十五の調


羊と蛇








梢「・・・」

私は今見慣れたこの町で今までに感じた事の無い緊張感を感じている。

珠実(梢ちゃん・・・聞こえるですか・・・?)

葵さんが出したトランシーバーから珠実ちゃんの声が聞こえた。

梢「聞こえるよ珠実ちゃん。」

珠実(他の皆さんは町中に散りましたが・・・本当に一人で大丈夫ですか?)

梢「怖いけど・・・今は我慢しなきゃいけないの・・・だから大丈夫。」

珠実(・・・無理しないでください・・・梢ちゃんが死んだら残される人は・・・鳴滝荘は・・・白鳥さんはどう思うか・・・)

梢「分かってるよ・・・だから死なない。私も・・・そして皆さんも・・・」

珠実(・・・)

瑞穂(そこまで言うんなら大丈夫ね。)

朱雀(ええ。)

トランシーバーから瑞穂さんと朱雀さんの声が聞こえてきました。

梢「聞いてたんですか?」

瑞穂(トランシーバーだもんね。)

朱雀(はい。)

梢「・・・誰も・・・死なないでくださいね・・・」

神那(分かってるって。)

虎丈(はなっからそんな気は無いさ。)

タチバナ(その通りです。)

灰原(大丈夫だ梢。俺達は死なない。)

翼(死ねない理由もあるからな。)

葵(その通りです。)

梢「それじゃ・・・始めましょう。」

珠実(はいです。)

私達は動き始めた。
今この町に潜む”敵”を倒す為に・・・

梢「えっと・・・話じゃビルの屋上とかの高い場所にいるって言うから・・・」

私は皆さんが言っていた事通りにビルの屋上を目指した。

梢「もしそこにいたら・・・朱雀さんか藍川さん・・・栗崎さんにタチバナさん辺りに言えばいいのよね・・・」

正直言うととても怖い・・・
もしこの先にいて・・・
その人に見つかった時は・・・

梢「あ・・・」

屋上に着くと鳴滝荘の方を狙っていると思う人がいた。

梢「気づかれてないよね・・・?」

相手は私の方を見ていない・・・
多分気づいていないと思う・・・

梢「もしもし・・・梢です・・・十二支かは分かりませんがいました・・・」

虎丈(どこだ・・・?)

梢「ここは・・・」

私は今自分がいるビルを教えた。

神那(そこなら俺が近い。任せな。)

梢「はい。」

会話を済ませ、すぐにそのビルから去った。

梢「後何人いるのかな・・・?」

珠実(それは分かりませんです・・・)

梢「珠実ちゃん・・・」

珠実(後ここにもいるです・・・場所は・・・)

梢「ふう・・・」

動き始めてまだそんな経ってないけど疲れが出てきた・・・
命が狙われてる何て今までに無かったからその緊張かな・・・?

梢「少し少し・・・徐々にやって行かなきゃ・・・」

チュゥン!!

梢「!?」

髪飾りの鈴に何かがかすった・・・
もしかして今のは・・・

梢「狙撃・・・!?」

タチバナ(皆さん聞こえますか・・・!?)

梢「タチバナさん!?」

タチバナ(恐らく私達に気づいたようです・・・気をつけてください・・・!!)

瑞穂(それって私達も狙われるって事!?)

虎丈(だろうよ。)

朱雀(覚悟は出来ていたはずです・・・ですが・・・)

梢「分かっています・・・皆さんも・・・」

翼(ああ。)

これで確実に私達も標的に入っている事になった・・・

梢「・・・白鳥さん・・・」













珠実「またいたです・・・場所は・・・」

朱雀(分かりました。私が行きます。)

珠実「これで十一人・・・」

私は伝えた後すぐにビルから離れ次を目指した。

珠実「・・・」

あの程度の一般人なら私でも倒せれる・・・
だけど私がでしゃばってまだ誰かが傷つくなんて私は嫌だ・・・

珠実「我慢するしかない・・・ですか・・・」

私は狙撃されぬよう・・・
そして町行く人に流れ弾が当たらぬように私は裏道を通ったり通行人に怪しまれぬ程度に身をかがめ素早く移動した。

珠実「さてと・・・次はここにしますか。」

次に目をつけたビルに私は入り、すぐに屋上へ向かった。

珠実「ここに人は・・・」

いた。
既にどこを狙っているかは分からないけど銃を持った男がいた。

珠実「すぐに連絡を・・・」

男「誰だ!!」

珠実「はっ!!」

ガゥン!!

