四の調


仲間








虎丈「そりゃっ！！」

猿治「おどっ！！」

虎丈の蹴りを猿治は辛そうに避けた。
虎丈は格闘術を習得してるので負ける事は無いだろう。

猿治「こんにゃろ！！」

猿治も負けじと何度も殴りかかる。

虎丈「甘いっての！！」

虎丈は猿治の攻撃を見事に全てかわす。
本当に僕の体なのかって言うほどの運動神経だ･･･

虎丈「藍川流野生技格闘術をなめるなよ。」

猿治「き、貴様は･･･貴様は他の奴らが殺したはずだぞ！！」

隆士（死んだってどう言う事！？）

虎丈（後で話すっての！！）

猿治「もう一度死ね！！」

猿治は渾身の一撃のようなパンチを虎丈に向けた。

隆士（来るよ！！）

虎丈「大丈夫だ！！」

虎丈は猿治のパンチをしゃがんでかわした。

虎丈「そこだ！！狼牙！！」

猿治「ぐぼっ！！」

虎丈は猿治の腹部に右足で重い蹴りを入れた。
猿治は苦しさをこらえながら虎丈から離れた。

猿治「こ、この野郎！！」

隆士（やっぱり凄いね･･･）

虎丈（感心してる場合か！！一気に倒すぞ！！）

虎丈は猿治に向かい走り出した。

猿治「このっ･･･クソがぁっ！！」

猿治は完全にきれて我武者羅に虎丈に殴りかかって来た。

虎丈「こんなのに当たってられるか！！とう！！」

虎丈は猿治を飛び越えて着地したと同時に猿治に足払いをした。

猿治「おととっ！？」

猿治は倒れそうになったが踏ん張って体制を整えた。
その瞬間隙が出来たのに気付いた。

虎丈「トドメだ！！喰らえ！！」

虎丈はジャンプして猿治に飛び掛った。

猿治「なっ！？」

虎丈「鷹爪！！」

猿治「ぶぼっ！！」

虎丈は空中で一回転し、右足を伸ばしてカカト落としを決めた。
カカトは猿治の顔面に当たり、猿治はその場に倒れた。

虎丈「ざっとこんな物さ。」

隆士（やっぱり凄いな虎丈は･･･）

虎丈「感心してる場合か！！さっさとズラかるぞ！！」

そう言って虎丈は公園から離れた。













虎丈「ここならいいな。」

虎丈はビルとビルの間の隙間に身を隠していた。

隆士（それじゃ話してよ。君がこんな感じでいる理由。）

虎丈「お前が覚えてないだけだ。」

隆士（そなの？）

虎丈「お前竜汪に殺されたろ？」

隆士（うん･･･）

虎丈「実は俺らも別の奴に殺されたんだ。」

隆士（俺らって･･･神那と朱雀さんも！？）

虎丈「ああ。」

隆士（そんな･･･）

虎丈「だが大丈夫だ。今は眠ってるだろうが、その内目覚めるさ。」

隆士（え？）

虎丈「今の俺のような物さ。俺ら三人はどうやったかは知らんがお前の頭に意志を詰め込んだんだ。」

隆士（多重人格みたいな物？）

虎丈「まぁな。だから神那も朱雀もお前の中にいる。今は俺の中か。」

隆士（そっか･･･精神は四つでも体は一つだからね･･･）

虎丈「俺はすぐに目覚めてるから知ってるけど、お前は忘れてたようだな。」

隆士（うん･･･）

虎丈「しばらくの間･･･奴らを倒すまで俺らはお前の体を使う事になる。すまないな。」

隆士（いいよ別に。）

虎丈「で、どうするんだこれから？」

隆士（そうだな〜･･･鳴滝荘に戻りたいけど･･･）

虎丈「ああ、お前の彼女がやってるあのアパートか。」

隆士（遅くなったから心配してると思うんだ。）

虎丈「そうだな。んじゃ帰るか。」

隆士（でも･･･どうやって代わるの？）

虎丈「あ？」

