三の調
胎動
朝美「ん・・・」
私は目を覚ました。
ここは・・・鳴滝荘の・・・
沙夜子「朝美・・・!!」
朝美「え?わっ!!」
お母さんが泣きながら私に抱きついた。
同時に近くにまひるちゃんとタチバナさんがいるのに気付いた。
そして・・・
朝美「お兄ちゃんは!?」
お兄ちゃんの事を思い出した・・・
まひる「朝美、大丈夫か?」
朝美「わ、私は大丈夫!!でもお兄ちゃんは!?」
私はとてもお兄ちゃんの事が心配になった。
だって・・・
まひる「大丈夫。あいつ生きてる。そう言ってた。」
朝美「本当!?」
まひる「本当だ。」
朝美「よ、よかった・・・!!」
お兄ちゃんは生きてる・・・
それだけで胸がいっぱいになった・・・
タチバナ「昨日の事件からちょうど二十四時間経とうとしてますが、犯人の手掛かりは今だ掴めずの模様・・・」
朝美「そうなんだ・・・でもお兄ちゃんが生きてるって・・・二十四時間?」
まひる「お前、昨日からずっと気を失って寝てた。」
朝美「え、ええぇぇぇぇ!!」
き、昨日からずっと!?
でも確かに昨日のお兄ちゃんを見て・・・
それから何があったのか全然分からない・・・
ずっと寝てたんだ・・・
朝美「そう言えば梢お姉ちゃんは?」
まひる「梢ポンはまだ目覚めない・・・いや、目覚めてはいる。が・・・」
朝美「どう言う事?」
まひる「どう言えばいいか分からない。他の人に聞く。」
朝美「う、うん。みんな炊事場?」
タチバナ「はい。皆様学業を終えたようで集まっております。」
朝美「そうなんだ。私達も行こう?」
沙夜子「ええ・・・」
そう言う事で私達は部屋を出た。
そこはもう夕焼けの日差しが眩しかった。
朝美「うわ〜・・・久しぶりに太陽見た気分・・・」
まひる「朝美行くぞ。」
朝美「うん。」
私達は炊事場に入った。
そこには桃乃さんや珠実お姉ちゃん、灰原さん。
そしてお兄ちゃんのお友達にお姉ちゃん達の友達、それにみっちゃんとさっちゃんもいた。
三千代「クロスケさん。もう大丈夫なのですの?」
朝美「うん。ごめんね心配かけて・・・」
理想奈「大丈夫よ。そんなに気にしないで。」
そう言って眼鏡のお姉ちゃん・・・理想奈さんだっけ?
とにかくお姉ちゃんが私の頭をなで始めた。
恵「これで梢ちゃん以外のみんなが揃ったって事ね。」
朝美「そう言えば梢お姉ちゃんは?」
珠実「・・・」
何気ない質問だったのに、みんなの顔が・・・
もしかして・・・
朝美「お姉ちゃんどうなったの!?」
珠実「・・・今だショックから立ち直れてないです・・・」
花梨「まるで廃人よ・・・麻薬に溺れたような・・・」
浩子「あんなの梢ポンじゃない・・・」
朝美「そんな・・・」
灰原「ここは白鳥が戻りゃいいんだが・・・」
朝美「そ、そうだお兄ちゃん生きてるの!?」
翼「ああ。」
恵「あたしらも詳しい事は分からないけど生きてるって話よ。」
朝美「よかった〜・・・お兄ちゃん・・・」
理想奈「泣かないの朝美ちゃん。可愛い子に泣き顔は合わないわよ。」
瑞穂「そう言うあんたも昼までぐっすりで、起きたら大泣きしてたくせに・・・」
理想奈「み、瑞穂!!」
恵「はいはい落ち着いて。」
灰原「とりあえず白鳥を襲った犯人についてだが・・・」
恵「ムカつく話し、警察でもお手上げだってさ。」
沙耶「そらまたどうしてですか?」
灰原「あそこに犯人に結びつきそうな物が一切無かったんだ。」
恵「昨日彼、翼クンが言ったようにプロによる物って事は確実ね。」
朝美「そんな・・・どうしてお兄ちゃんがそんな目に?」
灰原「それは昨日からずっと話してる。プロによる無差別か、あるいは白鳥を狙ったか・・・」