連絡をしようとした途端男が私に気づき撃ってきた。

珠実「くっ!!こうなったら私が!!」

やむを得ず私はその男と戦う事にした。

珠実「やぁっ!!」

男「このチビが!!」

相手は銃を捨てて素手で私に向かってきた。
どのくらい相手が出来るかは分からないけど私はやれるだけの事をする。

珠実「このぉっ!!」

男「うぐっ!!」

屋上と言う事もあり本気を出して下に落とすわけにはいかない。
だけど手を抜いてやられる事も出来ない。

珠実「だからやるだけの事を・・・!!」

男「ガタガタうるせぇ!!」

珠実「あくっ!!」

一瞬の隙を突かれて相手は私を足払いしてきた。
そしてそのまま私はその場に押し倒された。

珠実「うぐっ!!」

男「てこずらせやがって・・・てめぇも鳴滝荘ってとこの奴だろどうせ・・・」

珠実「だったら・・・何です・・・」

男「何だか知らねぇが殺せって言われてるんでな・・・悪いが死んでもらうぜ・・・」

そう言う男の手には拳銃が握られて銃口が私の額に突きつけられた。

珠実「くぅ・・・」

男「悪いな・・・これで金がもらえるぜ。」

「金の為に人を殺すか・・・そんな奴がこの町にいたなんてな・・・」

男「な、何!?」

珠実「!?」

ドゴッ!!

男「おがっ!?」

珠実「きゃっ!?」

鈍い音が聞こえて私を押さえつけてた男が気を失って倒れてきた。

「大丈夫か茶ノ畑。」

珠実「あ、あなたは紫羽さん?」

竜太郎「久しぶりだな。」

私を助けてくれたのは桃さんの夫の紫羽竜太郎さんでした。

珠実「え、ええ・・・」

竜太郎「一体どうしたんだ?何だか難しい顔して町中走っていたから気になってきたんだけどよ。」

珠実「あ、あの実は・・・」

私はこの事を話そうかごまかそうか考えた・・・
その時だった。

梢(珠実ちゃんどうしたの?)

トランシーバーから梢ちゃんの声が・・・

珠実「あ、こ、梢ちゃん・・・」

竜太郎「蒼葉?」

梢(え?その声・・・紫羽さんですか!?)

竜太郎「そうだけど・・・どうしたんだ一体?」

梢(あの・・・これは・・・)

神那(言うしかないな・・・)

虎丈(だな・・・)

珠実「分かりました・・・」

竜太郎「一体何がどうなってるんだ?それに今の声は?」

珠実「紫羽さん実は・・・」

私はこの事件と今起こっている事を全て話した。

竜太郎「マジかよ・・・」

珠実「はい・・・」

竜太郎「恵も巻き込まれていたなんて・・・」

珠実「紫羽さん・・・」

竜太郎「茶ノ畑、蒼葉。俺も手伝わせてくれ。」

梢(ですが・・・)

竜太郎「しばらくこっちにいるつもりで来たんだ。それに恵と子供の命もかかってんだ。」

梢(・・・分かりました。お願いします。)

葵(後でトランシーバーを渡します。何処かで待ち合わせましょう。)

竜太郎「ああ。」

珠実「気をつけてくださいね。」

竜太郎「そっちもな。」

珠実「はい。」

そう言って私達は別れた。

珠実「はぁ・・・何やってるですか私は・・・」

私は自分の無力さに嫌気が差してきた・・・

朱雀(珠実さん・・・気にしなくてもいいです。)