隆士（あ？じゃないよ。代わらなきゃ大変な事に･･･）

虎丈「･･･」

隆士（黙ってないで交替しようよ。さぁ。）

虎丈「･･･悪い･･･」

隆士（え？）

虎丈「代わり方･･･知らん･･･」

え･･･？
僕は青ざめる･･･

隆士（えええええええええ！？）

虎丈「さっきのは我武者羅だったから良く覚えてない･･･少しの間我慢してくれ･･･」

隆士（そんな！！）

虎丈「しばらく俺がお前の振りをするさ。それでいいだろ？」

隆士（大丈夫かな･･･？）

虎丈「大丈夫さ。じゃ、行くぜ。」

そんな不安を抱えながら僕らは鳴滝荘に向かった。













隆士（大丈夫かな･･･）

虎丈「大丈夫だって。」

そんな事を話し続けながら僕らは鳴滝荘に着いた。

虎丈「さてと、何とか交替できるまで俺がお前の振りをするしかないな。」

隆士（ばれないかな･･･）

虎丈「俺が見る限りチンチクリンさえ気付かなきゃいいさ。」

隆士（チンチク･･･あぁ珠実ちゃんね。）

「へ〜っくしゅ！！です〜〜〜〜！！」

中から珠実ちゃんのくしゃみが聞こえた。

隆士（でも梢ちゃんが何だか疑ってるからな･･･）

虎丈「お前の彼女か。あんな全てがすっとぼけな女にばれる訳無いだろ？」

「くしゅん！！」

今度は梢ちゃんのくしゃみが聞こえた･･･
ごめんね･･･

虎丈「大丈夫だって。行くぞ。」

隆士（うん･･･）

そして僕らは鳴滝荘に入った。

虎丈「えっと･･･た、ただいま〜」

虎丈が僕っぽくただいまを言う。
こんな感じなのかな僕の喋り方って？

朝美「あ、お兄ちゃんおかえりなさい。」

一番初めに朝美ちゃんがやって来た。

虎丈「っと･･･」

隆士（朝美ちゃん。）

虎丈「朝美･･･ちゃん･･･た、ただいま。」

隆士（ぎこちないな〜･･･）

朝美「どうしたのお兄ちゃん？」

虎丈「な、何でも･･･無いさ。」

隆士（もうちょっとしっかりしてよ･･･）

虎丈（うるへぇ！！俺は女にちゃん付けした事無いんだよ！！）

隆士（ふ〜ん･･･女に縁が無かったんだ。）

虎丈（やかましい！！）

朝美「お兄ちゃんどうしたの？」

頭の中で言い争ってる僕らははたから見ればぼ〜っとしてるだけ。
朝美ちゃんは不思議そうな顔で僕らを見てる。

虎丈「な、何でもないよ！！」

隆士（あ、今のは似てたよ。）

虎丈（ちっと黙ってろ！！）

朝美「そう？」

隆士（とりあえず次はみんな何処にいるかを。）

虎丈「あ〜･･･み、みんなは何処にいるの？」

朝美「みんな縁側で夕涼みしてるよ。お兄ちゃんも参加しようよ。」

虎丈「あ･･･ああ･･･」

隆士（うん、だよ！！）

虎丈「う、うん･･･」

朝美「何か今日のお兄ちゃん変･･･」

虎丈「そ、そうかな？」

ちょっと不自然だが虎丈と朝美ちゃんは夕涼みをしてるみんなの所に来た。

恵「お、白鳥クンお帰り。」

珠実「今日も遅かったです〜」

虎丈「そ、そうかな〜？」

灰原「･･･お前何だかおかしくないか？」

隆士（まずいって！！誤魔化して！！）

虎丈「そ、そうですか？僕はいつもどおりですよ？」

灰原「そうか？」

隆士（大丈夫なの本当に！？）

虎丈（何とかなるって。で、次はどうする？）

隆士（そうだな･･･）

僕は虎丈の目線で辺りを見た。
よく見ると梢ちゃんがいない。

隆士（梢ちゃんはどうしたのかって聞いて。）