朝美「私は・・・お兄ちゃんは偶然襲われたんだと思う・・・」
翼「つまり無差別か・・・確かに白鳥が狙われる理由なんてあるのか自体疑わしいもんだ。」
瑞穂「私は後者だと思う・・・」
タチバナ「つまり狙っての犯行・・・」
瑞穂「白鳥君って悩んでてもあまり話そうとしないし、自分で解決しようとする癖あるじゃない。」
珠実「白鳥さんは過去に何かあって、それが今回に繋がってるって事ですか?」
恵「そう言えばあたしら白鳥クンの過去って何も知らないしね。」
朝美「じゃあお兄ちゃんは殺されそうになるような何かを知ってるって事?」
浩子「でもそれも推測だから・・・」
この後も色々と話し合いは続いた。
お兄ちゃんは何かを知っていて狙われたか。
ただ偶然襲われたか・・・
私達は何も知らないから話し合いは長く続いた・・・
梢お姉ちゃんの事を・・・忘れて・・・
梢「・・・」
私は部屋のベットに座り何もしないでいる・・・
梢「し・・・りさ・・・」
何も考えず、何もせず、私は人形のようになっている・・・
どうして白鳥さんが死んでしまったのか・・・
どうして私の大切な人はみんな私を残して死んでしまうのか・・・
時々そう思うけど・・・考えるのも嫌になってくる・・・
考えれば悲しくなり・・・
さらに苦しくなる・・・
梢「・・・らと・・・ん・・・」
白鳥さん・・・
隆士(これからお世話になります大家さん。今後ともよろしく。)
白鳥さん・・・
隆士(これ・・・大家さんにプレゼントするよ。)
どうして・・・
隆士(梢ちゃんは何を来ても似合うなあって・・・)
どうして白鳥さんが・・・
隆士(僕も梢ちゃんがいた方が楽しいし。)
いなくなってしまうんですか・・・
隆士(ずっと、一緒に。)
一緒にって・・・言ってくださったのに・・・
隆士(僕は・・・君が好きだ!!)
好きだって・・・言ってくださったのに・・・
隆士(梢ちゃん・・・)
白鳥さん・・・白鳥さん・・・!!
梢「白鳥・・・さん・・・」
白鳥さんの事を思い出したら、また涙が流れてました・・・
でも、いくら泣いても白鳥さんはもういない・・・
もう・・・白鳥さんは・・・
「ありがとうございます。」
梢「!?」
え・・・
今の声・・・
「すいません、わざわざ送ってくれて・・・」
玄関の方から声が・・・
この声は・・・
梢「この声・・・!!」
私はすぐに部屋を出ました。
ガラララ・・・
玄関の戸が開く・・・
そこにいたのは・・・
隆士「あ、梢ちゃん。」
梢「はぁ・・・!!」
誰でもない・・・白鳥さんでした・・・
梢「し、白鳥さん・・・!!」
嬉しくて・・・また涙が・・・
隆士「梢ちゃん。ただいま。」
梢「し、白鳥・・・さん・・・お、お帰り・・・お帰りなさい・・・!!白鳥さん!!」
隆士「ただいま。」
梢「うっ・・・うっ・・・し、白鳥さぁーーーーん!!」
嬉しくて・・・私は白鳥さんに抱きつきました・・・
白鳥さんが・・・白鳥さんがそこにいるから・・・
隆士「・・・ごめんね・・・梢ちゃん・・・」
私の頭を包むように白鳥さんが両腕を回しました・・・
この温もりは・・・間違いなく白鳥さんです・・・
だけど・・・何かが違うような・・・
隆士「どうしたの?」
梢「え?」
私は白鳥さんのお顔を見ました。
今私を包んでくれてる人は間違いなく白鳥さん・・・
でも・・・何故か違和感を感じてしまう・・・
だけど・・・そんな事よりも・・・
梢「何でも・・・無いです・・・!!」
白鳥さんがいる・・・
それだけで私は十分でした・・・
私はさらに強く白鳥さんを抱きしめました。
隆士「そう・・・梢ちゃん・・・」
そして白鳥さんも私を・・・
恵「お〜い。」
その時後ろから声が・・・
え?