珠実「朱雀さん・・・?」

その時朱雀さんが話しかけてきた。

朱雀(本当は私も初めは・・・と言うより今もですが戦う事なんか出来て無かったんですの。)

珠実「そう・・・なのですか?」

神那(マジよマジ。)

虎丈(あの頃は隆士がちょっとだけ戦えてた程度だったけど朱雀はそれ以下だったぜ。)

葵(そんなある日皆の力になりたいと言う思いから銃を学び己が秘めし力。転生の射撃の能力を見出したのです。)

朱雀(それでもまだまだ未熟です。ですから珠実さんも・・・)

珠実「朱雀さん・・・」

朱雀(はい?)

珠実「・・・ありがとうです・・・」

梢(珠実ちゃん・・・)

珠実「私には昔から何でも出来るって思ってました・・・ですがこの事で自分はまだまだだって気づきました・・・」

虎丈(そりゃあ最初っから何でも出来る奴なんていねぇよ。)

珠実「この事があって何度も梢ちゃんを悲しませ傷つけてる白鳥さんを恨んでましたが・・・それは自分の弱さを認めたくない私の弱さでした・・・」

灰原(ちょっとは丸くなったじゃないか。)

珠実「あの人はあの人で苦しんで・・・悩んで・・・それでも戦っている・・・だったら私はあの人の力になる・・・それだけです。」

瑞穂(そうね・・・白鳥君達には白鳥君達にしか出来ない事を・・・私達は私達にしか出来ない事をするだけ。)

梢(珠実ちゃん・・・頑張ろうね。)

珠実「はいです・・・!!」

私はまた町に降り自分に出来る事を再会した。
鳴滝荘を守る神達の手伝いを・・・













梢「いました・・・ここは・・・」

虎丈(ちっと遠いな・・・神那、朱雀。行けるか?)

神那(俺も遠いぜ・・・)

タチバナ(そこなら私が近いです。私が行きましょう。)

梢「分かりました。」

もう何人になったでしょうか・・・
日が傾き始めているのに十二支の羊宗は見つからない・・・

梢「ふぅ・・・」

朱雀(大丈夫ですか梢さん・・・)

梢「ええ・・・ですけどこんなに・・・」

翼(確かにこんなに雇われてたなんてな・・・)

虎丈(だけどそろそろ雇われ者もゼロになるだろ。)

神那(そうなりゃ後は羊宗だけさ。)

梢「・・・」

神那(大丈夫だって。あいつは自分の意志を持たねぇ人形みたいな奴だ。あんな奴近距離なら楽勝さ。)

梢「ですけど私の場合じゃ・・・」

「倒すのは無理だろうな。」

梢「!?」

私のすぐ後ろで男の人の声が聞こえた・・・
振り返ると黒いコートを羽織った男の人がいた。

朱雀(その声は・・・羊宗!?)

梢「え!?」

羊宗「そう言う事だ。俺がここにいるって事はどう言う事か分かるな・・・?」

梢「!!」

羊宗がコート越しに私に何かを突きつけたのを感じた。

羊宗「察しの通り今ここにあるのは銃だ。」

梢「こ、こんな町中で・・・」

羊宗「サイレンサーって言う物・・・知らないのか?」

虎丈(止めろ羊宗!!)

羊宗「悪いな。言われた事は何があってもやるのが俺のやり方だ。」

珠実(梢ちゃん逃げて!!)