虎丈「（あいよ。）梢ちゃんは･･･どうしたの？」

珠実「梢ちゃんは炊事場です〜」

沙夜子「みずようかん･･･」

恵「沙夜ちゃんがみずようかんが食べたいって事で取りに行ったのよ。」

隆士（相変わらずだな沙夜子さんはって。）

虎丈「相変わらずだな沙夜子さんは〜･･･」

恵「ま〜いんじゃないの？」

隆士（この様子ならばれてないな･･･）

虎丈（なら大丈夫だな。お、彼女の登場だぜ。）

虎丈が言うと炊事場から梢ちゃんがやって来た。

梢「あ、白鳥さん。お帰りなさい。」

虎丈「おかえり、梢･･･ちゃん。」

梢「･･･」

梢ちゃんが一瞬不思議そうな顔をしたがすぐに沙夜子さんにみずようかんを渡した。

隆士（梢ちゃん･･･何だかおかしいな･･･どうしたのって聞いて見てよ。）

虎丈「どうしたのさ梢ちゃん？」

梢「･･･」

隆士（まずいな･･･ばれてるかもしれない･･･）

虎丈（まさかよ。）

隆士（流石に僕でも分かるさ。）

虎丈（あそこまで温い奴にか？気のせいだって。）

恵「どうしたのよ梢ちゃん？愛しの白鳥クンが帰ってきたってのに。」

梢「･･･」

珠実「どうしたです梢ちゃん〜？」

梢「･･･」

朝美「お姉ちゃん？」

梢「･･･」

みんなが話しかけても梢ちゃんは返事をしない･･･

虎丈「ど、どうしたのさ梢･･･」

梢「あなたは･･･」

虎丈が話しかけようとした時梢ちゃんが話しかけてきた。
その顔はいつに無く、真剣な表情だった。

梢「あなたは誰ですか？」

恵「へ？」
珠実「え？」
朝美「え？」
灰原「は？」

梢ちゃんの問いかけにみんな不思議そうな顔をした。

虎丈「な、何言ってるのさ梢ちゃん。僕は･･･」

梢「嘘を･･･言わないでください。」

駄目だ･･･完全にばれてる･･･

隆士（諦めよう。もうばれてる。）

虎丈（あ〜あ･･･一番温いのにばれるたぁな。恋人だからか。）

隆士（かもね。）

恵「何言ってるのさ梢ちゃん。白鳥クンは白鳥クンじゃ･･･」

虎丈「･･･悪かったな。」

恵「え？」

朝美「お兄ちゃん？」

虎丈「騙すつもりは無かったんだけどよ。」

灰原「ど、どう言う事だ？」

梢「白鳥さんは･･･何処ですか？」

虎丈「大丈夫だ。どう言えばいいか分からんが俺の中にいる。」

梢「あなたは･･･誰です？」

虎丈「虎丈、藍川虎丈だ。蒼葉梢。」

梢「藍川虎丈さん･･･ですか･･･」

恵「あの〜･･･何がどう言う事？」

珠実「二重人格とかですか〜？」

虎丈「いや、俺と隆士は完璧別人さ。今は訳あってこいつの体を借りてる身さ。」

朝美「じゃあお兄ちゃんは？」

虎丈「心配するな。代われるようになったらすぐに会わせてやるよ。」

灰原「と言ってもナ〜･･･何だか信じられねぇよ。」

虎丈「別に信じてくれって言ってないさ。俺は俺。隆士は隆士だからな。」

梢「でも･･･何があったんですか？」

虎丈「こんな所じゃなんだ。炊事場で良いか？」

梢「はい。」

虎丈「お前らもそれで？」

朝美「うん。」

隆士（お前らは無いでしょ･･･）

虎丈「隆士ちょっと黙ってろ･･･」

その後みんなは炊事場に集まった。

虎丈「さってと･･･何から話せばいいか？」

恵「まずはどうして白鳥クンの中にいるのかって事ね。」

虎丈「ん〜･･･ストレートに言ってしまっていいのか駄目なのか･･･」

梢「正直に言ってください。全て受け入れます･･･」