隆士「あ・・・」
梢「え・・・?」
後ろを見ると・・・何と皆さんいました・・・
もしかしてずっと・・・
梢「も、もしかして・・・見てました・・・?」
恵「じっくりとね。」
朝美「お、大人だね・・・」
瑞穂「やっぱ付き合ってたんだね〜・・・」
何と昨日の皆さんが私達が抱き合ってる所を見ていました・・・
梢「あ、あの、こ、これはその・・・!!」
私は白鳥さんから離れ説明をしようとしました。
ですが顔は真っ赤・・・恥ずかしくて上手く話す事さえままならない状態でした・・・
隆士「ま、まぁこんな所で立ち話もなんですし・・・」
まひる「たちばなし・・・」
タチバナ「?」
隆士「とりあえず炊事場で話を・・・」
珠実「その前に〜・・・」
珠実ちゃんがとても怒った様子で白鳥さんに近づいてきました。
珠実「梢ちゃんを悲しませた事・・・思い知らせてやるです!!」
珠実ちゃんは白鳥さんに殴りかかりました。
梢「白鳥さん!!」
隆士「うわっ!!」
しかし・・・
珠実「きゃっ!!」
恵「え・・・?」
朝美「ええ・・・?」
梢「し、白鳥さん?」
隆士「あ・・・」
白鳥さんは珠実ちゃんを避けると腕を掴み、そのまま珠実ちゃんの勢いと白鳥さん自身の腕の力を使って珠実ちゃんを倒しました。
珠実「ま、まさか白鳥さんに・・・」
その事に誰しもが驚いていました・・・
隆士「今の虎丈の・・・どうして・・・?」
そして白鳥さんも何故か驚いていました。
朝美「お、お兄ちゃん・・・今の何?」
隆士「それは・・・」
梢「言えないんですか・・・?」
隆士「ん・・・まぁ・・・」
頭を手でかきながら目を逸らす。
その時白鳥さんが何かを隠している事に気付きました。
灰原「とりあえず聞きたい事があるから炊事場に行こうゼ。」
梢「そうですね。」
隆士「じゃ、行こうか。」
珠実「む〜・・・」
そして私達は炊事場に向かいました・・・
隆士「それじゃ・・・何から話そうか?」
炊事場にみんな入ると話が始まった。
灰原「まずはお前が狙われた理由だ。」
翼「警察の調査でお前をやったのはプロの犯行だって言うぜ。」
プロ・・・か。
確かに竜汪はプロだ。
だけどみんなに教える訳には行かない。
隆士「そうなんですか?」
僕は知らない振りをした。
恵「知らないって所見ると・・・別に白鳥クンを狙ってた訳じゃないわね。」
朝美「じゃあやっぱり無差別?」
沙夜子「のようね・・・」
瑞穂「そうだと相当ついてなかったのね・・・恋人に下着姿見せるなんて事もあったんだし・・・」
隆士「そうだよね・・・あの時は・・・って何で知ってるの!?」
瑞穂「気付いてないと思ってたの?いつからかは分からないけど大家さんと付き合ってたなんて知ってたわよ。」
そ、そうだったのか・・・
恵「ま、白鳥クンも元気に戻ってきたんだし、今日は宴会よ!!」
隆士「ええ!?」
花梨「勉強しに来たのに・・・」
浩子「ひあ〜・・・」
沙耶「にぎやかな人やなぁ〜・・・」
三千代「全くですわ。」
まひる「アホだな・・・」
タチバナ「はっ・・・」
恵「さぁ〜盛り上がってくわよ〜〜〜〜!!」
そしてその日は宴会で盛り上がった・・・
隆士「ふぅ〜・・・」