羊宗「もう遅い・・・」

梢「い、いや・・・!!」

羊宗「さよならだ・・・」

「と言うのは早いのではないか?」

羊宗「なっ!?」

梢「え・・・?」

羊宗の後ろに杖のような物を持った初老の男の人がいました。

羊宗「な、何だ貴様は・・・」

男「貴様らのような奴の敵・・・そしてそこにいる嬢ちゃんの味方じゃ。」

梢「あ、あなたは・・・?」

男「自己紹介は後じゃ。今はこいつを抑える。嬢ちゃんは逃げい。」

羊宗「逃げれるとでも思ってるのか?」

男「じゃからワシが逃がすのじゃ・・・!!」

羊宗「ぬおっ!?」

梢「え!?」

男の人は杖で羊宗のコートの襟を絡めて上に持ち上げました。

男「せやっ!!」

羊宗「うごっ!!」

そのまま男の人は羊宗を地面に叩きつけました。

男「逃げるぞ!!」

梢「は、はい!!」

私は男の人とその場を離れ、川原まで逃げてきました。

梢「はぁ・・・はぁ・・・」

男「ふぅ・・・逃げられたか。やはり歳には勝てんの・・・」

梢「あ、あの・・・助けていただいて・・・ありがとうございます。」

男「なぁにいいって事じゃ。嬢ちゃん蒼葉梢じゃろ?」

梢「え?ええそうですけど・・・あなたは?」

男「ワシは山吹修三。白鳥の師匠と言えば分かろう。」

梢「白鳥さんの・・・それじゃああなたは。」

珠実(梢ちゃん!!梢ちゃん大丈夫ですか!?)

梢「珠実ちゃん。私は大丈夫だよ。」

瑞穂(いくら呼びかけても返事ないから心配したのよこっちは・・・)

梢「ご、ごめんなさい・・・」

灰原(ま、無事ならいいんだ。今どこにいる?)

梢「今川原にいます。」

葵(おそらく鳴滝荘を狙っていた人達はもう全員倒したと思います。)

タチバナ(ではその川原で待ち合わせましょう。)

虎丈(ああ。)

梢「では待ってますね。」

山吹「どうやら本当に大変な事になっとるようじゃの。」

梢「はい・・・山吹さんはどうしてここの事を?」

山吹「いやの。アレからもう何年も経ったがあいつはどうしてるか気になっての。」

梢「白鳥さんの事ですか?」

山吹「ああ。あいつは元気にしとるか?」

梢「あの・・・それが・・・」

山吹「ん?」

梢「今白鳥さんは・・・」

私は白鳥さんの今の状態を山吹さんに話した。

山吹「そんな事になっとったとは・・・もう少し早く来るべきだったかの・・・」

梢「いえ・・・元はと言えば十二支のせいです・・・あの人達が白鳥さん達を・・・」

山吹「・・・聞いとったように・・・嬢ちゃんは似とるの・・・梨音に・・・」

梢「え?」

山吹「いや何でも無いわ。それよりも問題は・・・」

梢「!?」

私は嫌な感じがして振り向いた。
そこには羊宗がいた。

羊宗「見つけたぞ・・・!!」

山吹「見つかってしもうたか。」

羊宗「貴様ら・・・絶対に殺す!!」

羊宗の手には拳銃が握られていました。

山吹「ほほう・・・いい度胸じゃ。下がっていなさい。」

梢「え?」

山吹さんはそう言って羊宗の方に向かいました。

羊宗「じいさん・・・あんたが相手をするって言うのか?」

山吹「ああその通りじゃ。」

羊宗「ハッ武器も何も無いのにふざけた事ぬかしてんじゃねぇよ。」

山吹「武器ならあるじゃろうが。これがの。」

そう言って山吹さんは杖を前に出しました。

梢「や、山吹さんそれって杖じゃ・・・」

羊宗「とことん馬鹿にしやがって・・・さっさと死んじまえジジィ!!」

ガゥン!!

乾いた銃声が川原に響いた。
羊宗が山吹さんに発砲をした音でした。

梢「山吹さん!!」

山吹「この程度・・・ぬぅん!!」

キィン!!