虎丈「いいんだな？」

梢「はい･･･」

虎丈「俺らは･･･一度死んでるんだ。」

梢「やはり･･･」

朝美「で、でも生きてるって言ってたよね！？」

虎丈「そりゃな･･･何をどうしたかは知らないけど一度俺らは死んだ。そして俺の精神を隆士の体に入れた。それで俺らは今生きてるんだ。」

珠実「部長のせいか何となく分かります〜･･･魔術の類でしょうか〜？」

虎丈「さぁな。」

灰原「じゃあ次、どうしてお前らは殺されたのか？」

虎丈「俺らはある事を知ったんだ。それも大きな組織のやばい事をな。」

灰原「やっぱり狙われてたのか。」

虎丈「ああ。三年前、俺らが高二の時だ。」

恵「ん？アンタ白鳥クンと同い年？」

虎丈「ああ。修学旅行で俺ら四人は偶然出会った。そして同時に奴らに狙われる理由が出来たんだ。」

梢「四人？」

虎丈「俺と隆士以外にまだ二人いるんだ。そいつらも殺されてこの中さ。」

恵「何を知ったのよ？」

虎丈「悪いが流石にそれは言えないさ。そんな事したらお前らまで狙われるぜ。」

沙夜子「･･･」

虎丈「狙われるのは俺らだけでいい。そう言う意志の元俺らは誓ったんだ。」

梢「藍川さん･･･」

虎丈「悪いな大家さんよ。しばらく隆士を借りる事になる。」

梢「･･･白鳥さんと話がしたいです･･･」

虎丈「えっ･･･？」

隆士（うわっ･･･）

まずい、僕らはまだ代われないんだ･･･

虎丈「あ、あの･･･それは〜･･･」

梢「まさか･･･代われないって事は無いですよね･･･？」

虎丈「ま、まぁな！！い、今すぐってのは･･･む、無理だけど･･･」

梢「･･･」

ショックだったのか梢ちゃんが気を失って倒れた。

朝美「お姉ちゃん！！」

隆士（ストレートに言ってどうするの！！）

虎丈「うっせぇこれでも誤魔化せた方だっての！！」

灰原「何だ、誰にきれた？」

沙夜子「中の子ね･･･」

恵「白鳥クンね･･･いきなり声出して怒鳴られちゃびっくりするじゃない。」

珠実「それよりも〜･･･」

あ、珠実ちゃんが怒ってる･･･

虎丈「あ〜よせって。お前がどれだけだろうと俺には敵わないさ。」

珠実「な、何ですってっ！？」

いつの間にか足が珠実ちゃんの顔の前に･･･

虎丈「な？」

珠実「うぅ〜･･･」

虎丈「それよりも大丈夫なのか？」

珠実「このパターンだと･･･誰かに代わってるかもです〜･･･」

虎丈「どゆ事だ？」

隆士（梢ちゃんは解離性同一性障害･･･簡単に言えば多重人格なんだ。）

虎丈「多重人格だぁ〜〜〜〜〜〜〜〜！？」

恵「うわっ！！驚いた〜･･･」

虎丈「あ、悪い。しかし本当にいるたぁな･･･」

朝美「誰になっちゃんだろう･･･」

隆士（あ、この事はここの人達だけの秘密ね。）

虎丈（ああ。）

梢？「ん･･･」

そんな事をしてると梢ちゃんが目を覚ました。
その目は金色に輝いていた。
そしてその頭には二本の触覚のようなアホ毛･･･
てことは･･･

魚子「あ！！」

隆士（魚子ちゃんか〜〜！！）

虎丈（どんな奴？）

隆士（六歳児程度の思考で･･･僕にすっごくなついてる子･･･後この子も恋人･･･）

虎丈（にゃにぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜！？）

魚子「お兄ちゃ〜〜〜〜〜〜〜ん！！」

隆士（来たっ！！）

魚子ちゃんの突然タックルが来た！！