宴会は数時間で終わり、翼君達や朝美ちゃんと梢ちゃんの友達のみんなにまひるちゃんも帰った。
他のみんなも騒ぎ疲れてもう寝ちゃったようだ。
僕は疲れて縁側に座る。
隆士「・・・これからあいつらとの戦いが始まるのか・・・せめて虎丈と神那がいればな・・・」
(おいおい・・・何言ってるんだよ・・・)
頭の中で声が聞こえた。
隆士「え?」
(んだぁ?忘れてやがる・・・しゃぁない。今日は去るさ。)
隆士「え?ちょっと!!」
しかし声はもう聞こえなかった。
隆士「今の・・・」
梢「どうかしました?」
隆士「え?」
僕のすぐ後ろに梢ちゃんがいた。
お風呂上りなのか髪の毛は湿ってパジャマ姿だった。
隆士「何でもないよ。」
梢「そう・・・ですか・・・」
隆士「・・・」
梢ちゃんは何も言わず僕の隣に座った。
梢「・・・白鳥さん・・・」
隆士「どうしたの?」
梢「何か・・・隠していませんか?」
隆士「え!?」
もしかして気付いてるのかな?
そうだとしてもごまかさなくちゃ・・・
隆士「何言ってるのさ。僕は何も知らないんだよ?」
梢「本当・・・ですよね・・・?」
隆士「本当さ。」
梢「なら・・・いいです・・・」
ごめん・・・
君を巻き込む訳には行かない・・・
隆士「それじゃ・・・僕もう寝るね。」
僕は立ち上がり二号室に向かおうとした。
と、後ろから何か圧し掛かるような重みが・・・
隆士「梢ちゃん?」
梢ちゃんが僕の背中に抱きついていた。
梢「・・・今夜・・・」
隆士「え?」
梢「一緒に・・・いいですか・・・?」
隆士「え・・・?」
ええええええ!?
い、一緒にって梢ちゃん・・・!!
梢「ワガママなのは分かってます・・・だけど・・・今夜はずっと白鳥さんの傍に・・・」
隆士「梢ちゃん・・・」
こらえてるようだけど梢ちゃんの声は泣き声に近かった。
僕は梢ちゃんの方を向き彼女を抱きしめる。
隆士「いいよ・・・」
梢「あり・・・がとう・・・ございます・・・」
そして僕と梢ちゃんは僕の部屋に入り、一緒に布団に入った。
梢「温かいです・・・」
隆士「そう・・・?」
梢「・・・白鳥さん、約束してくれますか・・・?」
隆士「え?」
梢「私が・・・私が死ぬまで・・・私の近くからいなくならないって・・・」
隆士「梢ちゃん・・・」
梢「・・・」
暗くても梢ちゃんの目に涙が滲んでる事は分かった。
隆士「・・・出来るだけ頑張るよ・・・」
梢「・・・」
それから少しして梢ちゃんは眠りついた。
隆士「こんな近くで寝顔を見るなんて・・・」
梢ちゃんの寝顔は嬉しさと寂しさの入り混じった涙が目に溜まってるけど穏やかな寝顔をしてる・・・
隆士「・・・」
僕はそっと梢ちゃんを抱き寄せた。
隆士「奴らはもしかしたら君も襲うかもしれない・・・だけど・・・僕が守る・・・絶対に・・・」
翼「お、白鳥おはよう。」
隆士「おはよう。」
次の日、僕はいつも通りに学校に登校した。
瑞穂「おはよう白鳥君。大丈夫?」
隆士「大丈夫さ。ただ今朝は・・・」
翼「どうかしたのか?」
隆士「い、いや・・・」
理想奈「顔赤いよ。何か怪し〜」
そりゃ赤くなるさ・・・
だって今朝・・・
隆士(ん・・・もう朝か・・・ん?)