羊宗「なっ!?」

梢「え!?」

山吹「きぇい!!」

羊宗「なっ!?ぶがっ!!」

山吹「ふぅ・・・未熟者が。」

梢「え・・・え?」

一瞬何がどうなったのか分かりませんでした。
ただ山吹さんは杖から何かを出して恐らく銃弾を切って・・・
そして杖で地面から土の塊を掘り出してそれを杖から出した何かで打って羊宗に当てて・・・

梢「あ、あのそれは・・・?」

山吹「これか?見ての通りの仕込み杖じゃ。」

梢「仕込み杖?」

よく見ると出した物に刃がありそれが仕込み杖だって事にやっと気づきました。

山吹「ちなみにさっきのは土の塊を掘り出してそれを打っただけじゃ。」

梢「は、はぁ・・・」

山吹さんの腕前に私はあ然としてしまいました・・・

羊宗「こ、この・・・!!」

山吹「ほほうまだやる気か?」

羊宗「当たり前だ・・・!!俺は与えられた事は何が何でもやり遂げるんだ・・・!!」

山吹「惜しいのう・・・その意志はいいのじゃが人に支持されねば何も出来ぬとは・・・」

羊宗「う、うるさい!!」

山吹「そんなんじゃワシはおろか。白鳥や青島・・・お前達で言えば竜汪にも敵わぬぞ。」

梢「え?」

羊宗「る、竜汪だと・・・ま、さかお前!!」

山吹「あぁそうじゃ。」

梢「い、一体何の・・・?」

山吹さんに話しかけようとした時羊宗が震えているのに気づいた。

羊宗「じょ、冗談じゃない・・・竜汪の師匠なんか・・・相手にしたら死んじまう!!」

梢「え!?」

そう言って羊宗は逃げ出しました。

山吹「情けないのう・・・」

梢「あ、あの山吹さん・・・」

山吹「ん?」

梢「今羊宗が言った事って・・・」

山吹「まぁ知らんのも無理は無い。実は竜汪はのう・・・」

羊宗「ぎゃぁーーーーー!!」

梢「何!?」

山吹「何じゃ!?」

そんな遠くない場所・・・羊宗が逃げた方向から悲鳴が聞こえた。

梢「行ってみましょう!!」

山吹「あぁ。」

私達は声がした方に向かった。
そこにいたのは・・・

羊宗「が・・・た、助け・・・!!」

梢「これは・・・」

両手両足・・・四肢が全て折れて倒れてる羊宗がいました。

梢「一体誰が・・・」

「それは俺がやった。」

山吹「何奴!?」

後ろから声がしたので振り向くと袖の広い上着を羽織った後ろ髪を結った男性がいました。
まだ見た事無い人の中で、この武器と言える物は持ってない。
それじゃあ・・・

梢「あなたは・・・蛇蒼・・・?」

蛇蒼「あぁ。」

梢「十二支の中で強いって言う人が・・・どうして羊宗をこんな・・・仲間じゃ無かったんですか・・・?」

蛇蒼「たとえ仲間とは言え戦いから逃げる者などこうなって当然だ・・・」

山吹「ある意味戦士としての心得はあるようじゃが・・・」

蛇蒼「俺は無意味な戦いなどしたくはない。ただ戦士として戦い、そして朽ちるならばそれでいい。」

梢「私達を・・・殺すんですか・・・?」

蛇蒼「言ったはずだ・・・俺は無意味な戦いなどしたくはない。」

梢「・・・」

翼「お〜〜〜い!!」

蛇蒼「来たか・・・」

梢「皆さん!!」

遠くから皆さんがこちらへ向かっているのが見えました。

虎丈「大丈夫だったかって・・・てめぇ蛇蒼!!」

蛇蒼「ああ・・・」

朱雀「そこに倒れてる羊宗はアンタがやったのね・・・」

蛇蒼「その通りだ・・・」

神那「ったくこんな時に現れやがって・・・やるのかやらないのかどうするんだ?」

蛇蒼「・・・日を改めて勝負を挑む。栗崎神那お前にな。」

神那「ああ。分かったぜ。」

蛇蒼「羊宗は好きにするがいい。四肢の骨を砕いたから戦いようが無い。」