隆士（しっかり受け止めて！！）

虎丈「え！？なっ！！」

魚子ちゃんと虎丈の距離はもう間近･･･

虎丈「冗談じゃない！！亀鋼！！」

ゴォ〜〜〜〜〜ン！！

魚子「！？」

隆士（あっ！！）

魚子ちゃんが虎丈に飛びついた瞬間除夜の鐘のような音が響いた。

魚子「･･･」

そして魚子ちゃんはその場に倒れた。

恵「え？何がどうなったの！？てか魚子ちゃん！！」

桃乃さんがすぐに魚子ちゃんを抱き上げた。
その頭にはとても大きなタンコブが出来ていた。

虎丈「あ、悪ぃ。つい、いつもの癖で･･･」

隆士（何やってんだよ虎丈！！）

その時は流石に僕も怒った。

朝美「酷いよ藍川さん！！」

沙夜子「酷い子･･･」

虎丈「だ、だってよ･･･」

珠実「だってもバッタもありませんです〜〜〜！！」

うわっ･･･本気で怒ってる･･･

恵「ちょっとアンタ！！魚子ちゃんに何かあったらどうするのよ！！」

てかみんな怒ってる･･･

隆士（もう代わって！！）

虎丈「代われって言われて･･･むぉっ！？」

一瞬目の前が真っ暗になり宙をぐるぐる回ってるような感覚が来た。
そして気付いた時には自分で体を動かせれる様になってた。

隆士「戻った！！」

僕はやっと自分の体に戻ったのだ。

朝美「その雰囲気は･･･お兄ちゃん？」

隆士「うん。あ、桃乃さん魚子ちゃんを。」

恵「戻ったようね。分かったわ。」

僕は桃乃さんから魚子ちゃんを預かった。

隆士「大丈夫？」

魚子「･･･ん？」

魚子ちゃんが目を覚ました。

魚子「お兄ちゃん･･･？」

隆士「うん。ごめんね、痛かった？」

魚子「うん･･･」

あ〜泣かせちゃった･･･
こりゃ僕が面倒見なきゃな･･･

隆士「ねぇ魚子ちゃん。一緒に本読もうか？」

魚子「うん！！」

隆士「と言う事で少し空けます･･･さっきの事は後で話しますので･･･」

そう言う事で魚子ちゃんを僕の部屋に連れて行った。





隆士「ごめんね･･･もうあんな事しないから。」

魚子「ううん･･･魚子お兄ちゃんは好き･･･けど･･･」

隆士「けど？」

魚子「もう一人のお兄ちゃん嫌い･･･」

もう一人･･･虎丈か。

隆士（嫌いだって。）

虎丈（その方がいい･･･子供は苦手だ･･･それよりどうして俺の事知ってるんだ？）

隆士（彼女･･･梢ちゃん達は代わってる時の記憶を一部共有し、さらに代わった時の記憶を補填してるんだ･･･）

虎丈（やっかいだな･･･）

隆士（まぁそんなんだから僕は五人の恋人って事に･･･）

虎丈（五人て事は後三人いるのか･･･やってけるかな･･･）

隆士（まぁ頑張ろう。）

魚子「どしたの？」

虎丈と話してる僕を見て魚子ちゃんが不思議そうな顔で覗いてきた。

隆士「ん？何でもないよ。」

魚子「？」

ちょっとクリクリになったが絵本を読んでつやつやになった。

隆士（まったく･･･とりあえずこうやって再会したから前みたいに格闘術教えてよ。）

虎丈（お、いいぜ。ただし足技と歩行術と亀鋼だけな。）

隆士（どして？）

虎丈（いいから。）

魚子「ん〜･･･」

僕と虎丈が話し合ってると魚子ちゃんは眠りだした。

隆士「ふぅ〜･･･これで梢ちゃんに戻るか。」

虎丈（大変だなお前も･･･）

隆士「誰のせい？」

虎丈（･･･）

梢「ん･･･」

そうしてる内に梢ちゃんが目を覚ました。

梢「白鳥さん･･･ですか？」