目覚めたばかりの僕は手に柔らかい何かを握ってるのに気付いた。
隆士(何だこ・・・!!)
何と僕が握っていたのは梢ちゃんの胸だった・・・
隆士(どわわわわわわっ!!)
僕はすぐに梢ちゃんから離れた。
隆士(な、何て事をしたんだ僕は!!)
梢(ん〜・・・)
すぐに梢ちゃんが目を覚ました。
隆士(こ、梢ちゃん!!僕何もしてないよ!!)
梢(〜・・・)
しかし梢ちゃんは寝ぼけてるのか何の反応も無い・・・
それどころか・・・
梢(ん〜・・・)
突然その場で服を脱ぎだしたのだ。
隆士(ほぁ〜〜〜〜〜!!だだだだだだだ駄目だって!!)
僕は他の人を起こさないよう、且つ急いで梢ちゃんを管理人室に運んだ。
隆士(はぁはぁはぁはぁはぁ!!)
隆士(そりゃあんな事あれば誰だって・・・)
翼「もしかしてお前、大家さんになんかしたな?」
隆士「ほあっ!?」
瑞穂「まぁ〜さか〜いくら恋人だからって白鳥君に出来る訳無いわよ。」
理想奈「そうよね〜」
隆士「は、ははは・・・」
図星だった・・・
瑞穂「あ〜あ・・・白鳥君いいな〜・・・」
隆士「黙っててごめん・・・」
瑞穂「ま、気付いてたから気にはしないけどさ。」
隆士「ば、ばれてたんだ・・・」
瑞穂「私も恋人欲しいな〜・・・」
隆士「はは・・・」
この調子じゃしばらくの間茶化されるな・・・
翼「ま、この前みたいに大家さん泣かせるなよ?」
隆士「分かってるさ。僕はもう彼女を悲しませないさ。」
理想奈「お、カッコいい。」
(俺らだろ馬鹿たれ。)
隆士「え?」
また頭の中で声がする。
誰なんだ?
瑞穂「どうしたの?」
隆士「あ、何でもないさ。」
翼「そうか。んじゃまた後でな。」
そう言うと翼君は教室を出てった。
そしてまた少し経って銀先生が教室に入ってきた。
銀「みなさんご機嫌よう。あら白鳥隆士君もう大丈夫なのですか?」
隆士「はい。心配かけてすいませんでした。」
銀「いえいえ。さぁ、みなさん課題を提出してください。」
隆士「え?」
瑞穂「え?」
理想奈「え?」
課題?