竜太郎「何てことしやがるんだよこいつは・・・」

瑞穂「だけどこれで猿治と牛凱に続いて三人目ね・・・」

蛇蒼「俺達を全員捕まえるのは難しいだろう。」

虎丈「そらそうだ。お前や虎焔、竜汪が簡単に捕まるわけ無いしな。」

蛇蒼「それじゃあ俺はこの辺で引く・・・またな・・・」

そう言って蛇蒼はその場から去りました。

灰原「・・・あいつ本当に強いようだな。」

朱雀「ええ・・・」

珠実「とりあえず危機は去ったようですね・・・」

梢「ええ・・・」

タチバナ「今は鳴滝荘に戻りましょう。」

葵「それがいいでしょうね。」

梢「はい。」

そして私達は鳴滝荘に戻りました。













恵「りゅ、竜太郎!?」

竜太郎「恵、体の具合はどうだ?」

恵「んな事より何でアンタ来てるのよ!?」

竜太郎「しばらく休めそうだから戻ってきたんだよ。それにお前に会いたくなったしな。」

恵「んもう・・・バカ・・・」

理想奈「まぁこっちのカップルはいいとしてそっちの人は?」

山吹「ワシは山吹修三。白鳥のちょっとした知り合いじゃ。」

朝美「そうなんですか。」

梢「どうして・・・あ、そう言えば私と灰原さんしか知らないんでしたっけ・・・」

沙耶「で、また一人捕まえれたんですよね?」

珠実「正確には十二支の一人が動けなくしただけなんですがね・・・」

三千代「一体何があったんですの?」

翼「詳しくは知らねぇんだ。」

三千代「そうですの・・・」

花梨「それにしても全部で何人いたの?ここを狙っていた人って。」

まひる「タチバナ、何人だった?」

タチバナ「三十人ほどでした。」

浩子「ひぁ・・・そんなに?」

虎丈「だけど言い返せばそれくらいで済んだって事だ。」

瑞穂「それもそうよね・・・あんな奴らだもの・・・」

沙夜子「何百人もおかしくないって事よね・・・」

理想奈「さ、さらっと怖い事言わないでください!!」

浩子「でもそうなる可能性もあるって事だよね・・・」

沙耶「確かにな・・・」

山吹「所で白鳥はどこにいるんじゃ?」

梢「あ、白鳥さんのお部屋です。案内しますね。」

山吹「すまんの・・・」

私は山吹さんを白鳥さんのお部屋まで案内し、中に入りました。
そこには一見するとただ眠ってるようにしか見えない白鳥さんがいました。

山吹「白鳥・・・この様子からすればしばらく刃を振るってないようじゃの・・・」

梢「ええ・・・」

私と山吹さんは白鳥さんの両隣に座り、様子を伺いました。

梢「白鳥さん・・・夢でも見ているのでしょうか・・・?」

山吹「さぁの・・・」

隆士「・・・ん・・・」

梢「え・・・?」

隆士「りお・・・ん・・・」

とても小さい声でしたが白鳥さんが何かを呟いているのが分かりました。

梢「白鳥さん?白鳥さん聞こえていますか?」

隆士「・・・」

山吹「駄目じゃの・・・だが梨音とな・・・」

梢「誰なんです?」

山吹「白鳥の幼馴染じゃ・・・」

梢「もしかしてあの写真の女の子・・・?」

山吹「もう七、八年経つと言うのに・・・もしや竜汪の事に気づいたか・・・」

梢「白鳥さん・・・あなたは一体・・・」

隆士「・・・」

梢「一体何を隠して・・・苦しんでいるんですか・・・」

白鳥さんの過去を私はあまり知らない・・・
だからあのお葬式の後白鳥さんがどう過ごしていたかも。
どんな人達といたのかも私は知らない・・・




恋人なのに何も分からない・・・





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