隆士「うん。心配かけてごめんね。」

梢「よかった･･･もう二度と白鳥さんに会えないのかと･･･」

隆士「約束したでしょ？君から離れないって。」

梢「白鳥さん･･･」

隆士「梢ちゃん･･･」

僕らは見つめあった。

虎丈（見せつけてくれるねぇ〜･･･）

隆士「もう！！虎丈黙ってて！！」

虎丈（へいへい･･･）

梢「代われるようになったんですね。」

隆士「うん。まだ話したい事あるからみんなの所に。」

梢「はい。」

僕らはまた炊事場に入った。

珠実「はっ！！梢ちゃん大丈夫ですか〜！？」

すぐに珠実ちゃんが梢ちゃんに駆け寄る。

梢「うん。ちょっと頭が痛いけど･･･」

隆士「ごめんね･･･」

梢「いいえ、私が泣きついて藍川さんに･･･」

隆士（そう言う事にしたのか。）

恵「それはそうと、さっきのなんだったの？」

隆士「アレは硬氣功の一種の亀鋼って言う物なんだ。」

朝美「こうきこう？」

灰原「氣で自分の体を硬くする事だろ？」

隆士「はい。虎丈の家は古くからある格闘術を教えてるんです。」

恵「ふ〜ん。」

隆士「名を藍川流野生技格闘術。技の全てを動物に模してるのが特徴的な格闘術です。」

沙夜子「さっきの･･･亀ね･･･」

隆士「そうです。自分の氣を集中させて亀の甲羅のような硬さを出す。達人に至ると銃弾も弾くそうです。」

梢「す、凄いですね･･･」

隆士「はっきり言ってね･･･」

梢「あ、あの白鳥さん。」

隆士「ん？」

梢「藍川さんが言ってましたが･･･狙われるのは自分達だけでいいと･･･」

隆士「･･･うん。僕のせいでみんなに･･･特に梢ちゃんに迷惑はかけたくないんだ。」

梢「白鳥さん･･･」

隆士「僕は大丈夫だから。それに一人じゃない。虎丈やあの二人がいるんだ。」

梢「違います･･･」

隆士「え？」

梢「確かに私達が狙われて白鳥さん達に迷惑はかけたくありません･･･ですが･･･」

隆士「？」

梢「私達がいる事を･･･忘れないでください。あなたには･･･私達がいますから･･･」

隆士「梢ちゃん･･･」

恵「ヒュ〜ヒュ〜言ってくれるね〜」

隆士「桃乃さん･･･」

朝美「私達･･･何も出来ないけど･･･くじけないでね。」

沙夜子「頑張って･･･」

隆士「朝美ちゃん･･･沙夜子さん･･･」

灰原「梢を悲しませるような事になったら許さんからナ。」

珠実「その時はあなたを葬り去るです〜」

隆士「灰原さん･･･珠実ちゃん･･･」

梢「みなさんがいますから･･･白鳥さんには･･･」

隆士「･･･」

虎丈（いい場所だな。）

隆士（うん･･･）

虎丈（こいつらも･･･お前の仲間だ･･･）

隆士（うん･･･）

みんなの言葉が嬉しかった･･･
一人ででも戦おうとしてた僕にはとても･･･
これからは違う。
虎丈も神那も朱雀さんもいる･･･
それに鳴滝荘のみんな･･･梢ちゃんが･･･
みんながいるんだ･･･

梢「白鳥さん？」

隆士「え？」

気付いたら･･･僕は泣いていた･･･

隆士「ご、ごめん･･･何だか嬉しくて･･･」

梢「そうですか･･･」

その時の梢ちゃんの顔はとても優しく見えた･･･
だから僕は守ってみせる。
愛する人を･･･
愛する人が大切な物全てを･･･





守ってみせる･･･





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