銀「あら?瑠璃岸翼君から聞いてませんか?」
瑞穂「もしかしてあいつ・・・」
隆士「言うの忘れてた・・・?」
銀「あらあら・・・」
理想奈「ひぃ〜・・・」
銀「でも今回だけはいいですよ。色々と大変でしたから・・・」
瑞穂「あ、ありがとうございます!!」
銀「ただし、今回だけですよ。」
隆士「はい!!」
そう言う事で僕らは折檻から逃れる事が出来た。
隆士「今日も終わったね・・・」
授業も終わり、いつもと同じ帰路に着く。
瑞穂「そうね。でも白鳥君は気をつけなきゃ駄目だよ。」
隆士「大丈夫だって。」
そうは言うけれど僕は狙われてる身。
気をつけなきゃいけないってのは確かさ。
隆士「そう言えば今日はどうするの?」
理想奈「勿論朝美ちゃんの手伝いに!!」
理想奈さん・・・本当に住んだ方がいい気が・・・
瑞穂「駄目だって・・・今日は帰るわよ。」
瑞穂さんが理想奈さんの服を掴んで歩き出す。
理想奈「あ〜ん・・・」
翼「んじゃあな。」
隆士「うん。」
そして僕らは別れ、鳴滝荘に帰る事にした。
隆士「さてと・・・今日は安心して帰れるかな?」
そう思いながら僕は歩き続ける。
隆士「・・・?」
歩いてるとまた公園の付近で胸騒ぎがした。
隆士「・・・来てる・・・竜汪かな・・・」
僕は公園に向かう。
このまま帰ったら梢ちゃん達にも・・・
隆士「彼女達には・・・迷惑をかける訳にはいかない・・・!!」
僕は公園に着いた。
そこには紺のジャージに白いタンクトップを着た坊主頭の男がいた。
隆士「猿治か・・・」
猿治「覚えててありがとよ。」
隆士「いや、一番影が薄かったからあいつらの中で僕が覚えてる奴を除いてあげられたのがお前だっただけ。」
そう、つまり一番忘れてたのがこいつだった。
猿治「こんなろう・・・会って早々ムカツク事言いやがって!!」
猿治は手にメリケンサックを装着した。
猿治「覚悟しやがれ!!」
そして僕に右腕で殴りかかって来た。
隆士「うわっ!!」
何とか僕は猿治のパンチを避けた。
猿治「くそっ!!」
猿治は体勢を立て直して今度は左腕で殴りかかって来た。
隆士「つっ!!」
猿治の腕が僕の右頬を掠る。
そこから血が出だす。
隆士「くそっ!!」
猿治「おうっ!?」
僕は猿治の腹部に両手をあて、力を出して押し出した。
これで少し距離が空いた。
隆士(だけど参ったな・・・アレを使う訳には行かない・・・だけどそうなると戦える訳が無い・・・)
(だぁから俺らがいるんだろうが。)
またあの声が聞こえた。
隆士(だから誰なの!?)
僕は声に出さず、その声の主に話しかける。
(忘れてんじゃねぇよ!!)
よく聴けばその声に聞き覚えがある・・・
この声は・・・
隆士(どうして君が!?一体どう言う事!?)
(後で説明してやる!!いいから代われ!!)
隆士(代われって言われても!!)
猿治「何ボ〜っとしてんだよ!!」
そんな事をしてると猿治が殴りかかって来た。
隆士「うわっ!!」
(しょうがない!!ちっと我慢してろ!!)
隆士(ほえっ!?わっ!!)
突然目の前が真っ暗になった。
隆士(何なんだ一体・・・あれ?)
次に気付いた時には何故か自分の意志で体を動かせていなかった。
そして僕の足が猿治の顔に当たっていた。
猿治「・・・プアッ!!」
猿治は僕から・・・僕の体から離れた。
猿治「て、てめぇ!!いきなり蹴るた何すんだよ!?」
僕の体は足を引いた。
「敵なんだから蹴るの当たり前だろ。」
僕の体を動かしてるのは僕じゃなかった。
彼は僕の体を使って猿治の顔を蹴ったのだ。
猿治「んだと!?」
「お前だって俺達を殺そうとしてるんだから同じ事じゃないか。」
猿治「と、突然口調が変わりやがって・・・何なんだよ白鳥隆士!!」
猿治は僕にきれたけど、今の僕は僕じゃない。
「隆士にきれるなよ・・・」
猿治「一体何を言ってや・・・まさかお前!?」
猿治はどうやら気付いたようだ。
今の僕が違う事を。
そう、今僕の体を動かしている彼。
それは・・・
「その通りさ。俺は虎丈。藍川虎丈だ。」
猿治「き、貴様!!何故っ!?」
虎丈「聴きたいか?だったら言ってやるさ。お前を捕まえた後でな!!」
そして虎丈は僕の体で戦い始めた。
目覚め始めた僕の中の彼ら・・・今ここから動き出したんだ・・・
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