ッ!!」

その時ストライクにアッシマー一機が突撃してきた。

隆士「やられるわけには・・・」

隆士がストライクの右手を上に掲げると先ほど投げたサーベルが重力で落ちてきた。

隆士「行かないんだ!!」

ズヴァァッ!!

隆士はサーベルをキャッチしたと同時に振り向きながらアッシマーを真っ二つに斬り落とした。

隆士「ふぅ・・・」

ジョニー「あいつもやるな。俺だって!!」

ジョニーはその時三機のアッシマーとドッグファイトを繰り広げていた。

ジョニー「お前らに構ってる暇なんか無いんだよ!!」

ジョニーはメビウス・ゼロを急停止させ後ろにいたアッシマーをやり過ごした。
そして同時にガンバレルを展開した。

ジョニー「うぉーーー!!」

リニアガンとガンバレルの一斉放火で三機のアッシマーは火を噴いて墜落して行った。

ジョニー「やべっ!!あれじゃ町に被害が出る!!」

爆散してなかったのでそのまま堕ちれば町に被害が出るのは確実だった。
しかしその時。

ゴォォォ!!

ジョニー「おわっ!?」

墜落寸前の三機にバスターライフルが放たれ、被害は少なく済んだ。

稟「っぶねぇ・・・しっかりしてくれよ!!」

アッシマーが爆発せずに堕ちるのを見た稟が急いでバスターライフルを拾って撃ったのだった。

ジョニー「す、すまねぇ・・・」

稟「とにかくあの丸いのは一機。それに隊長格が二機だ!!」

浩之「隊長機をにたたむぞ!!稟!!」

稟「あぁ!!」

そう言って浩之は左腕のブレード・トンファーをセットした。

浩之「まずはギャプランの方から!!」

稟「分かった!!行けぇ!!」

ウィィ・・・ゴォォォ!!

浩之はギャプランに突撃し、稟は後ろからバスターライフルを放った。

カクリコン「うぉっ!!」

カクリコンはギャプランをMS形態に変形して上手くバスターライフルをかわした。
しかしすぐに浩之のアルブレードが迫ってきていた。

浩之「はぁーーー!!」

ガシィィィン!!

ブレード・トンファーの刃でギャプランの右腕が斬り落とされた。

カクリコン「ぐぅっ!?やられた・・・先に引く!!」

カクリコンは戦闘続行は無理と見て撤退した。

浩之「次はガブスレイの方を!!」

稟「あぁ!!」

浩之「今度は俺がけん制する!!お前が行け!!」

稟「分かった!!」

浩之「喰らえぇーーー!!」

浩之はレールガンと左手にリボルヴァー、そして肩のスプリット・ビームキャノンを一斉に放った。

ジェリド「くっ!!一斉に放てばいいという物では!!」

ジェリドはガブスレイをMAに変形させ、全てを回避した。
しかし。

稟「そこだぁ!!」

ジェリド「何っ!?」

稟のウイングがその隙を見計らってガブスレイの頭上からビームサーベルを構えて襲い掛かってきた。

稟「でぇーーーい!!」

ズヴァッ!!

ジェリド「うおぉっ!!」

稟の一太刀はガブスレイのクローと左腕、ライフルを斬り落とし、戦闘不能の状態にした。

ジェリド「くそっ!!後退する!!」

ジェリドもガルダの中に戻り、同時に残っていたアッシマーも撤退し、Jフリートは撤退した。

優真「終わったか・・・だけど光陽町が・・・」

光陽町は風守町と同じようにほとんど崩壊していた。

優真「・・・」









浩之「稟・・・大丈夫か?」

稟「あぁ・・・だけど町が・・・」

主な戦闘メンバーが町に降り、稟を初め、ニ世界の王と楓達が集まっていた。

楓「稟くん・・・大丈夫ですか・・・?」

稟「ちょっと疲れたぐらいだ・・・」

浩之「でもどうしてあんなの操縦できたんだ?」

稟「一応講習は受けてたし、大体の事はおじさん達から聞いたから・・・」

魔王「まぁね。とりあえず『AF』はウイングが出ていた場所にあるから。」

素子「分かったわ。」

神王「所で稟殿よ。これからどうするんだ?」

稟「・・・俺もそれ考えてました。」

プリムラ「稟・・・?」

稟「お願いします。俺も連れてってください。」

楓「り、稟くん!?」

稟「このままじゃ沢山の町があいつらに破壊される・・・微力でも俺は・・・!!」

素子「戦力として考えるなら嬉しい所だけど・・・メンバーからして難しいわね。」

稟「どう言う事です?」

素子「あなた達、どう見てもジュピトリアンを恨んでるでしょ。」

樹「当たり前ですよ。町をこんな風にされたんですよ。」

麻弓「ってちょっと待ってよ!!それじゃあまさかハガネにジュピトリアンが?」

隆士「・・・その通りさ。」

リシアンサス「あなたは白鳥隆士さん?どうしてあなたも・・・」

隆士「僕も巻き込まれてね。だから僕も戦争を終わらせる為に協力してるんだ。」

ネリネ「そうですか・・・ですがジュピトリアンがいると・・・」

隆士「うん・・・」

優真「隆士さんは皆さんと会った事が?」

隆士「前に学校の実習で三種族の絵を描いてくるようにって言われた時に紹介されたんだ。」

楓「ええ・・・」

隆士「だけど・・・ジュピトリアンを恨んでるなら、同行しない方がいいね・・・」

カレハ「どうしてですの?あなた達も町を・・・」

隆士「それは・・・僕がジュピトリアンだからさ。」

樹「なっ!?」

楓「隆士さんが・・・ジュピトリアン!?」

隆士「そう、父親が純血の・・・ジュピトリアンの2NDだよ。」

稟「ほ、本当なのか・・・?」

優真「自分で言ったんです・・・本当でしょう・・・」

隆士「僕はジュピトリアンである事には変わり無いから・・・嫌なら来ない方がいい。」

プリムラ「じゃあ・・・何で隆士は戦うの・・・?」

隆士「僕だって戦うなんて嫌だよ・・・だけどこのままじゃ風守町や光陽町の二の舞になる場所が増えるだろうから・・・」

稟「・・・」

隆士「例えそれが、血は薄くても同胞でもね・・・」

稟「だったら、俺はついていくよ。」

隆士「稟君?」

稟「隆士さんが同胞と戦うほどの決意をしたんだ。だったらそんな事を気にしてはいられないだろ。」

楓「だけど稟君・・・」

稟「ただ俺もジュピトリアンはいけ好かない所がある。それは覚えていてくれ。」

隆士「勿論。」

神王「うっし。話はまとまったようだな。」

魔王「と、言う事でお願いするね。」

素子「しょうがないわね。分かったわ。」

稟「ああ。」

楓「ま、待ってください!!私も連れてってください!!」

稟「楓!?」

楓「私は・・・私の生きがいは稟くんのお世話をする事ですから・・・一緒にいたいんです。」

リシアンサス「私だって稟くんと一緒にいたい。」

ネリネ「私も・・・」

神王「お、おいおいシア・・・」

魔王「ネリネちゃん・・・危ないんだよ?」

リシアンサス「連れて行ってくれないんなら神王様にご飯を作ってあげないんだから!!」

ネリネ「私も魔王様と口を聞きませんから!!」

神王「素子さんや!!家のシアをよろしく頼む!!」

魔王「私のネリネちゃんもお願いするよ!!」

両王は重度の親バカである為娘に『父』と呼ばれなくなったらなんでも言う事を聞くのだった。

素子「ったく・・・好きにしなさい。そっちはどうなの?」

プリムラ「稟と楓が行くなら・・・」

亜沙「ほっとけるわけ無いじゃない!!」

樹「ま、同感だね。」

麻弓「うんうん。」

カレハ「勿論ですわ。」

神王「ったく。学園や家には俺らが言っておくからよ。」

魔王「言ってらっしゃい。」

リシアンサス「ありがとうお父さん!!」

ネリネ「お父様ありがとうございます!!」

素子「よし、じゃあお前達は『AF』を運ぶんだ。」

優真「はい。」

素子「灰原。お前は一度ハガネに戻って小型の飛行機か何かで連れてってやれ。」

ジョニー「ああ。」

そして優真、隆士、浩之、稟は『AF』の運び込みを初め、ジョニーは一度ハガネに戻った。

素子「所で・・・『ゼロ』は?」

神王「厳重に封印されてる。まぁいつか使う日がくるだろうがな。」

魔王「そしてパイロットは・・・」

素子「アレが使われる時が来ない事を祈るしかないわね。」

三人は他の人に聞こえないように離れた場所で何かの話を交わしたのだった。





新たな仲間達が加わったハガネ。彼らの本当の敵は何なのだろうか。



続く






あ と が き
新たな作品がここで参戦
SHUFFLE!組の様子は原作とあまり変えてません
後最後の会話
「ゼロ」はいずれ登場します
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